2015年06月17日 09:39
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律
第23条(事業報告等)
一般派遣元事業主及び特定派遣元事業主(以下「派遣元事業主」という。)は、厚生労働省令で定めるところにより、労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業に係る事業報告書及び収支決算書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない。
2 前項の事業報告書には、厚生労働省令で定めるところにより、労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業に係る派遣労働者の数、労働者派遣の役務の提供を受けた者の数、労働者派遣に関する料金の額その他労働者派遣に関する事項を記載しなければならない。
3 派遣元事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、次条に規定する関係派遣先への派遣割合を厚生労働大臣に報告しなければならない。
4 派遣元事業主は、派遣労働者をこの法律の施行地外の地域に所在する事業所その他の施設において就業させるための労働者派遣(以下「海外派遣」という。)をしようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
5 派遣元事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業に係る派遣労働者の数、労働者派遣の役務の提供を受けた者の数、労働者派遣に関する料金の額の平均額から派遣労働者の賃金の額の平均額を控除した額を当該労働者派遣に関する料金の額の平均額で除して得た割合として厚生労働省令で定めるところにより算定した割合、教育訓練に関する事項その他当該労働者派遣事業の業務に関しあらかじめ関係者に対して知らせることが適当であるものとして厚生労働省令で定める事項に関し情報の提供を行わなければならない。
則第17条(事業報告書及び収支決算書)
法第二十三条第一項に規定する派遣元事業主(以下単に「派遣元事業主」という。)は、毎事業年度に係る労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業に係る事業報告書及び収支決算書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない。ただし、派遣元事業主が当該事業年度に係る貸借対照表及び損益計算書を提出したときは、収支決算書を提出することを要しない。
2 前項の事業報告書及び収支決算書は、それぞれ労働者派遣事業報告書(様式第十一号及び様式第十一号の二)及び労働者派遣事業収支決算書(様式第十二号)のとおりとする。
3 第一項の事業報告書及び収支決算書の提出期限は、次の各号に掲げる区分に応
じ、それぞれ当該各号に定める期限とする。
一 労働者派遣事業報告書(様式第十一号) 毎事業年度経過後一月が経過する日
二 労働者派遣事業報告書(様式第十一号の二) 毎年六月三十日
三 労働者派遣事業収支決算書(様式第十二号) 毎事業年度経過後三月が経過する日
則第17条の2(関係派遣先への派遣割合の報告)
法第二十三条第三項の規定による報告は、毎事業年度経過後三月が経過する日までに、当該事業年度に係る関係派遣先派遣割合報告書(様式第十二号の二)を厚生労働大臣に提出することにより行わなければならない。
則第18条(海外派遣の届出)
派遣元事業主は、法第二十三条第四項の規定による海外派遣(以下単に「海外派遣」という。)をしようとするときは、海外派遣届出書(様式第十三号)に第二十三条の規定による書面の写しを添えて厚生労働大臣に提出しなければならない。
則第18条の2(情報提供の方法等)
法第二十三条第五項の規定による情報の提供は、事業所への書類の備付け、インターネットの利用その他の適切な方法により行わなければならない。
2 法第二十三条第五項の厚生労働省令で定めるところにより算定した割合は、前事業年度に係る労働者派遣事業を行う事業所(以下この項において「一の事業所」という。)ごとの当該事業に係る労働者派遣に関する料金の額の平均額(当該事業年度における派遣労働者一人一日当たりの労働者派遣に関する料金の額の平均額をいう。以下この条において同じ。)から派遣労働者の賃金の額の平均額(当該事業年度における派遣労働者一人一日当たりの賃金の額の平均額をいう。次項において同じ。)を控除した額を労働者派遣に関する料金の額の平均額で除して得た割合(当該割合に小数点以下一位未満の端数があるときは、これを四捨五入する。)する。ただし、一の事業所が当該派遣元事業主の労働者派遣事業を行う他の事業所と一体的な経営を行つている場合には、その範囲内において同様の方法により当該割合を算定することを妨げない。
3 法第二十三条第五項の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 労働者派遣に関する料金の額の平均額
二 派遣労働者の賃金の額の平均額
三 その他労働者派遣事業の業務に関し参考となると認められる事項
第23条の2(派遣元事業主の関係派遣先に対する労働者派遣の制限)
派遣元事業主は、当該派遣元事業主の経営を実質的に支配することが可能となる関係にある者その他の当該派遣元事業主と特殊の関係のある者として厚生労働省令で定める者(以下この条において「関係派遣先」という。)に労働者派遣をするときは、関係派遣先への派遣割合(一の事業年度における当該派遣元事業主が雇用する派遣労働者の関係派遣先に係る派遣就業(労働者派遣に係る派遣労働者の就業をいう。以下同じ。)に係る総労働時間を、その事業年度における当該派遣元事業主が雇用する派遣労働者のすべての派遣就業に係る総労働時間で除して得た割合として厚生労働省令で定めるところにより算定した割合をいう。)が百分の八十以下となるようにしなければならない。
則第18条の3(法第二十三条の二の厚生労働省令で定める者等)
法第二十三条の二の厚生労働省令で定める者は、次に掲げる者とする。
一 派遣元事業主を連結子会社(連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和五十一年大蔵省令第二十八号)第二条第四号に規定する連結子会社をいう。以下この号において同じ。)とする者及び当該者の連結子会社
二 派遣元事業主の親会社等又は派遣元事業主の親会社等の子会社等(前号に掲げる者を除く。)
2 前項第二号の派遣元事業主の親会社等は、次に掲げる者とする。
一 派遣元事業主(株式会社である場合に限る。)の議決権の過半数を所有している者
二 派遣元事業主(持分会社(会社法(平成十七年法律第八十六号)第五百七十五条第一項に規定する持分会社をいう。次項において同じ。)である場合に限る。)の資本金の過半数を出資している者
三 派遣元事業主の事業の方針の決定に関して、前二号に掲げる者と同等以上の支配力を有すると認められる者
3 第一項第二号の派遣元事業主の親会社等の子会社等は、次に掲げる者とする。
一 派遣元事業主の親会社等が議決権の過半数を所有している者(株式会社である場合に限る。)
二 派遣元事業主の親会社等が資本金の過半数を出資している者(持分会社である場合に限る。)
三 事業の方針の決定に関する派遣元事業主の親会社等の支配力が前二号に掲げる者と同等以上と認められる者
4 法第二十三条の二の厚生労働省令で定めるところにより算定した割合は、一の事業年度における派遣元事業主が雇用する派遣労働者(六十歳以上の定年に達したことにより退職した者であつて当該派遣元事業主に雇用されているものを除く。)の関係派遣先(同条に規定する関係派遣先をいう。)に係る同条に規定する派遣就業(以下単に「派遣就業」という。)に係る総労働時間を、その事業年度における当該派遣元事業主が雇用する派遣労働者の全ての派遣就業に係る総労働時間で除して得た割合(当該割合に小数点以下一位未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)とする。
第24条(職業安定法第二十条の準用)
職業安定法第二十条の規定は、労働者派遣事業について準用する。この場合において、同条第一項中「公共職業安定所」とあるのは「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下「労働者派遣法」という。)第二十三条第一項に規定する派遣元事業主(以下単に「派遣元事業主」という。)」と、「事業所に、求職者を紹介してはならない」とあるのは「事業所に関し、労働者派遣法第二条第一号に規定する労働者派遣(以下単に「労働者派遣」という。)(当該同盟罷業又は作業所閉鎖の行われる際現に当該事業所に関し労働者派遣をしている場合にあつては、当該労働者派遣及びこれに相当するものを除く。)をしてはならない」と、同条第二項中「求職者を無制限に紹介する」とあるのは「無制限に労働者派遣がされる」と、「公共職業安定所は当該事業所に対し、求職者を紹介してはならない」とあるのは「公共職業安定所は、その旨を派遣元事業主に通報するものとし、当該通報を受けた派遣元事業主は、当該事業所に関し、労働者派遣(当該通報の際現に当該事業所に関し労働者派遣をしている場合にあつては、当該労働者派遣及びこれに相当するものを除く。)をしてはならない」と、「使用されていた労働者」とあるのは「使用されていた労働者(労働者派遣に係る労働に従事していた労働者を含む。)」と、「労働者を紹介する」とあるのは「労働者派遣をする」と読み替えるものとする。
第24条の2(派遣元事業主以外の労働者派遣事業を行う事業主からの労働者派遣の受入れの禁止)
労働者派遣の役務の提供を受ける者は、派遣元事業主以外の労働者派遣事業を行う事業主から、労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。
則第19条(書類の提出の経由)
法第二章又はこの章の規定により厚生労働大臣に提出する書類は、派遣元事業主の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長を経由して提出するものとする。ただし、法第八条第三項、法第十一条第一項若しくは第四項、法第十九条第一項又は第四条第一項の規定により厚生労働大臣に提出する書類(許可証を含む。)のうち、法第五条第二項第一号及び第二号に規定する事項以外の事項に係るものについては、当該事業所の所在地を管轄する都道府県労働局長を経由して提出することができる。
則第20条(提出すべき書類の部数)
法第二章又はこの章の規定により厚生労働大臣に提出する書類(許可証を除く。)は、正本にその写し二通(第一条の二第二項、第五条第二項、第八条第二項若しくは第三項、第十一条第二項又は第十四条に規定する書類にあつては、一通)を添えて提出しなければならない。
○業務取扱要領(事業報告)
1.事業報告
(1) 事業報告書、収支決算書の提出の意義
事業報告書及び収支決算書は、労働者派遣事業の労働力需給調整機能や当該事業の派遣労働者の就業実態等、事業運営の状況を的確に把握するためのものであり、派遣労働者の保護及び雇用の安定を図り、労働力需給調整システムとして適正に機能させていくために必要な行政措置を講じていく上での前提となるものである。
(2) 提出の方法
派遣元事業主は、労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業に係る労働者派遣事業報告書(様式第11号及び様式第11号-2)及び労働者派遣事業収支決算書(様式第12号)を作成し、事業主管轄労働局を経て厚生労働大臣に提出しなければならない(法第23条第1項及び第2項、則第17条、則第19条)(第3の2の(1)参照)。
イ 事業報告書
派遣元事業主は、労働者派遣事業を行う事業所ごとにこれを記載して正本一通及びその写し二通を提出しなければならない(則第20条)。
ロ 収支決算書
(イ) 派遣元事業主が法人である場合及び個人が青色申告をしている場合(記載事項の簡易な損益計算書を作成する場合を除く。)には、労働者派遣事業収支決算書に代えて、当該事業年度に係る貸借対照表及び損益計算書(税務署に提出したもの。青色申告をしている場合には、所得税青色申告決算書(一般用)中に貸借対照表及び損益計算書が記載されている。)を正本一通及びその写し二通を提出することとして差し支えない。
(ロ) (イ)に該当する者以外の者は、労働者派遣事業収支決算書に記載して正本一通及びその写し二通を提出すること。
(ハ) 当該派遣元事業主が兼業する場合等において、(イ)の貸借対照表及び損益計算書並びに(ロ)の労働者派遣事業収支決算書には、労働者派遣事業のみの収支の状況や当該事業所のみの収支の状況を抜き出して記載する必要はなく、当該事業主の行う事業全体の収支の状況を記載することとして差し支えない。
(3) 提出期限
(2)のイの事業報告書及びロの収支決算書の提出期限は、それぞれ次のとおりである(則第17条第3項)。
イ 労働者派遣事業報告書
① 労働者派遣事業報告書(様式第11号) 当該事業主の事業の毎事業年度経過後1か月以内
② 労働者派遣事業報告書(様式第11号-2) 毎年6月30日
ロ 収支決算書(貸借対照表及び損益計算書又は労働者派遣事業収支決算書(様式第12号))
(4) 事業報告書、収支決算書の受理
事業報告書及び収支決算書を受理したときは、労働者派遣事業報告書(様式第11号及び様式第11号-2)並びに労働者派遣事業収支決算書(様式第12号)又は貸借対照表及び損益計算書の写しそれぞれ一通を提出者に控えとして交付する(第3の2の(2)参照)。
(5) 違反の場合の効果
イ 事業報告書及び収支決算書が(3)の提出期限までに提出されなかった場合には、法第50条の規定に基づき必要な事項の報告を求める(第12の5参照)場合があり、これに従わず報告せず、又は虚偽の報告をした場合は、法第61条第5号に該当し、30万円以下の罰金に処せられる場合がある(第13の1参照)。
ロ また、当該違反をした派遣元事業主は、許可の取消し(法第14条第1項)、事業停止命令(法第14条第2項、法第21条第2項)、改善命令(法第49条第1項)の対象となり、イの司法処分を受けた場合は、許可の取消し、事業廃止命令(法第21条第1項)の対象となる(第13の2参照)。
2.関係派遣先に対する労働者派遣の制限等(派遣割合等)
(1) 概要
グループ企業内での派遣は、これが全て否定されるものではないが、グループ企業内の派遣会社がグループ企業内派遣ばかりを行うとすれば、派遣会社がグループ企業内の第二人事部的なものとして位置付けられていると評価され、労働力需給調整システムとして位置付けられた労働者派遣制度の趣旨に鑑みて適切ではない。
そのため、派遣元事業主が労働者派遣をするときは、関係派遣先への派遣割合が100分の80以下となるようにしなければならない(法第23条の2)。
(2) 「関係派遣先」の範囲
関係派遣先の範囲は、次のとおりである(則第18条の3第1項から第3項まで)。
イ 派遣元事業主が連結財務諸表を作成しているグループ企業に属している場合
① 派遣元事業主を連結子会社とする者(いわゆる親会社)
② 派遣元事業主を連結子会社とする者の連結子会社(いわゆる親会社の連結子会社)
(イ)連結子会社とは、連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和51年大蔵省令第28号)第2条第4号に規定する連結子会社をいうこと。
(ロ)連結子会社の範囲は、当該派遣元事業主が属しているグループ企業が選択している会計基準により判断されるものであり、例えば、連結財務諸表に関する会計基準(企業会計基準委員会が作成している企業会計基準第22号)を選択している場合において、親会社と子会社が一体となって他の会社を支配している場合、子会社一社で他の会社を支配している場合等(連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針(企業会計基準適用指針第22号)を参照)には、当該他の会社は親会社の子会社とみなされること。
ロ 派遣元事業主が連結財務諸表を作成していないグループ企業に属している場合
① 派遣元事業主の親会社等
(イ)「親会社等」とは、派遣元事業主(株式会社である場合に限る。)の議決権の過半数を所有している者、派遣元事業主(会社法(平成17年法律第86号)第575条第1項に規定する持分会社(以下「持分会社」という。)である場合に限る。)の資本金の過半数を出資している者又は派遣元事業主の事業の方針の決定に関してこれらと同等以上の支配力を有すると認められる者をいうこと。
(ロ)「派遣元事業主の事業の方針の決定に関してこれらと同等以上の支配力を有すると認められる者」とは、一般社団法人や事業協同組合等のように、議決権や出資金という概念では支配関係の有無を判断できない者のことを指しており、連結範囲の決定に用いる実質支配力基準を指しているものではないこと。例えば、派遣元事業主が一般社団法人であり、当該一般社団法人の社員が各一個の議決権を有する場合であって、当該社員の過半数の議決権の行使に関する意思決定を実質的に支配している者が存在する場合、当該支配している者が「派遣元事業主の事業の方針の決定に関してこれらと同等以上の支配力を有すると認められる者」に該当すること。
② 派遣元事業主の親会社等の子会社等
(イ)「子会社等」とは、派遣元事業主の親会社等が議決権の過半数を所有している者(株式会社である場合に限る。)、派遣元事業主の親会社等が資本金の過半数を出資している者(持分会社である場合に限る。)又は事業の方針の決定に関する派遣元事業主の親会社等の支配力がこれらと同等以上と認められる者をいうこと。
(ロ)「事業の方針の決定に関する派遣元事業主の親会社等の支配力がこれらと同等以上と認められる者」の考え方は、①の(ロ)と同様であること。
(3) 「派遣割合」の算出方法
イ 関係派遣先への派遣割合は、一の事業年度における派遣元事業主が雇用する派遣労働者(60歳以上の定年退職者を除く。)の関係派遣先での派遣就業に係る総労働時間を、当該事業年度における当該派遣元事業主が雇用する派遣労働者の全ての派遣就業に係る総労働時間で除すことにより算出すること。なお、百分率(%)表記にした場合に、小数点以下一位未満の端数が生じた場合には、これを切り捨てること(則第18条の3第4項)。
ロ 「60歳以上の定年退職者」とは、60歳以上の定年年齢に達した者のことをいい、継続雇用(勤務延長・再雇用)の終了の後に離職した者(再雇用による労働契約期間満了前に離職した者等を含む。)や、継続雇用中の者のような60歳以上の定年退職者と同等の者も含まれること。また、グループ企業内の退職者に限られるものではないこと。
ハ 「60歳以上の定年退職者」であることの確認は、労働基準法第22条第1項の退職証明、雇用保険法施行規則第16条の離職証明書等により行うが、書類による確認が困難である場合には労働者本人からの申告によることでも差し支えない。
ニ 事業年度中に関係派遣先の範囲に変更があった場合には、当該変更があった時点から起算して関係派遣先への派遣割合を計算することを基本とするが、決算書類に基づき前々事業年度末(前事業年度開始時点)又は前事業年度末(当事業年度開始時点)におけるグループ企業の範囲を前事業年度における関係派遣先の範囲とした上で、関係派遣先への派遣割合を計算することも可能とすること。ただし、その場合には、関係派遣先派遣割合報告書(様式第12号-2)(表面)の余白に、「前々事業年度末(又は前事業年度末)のグループ企業の範囲を前事業年度における関係派遣先の範囲とした」旨を記載すること。
(4) 報告の方法
イ 派遣元事業主は、関係派遣先派遣割合報告書(様式第12号-2)を作成し、当該事業主の事業の毎事業年度経過後3か月以内に、事業主管轄労働局を経て、正本一通及びその写し二通を厚生労働大臣に提出しなければならない(法第23条第3項、則第17条の2)。
ロ なお、この報告は、派遣元事業主全体での関係派遣先への派遣割合の報告を求めるものであり、事業所ごとの関係派遣先への派遣割合の報告を求めるものではないこと。
(5) 関係派遣先への派遣割合の報告の受理
関係派遣先への派遣割合の報告を受理したときは、関係派遣先派遣割合報告書(様式第12号-2)の写し一通を提出者に控えとして交付する(第3の2の(2)参照)。
(6) 違反の場合の効果
イ 関係派遣先派遣割合報告書が(4)の提出期限までに提出されなかった場合(法第23条第3項)又は法第23条の2に規定する関係派遣先への派遣割合が遵守されていない場合であって、法第48条第1項の規定による指導又は助言をしてもなお関係派遣先派遣割合報告書が提出されない又は法第23条の2の規定に違反している場合には、厚生労働大臣は、法第48条第3項の規定に基づき、必要な措置をとるべきことを指示する場合がある。
ロ さらに、イの指示を受けたにもかかわらず、なお関係派遣先派遣割合報告書が提出されない又は法第23条の2の規定に違反している場合には、許可の取消し(法第14条第1項)、事業廃止命令(法第21条第1項)の対象となる(第13の2参照)。
3.海外派遣の届出
(1) 海外派遣の届出の意義
海外派遣については、派遣先に対しては国内法が適用されず、法の規定のみによっては、派遣労働者の適正な就業の確保が困難であるため、派遣元事業主には事前に届出をすることとさせ(法第23条第4項)法第26条第3項の規定(第7の2の(4)参照)と相まって海外派遣に係る派遣労働者の保護を図ることとしている。
(2) 「海外派遣」の意義
法第23条第4項に規定する海外派遣は「この法律の施行地外の地域に所在する事業所その他の施設において就業させるための労働者派遣」をいうものであり、したがって海外の事業所その他の施設において指揮命令を受け派遣労働者を就業させることを目的とする限り、海外に所在する法人又は個人である場合はもとより、派遣先が国内に所在する法人又は個人である場合において、当該派遣先の海外支店等において就業させるときもこれに該当する。
なお、派遣就業の場所が一時的に国外となる場合であったとしても出張等の形態により業務が遂行される場合、すなわち、主として指揮命令を行う者が日本国内におり、その業務が国内に所在する事業所の責任により当該事業所に帰属して行われている場合は、法の派遣先の講ずべき措置等の規定が直接当該派遣先に適用され、ここにおける「海外派遣」には該当しないものであるので特に留意すること。
(3) 届出の方法
イ 海外派遣の届出は、海外派遣をしようとするときに、あらかじめ、海外派遣届出書(様式第13号)を事業主管轄労働局を経て厚生労働大臣に提出することにより行う(則第18条、則第19条)(第3の2の(1)参照)。
ロ この場合、則第23条の規定による書面(第7の2の(4)参照)の写しを添付させること(則第18条)。
ハ 海外派遣届出書(様式第13号)及び則第23条の規定による書面は、それぞれ正本一通及びその写し二通を提出しなければならない(則第20条)。
ニ なお、海外派遣に該当するか否かの判断には極めて微妙な要素もあることから派遣先が国内に所在する法人又は個人である場合における当該派遣先の海外の事業所その他の施設において就業する労働者派遣であって、当該労働者派遣の期間がおおむね1か月を超えないものについては、「海外派遣」には該当せず、当該届出を要しないものとして取り扱って差し支えない(第7の2の(4)においても同様である。)。
(4) 海外派遣の届出の受理
海外派遣の届出を受理したときは、海外派遣届出書(様式第13号)及び則第23条の規定による書面の写しそれぞれ一通を届出者に控えとして交付する(第3の2の(2)参照)。
海外派遣の届出を受理した事業主管轄労働局は、当該事業所に係る事業所管轄労働局へ海外派遣届出書の複写及び関係書類を送付するものとする。
(5) 違反の場合の効果
イ 海外派遣の届出を所定の方法により行わなかった場合は、法第61条第2号に該当し、30万円以下の罰金に処せられる場合がある(第13の1参照)。
ロ また、法に違反するものとして、許可の取消し(法第14条第1項)、事業停止命令(法第14条第2項、法第21条第2項)、改善命令(法第49条第1項)の対象となり、イの司法処分を受けた場合は、許可の取消し、事業廃止命令(法第21条第1項)の対象となる(第13の2参照)。
4.事業所ごとの情報の提供
(1) 意義
イ 派遣元事業主は、労働者派遣事業を行う事業所ごとの派遣労働者の数、労働者派遣の役務の提供を受けた者の数、労働者派遣に関する料金の額の平均額から派遣労働者の賃金の額の平均額を控除した額を当該労働者派遣に関する料金の額の平均額で除して得た割合、教育訓練に関する事項など、あらかじめ関係者に対して知らせることが適当である事項について情報の提供を行わなければならない(法第23条第5項)。
ロ 派遣元事業主の透明性を確保することにより、派遣労働者による派遣元事業主の適切な選択や派遣労働者の待遇改善等に資することが期待される。
(2) 情報提供すべき事項
派遣元事業主が事業所ごとに情報提供すべき事項は、次のとおりである(法第23条第5項、則第18条の2第3項)。
① 派遣労働者の数
・ 直近の数が望ましいが、前事業年度に係る労働者派遣を行う事業所ごとの派遣労働者の数で差し支えない。例えば労働者派遣事業報告書(年度報告)に記載する数と同じ数とする場合は「1日平均」と記載する等、単位がわかるようにすること。
② 労働者派遣の役務の提供を受けた者の数
・ 直近の数が望ましいが、前事業年度に係る労働者派遣を行う事業所ごとの労働者派遣の役務の提供を受けた者(派遣先)の数で差し支えない。例えば労働者派遣事業報告書(年度報告)に記載する数と同じ数とする場合は「事業年度あたりの事業所数」と記載する等、単位がわかるようにすること。
③ 労働者派遣に関する料金の額の平均額から派遣労働者の賃金の額の平均額を控除した額を当該労働者派遣に関する料金の額の平均額で除して得た割合(以下「マージン率」という。)
・ 前事業年度に係る労働者派遣事業を行う事業所ごとの労働者派遣に関する料金の額の平均額(当該事業年度における派遣労働者一人一日(八時間)当たりの労働者派遣に関する料金の平均額。端数処理の方法は⑤を参照。)から派遣労働者の賃金の額の平均額(当該事業年度における派遣労働者一人一日(八時間)当たりの派遣労働者の賃金の額の平均額。端数処理の方法は⑥を参照。)を控除した額を当該労働者派遣に関する料金の平均額で除すことにより算出すること。なお、百分率(%)表記にした場合に、小数点以下一位未満の端数が生じた場合には、これを四捨五入すること(則第18条の2第2項)。
・ 労働者派遣に関する料金の額の平均額及び派遣労働者の賃金の額の平均額については、加重平均によるものとすること。具体的には、例えば、三名の派遣労働者を雇用している場合であって、労働者派遣に関する料金の額が一万円・一万円・三万円であるときは、一万円と三万円の単純平均とするのではなく、一万円の派遣労働者が二名いることを加味した加重平均の計算の考えによること(労働者派遣事業報告書(様式第11号)における「2 労働者派遣等実績」の「③ 労働者派遣の料金」欄及び「④ 派遣期間中の派遣労働者の賃金」欄の算出方法と同様のものである。)。
・ なお、マージン率の算定は事業所単位が基本であるが、当該事業所が労働者派遣事業を行う他の事業所と一体的な経営を行っている場合には、その範囲内で算定することも妨げないこと(則第18条の2第2項)。
「一体的な経営」とは、例えば、一定の地域に所在する複数の事業所で共通経費の処理を行っており、事業所ごとに経費が按分されていないような場合などが該当すること。
④ 教育訓練に関する事項
・ 例えば、教育訓練の種類、対象者、方法(OJT又はOff-JT)、実施期間、賃金支給の有無、派遣労働者の費用負担の有無等の労働者派遣事業報告書(様式第11号)に記載すべき事項と同様の事項を公表することが考えられるが、それ以外の事項についても、積極的に公表すべき事項があれば、公表することが望ましい。
⑤ 労働者派遣に関する料金の額の平均額
・ 労働者派遣に関する料金の額の平均額の算出方法は、③のとおりであること。なお、計算の結果、小数点以下の端数が生じた場合には、これを四捨五入し、整数表記すること。
⑥ 派遣労働者の賃金の額の平均額
・ 派遣労働者の賃金の額の平均額の算出方法は、③のとおりであること。なお、計算の結果、小数点以下の端数が生じた場合には、これを四捨五入し、整数表記すること。
⑦ その他労働者派遣事業の業務に関し参考となると認められる事項
・ 積極的な情報提供を行うことで実態をより正確に表すことが可能となり、派遣労働者による派遣元事業主の適切な選択等に資すると考えられる事項をいう。その内容は、各派遣元事業主において判断すべきものであるが、例えば、福利厚生に関する事項や派遣労働者の希望や適性等に応じた派遣先とのマッチング状況等が考えられる。
(3) 情報提供の方法等
イ 情報提供の方法は、事業所への書類の備付け、インターネットの利用その他の適切な方法により行うこととする(則第18条の2第1項)。
「その他の適切な方法」としては、例えば、パンフレットの作成や人材サービス総合サイトの活用等が考えられるが、情報提供の趣旨に鑑みて適切な方法によることが必要である。なお、人材サービス総合サイトについては、積極的に活用することが望ましい。
ロ 情報提供は、少なくとも、毎事業年度終了後可能な限り速やかに前年度分の実績を公表することが必要であるが、情報公開を積極的に進める観点から、派遣元事業主の判断により、当年度分の実績を追加的に情報提供することとしても差し支えない。
ハ マージン率は、当該事業所が行っている労働者派遣の全業務・全派遣労働者の平均値を計算すればよいが、情報公開を積極的に進める観点から、派遣元事業主の判断により、詳細な計算結果を追加的に情報提供することとしても差し支えない。
ニ 情報提供は、派遣労働者による派遣元事業主の適切な選択等に資するよう、マージン率だけではなく、教育訓練に関する事項やその他労働者派遣事業の業務に関し参考となると認められる事項等も含めて総合的に判断できるような形で行うことが重要である。
ホ 派遣元事業主は、関係者からの情報提供の求めがあった場合には、これに応じる義務があるのは当然である。
(4) 違反の場合の効果
情報提供を行わなかった場合、派遣元事業主は、許可の取消し(法第14条第1項)、事業停止命令(法第14条第2項、法第21条第2項)、改善命令(法第49条第1項)の対象となる(第13の2参照)。
○業務取扱要領(職業安定法第20条の準用)
職業安定法(労働争議に対する不介入)
第20条 公共職業安定所は、労働争議に対する中立の立場を維持するため、同盟罷業又は作業所閉鎖の行われている事業所に、求職者を紹介してはならない。
2 前項に規定する場合の外、労働委員会が公共職業安定所に対し、事業所において、同盟罷業又は作業所閉鎖に至る虞の多い争議が発生していること及び求職者を無制限に紹介することによつて、当該争議の解決が妨げられることを通報した場合においては、公共職業安定所は当該事業所に対し、求職者を紹介してはならない。但し、当該争議の発生前、通常使用されていた労働者の員数を維持するため必要な限度まで労働者を紹介する場合は、この限りでない。
(1) 概要
イ 派遣元事業主は、労働争議に対する中立の立場を維持するため、同盟罷業又は事業所閉鎖の行われている事業所に関し、労働者派遣(当該同盟罷業又は作業所閉鎖の行われる際現に当該事業所に関し労働者派遣をしている場合にあっては、当該労働者派遣及びこれに相当するものを除く。)をしてはならない(法第24条、職業安定法第20条第1項)。
ロ イのほか、労働委員会が公共職業安定所に対し、事業所において、同盟罷業又は作業所閉鎖に至るおそれの多い争議が発生していること及び無制限に労働者派遣が行われることによって、当該争議の解決が妨げられることを通報した場合においては、公共職業安定所は都道府県労働局に連絡し、都道府県労働局はその旨を派遣元事業主に通報するものとし、当該通報を受けた派遣元事業主は、当該事業所に関し、労働者派遣(当該通報の際現に当該事業所に関し労働者派遣をしている場合にあっては、当該労働者派遣及びこれに相当するものを除く。)をしてはならない。
ただし、当該争議の発生前、通常使用されていた労働者(労働者派遣に係る労働に従事していた労働者を含む。)の員数を維持するため必要な限度まで労働者派遣をする場合はこの限りでない(法第24条、職業安定法第20条第2項)。
(2) 労働争議に対する不介入の趣旨
労働争議は、労使対等の立場で行われその解決も自主的に行われるべきものである。ところが労働者派遣事業等の労働力需給調整システムが争議が行われている事業所に対し労働力の提供を行うことは、争議の自主的解決を妨げることとなり、適当ではない。
そのための民営職業紹介事業、労働者募集及び労働組合の行う労働者供給事業について準用されている職業安定法第20条をこれらと同様に準用することにより労働者派遣事業も労働争議に対して中立的立場に立ち、労働争議の自主的な解決を妨げないこととしたものである。
(3) 現に同盟罷業又は作業所閉鎖の行われているときの規制
イ 労働争議のうち同盟罷業(ストライキ)又は作業所閉鎖(ロックアウト)の行われている事業所に労働者派遣をすることが禁止される。
ロ 「同盟罷業」とは、労働者が団結して労働力の提供を拒否し、労働力を使用者に利用させない行為をいい、一部スト、部分スト、波状スト等ストライキ一般が含まれる。また、「作業所閉鎖」とは、労働者に対して作業所を閉鎖して労働者を就業不能の状態におき、労働者の提供する労務の受領を拒否することをいい、いわゆるロックアウトがこれに当たる。
ハ イの趣旨は、公正な労働関係を維持するためであるから、法律により争議行為が禁止された国、地方公共団体又は公共企業体において、争議行為が行われる等違法な争議行為が行われている場合に、労働者派遣をすることはイの趣旨に反するものではない。
ニ 禁止されるのは、同盟罷業又は作業所閉鎖が行われて以後、新たに労働者派遣をすることであり、その際現に、労働者派遣をしている場合には、その範囲内で引き続き労働者派遣をすることまで禁止するものではない(同盟罷業又は作業所閉鎖中に同一内容の契約の更新、更改を行うことも許容される)。ただし、従来から労働者派遣はしていても派遣労働者を増加させるような行為は許されない。
同盟罷業又は作業所閉鎖が予定されている場合に、その直前に、新たに労働者派遣をすることは法の趣旨に反するものであり、同様に許されないものと考えられる。
(4) 争議行為が発生しており、同盟罷業や作業所閉鎖に至るおそれの多いときの規制
イ 労働委員会から公共職業安定所に対し、無制限に労働者派遣をすることによって、当該争議の解決が妨げられることが通報された場合、公共職業安定所は都道府県労働局に連絡し、都道府県労働局は派遣元事業主に対しその旨を通報する。
この場合、当該派遣元事業主が労働者派遣をすることが一定の範囲において禁止される。
ロ 禁止される労働者派遣の範囲は、(3)と同様新たに労働者派遣をすることであり、通報の際に、現に労働者派遣をしている場合に、引き続き労働者派遣をすることまで禁止する趣旨ではない。
ハ また、当該労働争議の発生前に、通常使用されていた労働者の員数を維持するため必要な限度まで新たに労働者派遣をし、又は派遣労働者を増加させることは禁止されない。ここにいう通常使用されていた労働者の員数とは、派遣労働者を含めた数であり、一応労働争議発生前3か月の平均をもって判断するが、季節や時期によって事情が異なる場合もあり、このような場合には、例年のその時期の労働者数を考慮して判断する。
(5) 違反の場合の効果
(3)及び(4)に違反して労働者派遣を行った派遣元事業主は、許可の取消し(法第14条第1項)、事業停止命令(法第14条第2項、法第21条第2項)、改善命令(法第49条第1項)の対象となる(第13の2参照)。
○第23条、第23条の2、第24条、第24条の2の項目別まとめ
1.事業報告書及び収支決算書の提出
ア 事業報告書
労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業に係る労働者派遣事業報告書(様式第11号及び様式第11号-2)を作成し、事業主管轄労働局を経て厚生労働大臣に提出しなければならないこと。
労働者派遣事業報告書
① 労働者派遣事業報告書(様式第11号) 当該事業主の事業の毎事業年度経過後1か月以内
② 労働者派遣事業報告書(様式第11号-2) 毎年6月30日
参考:事業報告書の記入方法(例) URL(下記) https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/hakenshoukai04.pdf#search='%E5%8A%B4%E5%83%8D%E8%80%85%E6%B4%BE%E9%81%A3%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8%EF%BC%88%E6%A7%98%E5%BC%8F%E7%AC%AC11%E5%8F%B7%EF%BC%89'
イ 収支報告書
派遣元事業主は、労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業に係る労働者派遣事業収支決算書(様式第12号)を作成し、事業主管轄労働局を経て厚生労働大臣に提出しなければならない。
提出期限は、毎事業年度経過後3ヶ月以内。
様式第12号 URL
https://ibaraki-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0110/3233/2012102112730.pdf
2.関係派遣先への派遣割合
ア 関係派遣先
・関係派遣先」の範囲
関係派遣先の範囲は、次のとおり。
(ア)派遣元事業主が連結財務諸表を作成しているグループ企業に属している場合
① 派遣元事業主を連結子会社とする者(いわゆる親会社)
② 派遣元事業主を連結子会社とする者の連結子会社(いわゆる親会社の連結子会社)
(イ)派遣元事業主が連結財務諸表を作成していないグループ企業に属している場合
① 派遣元事業主の親会社等
② 派遣元事業主の親会社等の子会社等
イ 「派遣割合」の算出方法
・関係派遣先への派遣割合は、一の事業年度における派遣元事業主が雇用する派遣労働者(60歳以上の定年退職者を除く。)の関係派遣先での派遣就業に係る総労働時間を、当該事業年度における当該派遣元事業主が雇用する派遣労働者の全ての派遣就業に係る総労働時間で除すことにより算出すること。
そこで、60歳以上の定年退職者とは、継続雇用(勤務延長・再雇用)の終了の後に離職した者(再雇用による労働契約期間満了前に離職した者等を含む。)や、継続雇用中の者のような60歳以上の定年退職者と同等の者も含まれる。また、グループ企業内の退職者に限られるものではないこと。
ウ 派遣割合の報告の方法
関係派遣先派遣割合報告書(様式第12号-2)を作成し、毎事業年度経過後3か月以内に、事業主管轄労働局を経て、正本一通及びその写し二通を厚生労働大臣に提出しなければならない。
派遣割合の報告は、派遣元事業主全体での関係派遣先への派遣割合の報告を求めるものであり、事業所ごとの関係派遣先への派遣割合の報告を求めるものではない。
3.海外派遣の届出
派遣先が国内に所在する法人又は個人である場合において、当該派遣先の海外支店等において就業させるときには、派遣元事業主には事前に届出をさせ海外派遣に係る派遣労働者の保護を図ることとしている。
海外派遣の届出は、海外派遣をしようとするときに、あらかじめ、海外派遣届出書(様式第13号)を事業主管轄労働局を経て厚生労働大臣に提出することにより行う。
4.事業所ごとの情報の提供
(1)派遣元事業主が事業所ごとに情報提供すべき事項は、次のとおりである。
① 派遣労働者の数
② 労働者派遣の役務の提供を受けた者の数
③ 労働者派遣に関する料金の額の平均額(補足1)から派遣労働者の賃金の額の平均額を控除した額を当該労働者派遣に関する料金の額の平均額で除して得た割合(以下「マージン率」という。)
(補足1):当該事業年度における派遣労働者一人一日(八時間)当たりの労働者派遣に関する料金の平均額(加重平均)=分母
(補足2):派遣労働者一人一日(八時間)当たりの派遣労働者の賃金の額の平均額(加重平均)=分子
※マージン率:マージン率の算定は事業所単位が基本であるが、当該事業所が労働者派遣事業を行う他の事業所と一体的な経営を行っている場合には、その範囲内で算定することも妨げない。
このマージン率は、売り上げ(労働者派遣契約に基づく派遣労働者の8時間当たりの契約料金収入の平均額)に対する派遣労働者の賃金(派遣労働者の8時間当たりの平均賃金額)の割合を示すもの。
④ 教育訓練に関する事項
⑤ 労働者派遣に関する料金の額の平均額
⑥ 派遣労働者の賃金の額の平均額
⑦ その他労働者派遣事業の業務に関し参考となると認められる事項
※例えば、福利厚生に関する事項や派遣労働者の希望や適性等に応じた派遣先とのマッチング状況等
(2)情報提供の方法等
情報提供の方法は、事業所への書類の備付け、インターネットの利用その他の適切な方法により行い、情報提供は、少なくとも、毎事業年度終了後可能な限り速やかに前年度分の実績を公表することが必要である。
派遣元事業主は、関係者からの情報提供の求めがあった場合には、これに応じる義務がある。
(3)処分
情報提供を行わなかった場合、派遣元事業主は、許可の取消し、事業停止命令、改善命令の対象となる。
○業務取扱要領(労働者派遣の制限)
(1)労働者派遣の派遣割合の制限
派遣元事業主が労働者派遣をするときは、関係派遣先への派遣割合が100分の80以下となるようにしなければならない。
(2)「関係派遣先」の範囲
・派遣先事業主が、グループ企業に属している場合
① 派遣元事業主を連結子会社とする者(いわゆる親会社)
② 派遣元事業主を連結子会社とする者の連結子会社(いわゆる親会社の連結子会社)
・連結財務諸表を作成していないグループ企業に属している場合
① 派遣元事業主の親会社等
② 派遣元事業主の親会社等の子会社等
(3)「派遣割合」の算出方法
一の事業年度における派遣元事業主が雇用する派遣労働者(60歳以上の定年退職者を除く。)の関係派遣先での派遣就業に係る総労働時間を、当該事業年度における当該派遣元事業主が雇用する派遣労働者の全ての派遣就業に係る総労働時間で除すことにより算出する。
(4)報告の方法
関係派遣先派遣割合報告書(様式第12号-2)を作成し、当該事業主の事業の毎事業年度経過後3か月以内に、事業主管轄労働局を経て、正本一通及びその写し二通を厚生労働大臣に提出しなければならない。
参考:様式第12号の2 URL
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/hakenshoukai04.pdf#search='%E9%96%A2%E4%BF%82%E6%B4%BE%E9%81%A3%E5%85%88%E6%B4%BE%E9%81%A3%E5%89%B2%E5%90%88%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8%EF%BC%88%E6%A7%98%E5%BC%8F%E7%AC%AC12%E5%8F%B7%EF%BC%8D2%EF%BC%89'
(5)処分
指示を受けたにもかかわらず、なお関係派遣先派遣割合報告書が提出されない又は法第23条の2の規定に違反している場合には、許可の取消し、事業廃止命令の対象となる。
○労働者派遣法第24条の2違反の意味
労働者派遣を受ける者が、「無許可・無届の業者からの派遣受入れ(法第24 条の2)」「の規定に違反した場合には、指導・助言、勧告、企業名公表 などの行政処分の対象となります。(法第49 条の2)
なお、法第24条の2違反の罰則規定は設けられていません。
○労働者派遣と在籍出向の相違点
労働者派遣事業は、派遣元(派遣会社)が自ら雇用する労働者(派遣労働者)を派遣先に赴かせ、派遣先事業所の指揮命令の下に労務の提供を行わせるものです。この場合、外形上は派遣先事業主との雇用関係が存在するようにみえます。
他方、在籍出向は、自らが雇用する労働者を出向契約に基づき出向先とも雇用契約関係を結ばせ、結果的に二重の雇用関係の下に労務の提供をさせるものです。また、事実上出向元との雇用関係は休止(出向休職等)することとなります。
以上で労働者派遣法第23条・第23条の2・第24条・第24条の2を終了します。