労働者派遣法第49条の3、第50条、第51条、第52条

2015年06月27日 10:54

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

第49条の3(厚生労働大臣に対する申告

 労働者派遣をする事業主又は労働者派遣の役務の提供を受ける者がこの法律又は

これに基づく命令の規定に違反する事実がある場合においては、派遣労働者は、そ

の事実を厚生労働大臣に申告することができる。

2 労働者派遣をする事業主及び労働者派遣の役務の提供を受ける者は、前項の申

告をしたことを理由として、派遣労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをして

はならない。

 

第50条(報告)

 

 厚生労働大臣は、この法律を施行するために必要な限度において、厚生労働省令

で定めるところにより、労働者派遣事業を行う事業主及び当該事業主から労働者派

遣の役務の提供を受ける者に対し、必要な事項を報告させることができる。

 

則第47条(報告等)

 厚生労働大臣は、法第五十条の規定により、労働者派遣事業を行う事業主及び当該事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者に対し必要な事項を報告させるときは、当該報告すべき事項及び当該報告をさせる理由を書面により通知するものとする。

 

則第48条(立入検査のための証明書

 法第五十一条第二項の証明書は、様式第十四号による。

 

第51条(立入検査)

 

 厚生労働大臣は、この法律を施行するために必要な限度において、所属の職員に、労働者派遣事業を行う事業主及び当該事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者の事業所その他の施設に立ち入り、関係者に質問させ、又は帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に

提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解

釈してはならない。

 

第52条(相談及び援助)

 

 公共職業安定所は、派遣就業に関する事項について、労働者等の相談に応じ、及び必要な助言その他の援助を行うことができる。

 

業務取扱要領による確認

1.不利益取扱の禁止

 労働者派遣を行う事業主又は労働者派遣の役務の提供を受ける者が、法又は法に基づく命令の規定に違反していた場合については、派遣労働者は、その事実を厚生労働大臣に申告することができるが、当該申告を行ったことを理由として、労働者派遣を行う事業主又は労働者派遣の役務の提供を受ける者が当該派遣労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこととされている(法第49 条の3)。
 なお、不利益取扱いの禁止の規定に違反した場合は、法第60 条第2号に該当し、6か月以下の懲役又は30 万円以下の罰金に処せられる場合がある。
 また、派遣元事業主については、許可の取消し(法第14 条第1項)、事業停止命令(法第14条第2項、法第21 条第2項)、改善命令(法第49 条第1項)の対象となり、不利益取扱いの禁止の規定違反による司法処分を受けた場合は、許可取消し、事業廃止命令(法第21 条第1項)の対象となる。

 

2.報告

(1) 概要
 厚生労働大臣は、法(第3章第4節の規定は除く。)を施行するために必要な限度において、労働者派遣事業を行う事業主及び当該事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者に対し、必要な事項を報告させることができる(法第50 条)。
(2) 意義
  当該報告は、定期報告(法第23 条第1項及び第3項。第6の1及び2参照)とは異なり、当該定期報告だけでは、事業運営の状況及び派遣労働者の就業状況を十分把握できない場合であって、違法行為の行われているおそれのある場合等特に必要がある場合について個別的に必要な事項を報告させるものである。
  「労働者派遣事業を行う事業主」とは、許可を受け又は届出をした派遣元事業主のほか違法に労働者派遣事業を行っている事業主も含むものであり、「当該事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者」とは、派遣元事業主に限らず許可を受け又は届出をせず違法に労働者派遣事業を行う事業主から労働者派遣の役務の提供を受けている者も含むものである。
   「必要な事項」とは、労働者派遣事業の運営に関する事項及び派遣労働者の就業に関する事項であり、具体的には、例えば、個々の労働者の就業条件、派遣期間、派遣先における具体的就業の状況等である。
(3) 報告の徴収の手続
 必要な事項を報告させるときは、当該報告すべき事項及び理由並びに報告期日を書面により通知するものとする(則第47 条)。
(4) 権限の委任
 報告に関する厚生労働大臣の権限は、都道府県労働局長が行うものとする。ただし、厚生労働大臣が自らその権限を行うことは妨げられない。
(5) 違反の場合の効果
  この報告をせず、又は虚偽の報告をした場合は、法第61 条第5号に該当し、30 万円以下の罰金に処せられる場合がある。
   また、許可の取消し(法第14 条第1項)、事業停止命令(法第14 条第2項、第21 条第2項)、改善命令(法第49 条第1項)の対象となり、イの司法処分を受けた場合は、許可の取消し、事業廃止命令(法第21 条第1項)の対象となる。

 

3.立ち入り検査

(1) 立入検査の実施
  概要
 厚生労働大臣は、法(第3章第4節の規定は除く。)を施行するために必要な限度において、職業安定機関の職員に、労働者派遣事業を行う事業主及び当該事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者の事業所その他の施設に立ち入り、関係者に質問させ、又は帳簿、書類その他の物件を検査させることができる(法第51 条第1項)。
  意義
 (イ) 当該立入検査は、違法行為の申告があり、許可の取消し、事業停止命令等の行政処分をするに当たって、その是非を判断する上で必要な場合等5の報告のみでは、事業運営の内容や派遣労働者の就業の状況を十分に把握できないような場合に、限定的に、必要最小限の範囲において行われるものである。
 立入検査の対象となるのは、当該立入検査の目的を達成するため必要な事業所及び帳簿、書類その他の物件に限定されるものである。
 (ロ) 「労働者派遣事業を行う事業主及び当該事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者」は、5の(2)のロと同様である。
 (ハ) 「事業所その他の施設」とは、労働者派遣事業を行う事業主の事業所及び当該事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者の事業所その他の施設のほか、派遣労働者の就業を管理する施設等に限られる。
 (ホ) 「関係者」とは、労働者派遣事業運営の状況や派遣労働者の就業の状況について質問するのに適当な者をいうものであり、具体的には、派遣労働者、労働者派遣事業を行う事業主、その雇用する一般の労働者、労働者派遣の役務の提供を受ける者、その雇用する労働者等である。
 (ヘ) 「帳簿、書類その他の物件」とは、派遣元管理台帳、派遣先管理台帳、労働者派遣契約等はもちろん、その他労働者派遣事業の運営及び派遣労働者の就業に係る労働関係に関する重要な書類が含まれるものである。
(2) 証明書
  立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を必ず携帯し、関係者に提示しなければならない(法第51 条第2項)。
   立入検査のための証明書は、労働者派遣事業立入検査証(様式第14 号)によるものとする(則第48 条)。
 なお、貼付する写真には、厚生労働省若しくは都道府県労働局の刻印又は厚生労働大臣若しくは都道府県労働局長の印により割印する。
(3) 立入検査の権限
  概要
 当該立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない(法第51 条第3項)。
  意義
 職業安定機関は、司法警察員の権限を有せず、当該立入検査の権限は行政による検査のために認められたものであり、犯罪捜査のために認められたものと解してはならないものである。
(4) 権限の委任
 立入検査に関する厚生労働大臣の権限は、都道府県労働局長が行うものとする。ただし、厚生労働大臣が自らその権限を行うことは妨げられない。
(5) 違反の場合の効果
  この立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の陳述をした場合は、法第61 条第6号に該当し、30 万円以下の罰金に処せられる場合がある。
   また、許可の取消し(法第14 条第1項)、事業停止命令(法第14 条第2項、法第21 条第2項)、改善命令(法第49 条第1項)の対象となり、イの司法処分を受けた場合は、許可の取消し、事業廃止命令(法第21 条第1項)の対象となる。

 

4.公共職業安定所の相談対応

(1) 概要
 公共職業安定所は、派遣就業に関する事項について、労働者等の相談に応じ、及び必要な助言その他の援助を行うことができる(法第52 条)。
(2) 意義
   派遣就業に関し、適切な就業条件が確保されていない、あるいは違法行為があるといった相談が派遣労働者等から公共職業安定所に対して行われた場合には、公共職業安定所は当該問題事案を解消するための助言を行う。
 なお、派遣就業に関する労働者等からの相談については、公共職業安定所で受け付け、助言を行うものであるが、労働者派遣をする事業主及び労働者派遣の役務の提供を受ける者に対する事実確認、所要の指導及び助言、行政処分等の措置については、原則として都道府県労働局が講ずるものである(則第55 条)。
 そのため、違法性の疑いのある事業主に対する指導等に関する相談については、都道府県労働局で受け付け、公共職業安定所で受け付けた場合には、都道府県労働局の需給調整事業担当の相談窓口へ誘導する。
  「労働者等」とは、派遣労働者のほか、派遣労働者として雇用されることを予定する者、以前に派遣労働者として雇用されていた者も含むものである。
(3) 不利益取扱いの禁止
 労働者派遣を行う事業主又は労働者派遣の役務の提供を受ける者が、法又は法に基づく命令の規定に違反していた場合については、派遣労働者は、その事実を厚生労働大臣に申告することができるが、当該申告を行ったことを理由として、労働者派遣を行う事業主又は労働者派遣の役務の提供を受ける者が当該派遣労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこととされている(法第49 条の3)。
 なお、不利益取扱いの禁止の規定に違反した場合は、法第60 条第2号に該当し、6か月以下の懲役又は30 万円以下の罰金に処せられる場合がある。
 また、派遣元事業主については、許可の取消し(法第14 条第1項)、事業停止命令(法第14条第2項、法第21 条第2項)、改善命令(法第49 条第1項)の対象となり、不利益取扱いの禁止の規定違反による司法処分を受けた場合は、許可取消し、事業廃止命令(法第21 条第1項)の対象となる。

 

 

 

 

 

49条の3~52条については、特にまとめの必要がないと思います。

以上で第49条の3・第50条・第51条・第52条を終了します。