パートタイム労働法第2条

2015年05月22日 14:30

短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律

第2条(定義)

 この法律において「短時間労働者」とは、一週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者(当該事業所に雇用される通常の労働者と同種の業務に従事する当該事業所に雇用される労働者にあっては、厚生労働省令で定める場合を除き、当該労働者と同種の業務に従事する当該通常の労働者)の一週間の所定労働時間に比し短い労働者をいう。

則第2条

 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(以下「法」という。)第二条の厚生労働省令で定める場合は、同一の事業所に雇用される通常の労働者の従事する業務が二以上あり、かつ、当該事業所に雇用される通常の労働者と同種の業務に従事する労働者の数が当該通常の労働者の数に比し著しく多い業務(当該業務に従事する通常の労働者の一週間の所定労働時間が他の業務に従事する通常の労働者の一週間の所定労働時間のいずれよりも長い場合に係る業務を除く。)に当該事業所に雇用される労働者が従事する場合とする。


通達による確認 

定義(法第2条関係)

(1) 法第2条は、法の対象となる短時間労働者の定義を定めたものであること。
(2) 短時間労働者であるか否かの判定は、(3)から(7)を踏まえ行うものであること。その際、パートタイマー、アルバイト、契約社員など名称の如何は問わないものであること。したがって、名称が「パートタイマー」であっても、当該事業所に雇用される通常の労働者と同一の所定労働時間である場合には、法の対象となる短時間労働者には該当しないものであること。しかしながら、短時間労働者については法に基づく雇用管理の改善等に関する措置等が講じられる一方、このような者については法の適用対象とならないために雇用管理の改善等に関する措置等が講じられないというのは均衡を失しており、現実にそのような均衡を失した雇用管理を行うことは事業所における労働者の納得を得がたいものと考えられることから、このような者についても法の趣旨が考慮されるべきであることについて、指針にも定めていることに留意すること(第3の11(3)ハ参照)。
 なお、派遣労働者については、派遣先において法が適用されることはないものの、法とは別途、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)により、就業に関する条件の整備を図っているものであること。
(3) 法第2条の「通常の労働者」とは、社会通念に従い、比較の時点で当該事業所において「通常」と判断される労働者をいうこと。当該「通常」の概念については、就業形態が多様化している中で、いわゆる「正規型」の労働者が事業所や特定の業務には存在しない場合も出てきており、ケースに応じて個別に判断をすべきものである。具体的には、「通常の労働者」とは、その業務に従事する者の中にいわゆる正規型の労働者がいる場合は、当該正規型の労働者であるが、当該業務に従事する者の中にいわゆる正規型の労働者がいない場合については、当該業務に基幹的に従事するフルタイム労働者(以下「フルタイムの基幹的労働者」という。)が法の趣旨に鑑みれば通常と考えられることから、この者が「通常の労働者」となる。また、法が業務の種類ごとに短時間労働者を定義していることから、「通常」の判断についても業務の種類ごとに行うものであること(「業務の種類」については後出(6)を参照。)。この場合において、いわゆる正規型の労働者とは、社会通念に従い、当該労働者の雇用形態、賃金体系等(例えば、労働契約の期間の定めがなく、長期雇用を前提とした待遇を受けるものであるか、賃金の主たる部分の支給形態、賞与、退職金、定期的な昇給又は昇格の有無)を総合的に勘案して判断するものであること。また、フルタイムの基幹的労働者は、当該業務に恒常的に従事する1週間の所定労働時間が最長の、正規型の労働者でない者を指し、一時的な業務のために臨時的に採用されているような者は含まないものであること。また、この者が、当該事業所において異なる業務に従事する正規型の労働者の最長の所定労働時間と比較してその所定労働時間が短い場合には、そのような者は「通常の労働者」にはならないものであること。
(4) 「所定労働時間が短い」とは、わずかでも短ければ該当するものであり、例えば通常の労働者の所定労働時間と比べて1割以上短くなければならないといった基準があるものではないこと。
(5) 短時間労働者であるか否かの判定は、具体的には以下に従い行うこと。
イ  同一の事業所における業務の種類が一の場合
 当該事業所における1週間の所定労働時間が最長である通常の労働者と比較し、1週間の所定労働時間が短い通常の労働者以外の者が短時間労働者となること(第2条括弧書以外の部分。図の1-(1)及び1-(2))。
 なお、当該業務にいわゆる正規型の労働者がいない場合は、フルタイムの基幹的労働者との比較となること(図の1-(3))。
ロ  同一の事業所における業務の種類が二以上あり、同種の業務に従事する通常の労働者がいない場合当該事業所における1週間の所定労働時間が最長である通常の労働者と比較し、1週間の所定労働時間が短い通常の労働者以外の者が短時間労働者となること(第2条括弧書以外の部分。図2-(1)のB業務)。
ハ  同一の事業所における業務の種類が二以上あり、同種の業務に従事する通常の労働者がいる場合
(イ) 原則として、同種の業務に従事する1週間の所定労働時間が最長の通常の労働者と比較して1週間の所定労働時間が短い通常の労働者以外の者が短時間労働者となること(第2条括弧書。図の2-(2))。
 なお、フルタイムの基幹的労働者が通常の労働者である業務においては、必然的に、その者より1週間の所定労働時間が短い者が短時間労働者となること(図の2-(3))。
(ロ) 同種の業務に従事する通常の労働者以外の者が当該業務に従事する通常の労働者に比べて著しく多い場合(当該業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間が他の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間のいずれよりも長い場合を除く。)は、当該事業所における1週間の所定労働時間が最長の通常の労働者と比較して1週間の所定労働時間が短い当該業務に従事する者が短時間労働者となること(第2条括弧書中厚生労働省令で定める場合(則第1条)。図の2-(4)のB業務)。これは、たまたま同種の業務に従事する通常の労働者がごく少数いるために、そのような事情がなければ一般には短時間労働者に該当するような者までもが法の対象外となることを避ける趣旨であるから、適用に当たって同種の業務に従事する通常の労働者と、当該事業所における1週間の所定労働時間が最長の通常の労働者の数を比較する際には、同種の業務において少数の通常の労働者を配置する必然性等から、事業主に法の適用を逃れる意図がないかどうかを考慮すべきものであること。
(6) 上記(5)は、労働者の管理については、その従事する業務によって異なっていることが通常と考えられることから、短時間労働者であるか否かを判断しようとする者が従事する業務と同種の業務に従事する通常の労働者がいる場合は、その労働者と比較して判断することとしたものであること。
 なお、同種の業務の範囲を判断するに当たっては、『厚生労働省編職業分類』の細分類の区分等を参考にし、個々の実態に即して判断すること。
(7) 短時間労働者の定義に係る用語の意義はそれぞれ次のとおりであること。
イ 「1週間の所定労働時間」を用いるのは、短時間労働者の定義が、雇用保険法等労働関係法令の用例をみると1週間を単位としていることにならったものであること。この場合の1週間とは、就業規則その他に別段の定めがない限り原則として日曜日から土曜日までの暦週をいうこと。ただし、変形労働時間制が適用されている場合や所定労働時間が1月、数箇月又は1年単位で定められている場合などには、次の式によって当該期間における1週間の所定労働時間として算出すること。
 (当該期間における総労働時間)÷((当該期間の暦日数)/7)
 なお、日雇労働者のように1週間の所定労働時間が算出できないような者は、法の対象とならない。ただし、日雇契約の形式をとっていても、明示又は黙示に同一人を引き続き使用し少なくとも1週間以上にわたる定形化した就業パターンが確立し、上記の方法により1週間の所定労働時間を算出することができる場合には、法の対象となること。
ロ 「事業所」を単位として比較することとしているのは、労働者の管理が、通常、事業所単位で一体的に行われているためであること。「事業所」については、出張所、支所等で規模が小さく組織的関連ないし事務能力を勘案して一の「事業所」というに足りる程度の独立性のないものは、場所的に離れていても直近上位の機構と一括して一の「事業所」と取り扱うこと。
 
第2条の短時間労働者の定義の整理

① 名称

 短時間労働者は、通常の労働者より一週の所定労働時間が短い労働者を指します。従って、アルバイト、パートタイマー等の名称にかかわらず、第2条の定義を満たせば短時間労働者として本法の適用を受けます。

② 派遣労働者

 派遣労働者については、派遣先において本法の適用は受けないこととなります。

③ 通常の所定時間の労働者

 通常の労働者とは、いわゆる正規労働者のことですが、正規労働者がいない事業場では、社会通念上フルタイム労働者等を通常の労働者として、短時間労働者の判断を行ないます。

➃ 所定労働時間が短いとは

 所定労働時間が短いとは、少しでも短かければ短時間労働者に該当するという趣旨ですから、例えば常用雇用労働者との所定労働時間の差が1割未満は該当しないとか、同じくその差が15分未満は該当しないとか、そのような基準はありません。

⑤ 短時間労働者の判断

 ア 業務の種類が一種類で正規労働者がいる場合

   同種業務の正規労働者と比較して週の所定労働者が短い労働者が短時間労働者に該当する

 イ 業務の種類が一種類で正規労働者がおらず、フルタイムの基幹的労働者(フルタイムパート等)がいる場合

   同種業務の基幹的労働者と比較して週の週の所定労働時間が短い労働者が短時間労働者に該当する

 ウ 業務の種類が二種類以上あり正規労働者もフルタイム労働者もいない場合

   担当業務以外の業務の正規労働者等と比較して週の所定労働時間が短い労働者が短時間労働者に該当する

 エ 業務の種類が二種類以上あり正規労働者がいる場合

   同種の業務の正規労働者と比較して週の所定労働時間が短い労働者が短時間労働者に該当する

 オ 業務の種類が二種類以上あり正規労働者がいないがフルタイムの基幹的労働者がいる場合

   同種の業務の基幹的労働者と比較して週の所定労働時間が短い労働者が短時間労働者に該当する

 カ 業務の種類が二種類以上あり同種の業務に正規型の労働者がいるが、通常の労働者以外の者の数が著しく多い場合(則第2条に該当の場合)

   同種の業務の正規労働者ではなく、他の業務の正規労働者等と比較して週の所定労働時間が短い労働者が短時間労働者に該当する

 ※なお、単に週の所定労働時間が40時間未満等であることは、短時間労働者に該当するか否かの判断基準ではありません。

⑥ 短時間労働者の判断に一週間の所定労働時間を用いる理由

 雇用保険等の諸法令が一週間の所定労働時間を用いているためです。なお、週の定義等については、労働契約法の考察の記述を参照して下さい。

⑦ 事業所を単位として短時間労働者の判断を行う理由

 労働基準法が事業場を単位としていることは、ご存知の通りです。パートタイム労働法も労基法にならったものと思います。

⑧ 日雇い労働者について

 日雇い労働者は原則としてパートタイム労働法の適用がありません。ただし、形式上は日雇いでも事実上一週間を超えて長期にその労働者を使用する場合には、短時間労働者に該当するか否かを判断することとなります。

 

短時間労働者と有期契約労働者の混同

  第1条でも同趣旨の内容で記述しましたが、名称はパートタイム労働者でも或いは有期契約労働者であっても、一週間の所定労働時間が通常の労働者と同一であれば短時間労働者に該当しません。第2条では、専ら一週間の所定労働時間の長さにより短時間労働者に該当するか否かを判断しています。労働契約法第20条においても、有期契約か無期契約かの区別のみで、合理性なき労働条件の差別を禁止しています。

  そうすると、無期労働契約であってかつ通常の所定労働時間の労働者については、両法(契約法20条とパート労働法8条)の適用を受けないこととなります。しかし、一般に同一労働であれば所定労働時間が短い労働者の方を所定労働時間が通常の労働者と比して厚遇することは考えにくいため、この両法により正社員と非正規社員の両者の労働条件の格差が縮むことが期待できます。

 

 

以上でパートタイム労働法第2条を終了します。

 

 

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