労働契約法の復習 第21条、第22条

2015年04月25日 14:25

労働契約法第21条 第12条及び前章の規定は、船員法(昭和22年法律第100号)の適用を受ける船員(次項において「船員」という。)に関しては、適用しない。

2 船員に関しては、第7条中「第12条とあるのは、「船員法(昭和22年法律第100号)第100条」と、第10条中「第12条」とあるのは「船員法第100条」と、第11条中「労働基準法(昭和22年法律第49号)第89条及び第90条」とあるのは「船員法第97条及び第98条」と、第13条中「前条」とあるのは「船員法第100条」とする。

 船員の一部適用除外規定です。本条の特別な記述は不要かと思いますが、参考までに余談を2、3記述します。

○労働基準法における船員の適用除外

労働基準法第116条 第一条から第十一条まで、次条、第百十七条から第百十九条まで及び第百二十一条の規定を除き、この法律は、船員法(昭和二十二年法律第百号)第一条第一項に規定する船員については適用しない。

 船員は、海上の閉鎖した区域(船内)に職場が限定されることや国際法の適用を受けるという事情その他の理由により、労働基準法の適用が一部を除き除外されています。ところで、船員法よりも船員保険法の方が歴史が古く、同法は昭和14年4月6日に制定されています。これは、戦時中は船員のなり手が少なく(乗っている船が敵国に撃沈される恐れが大きかったため)、船員の確保のために国が手厚い補償を設けることで、戦時の海上輸送等を確保しようとしたことが理由です。

 船員保険は、過去においては「健康保険」「年金」「雇用保険」など、幅広くカバーしていましたが、現在は財政面の問題からほとんど厚生年金他に移管されています。

引き続き第22条を記述します。

 

労働契約法第22条 この法律は、国家公務員及び地方公務員については、適用しない。

2 この法律は、使用者が同居の親族のみを使用する場合の労働契約については、適用しない。

 労働契約法第22条についても、労働基準法の適用除外規定と類似しています。

労働基準法第116条第2項 この法律は、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用しない。

 参考:家事使用人とは、「家事一般に従事する者」のことで、俗にお手伝いさんと言われる人です。この場合、個人に雇われているか法人に雇われているかを問いません。ただし、他の業務を兼業している場合には、原則として家事使用人に該当しないとされています。※家事使用人は、労働契約法では適用を除外されていません。

○同居の親族のみを使用するとは

 親族とは、民法第725条に規定される、6親等以内の血族(1号)、配偶者(2号)、3親等以内の姻族(3号)をいうとされています。ここで、血族とは文字通り血のつながりがある親類縁者であり、姻族は配偶者の血族及び血族の配偶者のことを言います。

※配偶者の血族の配偶者(例、妻の兄の妻)は親族に含まれませんし、血族の配偶者の血族(例、叔母の夫の父)は親族に含まれません。また、親等とは親子関係の数であり、例えば「叔父(伯父)又は叔母(伯母)」は、自身①⇒父母②⇒祖父母③⇒叔父・叔母となり、叔父叔母は3親等です。さらに、自身及びその者の配偶者は0親等です。例えば、叔父の配偶者は3親等(叔父とその配偶者間が0親等)です。

 そこで、本条により世帯を同じくして常時生活を共にしている親族のみを使用している場合に労働契約法の適用が除外され、他方で同居以外の者(別居の親族を含めて)を同時に使用している場合には、適用があると見るべきです。

○国家公務員及び地方公務員

 公務員にも有期任用の非正規公務員がいます。厳密な服務規律は調査していませんが、本条の適用はこれらの非常勤職員等についてもあるものと考えられます。

なお、地方公務員の非常勤職員等の任用に関する資料の一つとして、次をご参照ください。

非常勤職員任用についての通達 総務省.pdf (261839)

以下、労働契約法の附則については、今回は記述を省略します。

第21条、第22条

 

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