パートタイム労働法第11条
2015年05月26日 17:30
短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律
第11条(教育訓練)
事業主は、通常の労働者に対して実施する教育訓練であって、当該通常の労働者が従事する職務の遂行に必要な能力を付与するためのものについては、職務内容同一短時間労働者(通常の労働者と同視すべき短時間労働者を除く。以下この項において同じ。)が既に当該職務に必要な能力を有している場合その他の厚生労働省令で定める場合を除き、職務内容同一短時間労働者に対しても、これを実施しなければならない。
2 事業主は、前項に定めるもののほか、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力及び経験等に応じ、当該短時間労働者に対して教育訓練を実施するように努めるものとする。
則第4条(法第十一条第一項の厚生労働省令で定める場合)
法第十一条第一項の厚生労働省令で定める場合は、職務の内容が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一の短時間労働者(法第九条に規定する通常の労働者と同視すべき短時間労働者を除く。)が既に当該職務に必要な能力を有している場合とする。
○通達による確認(平成26年)
・教育訓練(法第11条関係)
(1) 法第11条第1項は、職務の内容が通常の労働者と同じ短時間労働者について、事業主が通常の労働者に対して職務の遂行に必要な能力を身に付けさせるための教育訓練を実施している場合には、既にそのような能力を有している場合を除き、当該短時間労働者に対しても実施されなければならないものであることを定めたものであること。
これは、短時間労働者の職務の内容が通常の労働者と同じである場合は、短時間労働者に対しても職務の遂行に必要な能力を身に付けさせるための教育訓練を実施することは当然であることから、そのような場合の事業主の教育訓練の実施義務を定めたものである。
(2) 「既に当該職務に必要な能力を有している場合」とは、短時間労働者が以前同業他社に勤務し、当該教育訓練と同様の内容の教育訓練を受講している場合など職務の遂行に必要な知識や技術を身に付けている場合を指すものであること。
なお、本条の規定は、他の法律において、教育訓練等を受講することが義務付けられている場合についてまで、その義務を免除する趣旨ではないこと。
また、教育訓練を実施する場合には、短時間労働者の勤務時間帯など短時間労働者側の事情も考慮して実施する必要があること。
(3) 法第11条第2項は、当然の措置を求めている第1項の規定に加えて、事業主は、職務の遂行に必要な能力を身に付けさせるための教育訓練以外の教育訓練及び職務の内容が通常の労働者と異なる短時間労働者に対する職務の遂行に必要な能力を身に付けさせるための教育訓練についても、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、職務の内容、職務の成果、意欲、能力及び経験等に応じて、短時間労働者に対して実施するよう努める必要があることを定めたものであること。
これは、労働力人口が減少する中で、我が国の経済の活力を維持するためには、短時間労働者がその有する能力を有効に発揮することが重要であるところ、短時間労働者がキャリアアップするための企業内での教育訓練の機会が乏しく、通常の労働者との待遇の格差の原因となっている現状を改善するため、短時間労働者に対しても積極的な教育訓練の実施を求める趣旨であること。したがって、この教育訓練は、事業主が中長期的な視点から行うキャリアアップのための教育訓練などを指すものであるが、幹部候補生の養成のために実施するような、長期の研修や海外留学等の実施までを求める趣旨ではないこと。
なお、企業内における中長期的な人材育成システムからは外れがちである短時間労働者についても、その職務の内容、職務の成果等に応じた教育訓練を行い、活用を図っていくことは、言うまでもなく企業においてもメリットがあるものであること。
なお、「通常の労働者との均衡を考慮しつつ」とは、第10条の場合と同様、短時間労働者と職務の内容が同一である通常の労働者及び職務の内容が異なる通常の労働者の双方との均衡を考慮することになること。
(4) 教育訓練の実施に当たって、通常の労働者との均衡を考慮した結果、実施内容やカリキュラム等が異なることもあり得るものであること。
○労働安全衛生法における教育訓練の規定
第五十九条 事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。
2 前項の規定は、労働者の作業内容を変更したときについて準用する。
3 事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。
第六十条 事業者は、その事業場の業種が政令で定めるものに該当するときは、新たに職務につくこととなつた職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者(作業主任者を除く。)に対し、次の事項について、厚生労働省令で定めるところにより、安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。
一 作業方法の決定及び労働者の配置に関すること。
二 労働者に対する指導又は監督の方法に関すること。
三 前二号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な事項で、厚生労働省令で定めるもの
第六十条の二 事業者は、前二条に定めるもののほか、その事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、危険又は有害な業務に現に就いている者に対し、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行うように努めなければならない。
2 厚生労働大臣は、前項の教育の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
3 厚生労働大臣は、前項の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導等を行うことができる。
施行令
第十九条 法第六十条の政令で定める業種は、次のとおりとする。
一 建設業
二 製造業。ただし、次に掲げるものを除く。
イ 食料品・たばこ製造業(うま味調味料製造業及び動植物油脂製造業を除く。)
ロ 繊維工業(紡績業及び染色整理業を除く。)
ハ 衣服その他の繊維製品製造業
ニ 紙加工品製造業(セロフアン製造業を除く。)
ホ 新聞業、出版業、製本業及び印刷物加工業
三 電気業
四 ガス業
五 自動車整備業
六 機械修理業
施行規則
(雇入れ時等の教育)
第三十五条 事業者は、労働者を雇い入れ、又は労働者の作業内容を変更したときは、当該労働者に対し、遅滞なく、次の事項のうち当該労働者が従事する業務に関する安全又は衛生のため必要な事項について、教育を行なわなければならない。ただし、令第二条第三号に掲げる業種の事業場の労働者については、第一号から第四号までの事項についての教育を省略することができる。
一 機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関すること。
二 安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること。
三 作業手順に関すること。
四 作業開始時の点検に関すること。
五 当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること。
六 整理、整頓とん及び清潔の保持に関すること。
七 事故時等における応急措置及び退避に関すること。
八 前各号に掲げるもののほか、当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項
2 事業者は、前項各号に掲げる事項の全部又は一部に関し十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該事項についての教育を省略することができる。
(特別教育を必要とする業務)
第三十六条 法第五十九条第三項の厚生労働省令で定める危険又は有害な業務は、次のとおりとする。
一 研削といしの取替え又は取替え時の試運転の業務
二 動力により駆動されるプレス機械(以下「動力プレス」という。)の金型、シヤーの刃部又はプレス機械若しくはシヤーの安全装置若しくは安全囲いの取付け、取外し又は調整の業務
三 アーク溶接機を用いて行う金属の溶接、溶断等(以下「アーク溶接等」という。)の業務
四 高圧(直流にあつては七百五十ボルトを、交流にあつては六百ボルトを超え、七千ボルト以下である電圧をいう。以下同じ。)若しくは特別高圧(七千ボルトを超える電圧をいう。以下同じ。)の充電電路若しくは当該充電電路の支持物の敷設、点検、修理若しくは操作の業務、低圧(直流にあつては七百五十ボルト以下、交流にあつては六百ボルト以下である電圧をいう。以下同じ。)の充電電路(対地電圧が五十ボルト以下であるもの及び電信用のもの、電話用のもの等で感電による危害を生ずるおそれのないものを除く。)の敷設若しくは修理の業務又は配電盤室、変電室等区画された場所に設置する低圧の電路(対地電圧が五十ボルト以下であるもの及び電信用のもの、電話用のもの等で感電による危害の生ずるおそれのないものを除く。)のうち充電部分が露出している開閉器の操作の業務
五 最大荷重一トン未満のフオークリフトの運転(道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第二条第一項第一号の道路(以下「道路」という。)上を走行させる運転を除く。)の業務
五の二 最大荷重一トン未満のシヨベルローダー又はフオークローダーの運転(道路上を走行させる運転を除く。)の業務
五の三 最大積載量が一トン未満の不整地運搬車の運転(道路上を走行させる運転を除く。)の業務
六 制限荷重五トン未満の揚貨装置の運転の業務
六の二 伐木等機械(伐木、造材又は原木若しくは薪炭材の集積を行うための機械であつて、動力を用い、かつ、不特定の場所に自走できるものをいう。以下同じ。)の運転(道路上を走行させる運転を除く。)の業務
六の三 走行集材機械(車両の走行により集材を行うための機械であつて、動力を用い、かつ、不特定の場所に自走できるものをいう。以下同じ。)の運転(道路上を走行させる運転を除く。)の業務
七 機械集材装置(集材機、架線、搬器、支柱及びこれらに附属する物により構成され、動力を用いて、原木又は薪炭材(以下「原木等」という。)を巻き上げ、かつ、空中において運搬する設備をいう。以下同じ。)の運転の業務
七の二 簡易架線集材装置(集材機、架線、搬器、支柱及びこれらに附属する物により構成され、動力を用いて、原木等を巻き上げ、かつ、原木等の一部が地面に接した状態で運搬する設備をいう。以下同じ。)の運転又は架線集材機械(動力を用いて原木等を巻き上げることにより当該原木等を運搬するための機械であつて、動力を用い、かつ、不特定の場所に自走できるものをいう。以下同じ。)の運転(道路上を走行させる運転を除く。)の業務
八 胸高直径が七十センチメートル以上の立木の伐木、胸高直径が二十センチメートル以上で、かつ、重心が著しく偏している立木の伐木、つりきりその他特殊な方法による伐木又はかかり木でかかつている木の胸高直径が二十センチメートル以上であるものの処理の業務(第六号の二に掲げる業務を除く。)
八の二 チェーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理又は造材の業務(前号に掲げる業務を除く。)
九 機体重量が三トン未満の令別表第七第一号、第二号、第三号又は第六号に掲げる機械で、動力を用い、かつ、不特定の場所に自走できるものの運転(道路上を走行させる運転を除く。)の業務
九の二 令別表第七第三号に掲げる機械で、動力を用い、かつ、不特定の場所に自走できるもの以外のものの運転の業務
九の三 令別表第七第三号に掲げる機械で、動力を用い、かつ、不特定の場所に自走できるものの作業装置の操作(車体上の運転者席における操作を除く。)の業務
十 令別表第七第四号に掲げる機械で、動力を用い、かつ、不特定の場所に自走できるものの運転(道路上を走行させる運転を除く。)の業務
十の二 令別表第七第五号に掲げる機械の作業装置の操作の業務
十の三 ボーリングマシンの運転の業務
十の四 建設工事の作業を行う場合における、ジャッキ式つり上げ機械(複数の保持機構(ワイヤロープ等を締め付けること等によつて保持する機構をいう。以下同じ。)を有し、当該保持機構を交互に開閉し、保持機構間を動力を用いて伸縮させることにより荷のつり上げ、つり下げ等の作業をワイヤロープ等を介して行う機械をいう。以下同じ。)の調整又は運転の業務
十の五 作業床の高さ(令第十条第四号の作業床の高さをいう。)が十メートル未満の高所作業車(令第十条第四号の高所作業車をいう。以下同じ。)の運転(道路上を走行させる運転を除く。)の業務
十一 動力により駆動される巻上げ機(電気ホイスト、エヤーホイスト及びこれら以外の巻上げ機でゴンドラに係るものを除く。)の運転の業務
十二 削除
十三 令第十五条第一項第八号に掲げる機械等(巻上げ装置を除く。)の運転の業務
十四 小型ボイラー(令第一条第四号の小型ボイラーをいう。以下同じ。)の取扱いの業務
十五 次に掲げるクレーン(移動式クレーン(令第一条第八号の移動式クレーンをいう。以下同じ。)を除く。以下同じ。)の運転の業務
イ つり上げ荷重が五トン未満のクレーン
ロ つり上げ荷重が五トン以上の跨こ線テルハ
十六 つり上げ荷重が一トン未満の移動式クレーンの運転(道路上を走行させる運転を除く。)の業務
十七 つり上げ荷重が五トン未満のデリツクの運転の業務
十八 建設用リフトの運転の業務
十九 つり上げ荷重が一トン未満のクレーン、移動式クレーン又はデリツクの玉掛けの業務
二十 ゴンドラの操作の業務
二十の二 作業室及び気こう室へ送気するための空気圧縮機を運転する業務
二十一 高圧室内作業に係る作業室への送気の調節を行うためのバルブ又はコツクを操作する業務
二十二 気こう室への送気又は気こう室からの排気の調整を行うためのバルブ又はコツクを操作する業務
二十三 潜水作業者への送気の調節を行うためのバルブ又はコツクを操作する業務
二十四 再圧室を操作する業務
二十四の二 高圧室内作業に係る業務
二十五 令別表第五に掲げる四アルキル鉛等業務
二十六 令別表第六に掲げる酸素欠乏危険場所における作業に係る業務
二十七 特殊化学設備の取扱い、整備及び修理の業務(令第二十条第五号に規定する第一種圧力容器の整備の業務を除く。)
二十八 エツクス線装置又はガンマ線照射装置を用いて行う透過写真の撮影の業務
二十八の二 加工施設(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)第十三条第二項第二号に規定する加工施設をいう。)、再処理施設(同法第四十四条第二項第二号に規定する再処理施設をいう。)又は使用施設等(同法第五十三条第二号に規定する使用施設等(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律施行令(昭和三十二年政令第三百二十四号)第四十一条に規定する核燃料物質の使用施設等に限る。)をいう。)の管理区域(電離放射線障害防止規則(昭和四十七年労働省令第四十一号。以下「電離則」という。)第三条第一項に規定する管理区域をいう。次号において同じ。)内において核燃料物質(原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)第三条第二号に規定する核燃料物質をいう。次号において同じ。)若しくは使用済燃料(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第二条第十項に規定する使用済燃料をいう。次号において同じ。)又はこれらによつて汚染された物(原子核分裂生成物を含む。次号において同じ。)を取り扱う業務
二十八の三 原子炉施設(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第二十三条第二項第五号に規定する試験研究用等原子炉施設及び同法第四十三条の三の五第二項第五号に規定する発電用原子炉施設をいう。)の管理区域内において、核燃料物質若しくは使用済燃料又はこれらによつて汚染された物を取り扱う業務
二十八の四 東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電離放射線障害防止規則(平成二十三年厚生労働省令第百五十二号。以下「除染則」という。)第二条第七項第二号イ又はロに掲げる物その他の事故由来放射性物質(平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により当該原子力発電所から放出された放射性物質をいう。)により汚染された物であつて、電離則第二条第二項に規定するものの処分の業務
二十九 粉じん障害防止規則(昭和五十四年労働省令第十八号。以下「粉じん則」という。)第二条第一項第三号の特定粉じん作業(設備による注水又は注油をしながら行う粉じん則第三条各号に掲げる作業に該当するものを除く。)に係る業務
三十 ずい道等の掘削の作業又はこれに伴うずり、資材等の運搬、覆工のコンクリートの打設等の作業(当該ずい道等の内部において行われるものに限る。)に係る業務
三十一 マニプレータ及び記憶装置(可変シーケンス制御装置及び固定シーケンス制御装置を含む。以下この号において同じ。)を有し、記憶装置の情報に基づきマニプレータの伸縮、屈伸、上下移動、左右移動若しくは旋回の動作又はこれらの複合動作を自動的に行うことができる機械(研究開発中のものその他厚生労働大臣が定めるものを除く。以下「産業用ロボツト」という。)の可動範囲(記憶装置の情報に基づきマニプレータその他の産業用ロボツトの各部の動くことができる最大の範囲をいう。以下同じ。)内において当該産業用ロボツトについて行うマニプレータの動作の順序、位置若しくは速度の設定、変更若しくは確認(以下「教示等」という。)(産業用ロボツトの駆動源を遮断して行うものを除く。以下この号において同じ。)又は産業用ロボツトの可動範囲内において当該産業用ロボツトについて教示等を行う労働者と共同して当該産業用ロボツトの可動範囲外において行う当該教示等に係る機器の操作の業務
三十二 産業用ロボツトの可動範囲内において行う当該産業用ロボツトの検査、修理若しくは調整(教示等に該当するものを除く。)若しくはこれらの結果の確認(以下この号において「検査等」という。)(産業用ロボツトの運転中に行うものに限る。以下この号において同じ。)又は産業用ロボツトの可動範囲内において当該産業用ロボツトの検査等を行う労働者と共同して当該産業用ロボツトの可動範囲外において行う当該検査等に係る機器の操作の業務
三十三 自動車(二輪自動車を除く。)用タイヤの組立てに係る業務のうち、空気圧縮機を用いて当該タイヤに空気を充てんする業務
三十四 ダイオキシン類対策特別措置法施行令(平成十一年政令第四百三十三号)別表第一第五号に掲げる廃棄物焼却炉を有する廃棄物の焼却施設(第九十条第五号の三を除き、以下「廃棄物の焼却施設」という。)においてばいじん及び焼却灰その他の燃え殻を取り扱う業務(第三十六号に掲げる業務を除く。)
三十五 廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の保守点検等の業務
三十六 廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の解体等の業務及びこれに伴うばいじん及び焼却灰その他の燃え殻を取り扱う業務
三十七 石綿障害予防規則(平成十七年厚生労働省令第二十一号。以下「石綿則」という。)第四条第一項各号に掲げる作業に係る業務
三十八 除染則第二条第七項の除染等業務及び同条第八項の特定線量下業務
(特別教育の科目の省略)
第三十七条 事業者は、法第五十九条第三項の特別の教育(以下「特別教育」という。)の科目の全部又は一部について十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該科目についての特別教育を省略することができる。
(特別教育の記録の保存)
第三十八条 事業者は、特別教育を行なつたときは、当該特別教育の受講者、科目等の記録を作成して、これを三年間保存しておかなければならない。
(特別教育の細目)
第三十九条 前二条及び第五百九十二条の七に定めるもののほか、第三十六条第一号から第十三号まで、第二十七号及び第三十号から第三十六号までに掲げる業務に係る特別教育の実施について必要な事項は、厚生労働大臣が定める。
(職長等の教育)
第四十条 法第六十条第三号の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 法第二十八条の二第一項の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置に関すること。
二 異常時等における措置に関すること。
三 その他現場監督者として行うべき労働災害防止活動に関すること。
2 法第六十条の安全又は衛生のための教育は、次の表の上欄に掲げる事項について、同表の下欄に掲げる時間以上行わなければならないものとする。
事項
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時間
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法第六十条第一号に掲げる事項
一 作業手順の定め方
二 労働者の適正な配置の方法
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二時間
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法第六十条第二号に掲げる事項
一 指導及び教育の方法
二 作業中における監督及び指示の方法
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二・五時間
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前項第一号に掲げる事項
一 危険性又は有害性等の調査の方法
二 危険性又は有害性等の調査の結果に基づき講ずる措置
三 設備、作業等の具体的な改善の方法
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四時間
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前項第二号に掲げる事項
一 異常時における措置
二 災害発生時における措置
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一・五時間
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前項第三号に掲げる事項
一 作業に係る設備及び作業場所の保守管理の方法
二 労働災害防止についての関心の保持及び労働者の創意工夫を引き出す方法
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二時間
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3 事業者は、前項の表の上欄に掲げる事項の全部又は一部について十分な知識及び技能を有していると認められる者については、当該事項に関する教育を省略することができる。
(平一二労令四一・平一八厚労令一・一部改正)
(指針の公表)
第四十条の二 第二十四条の規定は、法第六十条の二第二項の規定による指針の公表について準用する。
(昭六三労令二四・追加)
(指定事業場等における安全衛生教育の計画及び実施結果報告)
第四十条の三 事業者は、指定事業場又は所轄都道府県労働局長が労働災害の発生率等を考慮して指定する事業場について、法第五十九条又は第六十条の規定に基づく安全又は衛生のための教育に関する具体的な計画を作成しなければならない。
2 前項の事業者は、四月一日から翌年三月三十一日までに行つた法第五十九条又は第六十条の規定に基づく安全又は衛生のための教育の実施結果を、毎年四月三十日までに、様式第四号の五により、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
※労働安全衛生法の規定は、安全及び衛生の観点からの教育について規定されています。
ただし、安全衛生のための教育であっても、スキルアップに繋がる項目が多々含まれていると思われます。本法第11条では、専ら「当該通常の労働者が従事する職務の遂行に必要な能力を付与するための」教育訓練についての規定ですが、比較して参考にできるかと思います。
○組織論と同一労働同一賃金について
1.軍隊の組織
組織の本来の機能を100%発揮し、必要な際には持てるすべての能力を発揮できるように目指している組織は「軍隊」です。例えば、大規模災害時においては、消防・警察・自治体などの組織が十分に機能しないことは周知の事実ですが、そのような非常時にあっても、持てる力を十分に発揮できる組織が軍隊です。そこで、組織としての軍隊をみると、階級(格付け)と職位及び権限が相関している(或いは相関させている場合が殆どです。ただし、自衛隊においては、給与は同一階級においても勤続年数に応じて等級(号俸)が上がりますから、いわゆる年功賃金の要素も一部含まれています。
そこで例えば、NATOにおいては、下士官及び兵の給与はOR-1~OR-9、準士官の給与はWO-1~WO-5、見習い士官の給与はOF(D)、士官の給与はOF-1~OF-10のように規定されています。厳密な階級は各国により若干異なりますが、概ね、兵・下士官・準士官・尉官・左官・将官に分かれます。
一般的にいって、軍隊に入るには、兵は入隊申し込み後、身体検査等の診査及び試験等を経て、例えば自衛隊の場合には二士に任用されます。また、尉官以上の士官になるには、幹部候補生学校の入学試験を受験して合格する必要があります。そして、合格すると下士官待遇の士官候補生に任用されます。その後、候補生学校を卒業した時点で、自衛隊の場合には三尉に任官されます。
次に、陸軍の歩兵部隊の組織を参考にしてみます。会社の仮の役職も参考までに記述します。
組織単位 人数 階級 役割 会社
兵 三等兵~兵長 指揮を受けて任務に当たる 非正規社員・平社員
分隊長 8~12人 三等軍曹~曹長 分隊の指揮 基幹パート・正社員・主任
小隊長 40~60人 少尉・中尉 小隊の指揮 主任・係長・課長
中隊長 100人以上 中尉・大尉 中隊の指揮 課長・部長補佐・グループ長
大隊長 500人以上 少佐・中佐 大隊の指揮 営業所長・部長
旅団長 2~6千人 大佐・少将 旅団の指揮 取締役部長・方面部長
師団長 1万人以上 中将 師団の指揮 取締役支社長・方面本部長
軍団司令官 10万人単位 中将以上 全体の指揮 代表取締役・持株会社の役員
※労働者が一万人を超える企業は数少ないと思われます。
2.組織論のまとめ
軍隊という組織は、階級と職務が概ね一致しています。支払われる給与も階級と相関関係があります。すなわち、能力が上昇し成果が上がれば階級(等級)が上がり付随して給与が上がります。また、階級に応じて職位も上がります。これは、間接的に同一任務・同一給与が実現した組織であると言えます。
一般企業においても、賃金の資格等級制度が採用されている(特に大企業)ケースが多いと思われます。その資格等級制度の構築と運用について、従来の「雇用形態別」の賃金体系の枠をなくし、総合的な等級制度を構築することにより、従来の非正規・正規労働者の垣根を廃止することに繋がり、法の趣旨に沿った組織改革が成し遂げられるものと考えます。付け加えるならば、性別はもちろん、学歴・年齢別の入社試験制度を廃止し、例えば「一般職(プライベート職1級~8級)」「初級管理職(基幹職1級~10級)」「中級管理職(マネージメント職1級~5級)」「上級管理職(シニアマネージメント職1級~5級)」「経営担当(統括職1級~5級)」のような区分に応じた資格等級を設定し、入社試験は「一般職採用選考」「初級管理職採用選考」「中級管理職採用選考」(それ以降の上級資格は、昇級のみ)等を実施し、採用後は採用選考区分に応じた格付けを行う仕組みなどが想定されます。
ところで、前記の従業員の格付け制度について、例えば一般職から初級管理職に格上げする場合には、試験及び上級職の職務研修が行われ、それらの試験や研修において一定の成績の者を格上げするなどの制度とすることで、下級の等級の従業員に対する昇級・昇格・昇職の機会を設けておくことができます。
以上でパートタイム労働法第11条を終了します。
パート労働法第11条