2015年06月14日 15:39
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律
第7条(許可の基準等)
厚生労働大臣は、第五条第一項の許可の申請が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。
一 当該事業が専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的として行われるもの(雇用の機会の確保が特に困難であると認められる労働者の雇用の継続等を図るために必要であると認められる場合として厚生労働省令で定める場合において行われるものを除く。)でないこと。
二 申請者が、当該事業の派遣労働者に係る雇用管理を適正に行うに足りる能力を有するものであること。
三 個人情報(個人に関する情報であつて、特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。以下同じ。)を適正に管理し、及び派遣労働者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていること。
四 前二号に掲げるもののほか、申請者が、当該事業を的確に遂行するに足りる能力を有するものであること。
2 厚生労働大臣は、第五条第一項の許可をしないときは、遅滞なく、理由を示してその旨を当該申請者に通知しなければならない。
則第1条の3(法第七条第一項第一号の厚生労働省令で定める場合)
法第七条第一項第一号の厚生労働省令で定める場合は、当該事業を行う派遣元事業主が雇用する派遣労働者のうち、十分の三以上の者が六十歳以上の者(他の事業主の事業所を六十歳以上の定年により退職した後雇い入れた者に限る。)である場合とする。
第8条(許可証)
厚生労働大臣は、第五条第一項の許可をしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、一般労働者派遣事業を行う事業所の数に応じ、許可証を交付しなければならない。
2 許可証の交付を受けた者は、当該許可証を、一般労働者派遣事業を行う事業所ごとに備え付けるとともに、関係者から請求があつたときは提示しなければならない。
3 許可証の交付を受けた者は、当該許可証を亡失し、又は当該許可証が滅失したときは、速やかにその旨を厚生労働大臣に届け出て、許可証の再交付を受けなければならない。
則第2条(許可証)
法第八条第一項の許可証は、一般労働者派遣事業許可証(様式第四号。以下単に「許可証」という。)のとおりとする。
則第3条(許可証の再交付)
法第八条第三項の規定により許可証の再交付を受けようとする者は、許可証再交付申請書(様式第五号)を、厚生労働大臣に提出しなければならない。
則第4条(許可証の返納等)
許可証の交付を受けた者は、次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、当該事実のあつた日の翌日から起算して十日以内に、第一号又は第二号の場合にあつては一般労働者派遣事業を行うすべての事業所に係る許可証、第三号の場合にあつては発見し又は回復した許可証を厚生労働大臣に返納しなければならない。
一 許可が取り消されたとき。
二 許可の有効期間が満了したとき。
三 許可証の再交付を受けた場合において、亡失した許可証を発見し、又は回復したとき。
2 許可証の交付を受けた者が次の各号に掲げる場合のいずれかに該当することと
なつたときは、当該各号に掲げる者は、当該事実のあつた日の翌日から起算して十
日以内に、一般労働者派遣事業を行うすべての事業所に係る許可証を厚生労働大臣
に返納しなければならない。
一 死亡した場合 同居の親族又は法定代理人
二 法人が合併により消滅した場合 合併後存続し、又は合併により設立された法人の代表者
第9条(許可の条件)
第五条第一項の許可には、条件を付し、及びこれを変更することができる。
2 前項の条件は、当該許可の趣旨に照らして、又は当該許可に係る事項の確実な実施を図るために必要な最小限度のものに限り、かつ、当該許可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであつてはならない。
第10条(許可の有効期間等)
第五条第一項の許可の有効期間は、当該許可の日から起算して三年とする。
2 前項に規定する許可の有効期間(当該許可の有効期間についてこの項の規定により更新を受けたときにあつては、当該更新を受けた許可の有効期間)の満了後引き続き当該許可に係る一般労働者派遣事業を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、許可の有効期間の更新を受けなければならない。
3 厚生労働大臣は、前項に規定する許可の有効期間の更新の申請があつた場合に
おいて、当該申請が第七条第一項各号に掲げる基準に適合していないと認めるとき
は、当該許可の有効期間の更新をしてはならない。
4 第二項の規定によりその更新を受けた場合における第五条第一項の許可の有効期間は、当該更新前の許可の有効期間が満了する日の翌日から起算して五年とする。
5 第五条第二項から第四項まで、第六条(第四号から第七号までを除く。)及び第
七条第二項の規定は、第二項に規定する許可の有効期間の更新について準用する。
則第5条(許可の有効期間の更新の申請手続)
法第十条第二項の規定による許可の有効期間の更新を受けようとする者は、当該許可の有効期間が満了する日の三月前までに、一般労働者派遣事業許可有効期間更新申請書(様式第一号)を、厚生労働大臣に提出しなければならない。
一 申請者が法人である場合にあつては、第一条の二第二項第一号イ、ロ、ニ、ホ、ヘ及びトに掲げる書類
二 申請者が個人である場合にあつては、第一条の二第二項第一号ホ及びトに掲げる書類
3 法第十条第五項において準用する法第五条第三項の規定により添付すべき事業計画書は、一般労働者派遣事業計画書(様式第三号)のとおりとする。
4 法第十条第二項の規定による許可の有効期間の更新は、当該更新を受けようとする者が現に有する許可証と引換えに新たな許可証を交付することにより行うものとする。
第11条(変更の届出)
一般派遣元事業主は、第五条第二項各号に掲げる事項に変更があつたときは、遅
滞なく、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。この場合において、当
該変更に係る事項が一般労働者派遣事業を行う事業所の新設に係るものであるとき
は、当該事業所に係る事業計画書その他厚生労働省令で定める書類を添付しなけれ
ばならない。
2 第五条第四項の規定は、前項の事業計画書について準用する。
3 厚生労働大臣は、第一項の規定により一般労働者派遣事業を行う事業所の新設
に係る変更の届出があつたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該新設
に係る事業所の数に応じ、許可証を交付しなければならない。
4 一般派遣元事業主は、第一項の規定による届出をする場合において、当該届出
に係る事項が許可証の記載事項に該当するときは、厚生労働省令で定めるところに
より、その書換えを受けなければならない。
則第8条(変更の届出等)
法第十一条の規定による届出をしようとする者は、法第五条第二項第四号に掲げる事項の変更の届出にあつては当該変更に係る事実のあつた日の翌日から起算して三十日以内に、同号に掲げる事項以外の事項の変更の届出にあつては当該変更に係る事実のあつた日の翌日から起算して十日以内に、当該届出に係る事項が許可証の記載事項に該当しない場合にあつては一般労働者派遣事業変更届出書(様式第五号)を、当該届出に係る事項が許可証の記載事項に該当する場合にあつては一般労働者派遣事業変更届出書及び許可証書換申請書(様式第五号)を厚生労働大臣に提出しなければならない。
2 法第十一条第一項の規定による届出のうち、事業所の新設に係る変更の届出を行う場合には、前項の一般労働者派遣事業変更届出書には、法人にあつては当該新設する事業所に係る第一条の二第二項第一号ホ、ト及びチに、個人にあつては当該新設する事業所に係る同項第二号ハに掲げる書類(一般労働者派遣事業に関する資産の内容を証する書類を除く。)を添付しなければならない。ただし、法第二条第六号に規定する一般派遣元事業主(以下「一般派遣元事業主」という。)が一般労働者派遣事業を行つている他の事業所の派遣元責任者を当該新設する事業所の派遣元責任者として引き続き選任したときは、法人にあつては第一条の二第二項第一号チに掲げる書類のうち履歴書(選任した派遣元責任者の住所に変更がないときは、住民票の写し及び履歴書。以下この条において同じ。)を、個人にあつては同項第二号ハに掲げる書類のうち履歴書を添付することを要しない。
3 法第十一条第一項の規定による届出のうち、事業所の新設に係る変更の届出以外の届出を行う場合には、第一項の一般労働者派遣事業変更届出書又は一般労働者派遣事業変更届出書及び許可証書換申請書には、第一条の二第二項に規定する書類のうち当該変更事項に係る書類(事業所の廃止に係る変更の届出にあつては、当該廃止した事業所に係る許可証)を添付しなければならない。
4 法第五条第二項第四号に掲げる事項のうち派遣元責任者の氏名に変更があつた
場合において、当該一般派遣元事業主が一般労働者派遣事業を行つている他の事業
所の派遣元責任者を当該変更に係る事業所の変更後の派遣元責任者として引き続き
選任したときは、法人にあつては第一条の二第二項第一号チに掲げる書類のうち履
歴書を、個人にあつては同項第二号ハの書類のうち履歴書を添付することを要しな
い。
則第9条(事業所の新設に係る変更の届出があつた場合の許可証の交付)
法第十一条第三項の規定による許可証の交付は、当該新設に係る事業所ごとに交
付するものとする。
○業務取扱要領(許可基準)
次に掲げる1から4までのすべてに適合していると認めるときでなければ、一般労働者派遣事業の許可をしてはならないこととすること(法第7条第1項)。
1 法第7条第1項第1号の要件
(当該事業が専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的として行われるものでないこと。)
労働力需給の適正な調整を図るため、特定企業への労働者派遣に関して、次のとおり判断する。
・ 当該要件を満たすためには、法第48 条第2項の勧告の対象とならないものであること、すなわち、当該事業が専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的として行われるもの
(雇用の機会の確保が特に困難であると認められる労働者の雇用の継続等を図るために必要であると認められる場合として厚生労働省令で定める場合において行われるものを除く。)でないことが必要である(第13 の4参照)。
・ 「専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的とする」とは、特定の者に対してのみ当該労働者派遣を行うことを目的として事業運営を行っているものであって、それ以外の者に対して労働者派遣を行うことを目的としていない場合である。
・ 「厚生労働省令で定める場合」とは、当該労働者派遣事業を行う派遣元事業主が雇用する派遣労働者のうち、10 分の3以上の者が60 歳以上の者(他の事業主の事業所を60 歳以上の定年により退職した後雇い入れられた者に限る。)である場合である。
・ なお、「専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的として行うものではないこと」を、一般労働者派遣事業の許可条件として付することに留意すること。
2 法第7条第1項第2号の要件
(申請者が当該事業の派遣労働者に係る雇用管理を適正に行うに足りる能力を有するものであること。)
派遣労働者を雇用する者と指揮命令する者が分離するという特性に鑑み、派遣労働者に 対する適切な雇用管理能力を要求することにより、派遣労働者の保護及び雇用の安定を図るため、次のような事項につき判断する。
(1) 派遣元責任者に関する判断
イ 派遣元責任者として雇用管理を適正に行い得る者が所定の要件及び手続に従って適切に選任、配置されていること。
・当該要件を満たすためには、次のいずれにも該当することが必要である。
① 法第 36 条の規定により、未成年者でなく、法第6条第1号から第8号までに掲げる欠格事由のいずれにも該当しないこと。
② 則第29 条で定める要件、手続に従って派遣元責任者の選任がなされていること(第8の16 の(3)参照)。
③ 住所及び居所が一定しない等生活根拠が不安定なものでないこと。
④ 適正な雇用管理を行う上で支障がない健康状態であること。
⑤ 不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのない者であること。
⑥ 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる行為を行うおそれのない者であること。
⑦ 派遣元責任者となり得る者の名義を借用して、許可を得ようとするものでないこと。
⑧ 次のいずれかに該当する者であること。
(ⅰ)成年に達した後、3年以上の雇用管理の経験を有する者
この場合において、「雇用管理の経験」とは、人事又は労務の担当者(事業主(法人の場合はその役員)、支店長、工場長その他事業所の長等労働基準法第41 条第2号の「監督若しくは管理の地位にある者」を含む。)であったと評価できること、又は労働者派遣事業における派遣労働者若しくは登録者等の労務の担当者(法施行前のいわゆる業務処理請負業における派遣的労働者の労務の担当者を含む。)であったことをいう。
(ⅱ) 成年に達した後、職業安定行政又は労働基準行政に3年以上の経験を有する者
(ⅲ)成年に達した後、民営職業紹介事業の従事者として3年以上の経験を有する者
(ⅳ)成年に達した後、労働者供給事業の従事者として3年以上の経験を有する者
⑨ 職業安定局長に開催を申し出た者が実施する「派遣元責任者講習」を受講(許可の申請の受理の日前3年以内の受講に限る。)した者であること。
⑩ 外国人にあっては、原則として、入管法別表第一の一及び二の表並びに別表第二の表のいずれかの在留資格を有する者であること。
⑪ 派遣元責任者が苦情処理等の場合に、日帰りで往復できる地域に労働者派遣を行うものであること。
ロ 派遣元責任者が不在の場合の臨時の職務代行者があらかじめ選任されていること。
ハ 一般派遣元事業主が一般労働者派遣事業を行う事業所の新設に係る届出をする場合における派遣元責任者に関する判断に係る許可基準の取扱いについては、第4の3の(5)参照。
(2) 派遣元事業主に関する判断
派遣元事業主(法人の場合はその役員を含む。)が派遣労働者の福祉の増進を図ることが見込まれる等適正な雇用管理を期待し得るものであること。
・ 当該要件を満たすためには、次のいずれにも該当することが必要である。
① 労働保険、社会保険の適用等派遣労働者の福祉の増進を図ることが見込まれるものであること。
② 住所及び居所が一定しない等生活根拠が不安定なものでないこと。
③ 不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのない者であること。
④ 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる行為を行うおそれのない者であること。
⑤ 派遣元事業主となり得る者の名義を借用して許可を得るものではないこと。
⑥ 外国人にあっては、原則として、入管法別表第一の二の表の「投資・経営」若しくは別表第二の表のいずれかの在留資格を有する者、又は資格外活動の許可を受けて派遣元事業主としての活動を行う者であること。
なお、海外に在留する派遣元事業主については、この限りではない。
(3) 教育訓練に関する判断
イ 派遣労働者(登録者を含む。)に対する能力開発体制(適切な教育訓練計画の策定、教育訓練の施設、設備等の整備、教育訓練の実施についての責任者の配置等)が整備されていること。
・ 当該要件を満たすためには、次のいずれにも該当することが必要である。
① 派遣労働者に係る教育訓練に関する計画が適切に策定されていること。
② 教育訓練を行うに適した施設、設備等が整備され、教育訓練の実施について責任者が配置される等能力開発体制の整備がなされていること。
ロ 派遣労働者に受講を義務付けた教育訓練について費用を徴収するものでないこと。
3 法第7条第1項第3号の要件
(個人情報を適正に管理し、派遣労働者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていること。)
業務の過程で得た派遣労働者等の個人情報を管理する能力を要求することにより、派遣労働者等の個人情報を適正に管理し、秘密を守るため、次のような事項につき判断する。
(1) 個人情報管理の事業運営に関する判断
派遣労働者となろうとする者及び派遣労働者(3において「派遣労働者等」という。)の個人情報を適正に管理するための事業運営体制が整備されていること。
イ 当該要件を満たすためには、次のいずれにも該当し、これを内容に含む個人情報適正管理規程を定めていることが必要である。
① 派遣労働者等の個人情報を取り扱う事業所内の職員の範囲が明確にされていること。
② 業務上知り得た派遣労働者等に関する個人情報を業務以外の目的で使用したり、他に漏らしたりしないことについて、職員への教育が実施されていること。
③ 派遣労働者等から求められた場合の個人情報の開示又は訂正(削除を含む。以下同じ。)の取扱いに関する事項についての規定があり、かつ当該規定について派遣労働者等への周知がなされていること。
④ 個人情報の取扱いに関する苦情の処理に関する派遣元責任者等による事業所内の体制が明
確にされ、苦情を迅速かつ適切に処理することとされていること。
・ ③において開示しないこととする個人情報としては、当該個人に対する評価に関する情報が考えられる。
・ ④として苦情処理の担当者等取扱責任者を定めること。
ロ 個人情報適正管理規程については、以下の点に留意するものとする。
① 派遣元事業主は、イの①から④までに掲げる規定を含む個人情報適正管理規程を作成するとともに、自らこれを遵守し、かつ、その従業者にこれを遵守させなければならないものとする。
② 派遣元事業主は、本人が個人情報の開示又は訂正の求めをしたことを理由として、当該本人に対して不利益な取扱いをしてはならないものとする。
・ ②の「不利益な取扱い」とは、具体的には、例えば、以後派遣就業の機会を与えないこと等をいう。
ハ 「個人情報の収集、保管及び使用」については、以下の点に留意するものとする。
① 派遣元事業主は、派遣労働者となろうとする者の登録をする際には当該労働者の希望及び能力に応じた就業の機会の確保を図る範囲内で、派遣労働者として雇用し労働者派遣を行う際には当該派遣労働者の適正な雇用管理を行う目的の範囲内で、派遣労働者等の個人情報(以下ハにおいて単に「個人情報」という。)を収集することとし、次に掲げる個人情報を収集してはならないものとする。ただし、特別な業務上の必要性が存在することその他業務の目的の達成に必要不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合はこの限りではない。
(ⅰ) 人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項
(ⅱ) 思想及び信条
(ⅲ) 労働組合への加入状況
・ (ⅰ)から(ⅲ)については、具体的には、例えば次に掲げる事項等が該当する。
(ⅰ)関係
① 家族の職業、収入、本人の資産等の情報(税金、社会保険の取扱い等労務管理を適切に実施するために必要なもの及び日雇派遣の禁止の例外として認められる場合の収入要件を確認するために必要なものを除く。)
② 容姿、スリーサイズ等差別的評価に繋がる情報
(ⅱ)関係 人生観、生活信条、支持政党、購読新聞・雑誌、愛読書
(ⅲ)関係 労働運動、学生運動、消費者運動その他社会運動に関する情報
・ 「業務の目的の達成に必要な範囲」については、雇用することを予定する者を登録する段階と、現に雇用する段階では、異なることに留意する必要がある。前者においては、例えば労働者の希望職種、希望勤務地、希望賃金、有する能力・資格など適切な派遣先を選定する上で必要な情報がこれに当たり、後者においては、給与事務や労働・社会保険の手続上必要な情報がこれに当たるものである。
・ なお、一部に労働者の銀行口座の暗証番号を派遣元事業主が確認する事例がみられるが、これは通常、「業務の目的の達成に必要な範囲」に含まれるとは解されない。
② 派遣元事業主は、個人情報を収集する際には、本人から直接収集し、又は本人の同意の下で本人以外の者から収集する等適法かつ公正な手段によらなければならないものとする。
・ 「等」には本人が不特定多数に公表している情報から収集する場合が含まれる。
③ 派遣元事業主は、高等学校若しくは中等教育学校又は中学校の新規卒業予定者である派遣労働者となろうとする者から応募書類の提出を求めるときは、職業安定局長の定める書類(全国高等学校統一応募用紙又は職業相談票(乙))により提出を求めるものとする。
・ 当該応募書類は、新規卒業予定者だけでなく、卒業後1年以内の者についてもこれを利用することが望ましいこと。
④ 個人情報の保管又は使用は、収集目的の範囲に限られる。なお、派遣労働者として雇用し労働者派遣を行う際には、労働者派遣事業制度の性質上、派遣元事業主が派遣先に提供することができる派遣労働者の個人情報は、法第35 条第1項の規定により派遣先に通知すべき事項のほか、当該派遣労働者の業務遂行能力に関する情報に限られるものであるものとする。
ただし、他の保管又は使用の目的を示して本人の同意を得た場合又は他の法律に定めのある場合は、この限りではない。
(2) 個人情報管理の措置に関する判断
派遣労働者等の個人情報を適正に管理するための措置が講じられていること。
イ 当該要件を満たすためには、次のいずれにも該当することが必要である。
① 個人情報を目的に応じ必要な範囲において正確かつ最新のものに保つための措置が講じられていること。
② 個人情報の紛失、破壊及び改ざんを防止するための措置が講じられていること。
③ 派遣労働者等の個人情報を取り扱う事業所内の職員以外の者による派遣労働者等の個人情報へのアクセスを防止するための措置が講じられていること。
④ 収集目的に照らして保管する必要がなくなった個人情報を破棄又は削除するための措置が講じられていること。
・ ④の措置の対象としては、本人からの破棄や削除の要望があった場合も含むものである。
ロ 「適正管理」については以下の点に留意するものとする。
① 派遣元事業主は、その保管又は使用に係る個人情報に関し適切な措置(イの①から④まで)を講ずるとともに、派遣労働者等からの求めに応じ、当該措置の内容を説明しなければならないものとする。
② 派遣元事業主等が、派遣労働者等の秘密に該当する個人情報を知り得た場合には、当該個人情報が正当な理由なく他人に知られることのないよう、厳重な管理を行わなければならな
いものとする。
・ 「個人情報」とは、個人を識別できるあらゆる情報をいうが、このうち「秘密」とは、一般に知られていない事実であって(非公知性)、他人に知られないことにつき本人が相当の利益を有すると客観的に認められる事実(要保護性)をいうものである。具体的には、本籍地、出身地、支持・加入政党、政治運動歴、借入金額、保証人となっている事実等が秘密に当たりうる。
4 法第7条第1項第4号の要件
(2及び3の他、申請者が当該事業を的確に遂行するに足りる能力を有するものであること。)
一般労働者派遣事業を的確、安定的に遂行するに足りる財産的基礎、組織的基礎や当該事業に適した事業所の確保等一定以上の事業遂行能力を要求することにより、労働者派遣事業を労働力需給調整システムの一つとして適正かつ有効に機能させ、派遣労働者の保護及び雇用の安定を図るため、次のような事項につき判断する。
(1) 財産的基礎に関する判断(事業主(法人又は個人)単位で判断)
イ 資産(繰延資産及び営業権を除く。)の総額から負債の総額を控除した額(以下「基準資産額」という。)が2,000 万円に当該事業主が一般労働者派遣事業を行う(ことを予定する)事業所の数を乗じた額以上であること。
・厚生労働省令により提出することとなる貸借対照表又は一般労働者派遣事業計画書(様式第3号)の「7 資産等の状況」欄により確認する。
・ 「繰延資産」とは、会社計算規則(平成18 年法務省令第13 号)第106 条第3 項第5 号に規定する繰延資産をいい、「営業権」とは、無形固定資産の一つである会社計算規則第2 編第2 章第2 節の「のれん」をいう。
ロ イの基準資産額が、負債の総額の7分の1以上であること。
ハ 事業資金として自己名義の現金・預金の額が1,500 万円に当該事業主が一般労働者派遣事業を行う(ことを予定する)事業所の数を乗じた額以上であること。
・厚生労働省令により提出することとなる貸借対照表又は一般労働者派遣事業計画書(様式第3号)の「7 資産等の状況」欄により確認する。
ニ 基準資産額又は自己名義の現金・預金の額が増加する旨の申し立てがあったときは、公認会計士又は監査法人による監査証明を受けた中間決算又は月次決算による場合に限り、基準資産額、負債の総額及び自己名義の現金・預金の額のいずれについても当該中間決算又は月次決算により確認するものとする。
ただし、個人の場合に限り、基準資産額又は自己名義の現金・預金の額が増加する旨の申し立てがあったときは、①市場性のある資産の再販売価格の評価額が、基礎価額を上回る旨の証明があった場合(例えば、固定資産税の評価額証明書等による。)、②提出された預金残高証明書により普通預金、定期預金等の残高を確認できた場合(複数の預金残高証明書を用いる場合は、同一日付のものに限る。)に限り、当該増加後の額を基準資産額又は自己名義の現金・預金の額とする。
ホ 職業安定法第45 条に規定する厚生労働大臣の許可を受け、労働者供給事業を行う労働組合等から供給される労働者を対象として、一般労働者派遣事業を行うことを予定する場合については、イにおいて「2,000 万円」を「1,000 万円」と、ハにおいて「1,500 万円」を「750 万円」と読み替えて適用する。
ヘ 一般派遣元事業主が一般労働者派遣事業を行う事業所の新設に係る届出をする場合における財産的基礎に関する判断に係る許可基準の取扱いについては、第4の3の(5)参照。
(2) 組織的基礎に関する判断
一般労働者派遣事業に係る指揮命令の系統が明確であり、登録者数に応じた適当な数の職員が配置される等組織体制が整備されていること。
・ 当該要件を満たすためには、次のいずれにも該当することが必要である。
① 一般労働者派遣事業に係る組織における指揮命令の系統が明確であり、指揮命令に混乱の生ずるようなものではないこと。
② 登録制を採用している場合にあっては、登録者数(1年を超える期間にわたり雇用されたことのない者を除く。)300 人当たり1人以上の登録者に係る業務に従事する職員が配置されていること。
当該職員は、派遣元責任者と兼任であっても差し支えないものとする。
(3) 事業所に関する判断
事業所について、事業に使用し得る面積がおおむね20 ㎡以上あるほか、その位置、設備等からみて、一般労働者派遣事業を行うのに適切であること。
・ 当該要件を満たすためには、次のいずれにも該当することが必要である。
① 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23 年法律第122 号)で規制する風俗営業や性風俗特殊営業等が密集するなど事業の運営に好ましくない位置にないこと。
② 事業に使用し得る面積がおおむね20 ㎡以上あること。
(4) 適正な事業運営に関する判断
一般労働者派遣事業を当該事業以外の会員の獲得、組織の拡大、宣伝等他の目的の手段として利用しないこと、登録に際しいかなる名義であっても手数料に相当するものを徴収しないこと等法の趣旨に沿った適切な事業運営を行うものであること。
・ 当該要件を満たすためには、次のいずれにも該当することが必要である。
① 労働者派遣事業において事業停止命令を受けた者が、当該停止期間中に、許可を受けようとするものではないこと。
② 法人にあっては、その役員が、個人事業主として労働者派遣事業について事業停止命令を受け、当該停止期間を経過しない者ではないこと。
③ 一般労働者派遣事業を当該事業以外の会員の獲得、組織の拡大、宣伝等他の目的の手段として利用するものではないこと。
許可申請関係書類として提出された定款又は寄附行為及び登記簿の謄本については、その目的の中に「一般労働者派遣事業を行う」旨の記載があることが望ましいが、当該事業主の行う事業の目的中の他の項目において一般労働者派遣事業を行うと解釈される場合においては、一般労働者派遣事業を行う旨の明示的な記載は要しないものであること。
なお、定款又は寄附行為及び登記簿の謄本の目的の中に適用除外業務について労働者派遣事業を行う旨の記載がある場合については、そのままでは許可ができないものであるので留意すること。
④ 登録制度を採用している場合において、登録に際し、いかなる名義であっても手数料に相当するものを徴収するものではないこと。
⑤ 自己の名義をもって、他人に一般労働者派遣事業を行わせるために、許可を得ようとするものではないこと。
⑥ 法第 25 条の規定の趣旨に鑑み、人事労務管理業務のうち、派遣先における団体交渉又は労働基準法に規定する協定の締結等のための労使協議の際に使用者側の直接当事者として行う業務について労働者派遣を行おうとするものではないこと。
なお、当該業務について労働者派遣を行おうとするものではないことを一般労働者派遣事業の許可条件として付するものであることに留意すること。
5 民営職業紹介事業と兼業する場合の許可の要件
一般労働者派遣事業と民営職業紹介事業の許可の要件をともに満たす限りにおいて兼業が認められるものであるが、同一の事業所内において兼業を行おうとする場合は、更に次の事項につき併せて判断すること。
[事業運営の区分に関する判断]
派遣労働者に係る個人情報と求職者に係る個人情報が別個に管理されること等事業運営につき明確な区分がなされていること。
・ 当該要件を満たすためには、次のいずれにも該当することが必要である。
① 労働者の希望に基づき個別の申込みがある場合を除き、同一の者について労働者派遣に係る登録と求職の申込みの受付を重複して行わず、かつ、相互に入れ換えないこと。
② 派遣の依頼者又は求人者の希望に基づき個別の申込みがある場合を除き、派遣の依頼と求人の申込みを重複して行わず、かつ、相互に入れ換えないこと。
③ 派遣労働者に係る個人情報と求職者に係る個人情報が別個に作成され別個に管理されること。
④ 派遣の依頼者に係る情報と求人者に係る情報が別個に管理されること。
⑤ 労働者派遣の登録のみをしている派遣労働者に対して職業紹介を行わないこと、かつ、求職申込みのみをしている求職者について労働者派遣を行わないこと。
⑥ 派遣の依頼のみを行っている者に対して職業紹介を行わないこと、かつ、求人申込みのみをしている求人者について労働者派遣を行わないこと。
⑦ 紹介予定派遣を行う場合を除き、求職者に対して職業紹介する手段として労働者派遣をするものではないこと。
6 海外派遣を予定する場合の許可の要件
1から4までに掲げる要件の他、更に次の事項につき併せて判断すること(これは法第7条第1項各号の要件に基づくものである。)。
(1) 派遣元責任者が派遣先国の言語及び労働事情に精通するものであること。
・ 派遣先国の言語とは、派遣先国で一般的に通用する言語(例、英語、仏語等)を含み、必ずしも派遣先の現地語に限られない。
(2) 海外派遣に際し派遣労働者に対してガイダンスを実施すること、海外の事業所との連絡体制が整備されていること等派遣労働者の海外における適正な就業のための体制が整備されていること。
・ 海外の事業所とは派遣先の事業所をいう。
○業務取扱要領
労働政策審議会への諮問
一般労働者派遣事業の許可申請については、労働政策審議会(労働力需給制度部会)へ諮問のうえ、許可又は不許可の処分を行うこととなるが(法第5条第5項)、同審議会は原則として毎月1回開催することとしているため、これに応じて、前月末までに本省に到達した許可申請は、当月の労働政策審議会(労働力需給制度部会)へ諮問する。
(7) 許可及び不許可処分
イ 許可申請の許可を行ったときは、一般労働者派遣事業許可証(様式第4号)を作成し事業主管轄労働局を経由して、一般労働者派遣事業を行う事業所の数に応じ申請者に交付する(法第8条第1項、則第2条)。
ロ 許可申請につき、不許可とした時は、遅滞なく、一般労働者派遣事業不許可通知書を作成し、事業主管轄労働局を経由して申請者に交付する(法第7条第2項)。
ハ イ又はロに際しては、併せて一般労働者派遣事業許可申請書(様式第1号)の写し及び一般労働者派遣事業計画書(様式第3号)の写しそれぞれ一通を申請者に控えとして交付する(第3の2の(2)参照)。
(8) 許可番号の付与
イ 許可事業主については、次の一般労働者派遣事業許可番号設定要領に従い、当該事業主固有の許可番号を付与する。
ロ 当該許可番号はその後、住所の変更等により事業主管轄労働局が変更される場合を除き、変更されることのないこと。
ハ 一般労働者派遣事業許可証(様式第4号。(7)のイ参照)には、当該許可番号を必ず記載すること。
○逐条考察
一般労働者派遣事業の許可申請は、業務取扱要領の記載をみても直ちには理解し難く、また、要点を抜粋したパンフレットの内容をみても尚概要がつかみにくいものです。そこで、逐条で分解することにより、少しでもアウトラインを明らかにしたいと思います。
1.法第7条第1項
一般労働者派遣事業の許可は、以下の1号から4号まで、すべてに適合している場合でなければ、許可してはならないこととなっています。
(ⅰ)第1号(派遣先が単一でないこと)※一の子会社又は系列会社からの派遣は禁止
専ら特定の者に派遣することを目的として行われるものでないこと(政令で例外を規定)。
※特定の者に対してのみ当該労働者派遣を行うことを目的として事業運営を行っているものであって、それ以外の者に対して労働者派遣を行うことを目的としていない場合は許可されないという趣旨です。
※例外は、3割以上が60歳以上の派遣労働者である場合であり、継続雇用制度に類する制度として企業が派遣会社を設立する場合等です。(則第1条の3)
(ⅱ)第2号(管理者の配置)
ア 一般労働者派遣事業の申請者が適正に一般労働者派遣事業を行う能力を有すること。
※則第29 条で定める要件、手続に従って派遣元責任者(補足1)の選任がなされ、かつ当該の雇用管理を適正に行い得る者が所定の要件及び手続に従って適切配置(補足2)されていることです。
補足1:派遣元責任者は、職業安定局長に開催を申し出た者が実施する「派遣元責任者講習」を受講(許可の申請の受理の日前3年以内の受講に限る。)した者であること。
補足2:派遣元責任者が苦情処理等の場合に日帰りで往復できる地域に労働者派遣を行い、かつ、派遣元責任者が不在の場合の臨時の職務代行者があらかじめ選任されていること。
イ 派遣労働者(登録者を含む。)に対する適切な教育訓練計画の策定、教育訓練の施設、設備等の整備、教育訓練の実施についての責任者の配置等が整備されていること。
(ⅲ)第3号(守秘義務保持体制)
個人情報を適正に管理し及び派遣労働者等の秘密を守るために必要な措置(補足1、2)が講じられていること
補足1:派遣労働者等の個人情報を取り扱う事業所内の職員の範囲が明確であり、職員への教育が実施されていること等
補足2:個人情報適正管理規程を作成するとともに、自らこれを遵守し、かつ、その従業者にこれを遵守させなければならないこと
(ⅳ)第4号(経営状況等の基準)
1号~3号のほか、申請者が当該事業を的確に遂行するに足りる能力を有すること。
ア 資本金
資産の総額から負債の総額を控除した額が2,000 万円に当該事業主が一般労働者派遣事業を行う(事業所の数を乗じた額以上であり、かつの基準資産額が、負債の総額の7分の1以上であること
イ 純資金
自己名義の現金・預金の額が1,500 万円に当該事業主が一般労働者派遣事業を行う事業所の数を乗じた額以上であること
(ⅴ)海外派遣を行う場合
上記の要件の他、更に次の事項につき併せて判断すること。
ア 派遣元責任者が派遣先国の言語及び労働事情に精通するものであること。
イ 海外派遣に際し派遣労働者に対してガイダンスを実施すること、海外の事業所(補足1)との連絡体制が整備されていること等派遣労働者の海外における適正な就業のための体制が整備されていること。
補足1:海外の事業所とは派遣先の事業所をいう。
2.法第7条第項
厚生労働大臣は、許可をしないときは、遅滞なく、理由を示してその旨を申請者に通知しなければならない。
※許可申請につき、不許可とした時は、遅滞なく、一般労働者派遣事業不許可通知書を作成し、事業主管轄労働局を経由して申請者に交付する。
3.法第8条第1項
(ⅰ)許可申請の許可を行ったときは、一般労働者派遣事業許可証を作成し事業主管轄労働局を経由して、一般労働者派遣事業を行う事業所の数に応じ申請者に交付する。
(ⅱ)許可・不許可の通知に際しては、併せて一般労働者派遣事業許可申請書の写し及び一般労働者派遣事業計画書の写しそれぞれ一通を申請者に控えとして交付する。
(ⅲ)許可事業主については、次の一般労働者派遣事業許可番号設定要領に従い、当該事業主固有の許可番号を付与する。
4.法第8条第2項(許可証の具備・提示)
許可証の交付を受けた者は、当該許可証を、一般労働者派遣事業を行う事業所ごとに備え付けるとともに、関係者から請求があつたときは提示しなければならない。
5.法第8条第3項(再交付申請)
許可証の交付を受けた者が、許可証を亡失し又は許可証を滅失したときは、速やかに許可証再交付申請書(様式第5号)を事業主管轄労働局を経て厚生労働大臣に提出し、許可証の再交付を受けなければならない。なお、一事業所において許可証を亡失又は滅失した場合には、当該事業所に係る事業所管轄労働局へ申請を行っても差し支えない。
6.法第9条第1項(一般労働者派遣事業の許可の要件)
一般労働者派遣事業の許可に当たっては、条件を付し、及びこれを変更することができる。
(ⅰ)許可の条件を付す場合
具体的には、例えば
ア 専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的として行うものではないこと
イ 派遣先における団体交渉又は労働基準法に規定する協定の締結等のための労使協議の際に使用者側の直接当事者として行う業務について労働者派遣を行うものではないこと
ウ 労働保険・社会保険の適用基準を満たす派遣労働者の適正な加入を行うものであること
といった条件が付される。
また、許可後に届出により新設される一般労働者派遣事業所においても、適正な事業運営がなされるよう、「許可基準」の所定の要件を満たすことが許可条件として付される。
この他にも、例えば、
エ 同一事業所において一般労働者派遣事業と民営職業紹介事業を兼業して行おうとする場合において、当該許可の後においても、「許可基準」の5の事項を遵守すること
オ 特定企業に対する一般労働者派遣事業の許可をする場合において、当該許可の後においても、同「許可基準」の厚生労働省令で定める条件を維持し続けること
カ 登録型で事業を行う場合において、当該許可の後においても、同「許可基準」の4の(4)の④の事項
を遵守することを条件に付すこと
(ⅱ)許可条件通知書の交付
許可の条件を付す場合は、一般労働者派遣事業許可証とは別の様式による一般労働者派遣事業許可条件通知書を作成し、事業主管轄労働局を経由して、申請者に交付する
7.法第9条第2項(許可条件の制限)
許可条件は、許可の趣旨に照らして又は許可に係る事項の確実な実施を図るために必要な最小限度のものに限り、かつ、許可を受けようとする者に不当な義務を課すこととなってはならない。
8.法第10条第1項(許可の有効期間)
一般労働者派遣事業の新規許可の有効期間は、許可の日から起算して3年であること。
9.法第10条第2項(許可の更新)
(ⅰ)許可の有効期間の更新の申請は、当該許可の有効期間が満了する日の3月前までに、許可有効期間更新申請関係書類(補足1)を、事業主管轄労働局に提出することにより行わなければならないこと。
補足1:許可更新時の提出書類(許可申請者が法人の場合)
・一般労働者派遣事業許可有効期間更新申請書(様式第1号)
・事業所(許可後に届出により新設した事業所を含む。以下じ。)ごとの事業計画書(様式第3号)
・定款又は寄附行為
・変更があった場合は登記事項証明書
・変更があった場合は一般労働者派遣事業を行う事業所ごとの個人情報適正管理規程
・最近の事業年度における貸借対照表、損益計算書及び株主資本等変動計算書等
・一般労働者派遣事業に関する資産の内容を証する書類
(ⅱ)許可の有効期間の更新とは、更新時前と許可内容の同一性を存続させつつ、その有効期間のみを延長するものであり、併せて従前の許可内容変更の届出を要する事項につき変更をしようとするときは、許可の有効期間の更新の手続と併せて、変更届出等の手続を行う必要がある。
10.法第10条第3項、第5項(更新許可の要件)
有効期間の更新については、法第6条の許可の欠格事由が原則的に準用されている。また、許可の有効期間の更新については、原則的に新規許可申請の際の「許可基準」によることとされている。
11.法第10条第4項(更新後の許可の有効期間)
(ⅰ)更新後の許可の有効期間は5年であり、以後それが繰り返されること。
12.法第11条第1項(変更届)
(ⅰ)変更届
一般派遣元事業主が次に掲げる事項(補足1)を変更したときは、事業主管轄労働局を経て、厚生労働大
臣に対して、変更の届出をしなければならない。
補足1:届出が必要となる事項
① 氏名又は名称② 住所③ 代表者の氏名④ 役員(代表者を除く。)の氏名⑤ 役員の住所
以下の⑥から⑫までに掲げる個々の事業所の変更事項の変更のみを届け出るときは、当該変更に係る事業所管轄労働局へ届出を行っても差し支えない。
⑥ 事業所の名称⑦ 事業所の所在地⑧ 事業所の派遣元責任者の氏名⑨ 事業所の派遣元責任者の住所⑩ 事業所における特定製造業務(補足2)への労働者派遣の開始・終了⑪ 事業所の新設(事業所における一般労働者派遣事業の開始)⑫ 事業所の廃止(事業所における一般労働者派遣事業の終了)
補足2:特定製造業務とは、製造業務のうち以下のア又はイに該当するものをいう
ア「産前産後休業及び育児休業、並びに産前休業に先行し、又は産後休業若しくは育児休業に後 続する休業であって、母性保護又は子の養育をするための休業をする場合における当該労働者の 業務
イ 介護休業及び介護休業に後続する休業であって、育児・介護休業法第2条第4号に規定す る対象家族を介護するためにする休業をする場合における当該労働者の業務」以外の製造業務
(ⅱ)変更届に添付書類
①氏名又は名称の変更(法人)
・一般労働者派遣事業変更届出書及び許可証書換申請書(様式第5号)
・定款又は寄附行為
・登記事項証明書
②住所の変更(法人)
・一般労働者派遣事業変更届出書及び許可証書換申請書(様式第5号)
・ 定款又は寄附行為(ただし、法人の所在地に変更が加えられた場合に限る。)
・登記事項証明書
③代表者の氏名の変更
・ 一般労働者派遣事業変更届出書(様式第5号)
・ 登記事項証明書
・代表者の住民票の写し及び履歴書(氏名のみの変更の場合、不要。)
④役員(代表者を除く。)の氏名の変更
・一般労働者派遣事業変更届出書(様式第5号)
・登記事項証明書
・代表者の住民票の写し及び履歴書(氏名のみの変更の場合、不要。)
⑤役員(代表者を除く。)の氏名の変更
・一般労働者派遣事業変更届出書(様式第5号)
・登記事項証明書
・役員の住民票の写し及び履歴書(氏名のみの変更の場合、不要。)
⑥役員の住所(法人の場合のみ)の変更
・一般労働者派遣事業変更届出書(様式第5号)
・ 登記事項証明書(代表者を除く役員の変更の場合、不要)
・役員の住民票の写し
⑦一般労働者派遣事業を行う事業所の名称の変更
・ 一般労働者派遣事業変更届出書及び許可証書換申請書(様式第5号)
・ 定款又は寄附行為(事業所の名称の変更に伴い変更が加えられた場合に限る。)
・登記事項証明書(事業所の名称の変更に伴い変更が加えられた場合に限る。)
⑧一般労働者派遣事業を行う事業所の所在地の変更
・ 一般労働者派遣事業変更届出書及び許可証書換申請書(様式第5号)
・定款又は寄附行為(事業所の所在地の変更に伴い変更が加えられた場合に限る。)
・ 登記事項証明書(事業所の所在地の変更に伴い変更が加えられた場合に限る。)
・ 事業所の使用権を証する書類
(不動産の登記事項証明書又は不動産賃貸借(使用貸借)契約書の写し)
⑨一般労働者派遣事業を行う事業所の派遣元責任者の氏名の変更
・一般労働者派遣事業変更届出書(様式第5号)
・派遣元責任者の住民票の写し及び履歴書
⑩一般労働者派遣事業を行う事業所の派遣元責任者の住所
・一般労働者派遣事業変更届出書(様式第5号)
・派遣元責任者の住民票の写し
⑪一般労働者派遣事業を行う事業所における特定製造業務への労働者派遣の開始・終了
・一般労働者派遣事業変更届出書(様式第5号)
⑫一般労働者派遣事業を行う事業所の新設(事業所における一般労働者派遣事業の開始)
・ 一般労働者派遣事業変更届出書(様式第5号)
・新設する事業所ごとの一般労働者派遣事業計画書(様式第3号)
・ 新設する事業所ごとの個人情報適正管理規程
・最近の事業年度における貸借対照表、損益計算書及び株主資本等変動計算書等
・一般労働者派遣事業に関する資産の内容及びその権利関係を証する書類
・新設する事業所ごとの派遣元責任者の住民票の写し及び履歴書
⑬一般労働者派遣事業を行う事業所の廃止
・一般労働者派遣事業変更届出書(様式第5号)
・廃止する事業所ごとの許可証
(ⅲ)変更の届出の受理
a 当該変更の届出を受理した事業主管轄労働局又は事業所管轄労働局において、一般労働者派遣事業変更届出書(様式第5号)又は一般労働者派遣事業変更届出書及び許可証書換申請書(様式第5号)の写し一通を届出者に控として交付する。
13.法第11条第2項(準用)
一般労働者派遣事業の事業所新設の届出に添付する事業計画書については、厚生労働省令で定めるところにより、一般労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業に係る派遣労働者の数、労働者派遣に関する料金の額その他労働者派遣に関する事項を記載しなければならない。
14.法第11条第3項(許可証の交付数)
厚生労働大臣は、事業所の新設に係る変更の届出があつたときは、当該新設に係る事業所の数に応じ許可証を交付しなければならない。
15.法第11条第4項(許可証の書き換え)
b 一般労働者派遣事業の変更の届出と併せて許可証の書換申請が行われたときは、一般労働者派遣事業許可証を新たに作成し、当該変更の届出を受理した労働局を経由して、申請者に、当該申請者が所持していた許可証と引き換えに交付する。
c 変更の届出と併せて許可証の書換え申請が行われたときは、一般労働者派遣事業を行う事業所の数に応じた一般労働者派遣事業許可証を新たに作成し、当該事業主が所持していた許可証と引き換えに交付する。
16.則第4条(許可証の返納)
次のいずれかに該当することとなつたときは、当該事実のあつた日の翌日から起算して十日以内に一般労働者派遣事業を行うすべての事業所に係る許可証又は回復した許可証を厚生労働大臣に返納しなければならないこと。
① 許可が取り消されたとき
② 許可の有効期間が満了したとき
(許可の有効期間の更新が行われず許可の有効期間が満了し、許可が失効した場合である。)
③ 許可証の再交付を受けた場合、亡失した許可証を発見し、又は回復したとき
④ 一般労働者派遣事業を行う事業所を廃止したとき
以上で労働者派遣法第7条・第8条・第9条・第10条を終了します。