均等法第10条

2015年05月16日 10:05

雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律

第10条(指針)

 厚生労働大臣は、第5条から第7条まで及び前条第1項から第3項までの規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するために必要な指針(次項において「指針」という。)を定めるものとする。

2 第4条第4項及び第5項の規定は指針の策定及び変更について準用する。この場合において、同条第4項中「聴くほか、都道府県知事の意見を求める」とあるのは、「聴く」と読み替えるものとする。

※均等法第4条第4項:厚生労働大臣は、男女雇用機会均等対策基本方針を定めるに当たっては、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴くほか、都道府県知事の意見を求めるものとする。第5項:厚生労働大臣は、男女雇用機会均等対策基本方針を定めたときは、遅滞なく、その概要を公表するものとする。

通達による確認

・指針(法第10条)

(1)法第10条は、法第5条から第7条まで及び第9条第1項から第3項までに定める事項に関し、事業主が適切に対処することができるよう、厚生労働大臣が指針を定め、公表することとしたものであること。

(2)指針は、法により性別を理由とする労働者に対する差別が禁止されることとなった直接差別(募集、採用、配置、昇進、降格、教育訓練、福利厚生、職種及び雇用形態の変更、退職の勧奨、定年及び解雇)、間接差別、婚姻・妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い(婚姻・妊娠・出産を理由として予定する定め、婚姻したことを理由とする解雇、妊娠・出産等を理由とする解雇その他不利益な取扱い)各分野について、禁止される措置として具体的に明らかにする必要があると認められるものについて定めたものであること。指針に定めた例はあくまでも例示であり、限定列挙ではなく、これら以外の措置についても違法となる場合があること。

 また、指針においては、法第5条から第7条までに関し、男女双方の例を挙げているものと男性又は女性の一方のみの例を挙げているものがあるが、これは、例示という性格にかんがみ、現実に男性及び女性の双方への差別が起こる可能性が高いものについては男女双方の例を、現実には一方の性に対する差別が起こる可能性が低いものについては男性又は女性の一方のみの例を掲げたものであること。したがって、男性又は女性のみの例示であるからといって、他方の性に対する差別を行ってよいというものではないこと。

(3)指針第2の2(2)から13(2)までの「排除」とは、機会を与えないことをいうものであること。

(4)指針第2の3(2)の「一定の職務」とは、特定の部門や特定の地域の職務に限られるものではなく、労働者を配置しようとする職務一般をいうものであること。これは、指針第2の6(2)において同様であること。

(5)指針第2の1の「その他の労働者につての区分」としては、例えば、勤務地の違いによる区分が考えられるものであること。

(6)指針第2の14(2)は、男女異なる取扱いをすることに合理的な理由があると認められることから、法違反とはならないものについて、明らかにしたものであること。

イ 指針第2の14(2)イ①には、俳優、歌手、モデル等が含まれるものであること。

 ①には守衛、警備員であればすべて該当するというものではなく、単なる受付、出入り者のチェックのみを行う等防犯を本来の目的とする職務でないものは含まれないものであること、また、一般的に単なる集金人等は含まれないが、専ら高額の現金を現金輸送車等により輸送する業務に従事する職務は含まれるものであること。

 ②に「宗教上(中略)必要性があると認められる職務」とは、例えば、一定の宗派における神父、巫女等が考えられること。また、「風紀上(中略)必要性があると認められる職務」とは、例えば、女子更衣室の係員が考えられること。

 ①、②及び③はいずれも拡大解釈されるべきではなく、単に社会通念上男性又は女性のいずれか一方の性が就くべきであると考えられている職務は含まれないものであること。

ロ 指針第2の14(2)ロの「通常の業務を遂行するために」には、日常の業務遂行の外、将来確実な人事異動等に対応する場合は含まれるが、突発的な事故の発生等予期せざる事態、不確実な将来の人事異動の可能性等に備える場合等は含まれないものであること。

 労働基準法について「均等な取扱いをすることが困難であると認められる場合」とは、男女の均等な取扱いが困難であることが、真に労働基準法の規定を遵守するためであることを要するものであり、企業が就業規則、労働協約等において女性労働者について労働基準法を上回る労働条件を設定したことによりこれを遵守するために男女の均等な取扱いをすることが困難である場合は含まれないものであること。

ハ 指針第2の14(2)ハの「風俗、風習等の相違により男女のいずれかが能力を発揮し難い海外での勤務とは、海外のうち治安、男性又は女性の就業に対する考え方の相違等の事情により男性又は女性が就業してもその能力の発揮が期待できない地域での勤務をいい、海外勤務にすべてがこれに該当するものではないこと。

 「特別の事情」には、例えば、勤務地が通勤不可能な山間僻地(サンカンヘキチ)にあり、事業主が提供する宿泊施設以外に宿泊することができず、かつ、その施設を男女共に利用することができない場合など、極めて特別な事情をいい、拡大して解釈されるべきではなく、例示にある海外勤務と同様な事情にあることを理由とした国内での勤務は含まれないものであること。また、これらの場合も、ロと同様、突発的な事故の発生等予期せざる事態、不確実な将来の人事異動の可能性等に備える場合等は含まれないものであること。

基本方針:男女雇用機会均等対策基本方針.pdf (740,8 kB)

指針:差別禁止等の事業主対処指針.pdf (176,5 kB)

指針について

 指針は、過去の女性の労働条件の推移と実情、結婚又は出産退職の実情、その他本来男女がほぼ同数であるべき職場(法令で禁止されている場合を除く)が、男性の職場として継続してきたり、また、低賃金の女性の職場として継続している現状を踏まえ、男女の労働条件の格差の是正を促しています。この格差是正は均等法により、または、「事業主の対処指針」により具体化されていますが、重要なことは「決め事を実際に実施できる社会の実現」であることは誰もが感じていることだと思います。

 

以上で均等法第10条を終了します。

 

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