労働者派遣法第4条

2015年06月13日 09:27

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

 

第4条

 

 何人も、次の各号のいずれかに該当する業務について、労働者派遣事業を行つてはならない。

一 港湾運送業務(港湾労働法(昭和六十三年法律第四十号)第二条第二号に規定する港湾運送の業務及び同条第一号に規定する港湾以外の港湾において行われる当該業務に相当する業務として政令で定める業務をいう。)

二 建設業務(土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務をいう。)

三 警備業法(昭和四十七年法律第百十七号)第二条第一項各号に掲げる業務その他その業務の実施の適正を確保するためには業として行う労働者派遣(次節、第二十三条第二項、第四項及び第五項並びに第四十条の二第一項第一号において単に「労働者派遣」という。)により派遣労働者に従事させることが適当でないと認められる業務として政令で定める業務

2 厚生労働大臣は、前項第三号の政令の制定又は改正の立案をしようとするときは、

あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴かなければならない。

3 労働者派遣事業を行う事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者は、その指

揮命令の下に当該労働者派遣に係る派遣労働者を第一項各号のいずれかに該当する業

務に従事させてはならない。

 

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行令

 

施行令第1条(法第四条第一項第一号の政令で定める業務)

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下「法」という。)第四条第一項第一号の政令で定める業務は、港湾労働法(昭和六十三年法律第四十号)第二条第一号に規定する港湾以外の港湾で港湾運送事業法(昭和二十六年法律第百六十一号)第二条第四項に規定するもの(第三号において「特定港湾」という。)において、他人の需要に応じて行う次に掲げる行為に係る業務とする。

一 港湾運送事業法第二条第一項に規定する港湾運送のうち、同項第二号から第五号までのいずれかに該当する行為

二 港湾労働法施行令(昭和六十三年政令第三百三十五号)第二条第一号及び第二号に掲げる行為

三 船舶若しくははしけにより若しくはいかだに組んで運送された貨物の特定港湾の水域の沿岸からおおむね五百メートル(水島港にあつては千メートル、鹿児島港にあつては千五百メートル)の範囲内において厚生労働大臣が指定した区域内にある倉庫(船舶若しくははしけにより又はいかだに組んでする運送に係る貨物以外の貨物のみを通常取り扱うものを除く。以下この条において「特定港湾倉庫」という。)への搬入(上屋その他の荷さばき場から搬出された貨物の搬入であつて、港湾運送事業法第二条第三項に規定する港湾運送関連事業のうち同項第一号に掲げる行為に係るもの若しくは同法第三条第一号から第四号までに掲げる事業又は倉庫業法(昭和三十一年法律第百二十一号)第二条第二項に規定する倉庫業のうち特定港湾倉庫に係るものを営む者(以下この条において「特定港湾運送関係事業者」という。)以外の者が行うものを除く。)、船舶若しくははしけにより若しくはいかだに組んで運送されるべき貨物の特定港湾倉庫からの搬出(上屋その他の荷さばき場に搬入すべき貨物の搬出であつて、特定港湾運送関係事業者以外の者が行うものを除く。)又は貨物の特定港湾倉庫における荷さばき。ただし、冷蔵倉庫の場合にあつては、貨物の当該倉庫に附属する荷さばき場から冷蔵室への搬入、冷蔵室から当該倉庫に附属する荷さばき場への搬出及び冷蔵室における荷さばきを除く。

四 道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号) 第二条第一項に規定する道路運送車両若しくは鉄道(軌道を含む。)(以下この号において「車両等」という。)により運送された貨物の特定港湾倉庫若しくは上屋その他の荷さばき場への搬入(特定港湾運送関係事業者以外の者が行う当該貨物の搬入を除く。)又は車両等により運送されるべき貨物の特定港湾倉庫若しくは上屋その他の荷さばき場からの搬出(特定港湾運送関係事業者以外の者が行う当該貨物の搬出を除く。)。ただし、冷蔵倉庫の場合にあつては、貨物の当該倉庫に附属する荷さばき場から冷蔵室への搬入及び冷蔵室から当該倉庫に附属する荷さばき場への搬出を除く。

施行令第2条(法第四条第一項第三号の政令で定める業務)

 法第四条第一項第三号の政令で定める業務は、次に掲げる業務(当該業務について紹介予定派遣をする場合、当該業務が法第四十条の二第一項第三号又は第四号に該当する場合及び第一号に掲げる業務に係る派遣労働者の就業の場所がへき地にあり、又は地域における医療の確保のためには同号に掲げる業務に業として行う労働者派遣により派遣労働者を従事させる必要があると認められるものとして厚生労働省令で定める場所(へき地にあるものを除く。)である場合を除く。)とする。

一 医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第十七条に規定する医業(医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第一条の五第一項に規定する病院若しくは同条第二項に規定する診療所(厚生労働省令で定めるものを除く。以下この条において「病院等」という。)、同法第二条第一項に規定する助産所(以下この条において「助産所」という。)、介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第八条第二十七項に規定する介護老人保健施設(以下この条において「介護老人保健施設」という。)又は医療を受ける者の居宅(以下この条において「居宅」という。)において行われるものに限る。)

二 歯科医師法(昭和二十三年法律第二百二号)第十七条に規定する歯科医業(病院等、介護老人保健施設又は居宅において行われるものに限る。)

三 薬剤師法(昭和三十五年法律第百四十六号)第十九条に規定する調剤の業務(病院等において行われるものに限る。)

四 保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第二条、第三条、第五条、第六条及び第三十一条第二項に規定する業務(他の法令の規定により、同条第一項及び第三十二条の規定にかかわらず、診療の補助として行うことができることとされている業務を含み、病院等、助産所、介護老人保健施設又は居宅において行われるもの(介護保険法第八条第三項に規定する訪問入浴介護及び同法第八条の二第二項に規定する介護予防訪問入浴介護に係るものを除く。)に限る。)

五 栄養士法(昭和二十二年法律第二百四十五号)第一条第二項に規定する業務(傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導に係るものであつて、病院等、介護老人保健施設又は居宅において行われるものに限る。)

六 歯科衛生士法(昭和二十三年法律第二百四号)第二条第一項に規定する業務(病院等、介護老人保健施設又は居宅において行われるものに限る。)

七 診療放射線技師法(昭和二十六年法律第二百二十六号)第二条第二項に規定する業務(病院等、介護老人保健施設又は居宅において行われるものに限る。)

八 歯科技工士法(昭和三十年法律第百六十八号)第二条第一項に規定する業務(病院等において行われるものに限る。)

2 前項のへき地とは、次の各号のいずれかに該当する地域をその区域に含む厚生労働省令で定める市町村とする。

一 離島振興法(昭和二十八年法律第七十二号)第二条第一項の規定により離島振興対策実施地域として指定された離島の区域

二 奄美群島振興開発特別措置法(昭和二十九年法律第百八十九号)第一条に規定する奄美群島の区域

三 辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律(昭和三十七年法律第八十八号)第二条第一項に規定する辺地

四 山村振興法(昭和四十年法律第六十四号)第七条第一項の規定により指定された振興山村の地域

五 小笠原諸島振興開発特別措置法(昭和四十四年法律第七十九号)第四条第一項に規定する小笠原諸島の地域

六 過疎地域自立促進特別措置法(平成十二年法律第十五号)第二条第一項に規定する過疎地域

七 沖縄振興特別措置法(平成十四年法律第十四号)第三条第三号に規定する離島の地域

 

則第1条(令第二条第一項の厚生労働省令で定める場所等)

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行令(昭和六十一年政令第九十五号。以下「令」という。)第二条第一項の厚生労働省令で定める場所は、次に掲げる場所とする。

一 都道府県が医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第三十条の二十三第一項の協議を経て同項の必要な施策として地域における医療の確保のためには令第二条第一項第一号に掲げる業務に業として行う労働者派遣により派遣労働者を従事させる必要があると認めた病院等(同号に規定する病院等をいう。次号において同じ。)であつて厚生労働大臣が定めるもの

 二 前号に掲げる病院等に係る患者の居宅

2 令第二条第一項第一号の厚生労働省令で定めるものは、次のとおりとする。

一 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)第五条第十一項に規定する障害者支援施設の中に設けられた診療所

二 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第三十八条第一項第一号(中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律(平成六年法律第三十号)第十四条第四項(中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の一部を改正する法律(平成十九年法律第百二十七号)附則第四条第二項において準用する場合を含む。)においてその例による場合を含む。)に規定する救護施設の中に設けられた診療所

三 生活保護法第三十八条第一項第二号(中国残留邦人等支援法第十四条第四項においてその例による場合を含む。)に規定する更生施設の中に設けられた診療所

四 独立行政法人労働者健康福祉機構法(平成十四年法律第百七十一号)第十二条第一項第七号に規定するリハビリテーション施設の中に設けられた診療所

五 老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第二十条の四に規定する養護老人ホームの中に設けられた診療所

六 老人福祉法第二十条の五に規定する特別養護老人ホームの中に設けられた診療所

七 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成六年法律第百十七号)第三十九条に規定する養護事業を行う施設の中に設けられた診療所

 

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則第一条第一項第一号の規定に基づき厚生労働大臣が定める病院等(平成二十一年一月三十日)(厚生労働省告示第十九号)

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行規則(昭和六十一年労働省令第二十号)第一条第一項第一号の規定に基づき、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行規則第一条第一項第一号の規定に基づき厚生労働大臣が定める病院等を次のように定める。

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則第一条第一項第一号の厚生労働大臣が定める病院等は、都道府県が次の表の第一欄に掲げる日に、同表の第二欄に掲げる協議の場において医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第三十条の十二第一項の協議を経て認めた同表の第三欄に掲げる期間における同表の第四欄に掲げる病院等とする。

認めた日

協議の場

期間

病院等の名称

平成二十二年二月九日

大阪府医療対策協議会

平成二十二年四月一日から平成二十五年三月三十一日まで

泉大津市立病院

平成二十三年一月六日

大阪府医療対策協議会

平成二十三年四月一日から平成二十四年二月六日まで

りんくう総合医療センター

※いずれも、定められた期間が経過しています。

 

業務取扱要領による確認

適用除外業務の範囲

(1) 港湾労働法第2条第1号に規定する港湾(東京、横浜、名古屋、大阪、神戸及び関門)における同
条第2号に規定する港湾運送業務
   港湾労働法第2条第2号に規定する港湾運送業務の範囲
 1の①に掲げる港湾運送業務のうち港湾労働法第2条第2号に規定する港湾運送の業務とは、
次に掲げる行為であること。
 (イ) 港湾運送事業法(昭和26年法律第161号)第2条第1項第2号から第5号までに規定する、船内荷役、はしけ運送、沿岸荷役及びいかだ運送の各行為(港湾労働法第2条第2号イ)
 (ロ) (イ)の行為と本質的機能を同じくするとともに、港湾運送の波動性の影響を受ける等労働の態様が港湾運送と類似し、実際に港湾運送との間に労働者の相互の流動が見られる行為である次に掲げる行為であって、他人の需要に応じて行うもの(港湾労働法第2条第2号ロ)
 a 船舶に積み込まれた貨物の位置の固定若しくは積載場所の区画又は船積貨物の荷造り若しくは荷直し
 b (イ)の行為に先行し、又は後続する船倉の清掃
 c 船舶若しくははしけにより若しくはいかだに組んで運送された貨物の港湾の水域の沿岸からおおむね500メートル(東京及び大阪の港湾にあっては 200メートル)の範囲内において厚生労働大臣が指定した区域内にある倉庫(船舶若しくははしけにより又はいかだに組んでする運送に係る貨物以外の貨物のみを通常取り扱うものを除く。以下「港湾倉庫」という。)への搬入(上屋その他の荷さばき場から搬出された貨物の搬入であって、港湾運送事業法第2条第3項に規定する港湾運送関連事業のうち同項第1号に掲げる行為に係るもの若しくは同法第3条第1号から第4号までに掲げる事業又は倉庫業法(昭和31年法律第121号)第2条第2項に規定する倉庫業のうち港湾倉庫に係るものを営む者(以下「港湾運送関係事業者」という。)以外の者が行うものを除く。)、船舶若しくははしけにより若しくはいかだに組んで運送されるべき貨物の港湾倉庫からの搬出(上屋その他の荷さばき場に搬入すべき貨物の搬出であって、港湾運送関係事業者以外の者が行うものを除く。)又は貨物の港湾倉庫における荷さばき。ただし、冷蔵倉庫の場合にあっては、貨物の当該倉庫に附属する荷さばき場から冷蔵室への搬入、冷蔵室から当該倉庫に附属する荷さばき場への搬出及び冷蔵室における荷さばきを除く。
 d 道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第2条第1項に規定する道路運送車両若しくは鉄道(軌道を含む。)(以下「車両等」という。)により運送された貨物の港湾倉庫若しくは上屋その他の荷さばき場への搬入(港湾運送関係事業者以外の者が行う当該貨物の搬入を除く。)又は車両等により運送されるべき貨物の港湾倉庫若しくは上屋その他の荷さばき場からの搬出(港湾運送関係事業者以外の者が行う当該貨物の搬出を除く。)。ただし、冷蔵倉庫の場合にあっては、貨物の当該倉庫に附属する荷さばき場から冷蔵室への搬入及び冷蔵室から当該倉庫に附属する荷さばき場への搬出を除く。
   イの(ロ)のaの「船舶に積み込まれた貨物の位置の固定若しくは積載場所の区画」とは、船舶に積み込まれた貨物の移動又は荷くずれ等を防止するために行う支持または固縛の行為であって、通常ラッシング又はショアリングと呼ばれているものをいい、「船積貨物の荷造り若しくは荷直し」とは、船内、岸壁又は上屋等の荷さばき場において行われる船積貨物の梱包、袋詰め等の荷造り若しくは荷の詰めかえ又は包装の修理等の荷直しの行為をいうものである。
   イの(ロ)のbの「(イ)の行為に先行し、又は後続する船倉の清掃」とは、船倉(タンクを含む。)の清掃をいい、船員の居住区域、機関区域、燃料タンク、飲料水タンク等直接港湾運送事業の業務と関連のない区域の清掃の行為は含まないものであること。
  イの(ロ)のc及びdにおける「港湾倉庫」については、昭和63年労働省告示第101号(港湾労働法施行令第2条第3号の規定に基づいて厚生労働大臣が指定する区域)により厚生労働大臣が指定する区域(具体的には別表1のとおり。)にある倉庫のうち、船舶若しくははしけにより又はいかだに組んでする運送になる貨物以外の貨物のみを通常取り扱うもの以外のものであること。
   イの(ロ)のc のいわゆる海側倉庫荷役については、次のとおりとする。
 (イ) 「船舶若しくははしけにより若しくはいかだに組んで運送された貨物の港湾倉庫への搬入」には、単に港湾倉庫に運び入れる作業だけでなく、港湾倉庫にはいつける作業まで含まれるものであること。
 (ロ) 「船舶若しくははしけにより若しくはいかだに組んで運送された貨物の港湾倉庫への搬出」には、単に港湾倉庫から運び出す作業だけでなく、港湾倉庫にはいくずす作業まで含まれるものであること。
 (ハ) 「上屋その他の荷さばき場から搬出された貨物の搬入」及び「上屋その他の荷さばき場へ搬入すべき貨物の搬出」については、港湾運送関係事業者が行う場合に限り対象となるが、港湾運送関係事業者であることの判断は、港湾労働法施行通達により判断された事業者をもって港湾運送関係事業者とすること。
 (ニ) 「貨物の港湾倉庫における荷さばき」とは、はい替え、仕訳け、看貫及び庫移しの作業を指すこと。
  この場合において「貨物」とは、船舶若しくははしけにより又はいかだに組んでする運送に係る貨物だけではなく、当該倉庫にあるすべての貨物をいうものであること。
 (ホ) 冷蔵倉庫に係る海側倉庫荷役については、冷蔵倉庫に附属する荷さばき場(冷蔵倉庫にプラットホーム等冷蔵室における作業に従事する労働者がその作業の一環として従事する場所をいう。以下同じ。)と冷蔵室との間における荷役作業及び冷蔵室における荷さばきの作業に限り、港湾運送の業務に入らないのであって、いわゆる水切りをした貨物をプラットホームに搬入する作業、冷蔵室外における荷さばき等それ以外の作業については、港湾運送の業務となること。
 (ヘ) 港湾倉庫以外の倉庫に係る寄託契約による貨物についてのはしけへの積込み又ははしけからの取卸し(いわゆる水切り作業)については、当該倉庫に係る倉庫荷役として取り扱うものであること。
ヘ イの(ロ)のdのいわゆる山側倉庫荷役については、次のとおりとすること。
 (イ) 「貨物の港湾倉庫又は上屋その他の荷さばき場への搬入」には、単に港湾倉庫又は上屋その他の荷さばき場に運び入れる作業だけでなく、はいつける作業まで含まれるものであること。
 (ロ) 「貨物の港湾倉庫又は上屋その他の荷さばき場への搬出」には、単に港湾倉庫又は上屋その他の荷さばき場から運び出す作業だけでなく、はいくずす作業まで含まれるものであること。
 (ハ) 冷蔵倉庫に係る山側倉庫荷役については、ホの(ホ)と同様であること。
   港湾運送事業法第2条第1項に規定する港湾運送の中には、検数(第6号)、鑑定(第7号)及び検量(第8号)の各行為が含まれているが、これらについては法第4条第1項に規定する港湾運送の業務には含まれないので留意すること。また、元請(第1号)の行為のうち、港湾運送事業法第2条第1項第2号から第5号までに掲げる行為については、法第4条第1項に規定する港湾運送業務に含まれるものであること。
(2) 港湾労働法第2条第1号に規定する港湾以外の港湾における港湾運送業務
 (1)以外の業務であって、港湾運送事業法の指定港湾(6大港を除く。具体的には別表2の港湾)において行われる同様の業務を定めるものである。
  港湾労働法第2条第1号に規定する港湾以外の港湾における港湾運送の業務に相当する業務の範囲
 1の①掲げる港湾運送業務のうち、港湾労働法第2条第1号に規定する港湾以外の港湾における港湾運送の業務とは、次に掲げる行為に係る業務とする。
 (イ) 港湾運送事業法第2条第1項第2号から第5号までに規定する、船内荷役、はしけ運送、沿岸荷役及びいかだ運送の各行為
 (ロ) (イ)の行為と本質的機能を同じくするとともに、港湾運送の波動性の影響を受ける等労働の態様が港湾運送と類似し、実際に港湾運送との間に労働者の相互の流動が見られる行為である次に掲げる行為であって、他人の需要に応じて行うもの
 a 船舶に積み込まれた貨物の位置の固定若しくは積載場所の区画又は船積貨物の荷造り若しくは荷直し
 b (イ)の行為に先行し、又は後続する船倉の清掃
 c 船舶若しくははしけにより若しくはいかだに組んで運送された貨物の特定港湾の水域の沿岸からおおむね500メートル(水島港にあっては1,000メートル、鹿児島港にあっては1,500メートル)の範囲内において厚生労働大臣が指定した区域(別表2参照)内にある倉庫(船舶若しくははしけにより又はいかだに組んでする運送に係る貨物以外の貨物のみを通常取り扱うものを除く。以下「特定港湾倉庫」という。)への搬入(上屋その他の荷さばき場から搬出された貨物の搬入であって、港湾運送事業法第2条第3項に規定する港湾運送関連事業のうち同項第1号に掲げる行為に係るもの若しくは同法第3条第1号から第4号までに掲げる事業又は倉庫業法第2条第2項に規定する倉庫業のうち特定港湾倉庫に係るものを営む者(以下「特定港湾運送関係事業者」という。)以外の者が行うものを除く。)、船舶若しくははしけにより若しくはいかだに組んで運送されるべき貨物の特定港湾倉庫からの搬出(上屋その他の荷さばき場に搬入すべき貨物の搬出であって、特定港湾運送関係事業者以外の者が行うものを除く。)又は貨物の特定港湾倉庫における荷さばき。ただし、冷蔵倉庫の場合にあっては、貨物の当該倉庫に附属する荷さばき場から冷蔵室への搬入、冷蔵室から当該倉庫に附属する荷さばき場への搬出及び冷蔵室における荷さばきを除く。
 d 道路運送車両法第2条第1項に規定する道路運送車両若しくは鉄道(軌道を含む。)(以下「車両等」という。)により運送された貨物の特定港湾倉庫若しくは上屋その他の荷さばき場への搬入(特定港湾運送関係事業者以外の者が行う当該貨物の搬入を除く。)又は車両等により運送されるべき貨物の特定港湾倉庫若しくは上屋その他の荷さばき場からの搬出(特定港湾運送関係事業者以外の者が行う当該貨物の搬出を除く。)。ただし、冷蔵倉庫の場合にあっては、貨物の当該倉庫に附属する荷さばき場から冷蔵室への搬入及び冷蔵室から当該倉庫に附属する荷さばき場への搬出を除く。
   各語の定義は(1)のロ以下と同様とすることとする。
 
(3) 建設業務
  1の②の建設業務は、「土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの準備の作業に係る業務」をいうが、この業務は建設工事の現場において、直接にこれらの作業に従事するものに限られる。したがって、例えば、建設現場の事務職員が行う業務は、これによって法律上当然に適用除外業務に該当するということにはならないので留意すること。
   土木建築等の工事についての施工計画を作成し、それに基づいて、工事の工程管理(スケジュール、施工順序、施工手段等の管理)、品質管理(強度、材料、構造等が設計図書どおりとなっているかの管理)、安全管理(従業員の災害防止、公害防止等)等工事の施工の管理を行ういわゆる施工管理業務は、建設業務に該当せず労働者派遣の対象となるものであるので留意すること。
 なお、工程管理、品質管理、安全管理等に遺漏が生ずることのないよう、請負業者が工事現場ごとに設置しなければならない専任の主任技術者及び監理技術者については、建設業法(昭和24年法律第100号)の趣旨に鑑み、適切な資格、技術力等を有する者(工事現場に常駐して専らその職務に従事する者で、請負業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあるものに限る。)を配置することとされていることから、労働者派遣の対象とはならないものとされていることに留意すること。
   林業の業務は、造林作業(①地ごしらえ、②植栽、③下刈り、④つる切り、⑤除伐、⑥枝打、⑦間伐)及び素材(丸太)生産作業(①伐採(伐倒)、②枝払い、③集材、④玉切り(造材))に分けることができるが、このうち造林作業の①地ごしらえの業務については建設現場における整地業務と作業内容が類似していること、②植栽の業務については土地の改変が行われることから、いずれも労働者派遣法の解釈としては建設業務に該当するものである。一方、造林作業の③下刈り、④つる切り、⑤除伐、⑥枝打及び⑦間伐の各業務及び素材(丸太)生産作業の各業務については、いずれも建設業務と類似する点は認められないため、建設業務に該当せず、労働者派遣事業の対象となるものである。ただし、同一の派遣労働者が同時に、造林作業のうちの①又は②の業務と、造林作業のうちの③から⑦までの業務又は素材(丸太)生産作業の各業務のうちのいずれかの業務を併せて行う場合のように、当該労働者派遣に適用除外業務が一部含まれているときは、全体として違法な労働者派遣となるものである。
 また、造林作業のうちの③から⑦までの業務又は素材(丸太)生産作業の各業務を実施するに当たっては、作業場・土場の整備、集材機の架設等建設業務に該当する業務を併せて行う場合があるが、同一の派遣労働者が同時に素材(丸太)生産作業の各業務のうちのいずれかの業務と作業道・土場の整備、集材機の架設等建設業務に該当する業務を併せて行う場合のように、当該労働者派遣に適用除外業務が一部含まれているときは、全体として違法な労働者派遣となるものである。
   また、派遣労働者が従事する業務の一部に「建設業務」に該当する業務が含まれている場合も違法な労働者派遣となるものである。
 
(4) 警備業務
   1の③の警備業務に相当する業務は、次に掲げる業務をいう。
 (イ) 事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等(以下「警備業務対象施設」という。)における盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務
 ・ 「事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等」とは、警備業務を行う対象となる施設を例示的に列記しているものである。施設とは、建物その他の工作物等の物的設備のほか、事業活動の全体を指す総合的な概念であるが、ある施設が警備業務対象施設に該当するかどうかの判断は、その施設における事故の発生の警戒、防止の業務について、警備業法による規制を行う社会的必要性が一般的に認められるかどうかという観点に基づいて行われるものである。
 「事故の発生を警戒し、防止する業務」とは、施設における異常の有無を確認し、不審者を発見したときに警察へ通報したり、倒れている負傷者を救出するなどの活動を行う業務をいう。「事故」とは、施設における事業活動の正常な運行を妨げ、又は施設の正常な状態を損なうような出来事をいう。「警戒し、防止する」とは、事故の発生につながるあらゆる情報を把握する目的を持って巡回、監視等の活動を行い、事故の発生につながる情報を把握した場合には、事故の発生を防止するために必要な措置を行い、又は事故が発生した場合には被害の拡大を防止するために必要な措置を行う一連の活動を意味するが、この一部分を行う業務であっても、「警戒し、防止する業務」に該当する。
 (ロ) 人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務
 ・ 祭礼、催し物等によって混雑する場所での雑踏整理、道路工事等現場周辺での人や車両の誘導等を行う業務をいう。
 (ハ) 運搬中の現金、貴金属、美術品等に係る盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務
 ・ 現金、貴金属、美術品等の運搬に際し、その正常な運行を妨げるような事故の発生を警戒し、防止する業務をいう。「現金、貴金属、美術品等」とは、運搬中の事故が及ぼす社会的、経済的影響の大きい物品を例示的に列記しているものである。この業務としては、現金等の運搬に際し警備員を運搬車両に添乗させる等して事故の発生を警戒し、防止する業務のほか、現金等を運搬すると同時に事故の発生を警戒、防止するという形態の業務が含まれる。
 (ニ) 人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務
 ・ 人の身体に対する危害の発生をその身辺において警戒、防止するいわゆるボディーガード等の業務をいう。
 ロ  また、派遣労働者が従事する業務の一部にイの(イ)から(ニ)までの業務のうちいずれかの業務が含まれているときは、全体として違法な労働者派遣となるものである。
  なお、警備業務に係る労働者派遣事業が行われることのないよう労働者派遣事業を行う事業主に対する指導監督の強化を図るとともに、警備業務について労働者派遣事業を行っているおそれがあることを認知した場合には、都道府県公安委員会に対し速やかに通報するなどの必要な措置を講ずること。

 

(5) その他の業務
  1の④に該当する業務は、次に掲げる業務(当該業務について紹介予定派遣をする場合、当該業務が法第40条の2第1項第3号又は第4号に該当する場合(第9の4の(3)の④又は⑤参照。以下同じ。)及び医師法(昭和23年法律第201号)第17条に規定する医業(以下単に「医業」という。)に係る派遣労働者の就業の場所がへき地(※1)にあり、又は地域における医療の確保のためには医業に業として行う労働者派遣により派遣労働者を従事させる必要があると認められるものとして厚生労働省令で定める場所(※2)(へき地にあるものを除く。)である場合を除く。)である(令第2条)。
 (イ)医業(病院等、助産所、介護老人保健施設又は医療を受ける者の居宅において行われるものに限る。)
 (ロ) 歯科医師法(昭和23年法律202号)第17条に規定する歯科医業(病院等、介護老人保健施設又は医療を受ける者の居宅において行われるものに限る。)
 (ハ) 薬剤師法(昭和35年法律第146号)第19条に規定する調剤の業務(病院等において行われるものに限る。)
 (ニ) 保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第2条、第3条、第5条、第6条及び第31条第2項に規定する業務(※3)(他の法令の規定により、保健師助産師看護師法第31条第1項及び第32条の規定にかかわらず、診療の補助として行うことができることとされている業務(※4)を含み、病院等、助産所、介護老人保健施設又は医療を受ける者の居宅において行われるもの(訪問入浴介護に係るものを除く。)に限る。)
 (ホ) 栄養士法(昭和22年法律第245号)第1条第2項に規定する業務(傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導に係るものであって、病院等、介護老人保健施設又は医療を受ける者の居宅において行われるものに限る。)
 (ヘ) 歯科衛生士法(昭和23年法律第204号)第2条第1項に規定する業務(病院等、介護老人保健施設又は医療を受ける者の居宅において行われるものに限る。)
 (ト) 診療放射線技師法(昭和26年法律第226号)第2条第2項に規定する業務(病院等、介護老人保健施設又は医療を受ける者の居宅において行われるものに限る。)
 (チ) 歯科技工士法(昭和30年法律168号)第2条第1項に規定する業務(病院等において行われるものに限る。)
※1)へき地とは、以下の①から⑦の法律に規定された地域をその区域に含む市町村として、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行令第2条第2項の市町村を定める省令(平成18年厚生労働省令第70号)により指定された地域であること。
 ① 離島振興法(昭和28年法律第72号)第2条第1項の規定により離島振興対策実施地域として指定された離島の区域
 ② 奄美群島振興開発特別措置法(昭和29年法律第189号)第1条に規定する奄美群島の区域
 ③ 辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律(昭和37年法律第88号)第2条第1項に規定する辺地
 ④ 山村振興法(昭和40年法律第64号)第7条第1項の規定により指定された振興山村の地域
 ⑤ 小笠原諸島振興開発特別措置法(昭和44年法律第79号)第2条第1項に規定する小笠原諸島の地域
 ⑥ 過疎地域自立促進特別措置法(平成12年法律第15号)第2条第1項に規定する過疎地域
 ⑦ 沖縄振興特別措置法(平成14年法律第14号)第3条第3号に規定する離島の地域
※2)厚生労働省令で定める場所は、次に掲げる場所とする。
 ① 都道府県が医療法(昭和23年法律第205号)第30条の12第1項の協議を経て同項の必要な施策として地域における医療の確保のためには医業に業として行う労働者派遣により派遣労働者を従事させる必要があると認めた病院又は診療所(以下「病院等」という。)であって、厚生労働大臣が定めるもの
 ② ①の病院等に係る患者の居宅
※3)「保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第2条、第3条、第5条、第6条及び第1条第2項に規定する業務」とは、具体的には、保健師、助産師、看護師及び准看護師の業務である保健指導、助産、療養上の世話及び診療の補助をいう。
※4)「他の法令の規定により診療の補助として行うことができることとされている業務とは、歯科衛生士、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士、義肢装具士、救急救命士、言語聴覚士及び認定特定行為業務従事者の行う業務が含まれる。
  労働者派遣事業(紹介予定派遣による場合、労働者派遣に係る業務が法第40条の2第1項第3号又は第4号に該当する場合及び労働者派遣に係る業務が医業に該当する場合であって、当該業務に係る派遣労働者の就業の場所がへき地にあり、又は地域における医療の確保のためには医業に業として行う労働者派遣により派遣労働者を従事させる必要があると認められるものとして厚生労働省令で定める場所(※2)(へき地にあるものを除く。)である場合を除く。)を行うことができない医業等の医療関連業務は、イに掲げるとおり、①病院、診療所(厚生労働省令で定めるものを除く。※5)、助産所、②介護老人保健施設又は③医療を受ける者の居宅において行われるものに限られる。
 このため、①から③以外の施設等(社会福祉施設等)において行われる医業等の医療関連業務は労働者派遣事業の対象となる。
 
【 労働者派遣事業の対象となる施設の例 】
・ 養護老人ホーム ・ 特別養護老人ホーム ・ 軽費老人ホーム
・ 老人デイサービスセンター ・ 老人短期入所施設 ・ 老人介護支援センター
・ 障害者支援施設 ・ 乳児院 ・ 保育所 ・ 福祉型障害児入所施設
・ 福祉型児童発達支援センター 等
注)これらの施設は例示であって、これらの施設以外の施設であっても、上記の①~③以外の施設等において行われる医業等の医療関連業務は、労働者派遣事業の対象となる。
※5)診療所において行われる医業等の医療関連業務については、原則として労働者派遣事業(紹介予定派遣による場合、労働者派遣に係る業務が法第40条の2第1項第3号又は第4号に該当する場合及び労働者派遣に係る業務が医業に該当する場合であって、当該業務に係る派遣労働者の就業の場所がへき地にあり、又は地域における医療の確保のためには医業に業として行う労働者派遣により派遣労働者を従事させる必要があると認められるものとして厚生労働省令で定める場所(※2)(へき地にあるものを除く。)である場合を除く。)の対象とならないが、以下の診療所において行われる医業等の医療関連業務については、労働者派遣事業の対象となる。
 ① 障害者支援施設の中に設けられた診療所
 ② 救護施設の中に設けられた診療所
 ③ 更生施設の中に設けられた診療所
 ④ 労災リハビリテーション施設の中に設けられた診療所
 ⑤ 養護老人ホームの中に設けられた診療所
 ⑥ 特別養護老人ホームの中に設けられた診療所
 ⑦ 原子爆弾被爆者養護ホームの中に設けられた診療所
   なお、社会福祉施設であっても、以下の施設は医療法上の病院、診療所又は助産所である場合がほとんどであり、その場合は労働者派遣事業(紹介予定派遣による場合、労働者派遣に係る業務が法第40条の2第1項第3号又は第4号に該当する場合及び労働者派遣に係る業務が医業に該当する場合であって、当該業務に係る派遣労働者の就業の場所がへき地にあり、又は地域における医療の確保のためには医業に業として行う労働者派遣により派遣労働者を従事させる必要があると認められるものとして厚生労働省令で定める場所(※2)(へき地にあるものを除く。)である場合を除く。)の対象とならないので留意すること。
 ① 医療型障害児入所施設
 ② 医療型児童発達支援センター
 ③ 助産施設
 ④ 医療保護施設
 ニ  「医療を受ける者の居宅」において行われる医療関連業務については、一般の住居において行われるものに限らず、労働者派遣事業の対象となる社会福祉施設等において行われる往診・訪問看護についても該当するので留意すること。
 ホ  訪問入浴介護において看護師又は准看護師が行うサービス利用者の身体の状況の把握等の業務は、居宅において行われる療養上の世話及び診療の補助の業務に該当するが、上記イのとおり労働者派遣事業の対象となる。
   病院等における看護補助の業務についてはイに掲げる業務には含まれず、労働者派遣を行うことができるので留意すること。
   また、ホームヘルパー等介護の業務についてはイに掲げる業務には含まれず、労働者派遣を行うことができるので留意すること。
 なお、介護業務の労働者派遣の形態としては個人家庭に対するもの、病院、福祉施設等に対するもの、介護業務の受託業者に対するものが想定される。
   医業に係る派遣労働者の就業場所がへき地にある場合(以下「へき地の場合」という。)又は地域における医療の確保のためには医業に業として行う労働者派遣により派遣労働者を従事させる必要があると認められるものとして厚生労働省令で定める場所(※2)の場合(以下「地域医療の場合」という。)に労働者派遣を行うにあたっては、派遣労働者である医師による適正な医療を確保するため、派遣後に医業を円滑に行うために必要な研修(以下「事前研修」という。)をあらかじめ受けた医師を派遣すべきであり、派遣先となる病院等が派遣労働者として医師を受け入れるに当たっては、事前研修を受けた医師を受け入れるべきであること。(※6)
 この点については、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令の一部を改正する政令の施行について」(平成18年3月31日医政発第0331022号・職発第0331028号・老発第0331011号)及び「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令の一部を改正する政令等の施行について」(平成19年12月14日医政発第1214004号・職発第1214001号)において、派遣先である病院等に対しても、派遣労働者として医師を受け入れる場合には、事前研修を受けた医師であるか確認した上で受け入れるよう求めていること。
 なお、医師を派遣する派遣元事業主が、派遣労働者に事前研修を受けさせてから派遣しているか否かの確認は、事前研修を修了した旨の証明書又はこれに準ずるものを確認することにより行うこととし、事前研修を受けさせず医師の派遣を行っていることが判明した場合には、派遣元事業主及び派遣先の双方に対し、事前研修を受けさせてから就業させるよう、指導及び助言を行うこと。
※6)事前研修
 事前研修の実施主体、内容等については、一般的には、以下のようなものが望ましいと考えられる。ただし、派遣先となる病院等の意向を十分に確認した上で、派遣される医師の個人的な属性(専門分野、派遣勤務経験等)や労働者派遣契約の内容(勤務場所、派遣期間、業務内容の特約等)等に応じた取扱いをしても差し支えないこと。
 ① 事前研修の実施主体
 へき地の場合は各都道府県のへき地医療支援機構が、地域医療の場合は各都道府県が設ける医療対策協議会の協力の下で派遣元事業主が中心となって行うものであること。
 ② 事前研修の内容
 ・ 派遣先である病院等と医療機能の連携体制を図っている医療機関や消防・警察等の関係機関との連携体制のあり方について
 ・ 派遣先である病院等に係る医療圏における医療提供体制や、救急医療・在宅医療等に関する知識及び手技等について
 ・ 派遣先である病院等の地域固有の自然環境や生活環境(気候・地形、疾病構造・風土病、ライフラインの整備状況等)について
 ③ 事前研修の期間について
 最低6時間以上であることが望ましいこと。
 ④ 事前研修を修了した旨の証明について
 当該医師が事前研修を修了したと認められる場合には、へき地の場合はへき地医療支援機構、地域医療の場合は派遣元事業主において、その旨の証明書を発行又はこれに準ずる取扱いをもって明らかにすること。
 ⑤ 事前研修を実施する必要のない者について
 事前研修の実施については、上記のとおり、派遣先となる病院等の意向を十分に確認した上で、一定の柔軟な取扱いをすることも可能であるが、へき地の場合又は地域医療の場合にそれぞれ医師不足病院等へ派遣労働者として派遣され、1年以上勤務した経験を有する者又はそれと同等以上の経験を有すると認められる者に対しては、事前研修を実施する必要はないものとして取り扱って差し支えないこと。
(6) 違反の場合の効果
  適用除外業務について労働者派遣事業を行った者は、法第59条第1号に該当し1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる場合がある。
 また、許可の取消し(法第14条第1項)、事業停止命令(法第14条第2項、法第21条第2項)、改善命令(法第49条第1項)の対象となり、イの司法処分を受けた場合は、許可の取消し、事業廃止命令(法第21条第1項)の対象となる(第13の2参照)。
  また、その指揮命令の下に派遣労働者を適用除外業務に従事させた者は、勧告(法第49条の2第1項)、公表(法第49条の2第2項)の対象となり(第13の3参照)、また、派遣労働者を適用除外業務に従事させる者へ労働者派遣を行った派遣元事業主は、労働者派遣の停止命令(法第49条第2項)の対象となる(第13の2の(5)参照)。
 
適用除外業務以外の業務に係る制限
 以下の①から⑤の業務については、次のような観点から労働者派遣事業を行ってはならず、また、労働者派遣事業を行う事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者は、その指揮命令の下に当該労働者派遣に係る派遣労働者をこれらの業務に従事させてはならないものであるので留意すること。
 ① 人事労務管理関係のうち、派遣先において団体交渉又は労働基準法に規定する協定の締結等のための労使協議の際に使用者側の直接当事者として行う業務(許可基準により、当該業務への労働者派遣を行う場合は許可しないこととしており、また当該業務への労働者派遣を行わない旨を許可条件として付すこととしている)であること(第4の1の(5)及び(9)参照)。
 ② 弁護士法(昭和24年法律第205号)、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法(昭和61年法律第66号)、司法書士法(昭和25年法律第197号)及び土地家屋調査士法(昭和25年法律第228号)に基づく弁護士、外国法事務弁護士、司法書士及び土地家屋調査士の業務については、資格者個人がそれぞれ業務の委託を受けて当該業務を行う(当該業務については指揮命令を受けることがない)こととされていることから、労働者派遣の対象とはならないものであること。
 ③ 公認会計士法(昭和23年法律第103号)に基づく公認会計士の業務については、資格者個人がそれぞれ業務の委託を受けて当該業務を行う(当該業務については指揮命令を受けることがない)こととされていることから、労働者派遣の対象とはならないものであること。ただし、派遣元が監査法人(公認会計士を含む。)以外の者である場合であって、かつ、当該派遣の対象となる公認会計士が公認会計士法第2条第1項に規定する業務を行わない場合には、労働者派遣は可能であること。
 なお、公認会計士が、公認会計士法第2条第3項の規定により、監査証明に補助者として従事する業務は、同条第1項に規定する業務に該当するものであること。
 ④ 税理士法(昭和26年法律第237号)に基づく税理士の業務については、資格者個人がそれぞれ業務の委託を受けて当該業務を行う(当該業務については指揮命令を受けることがない)こととされていることから、労働者派遣の対象とはならないものであること。ただし、派遣元が税理士及び税理士法人以外の者である場合であって、かつ、当該派遣の対象となる税理士が派遣先の税理士又は税理士法人の補助者(同法第2条第3項に規定する補助者をいう。)として同条第1項又は第2項に規定する業務を行う場合には、税理士の労働者派遣は可能であること。なお、派遣される税理士は、派遣先の補助税理士として登録しなければならないとされていること。
 ⑤ 弁理士法(平成12年法律第49号)に基づく弁理士の業務については、資格者個人がそれぞれ業務の委託を受けて当該業務を行う(当該業務については指揮命令を受けることがない)こととされていることから、労働者派遣の対象とはならないものであること。ただし、弁理士法第4条第1項及び第3項に規定する業務のうち同法第75条で規定する業務以外の業務となる、相談に応ずること(いわゆるコンサルティング)に係るものに関し、特許業務法人以外を派遣元とする場合には、労働者派遣は可能であること。
 ※ なお、当該弁理士の労働者派遣については、その業務が適正に実施されるよう、特許庁長官より職業安定局長あてに参考のとおり留意事項が示されているので留意されたい。
 ⑥ 社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)に基づく社会保険労務士の業務については、資格者個人がそれぞれ業務の委託を受けて当該業務を行う(当該業務については指揮命令を受けることがない)こととされていることから、労働者派遣の対象とはならないものであること。ただし、社会保険労務士法第2条に規定する業務に関し、社会保険労務士法人が派遣元となり、社会保険労務士法人の使用人である社会保険労務士を労働者派遣の対象とし、かつ、他の開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人(社会保険労務士法施行規則(昭和43年厚生省・労働省令第1号)第17条の3第2号イ~ニのいずれかに該当するものを除く。)を派遣先とする場合には、社会保険労務士の労働者派遣は可能であること。
 ⑦ 行政書士法(昭和26年法律第4号)に基づく行政書士の業務については、資格者個人がそれぞれ業務の委託を受けて当該業務を行う(当該業務については指揮命令を受けることがない)こととされていることから、労働者派遣の対象とはならないものであること。ただし、行政書士法第1条の2及び第1条の3に規定する業務に関し、行政書士又は行政書士法人が派遣元となり、他の行政書士又は行政書士法人を派遣先とする場合には、行政書士の労働者派遣は可能であること。
 ⑧ 建築士法(昭和25年法律第202号)第24条第1項に規定する建築士事務所の管理建築士については、同法により「専任」でなければならないとされていることから、労働者派遣の対象とはならないものであること。
 
派遣禁止業務のまとめ
 業務取扱要領には、派遣が禁止される具体的かつ詳細な事業・業務の記述がされています。しかし、非常に長文であり、一般に派遣禁止業務等を理解するには若干細かすぎますので、以下でポイントをまとめます。
 
派遣が禁止される業務等のまとめ
1.港湾運送業務         法第4条第1項第1号
 船内荷役、はしけ運送、沿岸荷役及びいかだ運送の各行為及び船舶に積み込まれた貨物の位置の固定若しくは積載場所の区画又は船積貨物の荷造り若しくは荷直し、船倉の清掃、港湾区域にある倉庫への搬入、貨物の港湾倉庫若しくは上屋その他の荷さばき場への搬入
2.建設業務           法第4条第1項第2号
 建設業務は、「土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの準備の作業に係る業務」をいう(建設現場の事務職員が行う業務は、これによって法律上当然に適用除外業務に該当するということにはならない)
 林業の業務は、造林作業の①地ごしらえの業務については建設現場における整地業務と作業内容が類似していること、②植栽の業務については土地の改変が行われることから、いずれも労働者派遣法の解釈としては建設業務に該当する
 当該労働者派遣に適用除外業務が一部含まれているときは、全体として違法な労働者派遣となる
 また、派遣労働者が従事する業務の一部に「建設業務」に該当する業務が含まれている場合も違法な労働者派遣となる
3.警備業務           法第4条第1項第3号
 警備業務対象施設における盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務(事務所、住宅、駐車場等)
 人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務
 運搬中の現金、貴金属、美術品等に係る盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務
 人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務
 また、派遣労働者が従事する業務の一部に警備業務が含まれているときは、全体として違法な労働者派遣となる
4.政令で定める業務       法第4条第1項第3号
 4-1 医業           施行令第2条第1項第1号
  病院等、助産所、介護老人保健施設又は医療を受ける者の居宅において行われるものに限る
 4-2 歯科医師業        施行令第2条第1項第2号
  病院等、介護老人保健施設又は医療を受ける者の居宅において行われるものに限る
 4-3 薬剤師の業務       施行令第2条第1項第3号
  病院等において行われるものに限る
   4-4 保健師・助産師・看護師・準看護師の業務   施行令第2条第1項第4号
  病院等、助産所、介護老人保健施設又は医療を受ける者の居宅において行われるもの(訪問入浴介護に係るものを除く。)に限る
  この場合、診療の補助として行うことができることとされている業務を含み、病院等、助産所、介護老人保健施設又は医療を受ける者の居宅において行われるもの(訪問入浴介護に係るものを除く。)に限る
  また、診療の補助として行う、、歯科衛生士、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士、義肢装具士、救急救命士、言語聴覚士及び認定特定行為業務従事者の行う業務を含む
 4-5 栄養士の業務       施行令第2条第1項第5号
  傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導に係るものであって、病院等、介護老人保健施設又は医療を受ける者の居宅において行われるものに限る
 4-6 歯科衛生士の業務     施行令第2条第1項第6号
  病院等、介護老人保健施設又は医療を受ける者の居宅において行われるものに限る
 4-7 放射線技師の業務     施行令第2条第1項第7号
  病院等、介護老人保健施設又は医療を受ける者の居宅において行われるものに限る
 4-8 歯科技工士の業務     施行令第2条第1項第8号
  病院等において行われるものに限る
 
 ※病院内等の業務であっても介護業務(介護福祉士他)の業務は、労働者派遣業務が可能であることに留意が必要です。
 
例外規定
派遣労働者の就業の場所がへき地にあり、又は地域における医療の確保のためには医業に業として行う労働者派遣により派遣労働者を従事させる必要があると認められるものとして厚生労働省令で定める場所(※2)(へき地にあるものを除く。)である場合を除く
 ① 僻地派遣の禁止の除外(病院、診療所、介護老人保健施設又は医療を受ける者の居宅が僻地にある場合)
  僻地とは、離島振興対策実施地域、奄美群島の区域、振興山村の地域、小笠原諸島の地域、過疎地域、沖縄振興特別措置法に規定する離島の地域のこと。
 ② 厚生労働省で定める場所(病院、診療所、介護老人保健施設又は医療を受ける者の居宅が次の場所にある場合)
   次の施設等への看護師等の派遣は禁止される。
  a 医療型障害児入所施設
   b 医療型児童発達支援センター
     c 助産施設
     d医療保護施設
 また、医療関連業務については、一般の住居において行われるものに限らず、労働者派遣事業の対象となる社会福祉施設等において行われる往診・訪問看護についても該当するため労働者派遣が禁止される。


他法等により労働者派遣が禁止されると解される業務等

 以下の業務については、労働者派遣が出来ないとされています。

 a 人事労務管理関係のうち、派遣先において団体交渉又は労働基準法に規定する協定の締結等のための労使協議の際に使用者側の直接当事者として行う業務(派遣事業の許可基準に抵触)

  b 弁護士、外国法事務弁護士、司法書士及び土地家屋調査士の業務   ※当該業務については、資格者個人がそれぞれ業務の委託を受けて当該業務を行う(当該業務については指揮命令を受けることがない)こととされているため

  c 公認会計士の業務  ※ただし、派遣元が監査法人(公認会計士を含む。)以外の者である場合であって、かつ、当該派遣の対象となる公認会計士が公認会計士法第2条第1項に規定する業務を行わない場合には、労働者派遣が可能

  d  税理士の業務   ※ただし、派遣元が税理士及び税理士法人以外の者である場合であって、かつ、当該派遣の対象となる税理士が派遣先の税理士又は税理士法人の補助者(同法第2条第3項に規定する補助者をいう。)として同条第1項又は第2項に規定する業務を行う場合には、税理士の労働者派遣が可能。 なお、派遣される税理士は、派遣先の補助税理士として登録しなければならない 

 e  弁理士の業務   ※相談に応ずること(わゆるコンサルティング)に係るものに関し、特許業務法人以外を派遣元とする場合には、労働者派遣が可能
 
 f  社会保険労務士の業務   ※ただし、社会保険労務士法人が派遣元となり、社会保険労務士法人の使用人である社会保険労務士を労働者派遣の対象とし、かつ、他の開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人を派遣先とする場合には、社会保険労務士の労働者派遣が可能
 
 g  行政書士の業務   ※ただし、行政書士法第1条の2及び第1条の3に規定する業務に関し、行政書士又は行政書士法人が派遣元となり、他の行政書士又は行政書士法人を派遣先とする場合には、行政書士の労働者派遣が可能
 
 h  建築士事務所の管理建築士
 
その他
下記①~②に該当する場合は、医療関係業務に労働者派遣を行うことが認められています。 
 ① 紹介予定派遣をする場合
 ② 当該業務が産前産後休業、育児休業、介護休業を取得した労働者の業務である場合
※詳細は、関係条文のところで考察します。
 
 
 
 
以上で労働者派遣法第4条を終了します。
なお、紹介予定派遣については、後の関係条文の際に記述します。