2015年05月30日 14:26
短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律
第24条(紛争の解決の援助)
都道府県労働局長は、前条に規定する紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる。
2 事業主は、短時間労働者が前項の援助を求めたことを理由として、当該短時間労
働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
第25条(調停の委任)
都道府県労働局長は、第二十三条に規定する紛争について、当該紛争の当事者の双方又は一方から調停の申請があった場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第六条第一項の紛争調整委員会に調停を行わせるものとする。
2 前条第二項の規定は、短時間労働者が前項の申請をした場合について準用する。
第26条(調停)
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七
年法律第百十三号)第十九条、第二十条第一項及び第二十一条から第二十六条までの規定は、前
条第一項の調停の手続について準用する。この場合において、同法第十九条第一項中「前
条第一項」とあるのは「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律第二十五条第一
項」と、同法第二十条第一項中「関係当事者」とあるのは「関係当事者又は関係当事者と
同一の事業所に雇用される労働者その他の参考人」と、同法第二十五条第一項中「第十八
条第一項」とあるのは「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律第二十五条第一
項」と読み替えるものとする。
第27条(厚生労働書への委任)
この節に定めるもののほか、調停の手続に関し必要な事項は、厚生労働省令で定め
る。
即第9条(準用)
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律施行規則(昭和六
十一年労働省令第二号)第三条から第十二条までの規定は、法第二十五条第一項の調停の手
続について準用する。この場合において、同令第三条第一項中「法第十八条第一項」と
あるのは「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(以下「短時間労働者法」とい
う。)第二十五条第一項」と、同項並びに同令第四条(見出しを含む。)、第五条(見出し
を含む。)及び第八条第一項中「機会均等調停会議」とあるのは「均衡待遇調停会議」
と、同令第六条中「法第十八条第一項」とあるのは「短時間労働者法第二十五条第一項」
と、「事業場」とあるのは「事業所」と、同令第八条第一項及び第三項中「法第二十条
第一項又は第二項」とあるのは「短時間労働者法第二十六条において準用する法第二十
条第一項」と、同項中「法第二十条第一項の」とあるのは「短時間労働者法第二十六
条において準用する法第二十条第一項の」と、同令第九条中「関係当事者」とあるのは
「関係当事者又は関係当事者と同一の事業所に雇用される労働者その他の参考人」と、
同令第十条第一項中「第四条第一項及び第二項」とあるのは「短時間労働者の雇用管理
の改善等に関する法律施行規則第九条において準用する第四条第一項及び第二項」と、
「第八条」とあるのは「同令第九条において準用する第八条」と、同令第十一条第一項
中「法第二十一条」とあるのは「短時間労働者法第二十六条において準用する法第二十
一条」と、同令別記様式中「労働者」とあるのは「短時間労働者」と、「事業場」
とあるのは「事業所」と読み替えるものとする。
○通達による確認
・紛争の解決の援助(法第24条関係)
(1) 紛争の解決の援助(法第24条第1項)
短時間労働者の均衡待遇等に係る紛争の迅速かつ円満な解決を図るため、都道府県労働局長は、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決について援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対して、必要な助言、指導又は勧告をすることができることとしたものであること。
イ 「紛争の当事者」とは、現に紛争の状態にある短時間労働者及び事業主をいうものであること。したがって、労働組合等の第三者は関係当事者にはなり得ないものであること。
ロ 「助言、指導又は勧告」は、紛争の解決を図るため、当該紛争の当事者に対して具体的な解決策を提示し、これを自発的に受け入れることを促す手段として定められたものであり、紛争の当事者にこれに従うことを強制するものではないこと。
(2) 紛争の解決の援助を求めたことを理由とする解雇その他不利益な取扱いの禁止(法第24条第2項)
イ 法第24条第1項の紛争の解決の援助により、紛争の当事者間に生じた個別具体的な紛争を円滑に解決することの重要性にかんがみれば、事業主に比べ弱い立場にある短時間労働者を事業主の不利益取扱いから保護する必要があることから、短時間労働者が紛争の解決の援助を求めたことを理由とする解雇その他不利益な取扱いを禁止することとしたものであること。
ロ 「理由として」及び「不利益な取扱い」の意義については、それぞれ第3の11(5)ハ(ハ)及び(ニ)と同じであること。
・ 調停の委任(法第25条関係)
(1) 調停の委任(法第25条第1項)
イ 紛争の当事者(以下「関係当事者」という。)間の紛争について、当事者間の自主的な解決、都道府県労働局長による紛争解決の援助に加え、公正、中立な第三者機関の調停による解決を図るため、短時間労働者の均衡待遇等に係る紛争について、関係当事者の双方又は一方から調停の申請があった場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、都道府県労働局長は、委員会に調停を行わせるものとすることとしたものであること。
ロ 「関係当事者」とは、現に紛争の状態にある短時間労働者及び事業主をいうものであること。したがって、労働組合等の第三者は関係当事者にはなり得ないものであること。
ハ 「調停」とは、紛争の当事者の間に第三者が関与し、当事者の互譲によって紛争の現実的な解決を図ることを基本とするものであり、行為が法律に抵触するか否か等を判定するものではなく、むしろ行為の結果生じた損害の回復等について現実的な解決策を提示して、当事者の歩み寄りにより当該紛争を解決しようとするものであること。
ニ 次の要件に該当する事案については、「当該紛争の解決のために必要があると認め」られないものとして、原則として、調停に付すことは適当であるとは認められないものであること。
(イ) 申請が、当該紛争に係る事業主の措置が行われた日(継続する措置の場合にあってはその終了した日)から1年を経過した紛争に係るものであるとき
(ロ) 申請に係る紛争が既に司法的救済又は他の行政的救済に係属しているとき(関係当事者双方に、当該手続よりも調停を優先する意向がある場合を除く。)
(ハ) 集団的な労使紛争にからんだものであるとき
ホ 都道府県労働局長が「紛争の解決のために必要がある」か否かを判断するに当たっては、ニに該当しない場合は、法第22条による自主的解決の努力の状況も考慮の上、原則として調停を行う必要があると判断されるものであること。
(2) 調停の申請をしたことを理由とする解雇その他不利益な取扱いの禁止(法第25条第2項)
イ 法第25条第1項の調停により、関係当事者間に生じた個別具体的な紛争を円滑に解決することの重要性にかんがみれば、事業主に比べ弱い立場にある短時間労働者を事業主の不利益取扱いから保護する必要があることから、短時間労働者が調停の申請をしたことを理由とする解雇その他不利益な取扱いを禁止することとしたものであること。
ロ 「理由として」及び「不利益な取扱い」の意義については、それぞれ第3の11(5)ハ(ハ)及び(ニ)と同じであること。
・ 調停(法第25条及び第26条関係)
(1) 調停の手続については、法第26条において準用する男女雇用機会均等法第19条、第20条第1項及び第21条から第26条の規定及び則第9条の規定において準用する雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律施行規則(昭和61年労働省令第2号。以下「男女雇用機会均等法施行規則」という。)第3条から第12条の規定に基づき行われるものであること。
法第22条の苦情の自主的解決の努力は委員会の調停を開始する要件ではないが、企業の雇用管理に関する労働者の苦情や労使間の紛争は、本来労使で自主的に解決することが望ましいことにかんがみ、調停を申し立てる前に苦情の自主的解決の努力を行うことが望まれるものであること。
(2) 委員会の会長は、調停委員のうちから、法第25条第1項の規定により委任を受けて同項に規定する紛争についての調停を行うための会議(以下「均衡待遇調停会議」という。)を主任となって主宰する調停委員(以下「主任調停委員」という。)を指名するものであること。また、主任調停委員に事故があるときは、あらかじめその指名する調停委員が、その職務を代理するものとなるものであること(則第9条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第3条第1項及び第2項)。
(3) 均衡待遇調停会議は、主任調停委員が招集するものであること。
また、均衡待遇調停会議は、調停委員2人以上が出席しなければ、開くことができないものであること。さらに、均衡待遇調停会議は、公開しないものであること(則第9条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第4条第1項から第3項)。
(4) 均衡待遇調停会議の庶務は、当該都道府県労働局雇用均等室において処理するものであること(則第9条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第5条)。
(5) 法第25条第1項の調停の申請をしようとする者は、調停申請書を当該調停に係る紛争の関係当事者である労働者に係る事業所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならないものであること(則第9条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第6条及び別記様式)。
(6) 都道府県労働局長は、委員会に調停を行わせることとしたときは、遅滞なく、その旨を会長及び主任調停委員に通知するものであること。また、都道府県労働局長は、委員会に調停を行わせることとしたときは関係当事者の双方に対して、調停を行わせないこととしたときは調停を申請した関係当事者に対して、遅滞なく、その旨を書面によって通知するものであること(則第9条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第7条第1項及び第2項)。
(7) 調停は、3人の調停委員が行うこととされており、調停委員は、委員会のうちから、会長があらかじめ指名するものとされていること(法第26条において準用する男女雇用機会均等法第19条第1項及び第2項)。
(8) 委員会は、調停のために必要があると認めるときは、関係当事者または関係当事者と同一の事業所に雇用される労働者その他の参考人(以下「関係当事者等」という。)の出頭を求め、その意見を聴くことができるものとされていること(法第26条において準用する男女雇用機会均等法第20条第1項)。ただし、この「出頭」は強制的な権限に基づくものではなく、相手の同意によるものであること。これらの出頭については、必ず関係当事者等(法人である場合には、委員会が指定する者)により行われることが必要であること。
「その他の参考人」とは、関係当事者である短時間労働者が雇用されている事業所に過去に雇用されていた者、同一の事業所で就業する派遣労働者などを指すものであること。
委員会に「関係当事者と同一の事業所に雇用される労働者その他の参考人」の出頭を求めることができるとしたのは、委員会が通常の労働者との比較が問題となる短時間労働者の均衡待遇等に係る紛争を扱うため、比較対象となる通常の労働者の就業の実態について明らかにすることが必要であり、また、調停案の内容によっては同一の事業所において雇用される他の短時間労働者等に対しても影響を及ぼし得ることから、これらの者を参考人として意見聴取することが必要な場合があるためであること。
(9) 委員会から出頭を求められた関係当事者等は、主任調停委員の許可を得て、補佐人を伴って出頭することができるものであり、補佐人は、主任調停委員の許可を得て陳述を行うことができるものであること(則第9条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第8条第1項及び第2項)。「補佐人」は、関係当事者等が陳述を行うことを補佐することができるものであること。なお、補佐人の陳述は、あくまでも関係当事者等の主張や説明を補足するためのものであり、補佐人が自ら主張を行ったり、関係当事者等に代わって意思表示を行ったりすることはできないこと。
(10) 委員会から出頭を求められた関係当事者等は、主任調停委員の許可を得て当該事件について意見を述べることができるほか、他人に代理させることができるものであること(則第9条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第8条第3項)。他人に代理させることについて主任調停委員の許可を得ようとする者は、代理人の氏名、住所及び職業を記載した書面に、代理権授与の事実を証明する書面を添付して主任調停委員に提出しなければならないものであること(則第9条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第8条第4項)。
(11) 委員会は、当該事件の事実の調査のために必要があると認めるときは、関係当事者等に対し、当該事件に関係のある文書又は物件の提出を求めることができるものであること(則第9条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第9条)。
(12) 委員会は、必要があると認めるときは、調停の手続の一部を特定の調停委員に行わせることができるものであること。「調停の手続の一部」とは、現地調査や、提出された文書等の分析・調査、関係当事者等からの事情聴取等が該当するものであること。この場合において、則第9条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第4条第1項及び第2項の規定は適用せず、則第9条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第8条の規定の適用については、同条中「主任調停委員」とあるのは、「特定の調停委員」とするものであること。
また、委員会は、必要があると認めるときは、当該事件の事実の調査を都道府県労働局雇用均等室の職員に委嘱することができるものであること(則第9条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第10条第1項及び第2項)。
(13) 委員会は、関係当事者からの申立てに基づき必要があると認めるときは、当該委員会が置かれる都道府県労働局の管轄区域内の主要な労働者団体又は事業主団体が指名する関係労働者を代表する者又は関係事業主を代表する者から意見を聴くものとすることとされていること(法第26条において準用する男女雇用機会均等法第21条)。「主要な労働者団体又は事業主団体が指名する関係労働者を代表する者又は関係事業主を代表する者」については、主要な労働者団体又は事業主団体に対して、期限を付して関係労働者を代表する者又は関係事業主を代表する者の氏名を求めるものとするものであること(則第9条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第11条第1項)。関係労働者を代表する者又は関係事業主を代表する者の指名は、事案ごとに行うものであること。指名を求めるに際しては、管轄区域内のすべての主要な労働者団体及び事業主団体から指名を求めなければならないものではなく、調停のため必要と認められる範囲で、主要な労働者団体又は事業主団体のうちの一部の団体の指名を求めることで足りるものであること。則第9条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第11条第1項により委員会の求めがあった場合には、当該労働者団体又は事業主団体は、当該事件につき意見を述べる者の氏名及び住所を委員会に通知するものとするものであること(則第9条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第11条第項)。
(14) 委員会は、調停案を作成し、関係当事者に対しその受諾を勧告することができるものであること(法第26条において準用する男女雇用機会均等法第22条)。調停案の作成は、調停委員の全員一致をもって行うものとするものであること(則第9条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第12条第1項)。また、「受諾を勧告する」とは、両関係当事者に調停案の内容を示し、その受諾を勧めるものであり、その受諾を義務付けるものではないこと。委員会は、調停案の受諾を勧告する場合には、関係当事者の双方に対し、受諾すべき期限を定めて行うものとするものであること(則第9条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第12条第2項)。関係当事者は、調停案を受諾したときは、その旨を記載し、記名押印した書面を委員会に提出しなければならないものであること(則第9条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第12条第3項)。しかしながら、この「書面」は、関係当事者が調停案を受諾した事実を委員会に対して示すものであって、それのみをもって関係当事者間において民事的効力をもつものではないこと。
(15) 委員会は、調停に係る紛争について調停による解決の見込みがないと認めるときは、調停を打ち切ることができ、その場合、その旨を関係当事者に通知しなければならないものとされていること(法第26条において準用する男女雇用機会均等法第23条)。「調停による解決の見込みがないと認めるとき」とは、調停により紛争を解決することが期待し難いと認められる場合や調停により紛争を解決することが適当でないと認められる場合がこれに当たるものであり、具体的には、調停開始後長期の時間的経過をみている場合、当事者の一方が調停に非協力的で再三にわたる要請にもかかわらず出頭しない場合のほか、調停が当該紛争の解決のためでなく労使紛争を有利に導くために利用される場合等が原則としてこれに含まれるものであること。
・時効の中断(法第26条において準用する男女雇用機会均等法第24条関係)
本条は、調停が打ち切られた場合に、当該調停の申請をした者が打切りの通知を受けた日から30日以内に調停の目的となった請求について訴えを提起したときは、調停の申請の時に遡り、時効の中断が生じることを明らかにしたものであること。
「調停の申請の時」とは、申請書が現実に都道府県労働局長に提出された日であって、申請書に記載された申請年月日ではないこと。
また、調停の過程において申請人が調停を求める事項の内容を変更又は追加した場合にあっては、当該変更又は追加した時が「申請の時」に該当するものと解されること。
「通知を受けた日から30日以内」とは、民法の原則に従い、文書の到達した日の当日は期間の計算に当たり算入されないため、書面による調停打切りの通知が到達した日の翌日から起算して30日以内であること。
「調停の目的となった請求」とは、当該調停手続において調停の対象とされた具体的な請求(地位確認、損害賠償請求等)を指すこと。本条が適用されるためには、これらと訴えに係る請求とが同一性のあるものでなければならないこと。
・ 訴訟手続の中止(法第26条において準用する男女雇用機会均等法第25条関係)
本条は、当事者が調停による紛争解決が適当であると考えた場合であって、調停の対象となる紛争のうち民事上の紛争であるものについて訴訟が係属しているとき、当事者が和解交渉に専念する環境を確保することができるよう、受訴裁判所は、訴訟手続を中止することができることとするものであること。
具体的には、法第25条第1項に規定する紛争のうち民事上の紛争であるものについて関係当事者間に訴訟が係属する場合において、次のいずれかに掲げる事由があり、かつ、関係当事者の共同の申立てがあるときは、受訴裁判所は、4月以内の期間を定めて訴訟手続を中止する旨を決定することができるものであること。
(1) 当該紛争について、関係当事者間において調停が実施されていること。
(2) (1)の場合のほか、関係当事者間に調停によって当該紛争の解決を図る旨の合意があること。
なお、受訴裁判所は、いつでも訴訟手続を中止する旨の決定を取り消すことができるものであること。また、関係当事者の申立てを却下する決定及び訴訟手続を中止する旨の決定を取り消す決定に対しては不服を申し立てることができないものであること。
・ 資料提供の要求等(法第26条において準用する男女雇用機会均等法第26条)
委員会は、当該委員会に継続している事件の解決のために必要があると認めるときは、関係行政庁に対し、資料の提供その他必要な協力を求めることができるものであること。「関係行政庁」とは、例えば、国の機関の地方支分部局や都道府県等の地方自治体が考えられるものであること。「その他必要な協力」とは、情報の提供や便宜の供与等をいうものであること。
○紛争調整委員会(均等法の逐条考察第18条再掲)
第5条(あっせんの委任)
都道府県労働局長は、前条第一項に規定する個別労働関係紛争(労働者の募集及び採用に関する事項についての紛争を除く。)について、当該個別労働関係紛争の当事者(以下「紛争当事者」という。)の双方又は一方からあっせんの申請があった場合において当該個別労働関係紛争の解決のために必要があると認めるときは、紛争調整委員会にあっせんを行わせるものとする。
2 前条第三項の規定は、労働者が前項の申請をした場合について準用する。
第6条(委員会の設置)
都道府県労働局に、紛争調整委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2 委員会は、前条第一項のあっせんを行う機関とする。
※労働局の紛争調整委員会は両者(あっせん申請者と被申請者)の申し立て及び答弁を聴いた上で、両者にあっせん案(解決案)を提示し、両者がそのあっせん案を承諾すれば、和解契約としての効力が発生し両者を拘束します。
○パンフレットによる整理
通達の内容は非常に長文ですので、厚生労働省作成のパンフレットで紛争の調停制度についてまとめます。なお、本法による紛争調停制度は、均等法の調停制度と比べ調停に係る紛争内容以外は同一の制度です。
1.都道府県労働局長による紛争解決援助
① 援助対象者
紛争の当事者たる短時間労働者、事業主
② 援助の対象となる紛争
・労働条件の文書交付等(法第6条)
・待遇の差別取扱い禁止(法第8条、第9条ほか)
・職務の遂行に必要な教育訓練(法第9条、第11条)
・福利厚生施設の利用の機会の配慮(法第9条、第12条)
・通常の労働者への転換を推進するための措置(第13条)
・待遇の決定についての説明(法第14条)
③ 援助の対象とならない紛争
・労働組合と事業主の間の紛争及び短時間労働者と他の労働者間の紛争
・援助対象事項からの逸脱がある場合
・すでに確定判決が出ているものと同一の紛争
・司法的救済又は労働局長の援助以外の行政的救済に係属している紛争
・その紛争が集団紛争に関係するもの
・すでに調停案受諾勧告が行われ、双方が受諾したか打ち切られた紛争(蒸し返し、一事不再理)
・事業主の措置が実施された日から1年経過した事案
➃ 労働局長による相談援助の流れ
(1)申し立て(都道府県労働局均等室)
(2)援助の実施( 同担当者 )
事情聴取(申立者、被申立者、関係者)、必要な援助(助言、指導、勧告)
⑤ 相談援助の打切り
・当事者(被申立者)の受け入れ
・本人の死亡、法人の解散
・申し立ての取り下げ
・被申立者が非協力的で困難な場合
・対立が激しく、解決が困難な場合
2.紛争調停制度
① 名称
均等待遇調停会議
② 調停対象者
紛争の当事者たる短時間労働者、事業主
③ 調停の対象となる紛争
都道府県労働局長の相談援助対象の紛争と同一
➃ 調停の対象とならない紛争
都道府県労働局長の相談援助の対象外の紛争と同一
⑤ 和解契約
両者がそのあっせん案(調停案)を承諾すれば、和解契約としての効力が発生し両者を拘束します
⑥ 時効の中断
調停が打ち切られた場合に当該調停の申請をした者が打ち切りの通知を受けた日から30日以内に調停の目的となった請求について訴えを提起したときは、調停の申請の時に遡り、時効の中断が生じることを定めるものであること。「調停の申請の時」とは、申請書が現実に都道府県労働局に提出された日であって、申請書に記載された申請年月日ではないこと。また、調停の過程において申請人が調停を求める時効の内容を変更又は追加した場合にあっては、当該変更又は追加した時が「申請の時」に該当するものと解されること。「通知を受けた日から30日以内」とは、民法の原則に従い、文書の到達した日は期間の計算に当り算入されないため、書面による調停打切りの通知が到達した日の翌日から起算して30日以内であること。「調停の目的となった請求」とは、当該調停手続において調停の対象とされた具体的な請求(地位確認、損害賠償請求等)を指すこと。本条が適用されるためには、これらと訴えに係る請求とが同一性のあるものでなければならないこと。
※その他時効の中断に関する詳細は、均等法第24条の項目をご参照ください。
⑦ その他
調停は、本来、事業主と労働者の二者の紛争の解決を主張するため、行為者の出頭を求めるに当たっては、事業主と労働者の二者だけでは紛争を解決するために必要な事実関係の確認が行えない場合に、委員会が調停のために必要があると認め、かつ、関係当時者が同意をした場合においては出頭を求めるものであること。
(4)則第8条第1項「補佐人」は、関係当時者が事情の陳情を行うことを補佐することができるものであること。補佐人の陳述は、関係当時者が直ちに意義を述べ又は訂正しない限り、関係当時者とみなされるものであること。
なお、補佐人は、意見の陳述はできないものであること。
(5)則第8条第3項の代理人は、意見の陳述のみを行うことができるものであること。
(6)法第21条の「主要な労働者団体又は事業主団体が指名する関係労働者を代表する者又は関係事業主を代表する者」とは、主要な労働関係団体が氏名する関係労働者を代表する者又は主要な事業主団体が指名する関係事業主を代表する者の意であること。
(7)則第11条の関係労使を代表する者の指名は、事案ごとに行うものであること。指名を求めるに際しては、管轄区域内のすべての主要な労働者団体及び事業主団体から指名を求めなければならないものではなく、調停のため必要と認められる範囲で、主要な労働者団体又は事業主団体のうちの一部の団体の指名を求めることで足りるものであること。
(8)法第22条の「受諾を勧告する」とは、両関係当時者に調停案の内容を示し、その受諾を求めるものであり、その受諾を義務付けるものではないこと。
則第12条第3項の「書面」は、関係当時者が調停案を受諾した事実を委員会に対して示すものであって、それのみをもって関係当時者間において民事的効力をもつものではないこと。
(9)法第23条の「調停による解決の見込みがないと認めるとき」とは、調停により紛争を解決することが期待し難いと認められる場合や調停により紛争を解決することが適当でないと認められる場合がこれに当たるものであり、具体的には、調停開始後長期の時間的経過をみている場合、当時者の一方が調停に非協力的で再三にわたる要請にもかかわらず出頭しない場合のほか、調停が当時者の解決のためでなく労使紛争を有利に導くために利用される場合等が原則としてこれに含まれるものであること。
⑧ 均等待遇調停会議による調停手続きの流れ
調停申請書の提出、調停申請書受理、調停会議の開催、調停案の作成・受諾勧告
⑨ 調停の打切り
都道府県労働局長の相談援助にかかる打切り事由と同一
○パンフレット掲載の調停事例
ア 概要
申請者は、正社員と同視すべき状態であるにも関わらず、正社員と比べ賃金に著しい差があるとして、賃金の差額分を請求する調停申請を行った。
イ パートタイム労働者の主張
正社員とパートタイム労働者は、職務の内容、人材活用の仕組み・運用が同じであり、契約期間の定めはない。
改正パートタイム労働法が施行されて以降、1 年分の賃金差額の支払いを求める。
ウ 事業主の主張
正社員とパートタイム労働者では職務の内容が異なっている。
現在支払っている賃金は労働契約で双方合意したものであり、問題がない。
エ 結果
調停委員は、申請者について正社員と同視すべき状態であると判断したが、その状態の始期については、申請者が主張する1年前ではなく半年前であると判断し、半年間の賃金差額について支払うよう調停案の受諾を勧告。
双方が受諾し、調停は終了した。
○パートタイム労働法第27条のまとめ
現状では、本法の施行規則他において本法第27条に関する規定はありません。
以上でタートタイム労働法第24条・第25条・第26条・第27条を終了します。
パート労働法第24~27条