労働者派遣法第13条、第14条、第15条

2015年06月15日 14:36

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

第13条(事業の廃止

 一般派遣元事業主は、当該一般労働者派遣事業を廃止したときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。

2 前項の規定による届出があつたときは、第五条第一項の許可は、その効力を失う。

 

則第10条(廃止の届出)

 法第十三条第一項の規定による届出をしようとする者は、当該一般労働者派遣事業を廃止した日の翌日から起算して十日以内に、一般労働者派遣事業を行うすべての事業所に係る許可証を添えて、一般労働者派遣事業廃止届出書(様式第八号)を厚生労働大臣に提出しなければならない。

 

第14条(許可の取消し等

 

 厚生労働大臣は、一般派遣元事業主が次の各号のいずれかに該当するときは、第五条第

一項の許可を取り消すことができる。

一 第六条各号(第四号から第七号までを除く。)のいずれかに該当しているとき。

二 この法律(第二十三条第三項、第二十三条の二及び次章第四節の規定を除く。)若しくは職業安定法の規定又はこれらの規定に基づく命令若しくは処分に違反したとき。

三 第九条第一項の規定により付された許可の条件に違反したとき。

四 第四十八条第三項の規定による指示を受けたにもかかわらず、なお第二十三条第三項又は第二十三条の二の規定に違反したとき。

2 厚生労働大臣は、一般派遣元事業主が前項第二号又は第三号に該当するときは、期間を定めて当該一般労働者派遣事業の全部又は一部の停止を命ずることができる。

 

第15条(名義貸しの禁止

 一般派遣元事業主は、自己の名義をもつて、他人に一般労働者派遣事業を行わせてはならない。

 

業務取扱要領(事業廃止届出手続

(1) 一般労働者派遣事業の廃止の届出
   一般派遣元事業主は、一般労働者派遣事業を廃止したときは、当該廃止の日の翌日から起算して10 日以内に、一般労働者派遣事業を行う全ての事業所に係る許可証を添えて事業主管轄労働局を経て、一般労働者派遣事業廃止届出書(様式第8号)を厚生労働大臣に提出しなければならない(法第13 条第1項、則第9条)。
  一般労働者派遣事業廃止届出書(様式第8号)は、正本一通及びその写し二通を提出しなければならない(則第20 条)。
   なお、「廃止」とは「休止」とは異なる概念であり、今後事業を行わないことを一般派遣元事業主が決定し、現実に行わないこととなったことが必要である。
(2) 事業廃止の届出の受理
 一般労働者派遣事業の廃止の届出を受理したときは、一般労働者派遣事業廃止届出書(様式第8号)の写し一通を届出者に控えとして交付する(第3の2の(2)参照)。
(3) 許可の効力
 (1)の届出により、一般労働者派遣事業の許可はその効力を失う(法第13 条第2項)ので、たとえ許可の有効期間が残っていたとしても、当該廃止の届出の後、再び一般労働者派遣事業を行おうとするときは、新たに許可を受け直す必要がある。
(4) 事業所台帳の整備等
   一般労働者派遣事業廃止届を受理したときは、事業主管轄労働局は、当該事業主に係る全ての事業所管轄労働局へ、届出書の複写を送付する等により連絡するものとする。事業所台帳等については当該廃止を行った旨の記載を行う。
   一般労働者派遣事業の廃止後においても、労働者の権利関係、労働関係に関する紛争の解決、監督上の必要から当該台帳を別途保存しておくこと(第3の5の(3)参照)。

 

業務取扱要領(名義貸しの禁止)

(1) 名義貸し禁止の意義
 一般労働者派遣事業は、欠格事由に該当せず、事業遂行能力、雇用管理能力等について許可基準に照らして審査を受けた事業主が自ら行うものでなければ許可制度自体の維持が困難となるため、一般派遣元事業主について許可を受けた自分の名義を他人に貸して一般労働者派遣事業を行わせることが禁止される(法第15 条)。
(2) 違反の場合の効果
 一般労働者派遣事業につき名義貸しを行った者は、法第59 条第1号に該当し、1年以下の懲役又は100 万円以下の罰金に処せられる場合がある(第13 の1参照)。また法に違反するものとして、許可の取消し(法第14 条第1項)、事業停止命令(法第14 条第2項)、改善命令(法第49条第1項)の対象となる(第13 の2参照)。
 
事業所廃止に類する場合の取扱い
(1) 個人事業主が死亡した場合の取扱い
 個人事業主が死亡した場合であって、その同居の親族又は法定代理人からその旨が届け出られた場合には、当該届出者の責任において、当該事実のあった日現在有効な労働者派遣契約に基づく労働者派遣に限り、当該事実のあった日から30 日間継続しても差し支えないものとする。また、当該期間内に当該事業を継続しようとする者から一般労働者派遣事業の許可申請がなされた場合には、その時点で明らかに当該許可申請を許可できないと判断される場合を除き、許可が決定されるまでの間も当該労働者派遣契約に係る労働者派遣を継続実施することを認めて差し支えないものとする。なお、この場合、4の(3)のロ、ハの取扱いは行わないものとする。
(2) 法人の合併等に際しての取扱い
 法人の合併等に際し、消滅する法人(以下「消滅法人」という。)が一般労働者派遣事業の許可(以下(2)において単に「許可」という。)を有しており、当該消滅法人の事業所において、合併後存続する法人(以下「存続法人」という。)又は合併により新たに設立される法人(以下「新設法人」という。)が引き続き一般労働者派遣事業を行おうとする場合等には、通常の許可又は変更の手続では当該事業の継続的な実施に支障が生じ、派遣労働者の保護に欠けるおそれがあること等から、次のとおり取り扱うこととし、許可申請等必要な手続を行うよう指導するものとする。
  吸収合併の場合の取扱い
 (イ) 合併前に存続法人が許可を受けておらず、かつ、消滅法人が許可を受けている場合であって、合併後に存続法人が一般労働者派遣事業を行うときは、新規許可申請が必要となる。
  この場合、一般労働者派遣事業の許可の期間に空白が生じることを避けるため、許可申請に当たっては、例えば合併を議決した株主総会議事録等により合併が確実に行われることを確認することにより、合併の日付と同日付けで許可することが可能となるよう、存続法人において事前に許可申請を行わせることとする。
 その際、合併により、事業開始予定日まで又は事業開始予定日付けで、法人の名称、住所、代表者、役員、派遣元責任者が変更するときであって、これらについて、許可申請時に合併を議決した株主総会議事録等により当該変更が確認できるときは、一般労働者派遣事業許可申請書(様式第1号)においては、変更後のものを記載させ、変更後直ちに、その内容に違いがなかった旨を報告させるものとする。
 (ロ) 合併前に存続法人が許可を受けている場合であって、合併後に存続法人が一般労働者派遣事業を行うときは、新規許可申請を行う必要はないが、合併により法人の名称等に変更がある場合には、変更の届出を行わせることが必要である。この場合において、合併後の存続法人の事業所数が、合併前の存続法人の事業所数を超えることとなるときは、事業所の新設に係る届出を行わせることが必要である。
 (ハ) (ロ)の場合において、存続法人及び消滅法人が合併前に許可を受けており、かつ、当該消滅法人の事業所において、合併後に存続法人が引き続き一般労働者派遣事業を行うときは、次のとおりとする。
 a 当該合併により、合併後の存続法人の事業所数が、合併前の存続法人及び消滅法人の事業所数を合算した数以下であるときは、許可基準の特例として、3の(5)のホにかかわらず、当該事業所の新設をすることができるものとする。
 b 当該合併により、合併後の存続法人の事業所数が、合併前の存続法人及び消滅法人の事業所数を合算した数を超えることとなるときは、3の(5)のホのとおり取り扱う。
  新設合併の場合の取扱い
 (イ) 新設合併の場合(合併する法人がすべて解散し、それと同時に新設法人が成立する場合)には、合併後に新設法人が一般労働者派遣事業を行うときは、新規許可申請が必要となる。
  この場合、イの(イ)と同様の手続により事前に許可申請を行わせることとするが、申請時には新設法人の主体はないため、特例的に合併後の予定に基づいて申請書等を記載させるものとし、新設法人の成立後直ちに、その内容に違いがなかった旨を報告させるものとする。
 (ロ) なお、全ての消滅法人が合併前に許可を受けており、かつ、当該消滅法人の事業所において、合併後に新設法人が引き続き一般労働者派遣事業を行うときであっても、財産的基礎に関する判断に係る許可基準については、通常どおり取り扱うこととする。
  吸収分割の場合の取扱い
  既に存在する他の法人に、分割する法人の営業を継承させる吸収分割の場合には、イに準じて取り扱うものとする。
  なお、分割する法人について事業所数等が変更したときは、変更の届出又は事業の廃止の届出を行わせることが必要である。
   新設分割の場合
  分割により新たに創設した法人(以下「分割新設法人」という。)に、分割する法人の営業を承継させる新設分割(会社法第2条第30 号)の場合には、分割する法人が一般労働者派遣事業の許可を有している場合であっても、分割新設法人が一般労働者派遣事業を行う場合は新規許可申請が必要となり、ロの(イ)及び(ロ)に準じて取り扱うものとする。
  なお、分割する法人について事業所数等が変更したときは、変更の届出又は事業の廃止の届出を行わせることが必要である。
   営業譲渡、譲受の場合の取扱い
    に準じて取り扱うものとする。
  民営職業紹介事業を行う法人と合併する場合の取扱い
  一般労働者派遣事業の許可を有する法人と民営職業紹介事業の許可を有する法人が合併するときであって、一般労働者派遣事業の許可を有する法人が消滅する場合は、合併後、当該法人において一般労働者派遣事業の新規許可申請が必要となる。一般労働者派遣事業の許可を有する法人が存続する場合は、合併後、当該事業所において新規許可申請を行う必要はないが、合併により法人の名称等が変更したときは、変更の届出を行わせることが必要である。

 

労働者派遣法逐条まとめ

1.第13条第1項(事業の廃止)

 一般労働者派遣事業を廃止(補足1)したときは、廃止の日の翌日から起算して10 日以内に、一般労働者派遣事業を行う全ての事業所に係る許可証を添えて本社所在地の労働局を経て、一般労働者派遣事業廃止届出書(様式第8号)を厚生労働大臣に提出しなければならないこと。

 補足1:廃止

  「廃止」とは「休止」とは異なる概念であり、今後事業を行わないことを一般派遣元事業主が決定し、現実に行わないこととなったことが必要であること

 一般労働者派遣事業の廃止の届出を受理したときは、一般労働者派遣事業廃止届出書(様式第8

号)の写し一通を届出者に控えとして交付すること。

 

2.法法第13条第2項(廃止届けの効力)

 一般労働者派遣事業の廃止届により、一般労働者派遣事業の許可はその効力を失う(法第13 条第2項)ので、たとえ許可の有効期間が残っていたとしても、当該廃止の届出の後、再び一般労働者派遣事業を行おうとするときは、新たに許可を受け直す必要がある。

 

3.法第14条(許可の取り消し)

 厚生労働大臣は、一般派遣元事業主が次のいずれかに該当するときは、第五条第一項の許可を取り

消すことができるとされています。

 ① 欠格事由に該当した場合

  一般労働者派遣事業の許可後に法第6条の欠格事由に該当する場合は、許可の取消ができるとされていること。

 ② 法令に基づく命令に違反したとき

  職業安定法及び労働者派遣法の規定に基づく命令若しくは処分に違反したとき。

 ③ 許可条件違反に該当したとき

  一般労働者派遣法の許可後、許可条件に違反する状況に至ったとき。

 ④ 法の規定による指示違反があったとき

  第四十八条第三項の規定(補足1)による指示を受けたにもかかわらず、なお第二十三条第三項(補足2)又は第二十三条の二の規定(補足3)に違反したとき。

  補足1:厚生労働大臣は、第二十三条第三項又は第二十三条の二の規定に違反した派遣元事業主に対し、第一項の規定による指導又は助言をした場合において、当該派遣元事業主がなお第二十三条第三項又は第二十三条の二の規定に違反したときは、当該派遣元事業主に対し、必要な措置をとるべきことを指示することができる。

  補足2:派遣元事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、次条に規定する関係派遣先への派遣割合を厚生労働大臣に報告しなければならない。

  補足3:派遣元事業主は、当該派遣元事業主の経営を実質的に支配することが可能となる関係にある者その他の当該派遣元事業主と特殊の関係のある者として厚生労働省令で定める者に労働者派遣をするときは、関係派遣先への派遣割合が百分の八十以下となるようにしなければならない。

 

4.法第14条第2項(許可の項欲の停止処分)

 次のア又はイのいずれかに該当する場合には、一般労働者派遣事業の全部又は一部の停止を命ずることができる。

 ※許可取り消し事由の②又は③

 ア 法令に基づく命令に違反したとき

  職業安定法及び労働者派遣法の規定に基づく命令若しくは処分に違反したとき。

 イ 許可条件違反に該当したとき

  一般労働者派遣法の許可後、許可条件に違反する状況に至ったとき。

 

5.法第15条(名義貸しの禁止)

 一般派遣元事業主について許可を受けた自分の名義を他人に貸して一般労働者派遣事業を行わせることが禁止される。

 ※名義貸し(一般解釈):他者の取引に際し、自分の氏名や商号を貸して契約させること。また、資格や国の許可が必要な業務をしている人や事業者が、その資格のない人や会社に申請や登録などの際に名前だけを貸す行為。

 ※罰則:一般労働者派遣事業につき名義貸しを行った者は、法第59 条第1号に該当し、1年以下の懲役又は100 万円以下の罰金に処せられると規定されている。また法に違反するものとして、許可の取消し(法第14 条第1項)、事業停止命令(法第14 条第2項)、改善命令(法第49条第1項)の対象となること。

 

6.一般労働者派遣事業所廃止に類する場合の取扱

(1) 個人事業主が死亡した場合の取扱い

 個人事業主が死亡した場合であって、その同居の親族又は法定代理人からその旨が届け出られた場合には、当該届出者の責任において、当該事実のあった日現在有効な労働者派遣契約に基づく労働者派遣に限り、当該事実のあった日から30 日間継続しても差し支えないものとする。

(2) 法人の合併等に際しての取扱い

 イ 吸収合併の場合の取扱い

 (イ) 合併前に存続法人が許可を受けておらず、かつ、消滅法人が許可を受けている場合であって、合併後に存続法人が一般労働者派遣事業を行うときは、新規許可申請が必要となる。

 (ロ) 合併前に存続法人が許可を受けている場合であって、合併後に存続法人が一般労働者派遣事業を行うときは、新規許可申請を行う必要はないが、合併により法人の名称等に変更がある場合には、変更の届出を行わせることが必要である。(以下略)

  新設合併の場合の取扱い

 (イ) 新設合併の場合(合併する法人がすべて解散し、それと同時に新設法人が成立する場合)には、合併後に新設法人が一般労働者派遣事業を行うときは、新規許可申請が必要となる。

  吸収分割の場合の取扱い

  吸収分割の場合には、イに準じて取り扱うものとする。 

   新設分割の場合

  新設分割(会社法第2条第30 号)の場合には、分割する法人が一般労働者派遣事業の許可を有している場合であっても、分割新設法人が一般労働者派遣事業を行う場合は新規許可申請が必要となる。

   営業譲渡、譲受の場合の取扱い

   に準じて取り扱うものとする。

   民営職業紹介事業を行う法人と合併する場合の取扱い

  合併後、当該法人において一般労働者派遣事業の新規許可申請が必要となる。

 

 

 

 

以上で労働者派遣法第13条・第14条・第15条を終了します。