パートタイム労働法第16条、第17条
2015年05月29日 12:56
短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律
第16条(相談のための体制の整備)
事業主は、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項に関し、その雇用する短時間労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備しなければならない。
第17条(短時間雇用管理者)
事業主は、常時厚生労働省令で定める数以上の短時間労働者を雇用する事業所ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、指針に定める事項その他の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項を管理させるため、短時間雇用管理者を選任するように努めるものとする。
則第6条(法第十七条の厚生労働省令で定める数)
法第十七条の厚生労働省令で定める数は、十人とする。
則第7条(短時間雇用管理者の選任)
事業主は、法第十七条に定める事項を管理するために必要な知識及び経験を有している
と認められる者のうちから当該事項を管理する者を短時間雇用管理者として選任するもの
とする。
○通達による確認
1.相談のための体制の整備(法第16条関係)
(1) 短時間労働者は、就業の実態が多様であり、通常の労働者と待遇が異なる理由が分かりにくく、これが不満につながりやすい。このため、法においては、雇入れ時に雇用管理の改善等の措置の内容について説明しなければならないこととするとともに、短時間労働者から求めがあったときに待遇の決定に当たって考慮した事項を説明しなければならないこととしているところである(第3の10参照)。しかしながら、その待遇に係る疑義等について相談する体制が各事業所において十分に整っていなければ、短時間労働者に対する説明による納得性の向上の実効性は確保されない。このため、事業主は、雇用管理の改善等に関する事項に関し、その雇用する短時間労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備しなければならないこととしたものであること。
(2) 「必要な体制」の整備とは、短時間労働者からの苦情を含めた相談に応じる窓口等の体制を整備することをいうこと。苦情を含めた相談に応じることができる窓口等であれば、その名称を問うものではなく、また、窓口等は組織であるか、個人であるかを問わないこと。例えば、雇用する労働者の中から相談担当者を決め、相談に対応させること、短時間雇用管理者を選任している事業所において、短時間雇用管理者を相談担当者として定め、短時間労働者からの相談に対応させること、事業主自身が相談担当者となり、相談に対応すること、外部専門機関に委託し、相談対応を行うこと等が考えられること。
なお、本条においては、相談に応じる窓口等を設置すること自体が義務の対象となっていること。しかしながら、上記の相談に応じる窓口等においては、相談に対し、その内容や状況に応じ適切に対応することが求められること。
(3) 相談窓口は、法第6条第1項の特定事項であり、雇入れ時の文書等による明示事項となされていること(則第2条第1項)。また、雇入れ時の文書等による明示のほか、事業所内の短時間労働者が通常目にすることができる場所に設置されている掲示板への掲示等により、短時間労働者に周知することが望まれること。
2.短時間雇用管理者(法第17条関係)
(1) 短時間労働者については、通常の労働者と異なる雇用管理が行われていることに加えて、個々の短時間労働者の間でも個別多様に労働条件が設定されることが多く、多くの短時間労働者を雇用する事業主は自らがすべての短時間労働者についてきめ細かな管理を行うことは困難な面が多い。そこで、事業所における短時間労働者の雇用管理の改善等を図るための体制を整備するために、事業主は、短時間労働者を常時厚生労働省令で定める数(則第6条により10人と定められている。)以上雇用する事業所ごとに、短時間雇用管理者を選任するように努めるものとしたものであること。
(2) 則第7条においては、短時間雇用管理者は、指針に定める事項その他の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項を管理させるために必要な知識及び経験を有していると認められる者のうちから事業主が選任することとされていること。この「必要な知識及び経験を有していると認められる者」とは、短時間雇用管理者の職務を遂行するに足る能力を有する者をいい、事業所の人事労務管理について権限を有する者が望ましいものであること。
(3) 短時間雇用管理者が担当すべき業務としては次のものが含まれること。
イ 法に定める事項は言うまでもなく、指針に定める事項その他の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項について、事業主の指示に従い必要な措置を検討し、実施するとともに、必要に応じ、関係行政機関との連絡を行うこと。
ロ 短時間労働者の労働条件、就業環境に係る事項等に関し、短時間労働者の相談に応ずること。
○パートタイム労働法第16条まとめ
本法第16条では、「その雇用する短時間労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備しなければならない」として、相談担当者や相談窓口等の設置を義務付けています。
具体的には、「相談担当者の配置」「短時間雇用管理者を相談担当者とすること」「事業主自身が相談担当となること」「外部専門機関に委託すること」等が想定されます。
さらに、短時間労働者の相談窓口は本法第6条の文書で明示すべき事項とされており、併せて掲示等の方法で窓口の設置を周知すべきこととなっています。
○パートタイム労働法第17条まとめ
短時間雇用管理者は、短時間労働者を常時10人以上雇用する事業所ごとに配置するように務める必要があります。また、短時間雇用管理者は、指針に定める事項その他の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項を管理させるために必要な知識及び経験を有していると認められる者のうちから事業主が選任することとされています。
平成15年調査の10人以上パートを雇用している事業所の短時間雇用管理者の選任状況をみると、「選任している」が、44.8%となっています。※出典:(財)21世紀職業財団作成、「パートタイム労働者実態調査」
実態としては、短時間雇用管理者がその趣旨に沿って活躍している印象は少ないものと考察します。
以上でパートタイム労働法第16条、第17条を終了します。
パート労働法第16・17条