労働契約法の復習 第18条第2項
労働契約法第18条第2項 当該使用者との間で締結された1の有期労働契約の期間満了した日と当該使用者との間で締結されたその次の有期労働契約の契約期間の初日との間にこれらの契約期間のいずれにも含まない期間(これらの契約期間が連続すると認められるものとして厚生労働省令で定める基準に該当する場合の当該いずれにも含まれない期間を除く。以下この項において「空白期間」という。)があり、当該空白期間が6月(当該空白期間の直前に満了した1の有期労働契約の契約期間(当該1の有期契約を含む2以上の有期労働契約の有期労働契約の契約期間の間に空白期間がないときは、当該2以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間。以下この項において同じ。)が1年に満たない場合にあっては、当該1の有期労働契約の契約期間に2分の1を乗じて得た期間を基礎として厚生労働省令で定める期間)以上であるときは、当該空白期間前に満了した有期労働契約の契約期間は、通算期間に算入しない。
労働契約法第18条第1項の通算契約期間に関する基準を定める省令(厚生労働省令第148号)
第1条 労働契約法(以下「法」という。)第18条第2項の厚生労働省令で定める基準は、次の各号に掲げる無契約期間(1の有期労働契約の契約期間が満了した日とその次の有期労働契約の契約期間の初日との間にこれらの契約期間のいずれにも含まれない期間がある場合の当該期間をいう。以下この条において同じ。)に応じ、それぞれ当該各号に定めるものであることとする。
一 最初の雇入れの日後最初に到来する無契約期間(以下この項において「第一無契約期間」という。)
第一無契約期間の期間が、第一無契約期間の前にある有期労働契約の契約期間(2以上の有期労働契約がある場合は、その全ての契約期間を通算した期間)に2分の一を乗じて得た期間(6月を超えるときは6月とし、1月に満たない端数を生じたときはこれを1月として計算した期間とする。)未満であること。
二 第一無契約期間の次に到来する無契約期間(以下この項において「第二無契約期間」という。)次に掲げる場合に応じ、それぞれ次に定めるものであること。
イ 第一無契約期間が前号に定めるものである場合
第二無契約期間の期間が、第二無契約期間の前にある全ての有期労働契約の契約期間を通算した期間に2分の1を乗じて得た期間(6月を超えるときは6月とし、1月に満たない端数を生じたときはこれを1月として計算した期間とする。)未満であること。
ロ イに掲げる場合以外の場合
第二無契約期間の期間が、第一無契約期間と第二無契約期間の間にある有期労働契約の契約期間(2以上の有期労働契約がある場合は、その全ての契約期間を通算した期間)に2分の1を乗じて得た期間(6月を超えるときは6月とし、1月に満たない端数を生じたときはこれを1月として計算した期間とする。)未満であること。
三 第二無契約期間の次に到来する無契約期間(以下この項において「第三無契約期間」という。)
次に掲げる場合に応じ、それぞれ次に定めるものであるきこと。
イ 第二無契約期間が前号イに定めるものである場合
第三無契約期間の期間が、第三無契約期間の前にある全ての有期労働契約の契約期間を通算した期間に2分の1を乗じて得た期間(6月を超えるときは6月とし、1月に満たない端数を生じたときはこれを1月として計算した期間とする。)未満であること。
ロ 第二無契約期間が前号ロに定めるものである場合
第三無契約期間の期間が、第一無契約期間と第三契約期間の間にある全ての有期労働契約の契約期間を通算した期間に2分の1を乗じて得た期間(6月を超えるときは6月とし、1月に満たない端数を生じたときはこれを1月として計算した期間とする。)未満であること。
ハ イ又はロに掲げる場合以外の場合
第三無契約期間の期間が、第二無契約期間と第三無契約期間の間にある有期労働契約の契約期間(2以上の有期労働契約がある場合は、その全ての契約期間を通算した期間)に2分の1を乗じて得た期間(6月を超えるときは6月とし、1月に満たない端数を生じたときはこれを1月として計算した期間とする。)未満であること。
四 第三無契約期間後に到来する無契約期間
当該無契約期間が、前3号の例により計算して得た期間未満であること。
2 前項の規定により通算の対象となるそれぞれの有期労働契約の契約期間に1月に満たない端数がある場合は、これらの端数の合算については、30日をもって1月とする。
第2条 法第18条第2項の厚生労働省で定める期間は、同項の当該1の有期労働契約の契約期間に2分の1を乗じて得た期間(1月に満たない端数を生じたときは、これを1月として計算した期間とする。)とする。
附則
1 この省令は、労働契約法の一部を改正する法律(平成24年法律第56号)附則第1項ただし書に規定する規定の施行の日(平成25年4月1日)から施行する。
2 第1条第1項の規定は、この省令の施行の日以後の日を契約期間の初日とする期間の定めのある労働契約について適用する。
無期転換権を行使できる要件としての5年経過日を特定するための告示です。法律特有の難解な文章ですが、この告示の内容は通達で確認することにします。
労働契約法の施行について(平成24年基発0810第2号)
4 有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換(法第18条関係)
(2)内容
ケ 法第18条第2項は、同条第1項の通算契約期間の計算に当たり、有期労働契約が不存在の期間(以下「無契約期間」という。)が一定以上続いた場合には、当該通算契約期間の計算がリセットされること(いわゆる「クーリング」)について規定したものであること。
法及び「労働契約法第18条第1項の通算期間に関する基準を定める省令」(平成24年厚生労働省令第148号。以下「基準省令」という。)の規定により、同一の有期契約労働者と使用者との間で、1か月以上の無期契約期間を置いて有期労働契約が再度締結された場合であって、当該無契約期間の長さが次の①、②のいずれかに該当するときは、当該無契約期間は法第18条第2項の空白期間に該当し、当該空白期間前に終了している全ての有期労働契約の契約期間は、同条第1項の通算契約期間に参入されない(クーリングされる)こととなること。
なお、無契約期間の長さが1か月に満たない場合は、法第18条第2項の空白期間に該当することはなく、クーリングされないこと。
① 6か月以上である場合
② その直前の有期労働契約の契約期間(複数の有期労働契約が間を置かずに連続している場合又は基準省令第1条第1項で定める基準に該当し連続するものと認められる場合にあっては、それらの有期労働契約の契約期間の合計)が1年未満の場合にあっては、その期間に2分の1を乗じて得た期間(1か月未満の端数は1か月に切り上げて計算する。)以上である場合
コ 基準省令第1条第1項は、法第18条第2項の「契約期間が連続すると認められるものとして厚生労働省令で定める基準」を規定したものであること。具体的には、次の①から③までのとおりであること。
なお、ケ①のとおり、6か月以上の空白期間がある場合には当該空白期間に終了している全ての有期労働契約の期間は通算契約期間に参入されない。このため、通算契約期間の算定に当たり、基準省令第1条第1項で定める基準に照らし連続すると認められるかどうかの確認が必要となるのは、労働者が無期転換の申込みをしようとする日から遡って直近の空白期間後の有期契約についてであること。
① 最初の雇入れの日後最初に到来する無期契約期間から順次、無契約期間とその前にある有期労働契約の契約期間の長さを比較し、当該契約期間に2分の1を乗じて得た期間よりも無契約期間の方が短い場合には、無契約期間の前後の有期労働契約が「連続するとみとめられるもの」となり、前後の有期労働契約の契約期間を通算すること。
② ①において、無契約期間の前にある有期労働契約が他の有期労働契約と間を置かずに連続している場合、又は基準省令第1条第1項で定める基準に該当し連続すると認められるものである場合については、これら連続している又は連続すると認められる全ての有期労働契約の契約期間を通算した期間と、無契約期間の長さとを比較すること。
③ 基準省令第1条第1項の「二分の一を乗じて得た期間」の計算において、1か月に満たない端数を生じた場合は、1か月単位に切り上げて計算した期間とすること。また、「二分の一を乗じて得た期間」が6か月を超える場合は、無契約期間が6か月未満のときに前後の有期労働契約が連続するものとして取り扱うこと。
すなわち、次の表の左欄に掲げる有期労働契約の契約期間(②に該当する場合は通算後の期間)の区分に応じ、無契約期間がそれぞれ同表の右欄に掲げる長さのものであるときは、当該無期契約期間の前後の有期労働契約が連続すると認められるものとなること。
左欄(有期労働契約の契約期間)※②に該当する場合は通算した期間 右欄(無契約期間)☆1
2か月以下 1か月未満
2か月超~4か月以下 2か月未満
4か月超~6か月以下 3か月未満
6か月超~8か月以下 4か月未満
8か月超~10か月以下 5か月未満
10か月超 6か月未満
サ 基準省令第1条第2項は、同条第1項で定める基準に該当し無契約期間の前後の有期労働契約を通算する際に、1か月に満たない端数がある場合には、30日をもって1か月とすることを規定したものであること。
また、1か月の計算は、暦に従い、契約期間の初日から起算し、翌月の応答日の前日をもって1か月とすること。具体例を示すと次のとおりであること。
前の契約 平成25年4月5日~同年7月15日(3か月+11日) ☆表2
次の契約 平成25年8月3日~同年10月1日(1か月+29日)の場合
(3か月+11日)+(1か月+29日)
=4か月+40日
=5か月+10日 ※40日の内、30日を1か月と換算する。加筆
=5か月+10日として、コ③の表に当てはめ、無期契約期間が3か月未満であるきは前後の有期労働契約が連続すると認められる。
なお、法第18条第1項の通算契約期間の計算においても、これと同様に計算すべきものと解されること。
シ 基準省令第2条は、法第18条第2項の「二分の一を乗じて得た期間を基礎として厚生労働省令で定める期間」を規定したものであること。
具体的には、コ③と同様、1か月に満たない端数を生じた場合は、1か月単位に切り上げて計算した期間とすること。すなわち、次の左欄に掲げる有期労働契約の契約期間の区分に応じ、空白期間がそれぞれ同表の右欄に掲げる長さのものであるときは、当該空白期間前に満了した有期労働契約の契約期間は、通算契約期間に算入しない(クーリングされる)こととなること。
左欄(有期労働契約の契約期間=空白期間直前のもの) 右欄(空白期間) ☆表3
2か月以下 1か月以上
2か月超~4か月以下 2か月以上
4か月超~6か月以下 3か月以上
6か月超~8か月以下 4か月以上
8か月超~10か月以下 5か月以上
10か月超~1年未満 6か月以上
1年以上 6か月以上 ※加筆
○通達の意味すなわち労働契約法第18条の意味
ア 用語の確認
・通算契約期間:無期転換の申し込みが可能となる「2以上の有期契約のそれぞれの期間を合算して5年となる日の翌日を特定するためのその契約期間の合計」のこと
※この場合、同一事業者及び同一事業者と解される事業者と同一労働者間の有期労働契約に限り、当然に5年を超える有期労働契約が単独で5年経過日を含む場合を除きます
・空白期間:通算契約期間を合算する際に、前後の有期労働契約を合算できないものとして区切ることとされる無契約期間のこと
※空白期間は原則6か月以上の無契約期間ですが、直前の有期労働契約の長さ(複数の有期労働契約を合算する場合を含む。)により、空白期間に該当するか否かを判断します。ただし、無契約期間が6か月以上の場合には、すべて空白期間(クーリングされる)に該当し、無契約期間が1か月未満の場合には、すべて空白期間に該当しません。なお、空白期間の算定方法は、上記☆表2、☆表3の通りです。
・無契約期間:1の有期労働契約の契約期間が満了した日とその次の有期労働契約の初日との間にこれらの契約期間のいずれにも含まれない期間がある場合の当該期間
※無契約期間とは、具体的には他社に勤務していた期間、就職のため求職中の期間、自営業を営んでいた期間、その他の不就労期間などです。無契約期間は、状況により空白期間に該当する場合としない場合がありますが、6か月以上はすべて空白期間に該当、1か月未満はすべて空白期間に非該当は先に述べました。
・クーリング:空白期間が存在することにより、通算契約期間を算定する際にその前後の有期契約の長さを合算できずにリセットされること
○通算契約期間の計算方法のまとめ
通算計算期間を算定する際は、平成25年4月1日以降に締結又は更新した有期労働契約が対象ですから、現在の有期労働契約から順に遡り、かつ、空白期間を考慮して、通算契約期間を算定することとなります。現在の勤務先に最初に勤務し始めた日(平成25年4月1日以降に限ります。)又は勤務を始めて平成25年4月1日以降に契約を更新した日から、空白期間を考慮しつつ、通算契約期間を計算することになります。※通常は切れ目なく勤務していると思いますが、季節労働や会社に仕事があるときだけの勤務の場合は、空白期間の有無の検討が必要です。
なお、通算契約期間の参考資料として、以下をご参照ください。※厚生労働省作成資料
○空白期間があるために、通算契約期間が5年以下の場合は、どうなるか?
労働契約法第18条は、有期労働契約を一定期間繰り返した場合の無期労働契約への転換ルールを定めています。この場合、法律の要件を満たさない場合であっても、労働者の無期労働契約への転換の申し入れに対し、使用者がそれを承諾して無期労働契約に変更することは全く差し支えありません。法律に基づき、柔軟な運用ルールを定めることを推奨いたします。
それでは、この続きは次回に・・・
第18条第2項