労働者派遣法第26条

2015年06月18日 12:31

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

26条(契約の内容等

 労働者派遣契約(当事者の一方が相手方に対し労働者派遣をすることを約する契約をいう。以下同じ。)の当事者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働者派遣契約の締結に際し、次に掲げる事項を定めるとともに、その内容の差異に応じて派遣労働者の人数を定めなければならない。

一 派遣労働者が従事する業務の内容

二 派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事する事業所の名称及び所在地その他派遣就業の場所

三 労働者派遣の役務の提供を受ける者のために、就業中の派遣労働者を直接指揮命令する者に関する事項

四 労働者派遣の期間及び派遣就業をする日

五 派遣就業の開始及び終了の時刻並びに休憩時間

六 安全及び衛生に関する事項

七 派遣労働者から苦情の申出を受けた場合における当該申出を受けた苦情の処理に関する事項

八 派遣労働者の新たな就業の機会の確保、派遣労働者に対する休業手当(労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第二十六条の規定により使用者が支払うべき手当をいう。第二十九条の二において同じ。)等の支払に要する費用を確保するための当該費用の負担に関する措置その他の労働者派遣契約の解除に当たつて講ずる派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置に関する事項

九 労働者派遣契約が紹介予定派遣に係るものである場合にあつては、当該職業紹介により従事すべき業務の内容及び労働条件その他の当該紹介予定派遣に関する事項

十 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項

2 派遣元事業主は、前項第四号に掲げる労働者派遣の期間(第四十条の二第一項第

び第四号に掲げる業務に係る労働者派遣の期間を除く。)については、厚生労

働大臣が当該労働力の需給の適正な調整を図るため必要があると認める場合におい

て業務の種類に応じ当該労働力の需給の状況、当該業務の処理の実情等を考慮して

定める期間を超える定めをしてはならない。

3 前二項に定めるもののほか、派遣元事業主は、労働者派遣契約であつて海外派

遣に係るものの締結に際しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該海外派

遣に係る役務の提供を受ける者が次に掲げる措置を講ずべき旨を定めなければなら

ない。

一 第四十一条の派遣先責任者の選任

二 第四十二条第一項の派遣先管理台帳の作成、同項各号に掲げる事項の当該台帳への記載及び同条第三項の厚生労働省令で定める条件に従つた通知

三 その他厚生労働省令で定める当該派遣就業が適正に行われるため必要な措置

4 派遣元事業主は、第一項の規定により労働者派遣契約を締結するに当たつて

は、あらかじめ、当該契約の相手方に対し、第五条第一項の許可を受け、又は第

十六条第一項の規定により届出書を提出している旨を明示しなければならない。

5 第四十条の二第一項各号に掲げる業務以外の業務について派遣元事業主から新たな労働者派遣契約に基づく労働者派遣の役務の提供を受けようとする者は、第一項の規定により当該労働者派遣契約を締結するに当たり、あらかじめ、当該派遣元事業主に対し、当該労働者派遣の役務の提供が開始される日以後当該業務について同条第一項の規定に抵触することとなる最初の日を通知しなければならない。

6 派遣元事業主は、第四十条の二第一項各号に掲げる業務以外の業務について新たな労働者派遣契約に基づく労働者派遣の役務の提供を受けようとする者から前項の規定による通知がないときは、当該者との間で、当該業務に係る労働者派遣契約を締結してはならない。

7 労働者派遣(紹介予定派遣を除く。)の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならない。

 

則第21条(労働者派遣契約における定めの方法等)

 法第二十六条第一項の規定による定めは、同項各号に掲げる事項の内容の組合せ

が一であるときは当該組合せに係る派遣労働者の数を、当該組合せが二以上である

ときは当該それぞれの組合せの内容及び当該組合せごとの派遣労働者の数を定める

ことにより行わなければならない。

2 法第二十六条第一項第一号の業務の内容に令第五条の業務が含まれるときは、

当該業務が該当する令第四条第一項各号に掲げる業務又は令第五条各号に掲げる業

務の条番号及び号番号を付するものとする。

3 労働者派遣契約の当事者は、当該労働者派遣契約の締結に際し法第二十六条第

一項の規定により定めた事項を、書面に記載しておかなければならない。

4 派遣元事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者は、当該労働者派遣契約

の締結に当たり法第二十六条第四の規定により明示された内容を、前項の書面に

併せて記載しておかなければならない。

 

則第22条(法第二十六条第一項第十号の厚生労働省令で定める事項)

 法第二十六条第一項第十号の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。

一 派遣元責任者及び派遣先責任者に関する事項

二 労働者派遣の役務の提供を受ける者が法第二十六条第一項第四号に掲げる派遣就業をする日以外の日に派遣就業をさせることができ、又は同項第五号に掲げる派遣就業の開始の時刻から終了の時刻までの時間を延長することができる旨の定めをした場合における当該派遣就業をさせることができる日又は延長することができる時間数

三 派遣元事業主が、法第三十条の二第一項に規定する派遣先(以下単に「派遣先」という。)である者又は派遣先となろうとする者との間で、これらの者が当該派遣労働者に対し、診療所、給食施設等の施設であつて現に当該派遣先である者又は派遣先になろうとする者に雇用される労働者が通常利用しているものの利用、レクリエーション等に関する施設又は設備の利用、制服の貸与その他の派遣労働者の福祉の増進のための便宜を供与する旨の定めをした場合における当該便宜供与の内容及び方法

 

則第22条の2(契約に係る書面の記載事項)

 第二十一条第三項に規定する書面には、同項及び同条第四項に規定する事項のほか、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める事項を記載しなければならない。

一 紹介予定派遣の場合 当該派遣先が職業紹介を受けることを希望しない場合又は職業紹介を受けた者を雇用しない場合には、派遣元事業主の求めに応じ、その理由を、書面の交付若しくはファクシミリを利用してする送信又は電子メールの送信(以下「書面の交付等」という。)により、派遣元事業主に対して明示する旨

二 法第四十条の二第一項第二号イの業務について行われる労働者派遣の場合 同号イに該当する旨

三 法第四十条の二第一項第二号ロの業務について行われる労働者派遣の場合 次のイからハまでに掲げる事項

イ 法第四十条の二第一項第二号ロに該当する旨

ロ 当該派遣先において当該業務が一箇月間に行われる日数

ハ 当該派遣先に雇用される通常の労働者の一箇月間の所定労働日数

四 法第四十条の二第一項第三号の業務について行われる労働者派遣の場合 次のイ及びロに掲げる事項

イ 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第六十五条第一項若しくは第二項の規定による休業(以下「産前産後休業」という。)、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号。以下「育児・介護休業法」という。)第二条第一号に規定する育児休業(以下「育児休業」という。)又は第三十三条に規定する場合における休業をする労働者の氏名及び業務

ロ イの労働者がする産前産後休業、育児休業又は第三十三条に規定する場合における休業の開始及び終了予定の日

五 法第四十条の二第一項第四号の業務について行われる労働者派遣の場合 次のイ及びロに掲げる事項

イ 育児・介護休業法第二条第二号に規定する介護休業(以下「介護休業」という。)又は第三十三条の二に規定する休業をする労働者の氏名及び業務

ロ イの労働者がする介護休業又は第三十三条の二に規定する休業の開始及び終了予定の日

 

則第23条(海外派遣に係る労働者派遣契約における定めの方法)

 派遣元事業主は、海外派遣に係る労働者派遣契約の締結に際し、法第二十六条第三項の規定により定めた事項を書面に記載して、当該海外派遣に係る役務の提供を受ける者に当該書面の交付等をしなければならない。

 

則第24条(法第二十六条第三項第三号の厚生労働省令で定める措置)

 法第二十六条第三項第三号の厚生労働省令で定める措置は、次のとおりとする。

一 法第二十六条第五項に規定する法第四十条の二第一項の規定に抵触することとなる最初の日の通知

二 法第三十九条の労働者派遣契約に関する措置

三 法第四十条第一項の苦情の内容の通知及び当該苦情の処理

四 法第四十条の三から第四十条の五までに規定する派遣労働者の雇用に関する事項に関する措置

五 法第四十条の六第二項に規定する通知

六 疾病、負傷等の場合における療養の実施その他派遣労働者の福祉の増進に係る必要な援助

七 前各号に掲げるもののほか、派遣就業が適正かつ円滑に行われるようにするため必要な措置

 

則第24条の2

(法第二十六条第五項に規定する法第四十条の二第一項の規定に抵触することとなる最初の日の通知の方法)

 法第二十六条第五項に規定する法第四十条の二第一項の規定に抵触することとなる最初の日の通知は、労働者派遣契約を締結するに当たり、あらかじめ、法第二十六条第五項の規定により通知すべき事項に係る書面の交付等により行わなければならない。

 

業務取扱要領(労働者派遣契約)

1.労働者派遣契約の趣旨
(1) 法第26条にいう「労働者派遣契約」は、「契約の当事者の一方が、相手方に対し労働者派遣することを約する契約」であり、当事者の一方が労働者派遣を行う旨の意思表示を行いそれに対してもう一方の当事者が同意をすること又は当事者の一方が労働者派遣を受ける旨の意思表示を行いそれに対してもう一方の当事者が同意をすることにより成立する契約であり、その形式については、文書であるか否か、又有償であるか無償であるかを問うものではない。
(2) 労働者派遣に関する契約については、恒常的に取引先との間に労働者派遣をする旨の基本契約を締結し、個々具体的に労働者派遣をする場合に個別に就業条件をその内容に含む個別契約を締結するという場合があるが、この場合、法第26条の意味における労働者派遣契約とは、後者の個別契約をいうものである。
(3) 「労働者派遣契約の当事者」とは、業として行うものであるか否かを問わず、当事者の一方が労働者派遣を行い、相手方がその役務の提供を受ける場合を全て含むものであり、労働者派遣をする者及び労働者派遣の役務の提供を受ける者の全てを指すものである。
 
2.労働者派遣契約の契約内容等
(1) 契約内容
   契約事項の定め
 (イ) 概要
 労働者派遣契約の締結に当たっては、(ハ)の事項を定めるとともに、その内容の差異に応じて派遣労働者の人数を定めなければならない(法第26条第1項、則第22条)。
 (ロ) 意義
 法で定める契約事項の定めは、労働者派遣を行うに当たっての必要最低限のものであり、それ以外の派遣料金、債務不履行の場合の賠償責任等の定めについては当事者の自由に委ねられる。
 (ハ) 契約事項
 労働者派遣契約には、次の事項を定めなければならない。
 ① 派遣労働者が従事する業務の内容
 ・ 業務の内容は、その業務に必要とされる能力、行う業務等が具体的に記述され、当該記載により当該労働者派遣に適格な派遣労働者を派遣元事業主が決定できる程度のものであることが必要であり、できる限り詳細であることが適当である。
 ・ 適用除外業務(第2の1参照)以外の業務に限られるものである。
 ・ 従事する業務の内容については可能な限り詳細に記載すること。
 (例 環境関連機器の顧客への販売、折衝、相談及び新規顧客の開拓並びにそれらに付帯する業務)
 ・ 同一の派遣労働者が複数の業務に従事する場合については、それぞれの業務の内容について記載すること。
 ② 派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事する事業所の名称及び所在地その他派遣就業の場所
 ・ 派遣労働者が実際に派遣就業する事業所その他の施設の名称、所在地だけではなく具体的な派遣就業の場所も含むものであり、原則として、派遣労働者の所属する部署、電話番号等必要な場合に派遣元事業主が当該派遣労働者と連絡がとれる程度の内容であること。
 ・ また、第9の4の(3)のイの①から⑤までに掲げる業務以外の業務について労働者派遣を行うときは、派遣先の事業所において当該派遣労働者が就業する最小単位の組織(第9の4の(4)参照)を記載すること。
 ③ 労働者派遣の役務の提供を受ける者のために、就業中の派遣労働者を直接指揮命令する者に関する事項
 ・ 派遣労働者を具体的に指揮命令する者の部署、役職及び氏名である。
 ④ 労働者派遣の期間及び派遣就業をする日
 ・ 当該労働者派遣契約に基づき、派遣労働者が労働者派遣される期間及び派遣労働者が具体的に派遣就業をする日であり、期間については、具体的な労働者派遣の開始の年月日及び終了の年月日、就業する日については、具体的な曜日又は日を指定しているものであること。
 ・ 第9の4の(3)のイの①から⑤までに掲げる業務以外の業務について労働者派遣を行うときは、派遣労働者が労働者派遣される期間は、(3)により通知を受けた日以降とすることはできない。
 ⑤ 派遣就業の開始及び終了の時刻並びに休憩時間
 ・ 派遣就業すべき日の派遣労働者の日々の始業、終業の時刻並びに休憩時間(法律上は時間数のみであるが、一般的には休憩の開始及び終了の時刻を特定して記載することが適当)である。
 ・ この定めの内容は、労働基準法で定める労働時間、休憩時間に関する規定に反しておらず、かつ、派遣元事業主と派遣労働者との間の労働契約の枠内でなければならない。
 ・ また、いわゆる「複合業務」である場合(令第5条の業務と、それ以外の業務とを併せて行う場合)等、第9の4の(3)のイの①から⑤に掲げる派遣受入期間の制限がない業務と、それ以外の派遣受入期間の制限のある業務とを併せて行う場合であって、第9の4の(3)のロにより、全体として派遣受入期間の制限を受けない業務として取り扱う場合については、それぞれの業務の通常の場合の1日当たり又は1週間当たりの就業時間数又はその割合を記載すること。
 ⑥ 安全及び衛生に関する事項
 次に掲げる事項のうち、派遣労働者が派遣先において①の業務を遂行するに当たって、当該派遣労働者の安全、衛生を確保するために必要な事項に関し就業条件を記載する必要がある。
 ( i )派遣労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関する事項
 (例えば、危険有害業務に従事させる場合には、当該危険有害業務の内容、当該業務による危険又は健康障害を防止する措置の内容等)
 (ⅱ) 健康診断の実施等健康管理に関する事項
 (例えば、有害業務従事者に対する特別な健康診断が必要な業務に就かせる場合には、当該健康診断の実施に関する事項等)
 (ⅲ) 換気、採光、照明等作業環境管理に関する事項
 (ⅳ) 安全衛生教育に関する事項
 (例えば、派遣元及び派遣先で実施する安全衛生教育の内容等)
 ( v ) 免許の取得、技能講習の修了の有無等就業制限に関する事項
 (例えば、就業制限業務を行わせる場合には、当該業務を行うための免許や技能講習の種類等)
 (ⅵ) 安全衛生管理体制に関する事項
 (ⅶ) その他派遣労働者の安全及び衛生を確保するために必要な事項
 ⑦ 派遣労働者から苦情の申出を受けた場合における当該申出を受けた苦情の処理に関する事項
 ・ 派遣元事業主及び派遣先は、派遣労働者の苦情の申出を受ける者、派遣元事業主及び派遣先において苦情処理をする方法、派遣元事業主と派遣先との連携のための体制等を記載すること(「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」第2の3(第8の23参照)及び「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の7(第9の16参照))。
 ・ 派遣労働者の苦情の申出を受ける者については、その者の氏名の他、部署、役職、電話番号についても記載すること。
 ⑧ 派遣労働者の新たな就業の機会の確保、派遣労働者に対する休業手当(労働基準法第26条の規定により使用者が支払うべき手当をいう。以下同じ。)等の支払に要する費用を確保するための当該費用の負担に関する措置その他の労働者派遣契約の解除に当たって講ずる派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置に関する事項
 ・ 労働者派遣契約の解除に際して、派遣労働者の雇用の安定を図る観点から、当該労働者派遣契約の当事者である派遣元事業主及び派遣先が協議して次の事項等に係る必要な措置を具体的に定めること(法第29条の2、「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」第2の2の(2)(第8の23参照)及び「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の6の(1)(第9の16参照))。
 (ⅰ) 労働者派遣契約の解除の事前の申入れ
 派遣先は、専ら派遣先に起因する事由により、労働者派遣契約の契約期間が満了する前の解除を行おうとする場合には、派遣元事業主の合意を得ることはもとより、あらかじめ相当の猶予期間をもって派遣元事業主に解除の申入れを行うものとすること。
 (ⅱ) 派遣先における就業機会の確保
 派遣元事業主及び派遣先は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に派遣労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって労働者派遣契約の解除が行われた場合には、当該派遣先の関連会社での就業をあっせんする等により、当該労働者派遣契約に係る派遣労働者の新たな就業機会の確保を図るものとすること。
 (ⅲ) 損害賠償等に係る適切な措置
 派遣先は、派遣先の責に帰すべき事由により労働者派遣契約の契約期間が満了する前に労働者派遣契約の解除を行おうとする場合には、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることとし、これができないときには、少なくとも当該労働者派遣契約の解除に伴い当該派遣元事業主が当該労働者派遣に係る派遣労働者を休業させること等を余儀なくされたことにより生じた損害の賠償を行わなければならないものとすること。例えば、当該派遣元事業主が当該派遣労働者を休業させる場合は休業手当に相当する額以上の額について、当該派遣元事業主がやむを得ない事由により当該派遣労働者を解雇する場合は、派遣先による解除の申入れが相当の猶予期間をもって行われなかったことにより当該派遣元事業主が解雇の予告をしないときは30日分以上、当該予告をした日から解雇の日までの期間が30日に満たないときは当該解雇の日の30日前の日から当該予告の日までの日数分以上の賃金に相当する額以上の額について、損害賠償を行わなければならないものとすること。その他派遣先は派遣元事業主と十分に協議した上で適切な善後処理方策を講ずるものとすること。また、派遣元事業主及び派遣先の双方の責に帰すべき事由がある場合には、派遣元事業主及び派遣先のそれぞれの責に帰すべき部分の割合についても十分に考慮するものとすること。
 (ⅳ) 労働者派遣契約の解除の理由の明示
 派遣先は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に労働者派遣契約の解除を行おうとする場合であって、派遣元事業主から請求があったときは、労働者派遣契約の解除を行った理由を当該派遣元事業主に対し明らかにするものとすること。
 ⑨ 労働者派遣契約が紹介予定派遣に係るものである場合にあっては、当該職業紹介により従事すべき業務の内容及び労働条件その他の当該紹介予定派遣に関する事項労働者派遣契約が紹介予定派遣に係るものである場合は、次に掲げる当該紹介予定派遣に関する事項を記載すること(第1の4参照)。
 ・ 紹介予定派遣である旨
 ・ 紹介予定派遣を経て派遣先が雇用する場合に予定される従事すべき業務の内容及び労働条件等
 【例】
 Ⅰ 労働者が従事すべき業務の内容に関する事項
 Ⅱ 労働契約の期間に関する事項
 Ⅲ 就業の場所に関する事項
 Ⅳ 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間及び休日に関する事項
 Ⅴ 賃金の額に関する事項
 Ⅵ 健康保険法による健康保険、厚生年金保険法による厚生年金、労働者災害補償保険法による労働者災害補償保険及び雇用保険法による雇用保険の適用に関する事項
 ・ 紹介予定派遣を受けた派遣先が、職業紹介を受けることを希望しなかった場合又は職業紹介を受けた者を雇用しなかった場合には、派遣元事業主の求めに応じ、それぞれのその理由を、書面の交付、ファクシミリを利用してする送信、又は電子メールの送信の方法により、派遣元事業主に対して明示する旨
 ・ 紹介予定派遣を経て派遣先が雇用する場合に、年次有給休暇及び退職金の取扱いについて、労働者派遣の期間を勤務期間に含めて算入する場合はその旨
 ⑩ 派遣元責任者及び派遣先責任者に関する事項
 ・ 派遣元責任者及び派遣先責任者の役職、氏名及び連絡方法である。また、①(派遣労働者が従事する業務の内容)が製造業務である場合には、当該派遣元責任者及び派遣先責任者が、それぞれ製造業務専門派遣元責任者(則第29条第3号)又は製造業務専門派遣先責任者(則第34条第3号)である旨を記載すること。
 ・ 派遣元責任者及び派遣先責任者の選任義務規定の適用を受けない場合は、当該事項の記載は要しない。ただし、派遣元責任者又は派遣先責任者を選任している場合には、記載を要するものである。
 ⑪ 労働者派遣の役務の提供を受ける者が④の派遣就業をする日以外の日に派遣就業をさせることができ、又は⑤の派遣就業の開始の時刻から終了の時刻までの時間を延長することができる旨の定めをした場合には、当該派遣就業をさせることができる日又は延長することができる時間数
 ・ この定めをする場合には、当該定めの内容が派遣元事業主と派遣労働者との間の労働契約又は派遣元事業場における36協定により定められている内容の範囲内でなければならない。
 ⑫ 派遣労働者の福祉の増進のための便宜の供与に関する事項
 派遣元事業主及び派遣先との間で、派遣先が当該派遣労働者に対し、診療所、給食施設等の施設であって現に派遣先に雇用される労働者が通常利用しているものの利用、レクリエーション等に関する施設又は設備の利用、制服の貸与、教育訓練その他の派遣労働者の福祉の増進のための便宜を供与する旨の定めをした場合には、当該便宜の供与に関する事項についても記載すること。
 ⑬ 派遣受入期間の制限を受けない業務について行う労働者派遣に関する事項
 ・ 第9の4の(3)のイの①に掲げる業務について労働者派遣を行う場合は、併せて当該業務の条番号及び号番号を必ず付す必要がある(則第21条第2項)。
 ・ 第9の4の(3)のイの②に掲げる有期プロジェクトの業務について労働者派遣を行うときは、法第40条の2第1項第2号イに該当する旨を記載すること(則第22条の2第2号)。
 ・ 第9の4の(3)のイの③に掲げる業務(日数限定業務)について労働者派遣を行うときは、ⅰ)法第40条の2第1項第2号ロに該当する旨、ⅱ)当該派遣先において、同号ロに該当する業務が1か月間に行われる日数、ⅲ)当該派遣先の通常の労働者の1か月間の所定労働日数を記載すること(則第22条の2第3号)。
 ・ 第9の4の(3)のイの④に掲げる育児休業等の代替要員としての業務について労働者派遣を行うときは、派遣先において休業する労働者の氏名及び業務並びに当該休業の開始及び終了予定の日を記載すること(則第22条の2第4号)。
 ・ 第9の4の(3)のイの⑤に掲げる介護休業等の代替要員としての業務について労働者派遣を行うときは、派遣先において休業する労働者の氏名及び業務並びに当該休業の開始及び終了予定の日を記載すること(則第22条の2第5号)。
 (ニ) 派遣労働者の人数の定め
 a 派遣労働者の人数の定めは次により行わなければならない(則第21条第1項)。
 ① (ハ)の①から⑫に掲げる就業条件の組合せが1つの場合は、当該労働者派遣に係る派遣労働者の人数
 ② (ハ)の①から⑫に掲げる就業条件の組合せが複数の場合は、当該組合せごとの派遣労働者の人数
 b 派遣労働者の人数とは、当該就業条件の組合せで常時いることとなる人数であり、複数の者が交替して行うこととなる場合であってもその複数の者分の人数を定めるものではない。例えば、午前と午後で1人ずつ就業することとなる場合は1人となる。
 (ホ) 労働者派遣契約の定めに関する留意事項
 a (ハ)の①から⑫の契約事項の内容を一部(④の労働者派遣の期間については必ず変更される。)変更し、再度労働者派遣契約を締結するに際しては、一部変更することとなる以前締結した契約を指定し、当該一部変更事項を定めることで足りるものとし、再度すべての契約内容の定めを行うことは要しないものとする。また、(ニ)における派遣労働者の人数についても変更する場合は、併せて、人数を定める(就業条件の組合せが複数であるときには、組合せごとに人数を定める。)ことで足りるものとする。
 b 派遣労働者が複数の業務を兼任して行う旨の労働者派遣契約を定めることができること。
 c 就業条件の組合せについては、次のような就業条件は複数とはならないものであり、当該就業条件をもって、就業条件の組合せが複数あることとはならないこと。
 ・ 派遣労働者が令第5条の業務のうち二以上の業務を兼任する場合
 ・ 派遣労働者を直接指揮命令する者が時間制により交替する場合
 ・ 派遣元責任者及び派遣先責任者が時間制により交替する場合
 d 第9の4の(3)のイの③に掲げる業務(日数限定業務)について労働者派遣を行う場合は、当該派遣先において、(ハ)の⑬のⅱ(当該派遣先において、法第40条の2第1項第2号ロに該当する業務が1か月間に行われる日数)に記載した日数に係る日以外には当該業務が行われないものであることを、労働者派遣契約の当事者において十分確認すること。
   労働者派遣契約の締結に際しての手続
 (イ) 労働者派遣契約締結の際の手続
 a 契約の当事者は、契約の締結に際し上記イの(ハ)及び(ニ)の契約の内容を書面に記載しておかなければならない(則第21条第3項)。
 b 派遣先は、当該労働者派遣契約の締結に当たり、法第26条第4項の規定により派遣元事業主からなされる、許可を受け、又は届出を行っている旨の明示の内容(具体的には許可番号又は届出受理番号)を上記aの書面に記載しておかなければならない(則第21条第4項)。
 (ロ) 労働者派遣契約の締結の際の手続に関する留意点
  イの(ホ)のaにより、以前締結した契約の一部を変更した契約を締結する際に行う書面への記載は、当該以前締結した契約の内容により労働者派遣を行い、又は受ける旨の記載並びに変更される契約事項について、その契約事項及びその変更内容を記載すれば足りるものとする。
 例えば、「平成○年○月○日付け労働者派遣契約と同内容で○○○○株式会社は、□□□□株式会社に対し、労働者派遣を行うものとする。ただし、派遣期間については平成○年○月○日から平成○年○月○日まで、派遣人員は3人とする。」という記載となる。
  派遣元事業主は、派遣先との間で労働者派遣契約を締結するに際しては、派遣先が求める業務の内容、当該業務を遂行するために必要とされる知識、技術又は経験の水準、労働者派遣の期間その他労働者派遣契約の締結に際し定めるべき就業条件を事前にきめ細かに把握すること(「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」第2の1(第8の23参照)。
 特に、労働者派遣の期間について1年を超える期間を定める場合は、派遣先はあらかじめ派遣先の労働者の過半数で組織する労働組合等に対して意見聴取を行う必要がある(法第40条の2第4項)ことから、派遣元事業主は派遣先に対し、当該意見聴取が実施されているか確認してから労働者派遣契約を締結すること。
  派遣先は、労働者派遣契約の締結の申込みを行うに際しては、就業中の派遣労働者を直接指揮命令することが見込まれる者から、業務の内容、当該業務を遂行するために必要とされる知識、技術又は経験の水準その他労働者派遣契約の締結に際し定めるべき就業条件の内容を十分に確認すること(「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の1(第9の16参照))。
  違反の場合の効果
 労働者派遣契約の締結に当たり、所定の事項を定めず又は所用の手続きを行わなかった場合、派遣元事業主は、許可の取消し(法第14条第1項)、事業停止命令(法第14条第2項、法第21条第2項)、改善命令(法第49条第1項)の対象となる(第13の2参照)。
(2) 派遣契約期間の制限
  概要
 派遣元事業主は、労働者派遣契約を締結する際に定めなければならない労働者派遣の期間については、厚生労働大臣が期間を定めた業務に関しては、当該期間を超える定めをしてはならない(法第26条第2項)。
 なお、派遣契約期間の制限のほか、派遣受入期間の制限(第9の4)にも十分に留意すること。
   派遣契約期間の制限の趣旨
 (イ) 派遣先が安易に派遣労働者を利用する事態を防止し、派遣先の労働者の雇用の安定を図るためのものである。
 (ロ) 禁止されるのは、派遣元事業主が厚生労働大臣の定める期間を超えた労働者派遣の期間を労働者派遣契約において定めることであり、契約の更新を全て禁止するものではない。ただし、この場合も第9の4の派遣受入期間の制限を超えて、派遣先が労働者派遣の役務の提供を受けることはできない(法第40条の2第1項)。
 ハ  厚生労働大臣の定める期間
 厚生労働大臣が定める期間は、当該労働力の需給の適正な調整を図るため必要があると認められる場合に定められ、業務の種類に応じ当該労働力の需給の状況、当該業務の処理の実情等を考慮し、併せて常用雇用労働者の代替への影響、日本的雇用慣行との調和、派遣労働者の雇用の安定等についても勘案して定める。
 具体的には次のとおりとする(平成2年労働省告示第83号)。
 (イ) 第9の4の(3)のニの「令第5条の業務」のうち、1に掲げる業務及び2の(1)、(2)、(6)、
  (7)、(9)、(10)の業務 ……………………………………………… 3年
 (ロ)上記以外の業務 ……………………………………………… なし
 なお、同一の派遣労働者が複数の業務に従事した場合についての派遣契約期間としては、第9の4の(3)のイの①に掲げる業務のみ行う場合については、その主として従事する業務に係る期間を適用することとする。なお、第9の4の(3)のイに掲げる業務以外の業務と併せて行う場合については、派遣契約期間の制限とは別に、派遣受入期間の制限(第9の4参照)があるため、派遣受入期間の制限を超えない範囲内において、派遣契約期間を定める必要がある(第9の4の(3)のロ参照)。
   労働者派遣契約の更新
 (イ) 「契約の更新」とは、「一定の期間を定めた契約において、その期間の満了に際して、当事者の約定によりその契約の同一性を存続させつつ、その存続期間のみを延長すること」又は「従来の契約期間の満了に際して、従前の契約に代えてこれと同一内容の別個な契約を新しく締結すること」をいう。
 (ロ) 労働者派遣の期間が定められ、当該契約の更新が行われるにしても、当該更新が自動的に行われる定めとなっている場合(いわゆる自動更新条項がある場合)は、労働者派遣の期間を設定していると評価できないものであり、当該定めをしている場合は法第26条第2項に違反することとなる。
 ただし、有期的事業の遂行のために臨時的に設けられた組織において就業させる労働者派遣については、当該更新された労働者派遣の期間を通算した期間が3年を超えないものについては当該更新が自動的に行われる旨を労働者派遣契約に定めることができるものとする。この場合において、
 「更新が自動的に行われる定め」とは、具体的には、例えば、「特段の事情(例えば、契約当事者の契約解除の意思表示)がない限り労働者派遣契約を自動的に更新する」旨の定めが該当する。
 「有期的事業」とは、当該事業の始期及び終期が明確に定められているなど当該事業が一定の期間で完了することが客観的に明確であるものをいうものであり、例えば完成期日が契約により定められている情報処理システムの開発や各種プラント工事等をいうものである。
 「臨時的に設けられた組織」とは、当該事業を行うために、新たに設けられた事業所及び部、課、室等の部署をいうものであり、かつ、当該事業の終了後は当該組織が解散又は消滅することが客観的に明確であるものをいうものである。なお、いわゆるプロジェクトチームについては、当該プロジェクトチームに専属の労働者が相当数存在し、かつ、業務上の指揮命令系統が明確に他の部門と区別されているものについてはこれに該当するものである。
 (ハ) 労働者派遣契約において、「契約当事者の合意により労働者派遣契約を更新する」旨の定めをすることは許容されるものである。
 (ニ) 契約上は自動更新を行うものとはなっていない場合であっても、実態として自動更新となっているものは、法第26条第2項の趣旨に反するものであるので留意すること。
 (ホ) なお、派遣契約期間の制限の限度を超える労働者派遣契約であっても、その超える部分が民事上当然無効となるものとは評価できないものであるので留意すること。
 ホ  その他
 (イ) 派遣契約期間の制限の趣旨は、ロの(イ)に掲げるように、派遣先に常用雇用される労働者の派遣労働者による代替を防止することにあることから、3年を超えて引き続き同一の業務に継続して派遣労働者を従事させるような場合は、本来は直接雇用にすることが望ましい旨派遣元責任者講習及び定期指導はもとより、求人説明会、関係事業主団体等の会議の機会をとらえて周知を行うこと。
(ロ) なお、派遣先に直接雇用されることを希望する派遣労働者に対し派遣先による直接雇用の機会をより多く確保する目的から、第9の4の(3)のイの①から⑤までに掲げる業務について3年を超えて同一業務に同一派遣労働者を受け入れている派遣先が、当該業務と同一の業務に従事させるために労働者を雇い入れようとするときは、当該派遣労働者に対し労働契約の申込みをしなければならないものであるので留意すること(法第40条の5、第9の5の(2)参照)。
 (ハ) 「継続して」の判断については、当該派遣労働者に係る派遣就業の終了の日から次の派遣就業の開始の日までの期間が3か月以下の場合は当該労働者派遣を継続して行っているものとする。
 この場合において、継続して行われる労働者派遣の期間の算定については、それぞれ派遣契約に係る当該派遣労働者の労働者派遣の開始の日から終了の日までの期間を合計するものとする。
  違反の場合の効果
 派遣契約期間の制限に違反した場合、派遣元事業主は、許可の取消し(法第14条第1項)、事業停止命令(法第14条第2項、法第21条第2項)、改善命令(法第49条第1項)の対象となる。
(3) 派遣受入期間の制限に抵触する日の通知
   概要
 第9の4の(3)のイの①から⑤までに掲げる業務以外の業務について新たな労働者派遣契約に基づく労働者派遣の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約を締結するに当たり、あらかじめ、派遣元事業主に対し、当該労働者派遣の開始の日以後、第9の4の派遣受入期間の制限に抵触することとなる最初の日を通知しなければならない(法第26条第5項)。
 また、派遣元事業主は当該通知がないときは、当該者との間で、労働者派遣契約を締結してはならない(法第26条第6項)。
 なお、当該抵触する日の判断は第9の4の(4)により行う。
   通知の趣旨
 新たな労働者派遣契約を締結する派遣元事業主に対し、自らの行う労働者派遣について派遣受入期間の制限に抵触することとなる最初の日を把握させ、派遣元事業主及び派遣先の双方に派遣受入期間の制限の規定を遵守させることを目的とする。
   通知の方法等
 (イ) 派遣受入期間の制限に抵触することとなる最初の日の通知については、労働者派遣契約の締結に際し、あらかじめ、労働者派遣の役務の提供を受けようとする者から派遣元事業主に対して、通知すべき事項に係る書面の交付若しくはファクシミリを利用してする送信又は電子メールの送信をすることにより行わなければならない(則第24条の2)。
 (ロ) 通知すべき事項は、締結しようとする労働者派遣契約に係る労働者派遣の役務の提供が、当該労働者派遣の開始の日以後、派遣受入期間の制限に抵触することとなる最初の日とする。
 (ハ) 同一の労働者派遣契約において、派遣就業の場所ごとの同一の業務の範囲を超える複数の業務に係る労働者派遣が組み合わされている場合は、当該業務ごとの派遣受入期間の制限に抵触することとなる最初の日をすべて通知することとする。
 (ニ)派遣元事業主は、当該通知がないときは、当該労働者派遣の役務の提供を受けようとする者との間で、労働者派遣契約を締結してはならない。
   派遣労働者への明示
 (イ) 派遣元事業主は、第9の4の(3)のイの①から⑤までに掲げる業務以外の業務について労働者派遣をしようとするときは、あらかじめ、派遣労働者に対して、当該派遣労働者が従事する業務について派遣先が派遣受入期間の制限に抵触することとなる最初の日を明示しなければならない(法第34条第1項第3号)。なお、派遣受入期間の制限に抵触することとなる最初の日の明示は、派遣受入期間の制限に抵触することとなる最初の日を書面、ファクシミリ又は電子メール(ファクシミリ又は電子メールによる場合にあっては、当該派遣労働者が希望した場合に限る。)を交付することにより行わなければならない(則第26条、第8の9の(4)及び(5)参照)。
 (ロ) 当該通知については、派遣労働者が派遣先における派遣就業に係る期間の制限を認識できることが派遣労働者のために望ましく、また、派遣先に対して派遣受入期間の制限の規定を遵守させるためにも有用であることから、行われるものである。
  その他
 派遣先は、労働者派遣契約の締結後に当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る業務について派遣受入期間を定め、又はこれを変更したときは、速やかに、当該労働者派遣をする派遣元事業主に対し、当該業務について派遣受入期間の制限に抵触することとなる最初の日を通知しなければならない(法第40条の2第5項)。
 なお、当該通知については、派遣先から派遣元事業主に対して、通知すべき事項に係る書面の交付若しくはファクシミリを利用してする送信又は電子メールの送信をすることにより行わなければならない(則第27条第2項、第9の4の(6)参照)。
  違反の場合の効果
 労働者派遣の役務の提供を受けようとする者から、派遣受入期間の制限に抵触することとなる最初の日の通知を受けず、当該者との間で新たな労働者派遣契約を締結した場合、派遣元事業主は、許可の取消し(法第14条第項)、事業停止命令(法第14条第2項、法第21条第2項)、改善命令(法第49条第1項)の対象となる(第13の2参照)。
(4) 海外派遣の場合の労働者派遣契約
   概要
 派遣元事業主は海外派遣(第6の3の(2)参照)に係る労働者派遣契約の締結に際しては、上記(1)及び(2)で定めるもののほか、ハの派遣先が講ずべき措置等を定めた事項を書面に記載して、当該海外派遣に係る役務の提供を受ける者に対し、当該定めた事項に係る書面の交付若しくはファクシミリを利用してする送信又は電子メールの送信をすることにより通知しなければならない
(法第26条第3項、則第23条、則第24条)。
 ロ  意義
 海外派遣の場合の労働者派遣契約の定めに関する措置は、当該海外派遣が行われる場合、法が派遣先に適用されないことから、特に労働者派遣契約において派遣先の講ずべき措置を定めさせることにより、民事的にその履行を確保させようとするものである。
 ハ  派遣先の講ずべき措置の定め
 海外派遣の場合には、特に派遣先の講ずべき措置として次に掲げる事項を定めなくてはならない(則第24条)。
 ① 派遣先責任者を選任すること。
 ・ 法第41条の規定による派遣先責任者の選任と同様の方法とすること(第9の8参照)
 ② 派遣先管理台帳の作成、記載及び通知を行うこと。
 ・ 法第42条第1項及び第3項の規定による派遣先管理台帳の作成、記載及び通知と同様の方法とすること(第9の9参照)。
 ③ 派遣労働者に関する労働者派遣契約の定めに反することのないように適切な措置を講ずること。
 ・ 法第39条の規定による措置と同様のものとすること(第9の2参照)。
 ④ 派遣労働者の派遣先における就業に伴って生ずる苦情等について、派遣元事業主に通知し、その適切かつ迅速な処理を図ること。
 ・ 法第40条第1項と同様のものとすること(第9の3参照)。
 ⑤ 疾病、負傷等の場合における療養の実施その他派遣労働者の福祉の増進に係る必要な援助を行うこと。
 ・ 海外への派遣であるために、特に求められる派遣労働者の福祉の増進のための援助である。
 ・ 「その他派遣労働者の福祉の増進のための援助」とは、例えば、派遣労働者の帰国に対する援助である。
 ⑥ その他派遣就業が適正に行われるため必要な措置を行うこと。
 ・ 法第40条第2項と同様のものであること(第9の3参照)。
 ⑦ 派遣受入期間の制限に抵触することとなる最初の日の通知及び離職した労働者についての労働者派遣の役務の受入れの禁止に関する通知を行うこと。
 ・ 法第26条第5項及び第40条の6第2項と同様のものとすること((3)及び第9の7参照)。
 ⑧ 第9の4の(3)のイの①から⑤に掲げる業務以外の業務について労働者派遣を行う場合には、同一の業務について継続して1年以上、第9の4の派遣受入期間以内の期間、労働者派遣の役務の提供を受けた場合において、引き続き同一の業務に労働者を従事させるため、労働者を雇い入れようとするときの、当該派遣労働者の雇用に関する措置
 ・ 法第40条の3と同様のものとすること(第9の6参照)。
 ⑨ 第9の4の(3)のイの①から⑤に掲げる業務以外の業務について労働者派遣を行う場合には、同一の業務について第9の4の派遣受入期間を超えて、引き続き当該派遣労働者を使用しようとするときの、当該派遣労働者に対する労働契約の申込みに関する措置
 ・ 法第40条の4と同様のものとすること(第9の5の(1)参照)。
 ⑩ 第9の4の(3)のイの①から⑤に掲げる業務について労働者派遣を行う場合には、同一の業務について3年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けた場合において、当該業務に労働者を雇い入れようとするときの当該派遣労働者に対する労働契約の申込みに関する措置
 ・ 法第40条の5と同様のものとすること(第9の5の(2)参照)。
  海外派遣に係る労働者派遣契約の締結の際の手続等
 派遣元事業主は、海外派遣に係る労働者派遣契約の締結に際し、上記ハの契約内容を当該海外派遣に係る派遣先に対して、書面の交付若しくはファクシミリを利用してする送信又は電子メールの送信をすることにより通知しなければならない。(則第23条)。
  派遣先が当該労働者派遣契約の定めに反した場合
 (イ) 派遣先が当該海外派遣に係る労働者派遣契約の定めに反した場合、当該契約について債務不履行となり、派遣元事業主は、その履行を派遣先に求めることができ、また、それを理由に労働者派遣契約を解除することができる。
 (ロ) したがって、海外派遣については、派遣元事業主を通じて、派遣先における一定の措置の履行を確保するものである。
   違反の場合の効果
 海外派遣に係る労働者派遣契約の締結に際し、所定の方法により派遣先の講ずべき措置等を定めなかった場合、派遣元事業主は、許可の取消し(法第14条第1項)、事業停止命令(法第14条第2項、法第21条第2項)、改善命令(法第49条第1項)の対象となる(第13の2参照)。
(5) 派遣元事業主であることの明示
  概要
 派遣元事業主は、労働者派遣契約を締結するに当たっては、あらかじめ、当該契約の相手方に対し、当該事業所について一般労働者派遣事業の許可を受け、又は特定労働者派遣事業の届出書を提出している旨を明示しなければならない(法第26条第4項)。
  具体的な明示の方法
 具体的な明示の方法は次により行うこと。
 ① 一般労働者派遣事業を行う事業主は、許可証に記載される許可番号により明示すること。
 ② 特定労働者派遣事業を行う事業主は、届出受理通知書に記載される届出受理番号により明示すること。
 
労働者派遣契約の逐条考察
1.法第26条第1項(労働者派遣契約の内容)
 労働者派遣契約の締結当事者は、当該労働者派遣契約の締結に際し、次に掲げる事項を定めるとともに、その内容の差異に応じて派遣労働者の人数を定めなければならない。
 ①従事する業務の内容、(第1号)
 ②労働に従事する事業所の名称及び所在地その他派遣就業の場所、(第2号)
 ③就業中の派遣労働者を直接指揮命令する者に関する事項、(第3号)
 ④労働者派遣の期間及び派遣就業をする日、(第4号)
 ⑤派遣就業の開始及び終了の時刻並びに休憩時間、(第5号)
 ⑥安全及び衛生に関する事項、(第6号)
 ⑦派遣労働者からの苦情の処理に関する事項、(第7号)
 ⑧派遣労働者の新たな就業の機会の確保、休業手当の等の支払に要する費用の負担に関する措置等その他の労働者派遣契約の解除に当たつて講ずる派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置、(第8号)
 ⑨紹介予定派遣は、職業紹介により従事すべき業務の内容及び労働条件その他の事項、(第9号)
 労働者派遣契約が紹介予定派遣の場合は、職業紹介により従事すべき業務の内容及び労働条件その他の当該紹介予定派遣に関する事項労働者派遣契約が紹介予定派遣に係るものである場合は、次に掲げる当該紹介予定派遣に関する事項を記載すること。
 ・ 紹介予定派遣である旨
 ・ 紹介予定派遣を経て派遣先が雇用する場合に予定される従事すべき業務の内容及び労働条件等
◇紹介予定派遣の派遣契約書に記載する項目の例
 Ⅰ 労働者が従事すべき業務の内容に関する事項
 Ⅱ 労働契約の期間に関する事項
 Ⅲ 就業の場所に関する事項
 Ⅳ 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間及び休日に関する事項
 Ⅴ 賃金の額に関する事項
 Ⅵ 健康保険法による健康保険、厚生年金保険法による厚生年金、労働者災害補償保険法
  による労働者災害補償保険及び雇用保険法による雇用保険の適用に関する事項
 ・ 紹介予定派遣を受けた派遣先が、職業紹介を受けることを希望しなかった場合又は職業紹介を受けた者を雇用しなかった場合には、派遣元事業主の求めに応じ、それぞれのその理由を、書面の交付、ファクシミリを利用してする送信、又は電子メールの送信の方法により、派遣元事業主に対して明示する旨
 ・ 紹介予定派遣を経て派遣先が雇用する場合に、年次有給休暇及び退職金の取扱いについて、労働者派遣の期間を勤務期間に含めて算入する場合はその旨
  ※年次有給休暇の取扱は、派遣元事業所について判断されます。従って、予定に従って派遣先に雇用された場合には、法律上は、派遣元で発生した年次有給休暇はすべて消滅することとなります。
 ⑩その他政令で定める事項(第10号)、(則第22条) 

(ⅰ)派遣元責任者及び派遣先責任者に関する事項

(ⅱ)派遣就業をする日以外の日に派遣就業をさせることができ、又は派遣就業の開始の時刻から終了の時刻までの時間を延長することができる旨の定めをした場合における、当該派遣就業をさせることができる日又は延長することができる時間数

 ※派遣契約上時間外労働や休日労働を行う場合がある旨の規定をあらかじめ設けて置くという趣旨です。

  なお、労働基準法の36協定は派遣元事業所にて締結・届出を行います。

(ⅲ)派遣元事業主が、診療所、給食施設等の施設であつて現に派遣先の労働者が通常利用しているものの利用、レクリエーション等に関する施設又は設備の利用、制服の貸与その他の派遣労働者の福祉の増進のための便宜を供与する旨の定めをした場合における当該便宜供与の内容及び方法

 

2.法第26条第2項(労働者派遣の期間)
 労働者派遣契約の期間は、厚生労働大臣が定める期間内とすること。
参考:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第二十六条第二項の規定に基づき厚生労働大臣が定める期間(平成二年十月一日)(労働省告示第八十三号)
 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第二十六条第二項の厚生労働大臣が定める期間は、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行令(昭和六十一年政令第九十五号)第四条第一項各号に掲げる業務並びに同令第五条第一号、第二号、第六号、第七号、第九号及び第十号の業務にあっては、三年とする
令第4条第1項 法第三十五条の三第一項の政令で定める業務は、次のとおりとする。

一 電子計算機を使用することにより機能するシステムの設計若しくは保守(これらに先行し、後続し、その他これらに関連して行う分析を含む。)又はプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。第十七号及び第十八号において同じ。)の設計、作成若しくは保守の業務

二 機械、装置若しくは器具(これらの部品を含む。以下この号及び第十八号において「機械等」という。)又は機械等により構成される設備の設計又は製図(現図製作を含む。)の業務

三 電子計算機、タイプライター又はこれらに準ずる事務用機器(第十七号において「事務用機器」という。)の操作の業務

四 通訳、翻訳又は速記の業務

五 法人の代表者その他の事業運営上の重要な決定を行い、又はその決定に参画する管理的地位にある者の秘書の業務

六 文書、磁気テープ等のファイリング(能率的な事務処理を図るために総合的かつ系統的な分類に従つてする文書、磁気テープ等の整理(保管を含む。)をいう。以下この号において同じ。)に係る分類の作成又はファイリング(高度の専門的な知識、技術又は経験を必要とするものに限る。)の業務

七 新商品の開発、販売計画の作成等に必要な基礎資料を得るためにする市場等に関する調査又は当該調査の結果の整理若しくは分析の業務

八 貸借対照表、損益計算書等の財務に関する書類の作成その他財務の処理の業務

九 外国貿易その他の対外取引に関する文書又は商品の売買その他の国内取引に係る契約書、貨物引換証、船荷証券若しくはこれらに準ずる国内取引に関する文書の作成(港湾運送事業法第二条第一項第一号に掲げる行為に附帯して行うもの及び通関業法(昭和四十二年法律第百二十二号)第二条第一号に規定する通関業務として行われる同号ロに規定する通関書類の作成を除く。)の業務

十 電子計算機、自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識、技術又は経験を必要とする機械の性能、操作方法等に関する紹介及び説明の業務

十一 旅行業法(昭和二十七年法律第二百三十九号)第十二条の十一第一項に規定する旅程管理業務(旅行者に同行して行うものに限る。)若しくは同法第四条第一項第四号に規定する企画旅行以外の旅行の旅行者に同行して行う旅程管理業務に相当する業務(以下この号において「旅程管理業務等」という。)、旅程管理業務等に付随して行う旅行者の便宜となるサービスの提供の業務(車両、船舶又は航空機内において行う案内の業務を除く。)又は車両の停車場若しくは船舶若しくは航空機の発着場に設けられた旅客の乗降若しくは待合いの用に供する建築物内において行う旅行者に対する送迎サービスの提供の業務

十二 建築物又は博覧会場における来訪者の受付又は案内の業務

十三 科学に関する研究又は科学に関する知識若しくは科学を応用した技術を用いて製造する新製品若しくは科学に関する知識若しくは科学を応用した技術を用いて製造する製品の新たな製造方法の開発の業務(第一号及び第二号に掲げる業務を除く。)

十四 企業等がその事業を実施するために必要な体制又はその運営方法の整備に関する調査、企画又は立案の業務(労働条件その他の労働に関する事項の設定又は変更を目的として行う業務を除く。)

十五 書籍、雑誌その他の文章、写真、図表等により構成される作品の制作における編集の業務

十六 商品若しくはその包装のデザイン、商品の陳列又は商品若しくは企業等の広告のために使用することを目的として作成するデザインの考案、設計又は表現の業務(次条第六号に掲げる業務を除く。)

十七 事務用機器の操作方法、電子計算機を使用することにより機能するシステムの使用方法又はプログラムの使用方法を習得させるための教授又は指導の業務

十八 顧客の要求に応じて設計(構造を変更する設計を含む。)を行う機械等若しくは機械等により構成される設備若しくはプログラム又は顧客に対して専門的知識に基づく助言を行うことが必要である金融商品(金融商品の販売等に関する法律(平成十二年法律第百一号)第二条第一項に規定する金融商品の販売の対象となるものをいう。)に係る当該顧客に対して行う説明若しくは相談又は売買契約(これに類する契約で同項に規定する金融商品の販売に係るものを含む。以下この号において同じ。)についての申込み、申込みの受付若しくは締結若しくは売買契約の申込み若しくは締結の勧誘の業務

  (以下略)
令第5条第1項 抜粋(1号,2号,6号,7号,9号,10号)

一 映像機器、音声機器等の機器であつて、放送番組等(放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第二条第一号に規定する放送の放送番組その他影像又は音声その他の音響により構成される作品であつて録画され、又は録音されているものをいう。以下同じ。)の制作のために使用されるものの操作の業務

二 放送番組等の制作における演出の業務(一の放送番組等の全体的形成に係るものを除く。)

六 建築物内における照明器具、家具等のデザイン又は配置に関する相談又は考案若しくは表現の業務(法第四条第一項第二号に規定する建設業務を除く。)

七 放送番組等における高度の専門的な知識、技術又は経験を必要とする原稿の朗読、取材と併せて行う音声による表現又は司会の業務(これらの業務に付随して行う業務であつて、放送番組等の制作における編集への参画又は資料の収集、整理若しくは分析の業務を含む。)

九 放送番組等の制作のために使用される舞台背景、建具等の大道具又は調度品、身辺装飾用品等の小道具の調達、製作、設置、配置、操作、搬入又は搬出の業務(法第四条第一項第二号に規定する建設業務を除く。)

十 水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)第三条第八項に規定する水道施設の消毒設備その他の設備、下水道法(昭和三十三年法律第七十九号)第二条第三号に規定する公共下水道、同条第四号に規定する流域下水道若しくは同条第五号に規定する都市下水路の消化設備その他の設備若しくは廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)第八条第一項に規定する一般廃棄物処理施設(同項に規定するごみ処理施設にあつては、一日当たりの処理能力が十トン以上のものに限る。)の焼却設備その他の設備の運転、点検若しくは整備の業務(高度の専門的な知識、技術又は経験を必要とする運転、点検又は整備の業務に限る。)又は非破壊検査用の機器の運転、点検若しくは整備の業務

 
3.法第26条第3項(海外労働者派遣の場合の労働契約の内容)

 海外派遣に係るものの締結に際しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該海外派遣に係る

役務の提供を受ける者が次に掲げる措置を講ずべき旨を定めなければならない。(則第23条)

①派遣先責任者の選任、(第1号)

②第四十二条第一項の派遣先管理台帳の作成、同項各号に掲げる事項の当該台帳への記載及び同条第三項の厚生労働省令で定める条件に従つた通知、(第2号)

③その他厚生労働省令で定める当該派遣就業が適正に行われるため必要な措置、(第3号)

 派遣元事業主は、法第二十六条第三項の規定により定めた事項を書面に記載して、海外派遣に係る役務の提供を受ける者に当該書面の交付等をしなければならない。(則第23条)
 ※法定された項目を具備した契約書を二通作成し、派遣先事業主に交付しなければならない。(則第23条)

4.法第26条第4項(労働者派遣契約時の許可証、届出受理番号の明示)
 労働者派遣契約を締結するに当たつては、許可証又は届出受理番号を明示しなければならない。
 
5.法第26条第5項(派遣可能期間を超える日の通知)
 第四十条の二第一項各号に掲げる業務以外の業務派遣先は、同条第一項の規定に抵触することとなる最初の日を通知しなければならない。
 派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務(次に掲げる業務を除く。)について、派遣元事業主から派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならない
 一 次のイ又はロに該当する業務であつて、当該業務に係る労働者派遣が労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行を損なわないと認められるものとして政令で定める業務(派遣可能期間を超えて派遣できる業務)

イ その業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務

ロ その業務に従事する労働者について、就業形態、雇用形態等の特殊性により、特別の雇用管理を行う必要があると認められる業務

令第5条

一 映像機器、音声機器等の機器であつて、放送番組等(放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第二条第一号に規定する放送の放送番組その他影像又は音声その他の音響により構成される作品であつて録画され、又は録音されているものをいう。以下同じ。)の制作のために使用されるものの操作の業務

二 放送番組等の制作における演出の業務(一の放送番組等の全体的形成に係るものを除く。)

三 建築物における清掃の業務

四 建築設備(建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第三号に規定する建築設備をいう。次号において同じ。)の運転、点検又は整備の業務(法令に基づき行う点検及び整備の業務を除く。)

五 建築物に設けられ、又はこれに附属する駐車場の管理の業務その他建築物に出入りし、勤務し、又は居住する者の便宜を図るために当該建築物に設けられた設備(建築設備を除く。)であつて当該建築物の使用が効率的に行われることを目的とするものの維持管理の業務(第三号に掲げる業務を除く。)

六 建築物内における照明器具、家具等のデザイン又は配置に関する相談又は考案若しくは表現の業務(法第四条第一項第二号に規定する建設業務を除く。)

七 放送番組等における高度の専門的な知識、技術又は経験を必要とする原稿の朗読、取材と併せて行う音声による表現又は司会の業務(これらの業務に付随して行う業務であつて、放送番組等の制作における編集への参画又は資料の収集、整理若しくは分析の業務を含む。)

八 電話その他の電気通信を利用して行う商品、権利若しくは役務に関する説明若しくは相談又は商品若しくは権利の売買契約若しくは役務を有償で提供する契約についての申込み、申込みの受付若しくは締結若しくはこれらの契約の申込み若しくは締結の勧誘の業務

九 放送番組等の制作のために使用される舞台背景、建具等の大道具又は調度品、身辺装飾用品等の小道具の調達、製作、設置、配置、操作、搬入又は搬出の業務(法第四条第一項第二号に規定する建設業務を除く。)

十 水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)第三条第八項に規定する水道施設の消毒設備その他の設備、下水道法(昭和三十三年法律第七十九号)第二条第三号に規定する公共下水道、同条第四号に規定する流域下水道若しくは同条第五号に規定する都市下水路の消化設備その他の設備若しくは廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)第八条第一項に規定する一般廃棄物処理施設(同項に規定するごみ処理施設にあつては、一日当たりの処理能力が十トン以上のものに限る。)の焼却設備その他の設備の運転、点検若しくは整備の業務(高度の専門的な知識、技術又は経験を必要とする運転、点検又は整備の業務に限る。)又は非破壊検査用の機器の運転、点検若しくは整備の業務

 

二 前号に掲げるもののほか、次のイ又はロに該当する業務(派遣可能期間を超えて派遣できる業務)

イ 事業の開始、転換、拡大、縮小又は廃止のための業務であつて一定の期間内に完了することが予定されているもの

ロ その業務が一箇月間に行われる日数が、当該派遣就業に係る派遣先に雇用される通常の労働者の一箇月間の所定労働日数に比し相当程度少なく、かつ、厚生労働大臣の定める日数以下である業務

 
6.法第26条第6項(労働者派遣契約の制限)
 (1) 派遣先は、労働者派遣契約の締結に当たり、あらかじめ、派遣元事業主に対し、労働者派遣の受入れ開始の日以後、派遣受入期間の制限に抵触する最初の日(抵触日)を通知しなければならないこと。
 (2) 派遣先から抵触日の通知がない場合は、派遣元事業主は新たに労働者派遣契約を締結してはならないこと。
 
7.法第26条第7項(派遣労働者の特定)
 派遣先事業所は、労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならない(紹介予定派遣を除く。)とされていること。
 
労働者派遣契約書の例
 PDF https://keiyaku.selfemployed.jp/hakenkihon.pdf#search='%E5%8A%B4%E5%83%8D%E8%80%85%E6%B4%BE%E9%81%A3%E5%A5%91%E7%B4%84%E6%9B%B8%E3%81%AE%E9%9B%9B%E5%BD%A2'
 
 
 
以上で労働者派遣法第26条を終了します。