労働者派遣法第24条の3、第24条の4、第25条

2015年06月17日 14:51

労働者派遣事業の適正な運用の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

第24条の3(個人情報の取扱い

 派遣元事業主は、労働者派遣に関し、労働者の個人情報を収集し、保管し、又は使用するに当たつては、その業務(紹介予定派遣をする場合における職業紹介を含む。次条において同じ。)の目的の達成に必要な範囲内で労働者の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。

2 派遣元事業主は、労働者の個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。

 

第24条の4(秘密を守る義務

 

 派遣元事業主及びその代理人、使用人その他の従業者は、正当な理由がある場合

でなければ、その業務上取り扱つたことについて知り得た秘密を他に漏らしてはな

らない。派遣元事業主及びその代理人、使用人その他の従業者でなくなつた後にお

いても、同様とする。

 

第25条(運用上の配慮)

 

 厚生労働大臣は、労働者派遣事業に係るこの法律の規定の運用に当たつては、労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行を考慮するとともに、労働者派遣事業による労働力の需給の調整が職業安定法に定める他の労働力の需給の調整に関する制度に基づくものとの調和の下に行われるように配慮しなければならない。

 

業務取扱要領(個人情報の取扱)

(1) 概要
  派遣元事業主は、労働者派遣に関し、その業務(紹介予定派遣をする場合における職業紹介を含む。)の目的の達成に必要な範囲内で労働者の個人情報を収集、保管及び使用し(法第24条の3第1項)、当該個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない(法第24条の3第2項)。また、派遣元事業主及びその代理人、使用人その他の従業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない(法第24条の4)。
 なお、紹介予定派遣をする場合において職業紹介を行う段階では、職業紹介事業主として、個人情報の保護等について職業安定法その他の法律の規定が適用となることに留意し、紹介予定派遣の各段階に応じ、派遣元事業所及び職業紹介事業所としてそれぞれ必要な個人情報保護措置を講じること(職業紹介事業関係業務取扱要領第11の3参照)。
(2) 個人情報の収集、保管及び使用
 派遣元事業主は、労働者派遣に関し、その業務の目的の達成に必要な範囲内で労働者の個人情報を収集、保管及び使用するに際し、以下の点に留意しなければならない。
   派遣元事業主は、派遣労働者となろうとする者を登録する際には当該労働者の希望及び能力に応じた就業の機会の確保を図る目的の範囲内で、派遣労働者として雇用し労働者派遣を行う際には当該派遣労働者の適正な雇用管理を行う目的の範囲内で、派遣労働者となろうとする者及び派遣労働者(以下「派遣労働者等」という。)の個人情報((2)及び(3)において単に「個人情報」という。)を収集することとし、次に掲げる個人情報を収集してはならない。ただし、特別な業務上の必要性が存在することその他業務の目的の達成に必要不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合はこの限りではない。
 (イ) 人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項
 (ロ) 思想及び信条
 (ハ) 労働組合への加入状況
 ・ (イ)から(ハ)については、具体的には、例えば次に掲げる事項等が該当する。
 (イ)関係
 ① 家族の職業、収入、本人の資産等の情報(税金、社会保険の取扱い等労務管理を適切に実施するために必要なもの及び日雇派遣の禁止の例外として認められる場合の収入要件を確認するために必要なものを除く。)
 ② 容姿、スリーサイズ等差別的評価に繋がる情報
 (ロ)関係 人生観、生活信条、支持政党、購読新聞・雑誌、愛読書
 (ハ)関係 労働運動、学生運動、消費者運動その他社会運動に関する情報
 ・ 「業務の目的の達成に必要な範囲」については、雇用することを予定する者を登録する段階と、現に雇用する段階では、異なることに留意する必要がある。前者においては、例えば労働者の希望職種、希望勤務地、希望賃金、有する能力・資格など適切な派遣先を選定する上で必要な情報がこれに当たり、後者においては、給与事務や労働・社会保険の手続上必要な情報がこれに当たるものである。
 ・ なお、一部に労働者の銀行口座の暗証番号を派遣元事業主が確認する事例がみられるが、これは通常、「業務の目的の達成に必要な範囲」に含まれるとは解されない。
   派遣元事業主は、個人情報を収集する際には、本人から直接収集し、又は本人の同意の下で本人以外の者から収集する等適法かつ公正な手段によらなければならない。
 ・ 「等」には本人が不特定多数に公表している情報から収集する場合が含まれる。
 なお、これ以外の場合で、問題が生じた場合には、本省あて相談すること。
   派遣元事業主は、高等学校若しくは中等教育学校又は中学校の新規卒業予定者であって派遣労働者となろうとする者から応募書類の提出を求めるときは、職業安定局長の定める書類(全国高等学校統一応募用紙又は職業相談票(乙))により提出を求めることが必要であること。
 なお、当該応募書類は、新規卒業予定者だけでなく、卒業後1年以内の者についてもこれを利用することが望ましいこと。
   個人情報の保管又は使用は、収集目的の範囲に限られること。
 なお、派遣労働者として雇用し労働者派遣を行う際には、労働者派遣事業制度の性質上、派遣元事業主が派遣先に提供することができる派遣労働者の個人情報は、法第35条第1項の規定により派遣先に通知すべき事項のほか、当該派遣労働者の業務遂行能力に関する情報に限られるものである。ただし、他の保管又は使用の目的を示して本人の同意を得た場合又は他の法律に定めのある場合は、この限りではない。
(3) 個人情報の適正管理
  派遣元事業主は、その保管又は使用に係る個人情報に関し、次に掲げる措置を適切に講ずるとともに、派遣労働者等からの求めに応じ、当該措置の内容を説明しなければならない。
 (イ) 個人情報を目的に応じ必要な範囲において正確かつ最新のものに保つための措置
 (ロ) 個人情報の紛失、破壊及び改ざんを防止するための措置
 (ハ) 正当な権限を有しない者による個人情報へのアクセスを防止するための措置
 (ニ) 収集目的に照らして保管する必要がなくなった(本人からの破棄や削除の要望があった場合を含む。)個人情報を破棄又は削除するための措置
   派遣元事業主等が、派遣労働者等の秘密に該当する個人情報を知り得た場合には、当該個人情報が正当な理由なく他人に知られることのないよう、厳重な管理を行わなければならない。
 「個人情報」とは、個人を識別できるあらゆる情報をいうが、このうち「秘密」とは、一般に知られていない事実であって(非公知性)、他人に知られないことにつき本人が相当の利益を有すると客観的に認められる事実(要保護性)をいうものである。具体的には、本籍地、出身地、支持・加入政党、政治運動歴、借入金額、保証人となっている事実等が秘密に当たりうる。
   派遣元事業主は、次に掲げる事項を含む個人情報適正管理規程を作成するとともに、自らこれを遵守し、かつ、その従業者にこれを遵守させなければならない。
 (イ) 個人情報を取り扱うことができる者の範囲に関する事項
 (ロ) 個人情報を取り扱う者に対する研修等教育訓練に関する事項
 (ハ) 本人から求められた場合の個人情報の開示又は訂正(削除を含む。以下同じ)の取扱いに
  関する事項
 (ニ) 個人情報の取扱いに関する苦情の処理に関する事項
 なお、(ハ)において開示しないこととする個人情報とは、当該個人に対する評価に関する情報が考えられる。
 また、(ニ)に関して苦情処理の担当者等取扱責任者を定めることが必要である。
   派遣元事業主は、本人が個人情報の開示又は訂正の求めをしたことを理由として、当該本人に対して不利益な取扱いをしてはならない。
 「不利益な取扱い」とは、具体的には、例えば、以後、派遣就業の機会を与えないこと等をいう。
(4) 個人情報の保護に関する法律の遵守等
 (1)から(3)までに定めるもののほか、派遣元事業主は、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号、以下「個人情報保護法」という。)第2条第3項に規定する個人情報取扱事業者(以下「個人情報取扱事業者」という。)に該当する場合には、個人情報保護法第4章第1節に規定する義務を遵守しなければならない。また、個人情報取扱事業者に該当しない場合であっても、個人情報取扱事業者に準じて、個人情報の適正な取扱いの確保に努めなければならない(第8の23及び第11参照)。
(5) 秘密を守る義務
 派遣元事業主及びその代理人、使用人その他の従業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。また、派遣元事業主及びその代理人、使用人その他の従業者でなくなった後においても、同様とする。
 なお、「正当な理由がある場合」とは、本人の同意がある場合、他の法益との均衡上許される場合等をいう。
 また、「秘密」とは、個々の派遣労働者(雇用することを予定する者を含む。)及び派遣先に関する個人情報をいい、私生活に関するものに限られない。職務を執行する機会に知り得た個人情報を含むものである。
 さらに、「他に」とは、当該秘密を知り得た事業所内の使用人その他の従業員以外の者をいうものである。
(6) 違反の場合の効果
 個人情報の保護に関する規定に違反した場合、派遣元事業主は、許可取消し(法第14条第1項)、事業停止命令(法第14条第2項、法第21条第2項)、改善命令(法第49条第1項)の対象となる(第13の2参照)。

 

個人情報保護に関するまとめ

 企業は、開発段階の申請前特許など様々な企業秘密を保持しています。従って、多くの派遣先企業としては受け入れた派遣労働者が重要な企業の秘密を漏洩した事件が起きた場合には、一般に、その後は派遣労働者を受け入れる企業が殆ど無くなってしまうことが予想されます。

 従って、事実上派遣先の労働者と類似の身分で業務を行う派遣労働者は、企業の機微や個人情報に触れる機会も多く、守秘義務は派遣労働者に課される最も重要な義務といえます。

 

 そこで、守秘義務に関する業務取扱要領の内容をまとめます。

・派遣元事業主は、業務の目的の達成に必要な範囲内で労働者の個人情報を収集、保管及び使用し個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。

 派遣元事業主及びその代理人・使用人その他の従業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。

 ・派遣元事業主等が、収集してはならない個人情報。

 (イ) 人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項
 (ロ) 思想及び信条
 (ハ) 労働組合への加入状況

また、収集が禁止される具体的情報としては、
 ① 家族の職業、収入、本人の資産等の情報

 ② 容姿、スリーサイズ等差別的評価に繋がる情報

・派遣元事業主は、個人情報に関し、次に掲げる措置を適切に講ずるとともに、派遣労働者等からの求めに応じ、当該措置の内容を説明しなければならない。

 (イ) 個人情報を目的に応じ必要な範囲において正確かつ最新のものに保つための措置
 (ロ) 個人情報の紛失、破壊及び改ざんを防止するための措置
 (ハ) 正当な権限を有しない者による個人情報へのアクセスを防止するための措置
 (ニ) 収集目的に照らして保管する必要がなくなった(本人からの破棄や削除の要望があった場合を含む。)個人情報を破棄又は削除するための措置

派遣元事業主は、次に掲げる事項を含む個人情報適正管理規程を作成するとともに、自らこれを遵守し、かつ、その従業者にこれを遵守させなければならない。

 

          個人情報適正管理規程の例
1 個人情報の取扱担当
 個人情報を取り扱う事業所内の職員の範囲は、営業課派遣事業係及び総務課総務係とする。
 個人情報取扱責任者は派遣事業係長○○○○とする。
2 教育、指導
 派遣元責任者は、個人情報を取り扱う1に記載する事業所内の職員に対し、個人情報の取
 扱いに関する教育・指導を年1回実施する。
 また、派遣元責任者は少なくとも3年に1回は、派遣元責任者講習を受講する。
3  情報の開示
 1の個人情報取扱責任者は、派遣労働者等から本人の個人情報について開示の請求があっ
 た場合は、その請求に基づき本人が有する資格や職業経験等客観的事実に基づく情報の開示
 を遅滞なく行う。
 更にこれに基づく訂正(削除を含む。以下同じ。)の請求があった場合は、当該請求の内容が
 客観的事実に合致するときは、遅滞なく訂正を行う。
 また、個人情報の開示又は訂正に係る取扱いについて、派遣元責任者は派遣労働者等への
 周知を随時おこなう。
4  苦情への対応
 派遣労働者等の個人情報に関して、当該情報に係る本人からの苦情の申出があった場合には、
 苦情処理担当者及び派遣元責任者は誠意を持って適切な処理をすることとする。
 なお、個人情報に係る苦情処理担当者は派遣元責任者◇◇◇◇とする。
 (イ) 個人情報を取り扱うことができる者の範囲に関する事項
 (ロ) 個人情報を取り扱う者に対する研修等教育訓練に関する事項
 (ハ) 本人から求められた場合の個人情報の開示又は訂正(削除を含む。以下同じ)
  の取扱いに関する事項
 (ニ) 個人情報の取扱いに関する苦情の処理に関する事項
                                  以 上

個人情報の保護に関する法律の遵守等
 派遣元事業主は、個人情報保護法第4章第1節に規定する義務を遵守しなければならない。
 派遣元事業主及びその代理人、使用人その他の従業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。
 ・個人情報の取扱違反の場合の処分

 個人情報の保護に関する規定に違反した場合、派遣元事業主は、許可取消し事業停止命令改善命令の対象となる。

 ※秘密情報が漏洩した場合には、民事・刑事の観点からいえば、民事上の損害賠償の対象となります。また、公務員以外は守秘義務違反の際に、刑事罰の対象となることはないと思われます。しかし、民事的には不法行為(民法第709条)に該当しますから、派遣元事業主及び派遣労働者等による秘密の不正取得や漏洩により派遣先企業から多額の損害賠償を求められることが想定されます。

参考 地方公務員法

 第34条 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、

  同様とする。

  2 法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合においては、任命権者(退職者については、その退職した職又はこれに相当する職に係る任命権者)の許可を受けなければならない。

  3 前項の許可は、法律に特別の定がある場合を除く外、拒むことができない。

 第60条 左の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。

  一 第十三条の規定に違反して差別をした者
  二 第三十四条第一項又は第二項の規定(第九条の二第十二項において準用する場合を含む。)に違反して秘密を漏らした者
  三 第五十条第三項の規定による人事委員会又は公平委員会の指示に故意に従わなかつた者
 
 国家公務員法

 第100条 職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。 

 2 法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表するには、所轄庁の長(退職者については、その退職した官職又はこれに相当する官職の所轄庁の長)の許可を要する。 

 3 前項の許可は、法律又は政令の定める条件及び手続に係る場合を除いては、これを拒むことができない。

 4 前三項の規定は、人事院で扱われる調査又は審理の際人事院から求められる情報に関しては、これを適用しない。何人も、人事院の権限によつて行われる調査又は審理に際して、秘密の又は公表を制限された情報を陳述し又は証言することを人事院から求められた場合には、何人からも許可を受ける必要がない。人事院が正式に要求した情報について、人事院に対して、陳述及び証言を行わなかつた者は、この法律の罰則の適用を受けなければならない

 5 前項の規定は、第十八条の四の規定により権限の委任を受けた再就職等監視委員会が行う調査について準用する。この場合において、同項中「人事院」とあるのは「再就職等監視委員会」と、「調査又は審理」とあるのは「調査」と読み替えるものとする。

 第109条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。(略)

 ※12号 第百条第一項若しくは第二項又は第百六条の十二第一項の規定に違反して秘密を漏らした者

 

 

 

 

以上で労働者派遣法第24条の3、第24条の4、第25条を終了します。