均等法第11条
雇用の分野における男女の均等な機会および待遇の確保等に関する法律
第11条(職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置)
事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
2 厚生労働大臣は、前項の規定に基づき事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(次項において「指針」という。)を定めるものとする。
3 第4条第4項及び第5項の規定は、指針の策定及び変更について準用する。この場合において、同条第4項中「聴くほか、都道府県知事の意見を求める」とあるのは、「聴く」と読み替えるものとする。
※均等法第4条第4項:厚生労働大臣は、男女雇用機会均等対策基本方針を定めるに当たっては、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴くほか、都道府県知事の意見を求めるものとする。第5項:厚生労働大臣は、男女雇用機会均等対策基本方針を定めたときは、遅滞なく、その概要を公表するものとする。
○通達による確認(平成18年通達)
・職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置(法第11条)
(1)職場におけるセクシャルハラスメントは、労働者の個人としての尊厳を不当に傷つけ、能力の有効な発揮を妨げるとともに、企業にとっても職場秩序や業務の遂行を阻害し、社会的評価に影響を与える問題であり、社会的に許されない行為であることは言うまでもない。特に、職場におけるセクシャルハラスメントは、いったん発生すると、被害者に加え行為者も退職に至る場合がある等双方にとって取り返しのつかない損失を被ることが多く、被害者にとって、事故に裁判に訴えることは、躊躇せざるを得ない面があることを考えると、未然の防止対策が重要である。
また、近年、女性労働者に対するセクシャルハラスメントに加え、男性労働者に対するセクシャルハラスメントの事案も見られるようになってきたところである。
こうしたことから、法第11条第1項は、職場におけるセクシャルハラスメントの対象を男女労働者とするとともに、その防止のため、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講ずることを事業主に義務付けることとしたものであること。
また、第2項は、これらの措置の内容を具体化するために、厚生労働大臣が指針を定め、公表することとしたものであること。
(2)指針は、事業主が防止のため適切な雇用管理上の措置を講ずることができるようにするため、防止の対象とするべき職場におけるセクシャルハラスメントの内容及び事業主が雇用管理上措置すべき事項を定めたものであること。
イ 職場におけるセクシャルハラスメントの内容
指針2「職場におけるセクシャルハラスメントの内容」においては、事業主が、雇用管理上防止すべき対象としての職場におけるセクシャルハラスメントの内容を明らかにするために、その概念の内容を示すとともに、典型例を挙げたものであること。
また、実際上、職場におけるセクシャルハラスメントの状況は多様であり、その判断に当たっては、個別の状況を斟酌する必要があることに留意すること。
なお、法及び指針は、あくまで職場におけるセクシャルハラスメントが発生しないよう防止することを目的とするものであり、個々のケースが厳密に職場におけるセクシャルハラスメントに該当するか否かを問題とするものではないので、この点に注意すること。
① 職場
指針2(2)は「職場」の内容と例示を示したものであること。
「職場」には、業務を遂行する場所であれば、通常就業している場所以外の場所であっても、取引先の事務所、取引先と打合せをするための飲食店(接待の席も含む)、顧客の自宅(保健外交員等)の他、取材先(記者)、出張及び業務で使用する車中等も含まれるものであること。
なお、勤務時間外の「宴会」等であっても、実質上職務の延長と考えられるものは職場に該当するが、その判断に当たっては、職場との関連性、参加者、参加が強制的か任意かを考慮して個別に行うものであること。
② 性的な言動
指針2(4)は「性的な言動」の内容と例示を示したものであること。「性的な言動」に該当するためには、その言動が性的性質を有することが必要であること。
したがって、例えば、女性労働者のみに「お茶くみ」等を行わせること自体は性的な言動には該当しないが、固定的な性別役割分担意識に係る問題、あるいは配置に係る女性差別の問題としてとらえることが適当であること。
「性的な言動」には、(イ)「性的な発言」として、性的な事実関係を尋ねると、性的な内容の情報(噂)を意図的に流布することのほか、性的冗談、からかい、食事・デート等への執拗な誘い、個人的な性的体験談を話すこと等が、(ニ)「性的な行動」として、性的な関係の強要、必要なく身体に触ること、わいせつな図画(ヌードポスター等)を配布、掲示することのほか、強制わいせつ行為、強姦等が含まれるものであること。
なお、事業主、上司、同僚に限らず、取引先、顧客、患者及び学校における生徒等もセクシャルハラスメントの行為者になり得るものであり、また、女性労働者が女性労働者に対して行う場合や、男性労働者が男性労働者に対して行う場合についても含まれること。
③ 対価型セクシャルハラスメント
指針2(5)は対価型セクシャルハラスメントの内容とその典型例を示したものであること。
「対応により」とは、例えば、労働者の拒否や抵抗等の対応が、解雇、降格、減給等の不利益を受けることと因果関係があることを意味するものであること。
「解雇、降格、減給等」とは労働条件上不利益を受けることの例示であり、「等」には、労働契約の更新拒否、昇進・昇格の対象からの除外、客観的に見て不利益な配置転換等が含まれるものであること。
なお、指針に掲げる対価型セクシャルハラスメントの典型的な例は限定列挙ではないこと。
➃ 環境型セクシャルハラスメント
指針2(6)は環境型セクシャルハラスメントの内容とその典型例を示したものであること。
「労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じること」とは、就業環境が害されることの内容であり、単に性的言動のみでは就業環境が害されたことにはならず、一定の客観的要件が必要であること。
具体的には個別の判断となるが、一般的には意に反する身体的接触によって強い精神的苦痛を被る場合には、一回でも就業環境を害することとなり得るものであること。
また、継続性又は繰り返しが要件となるものであっても、明確に抗議しているにもかかわらず放置された状態の場合又は心身に重大な影響を受けていることが明らかな場合には、就業環境が害されていると解し得るものであること。
なお、指針に掲げる環境型セクシャルハラスメントの典型的な例は限定列挙ではないこと。
⑤ 「性的な言動」及び「就業環境が害される」の判断基準
「労働者の意に反する性的な言動」及び「就業環境を害される」の判断に当たっては、労働者の主観を重視しつつも、事業主の防止のための措置義務の対処となることを考えると一定の客観性が必要である。具体的には、セクシャルハラスメントが、男女の認識の違いにより生じている面があることを考慮すると、被害を受けた労働者が女性である場合には「平均的な女性労働者の感じ方」を基準とし、被害を受けた労働者が男性である場合には「平均的な男性労働者の感じ方」を基準とすることが適当であること。
ただし、労働者が明確に意に反することを示しているにも関わらず、さらに行われる性的言動は職場におけるセクシャルハラスメントと解され得るものであること。
ロ 雇用管理上講ずべき事項
指針3は、事業主が雇用管理上講ずべき措置として10項目挙げており、これらについては、企業の規模や職場の状況の如何を問わず必ず講じなければならないものであること。
また、措置の方法については、企業の規模や職場の状況に応じ、適切と考える措置を事業主が選択できるよう具体例を示してあるものであり、限定列挙ではないこと。
① 「事業主の方針の明確化及びその周知・啓発」
指針3(1)は、職場におけるセクシャルハラスメントを防止するためには、まず事業主の方針として職場におけるセクシャルハラスメントを許さないことを明確にするとともに、これを従業員に周知・啓発しなければならないことを明らかにしたものであること。
「その発生の原因や背景」とは、例えば、企業の雇用管理の問題として労働者の活用や能力発揮を考えていない雇用管理の在り方や労働者の意識の問題として同僚である労働者を職場における対等なパートナーとして見ず、性的な関心の対象として見る意識の在り方が挙げられるものであること。さらに、両者は相互に関連して職場におけるセクシャルハラスメントを起こす職場環境を形成すると考えられること。また、「その発生の原因や背景」には、性別役割分担意識に基づく言動も考えられることを明らかにしたものであり、事業主に対して留意すべき事項を示したものであること。
イ①並びにロ①及び②の「その他の職場における服務規律等を定めた文書」として、従業員心得や必携、行動マニュアル等、就業規則の本則ではないが就業規則の一部を成すものが考えられるが、これらにおいて懲戒規定を定める場合には、就業規則の本則にその旨の委任規定を定めておくことが労働基準法上必要となるものであること。
イ③の「研修、講習等」を実施する場合には、調査を行う等職場の実態を踏まえて実施する、管理職層を中心に職階別に分けて実施する等の方法が効果的と考えられること。
② 「相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」
指針3(2)は、職場におけるセクシャルハラスメントの未然防止及び再発防止の観点から相談(苦情を含む。以下同じ。)への対応のための窓口を明確にするとともに、相談の対応に当たっては、その内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応するために必要な体制を整備しなければならないことを明らかにしたものであること。
指針3(2)ロの「窓口をあらかじめ定める」とは、窓口を形式的に設けるだけでは足らず、実質的な対応が可能な窓口が設けられていることをいうものであること。この際、労働者が利用しやすい体制を整備しておくこと、労働者に対して周知されていることが必要であり、例えば、労働者に対して窓口の部署又は担当者を周知していることなどが考えること。
なお、対応に当たっては、公正な立場に立って、真摯に対応すべきことは言うまでもないこと。
指針3(2)ロの「広く相談に対応し」とは、職場におけるセクシャルハラスメントを未然に防止する観点から、相談の対象として、職場におけるセクシャルハラスメントそのものでなくともその発生のおそれがある場合やセクシャルハラスメントに該当するか否か微妙な場合も幅広く含めることを意味するものであること。例えば、指針3(2)ロで掲げる、放置すれば相談者が業務に専念できないなど就業環境を害するおそれがある場合又は男性若しくは女性に対する差別意識など性別役割分担意識に基づく言動が原因や背景となってセクシャルハラスメントが生じるおそれがある場合のほか、勤務時間後の宴会等においてセクシャルハラスメントが生じた場合等も幅広く相談の対象とすることが必要であること。
指針3(2)ロ②の「留意点」には、相談者が相談窓口の担当者の言動等によってさらに被害を受けること等(いわゆる「二次セクシャルハラスメント」)を防止するために必要な事項も含まれるものであること。
③ 「職場におけるセクシャルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応」
指針3(3)は、職場におけるセクシャルハラスメントが発生した場合は、その事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認するとともに、当該事案に適正に対処しなければならないことを明らかにしたものであること。
指針3(3)ロ①の「事業場内産業保健スタッフ等」とは、事業場内産業保健スタッフ及び事業場内の心の健康づくり専門スタッフ、人事労務管理スタッフ等をいうものであること。
ハ 併せて講ずべき措置
指針3(4)は、事業主が(1)から(3)までの措置を講ずるに際して併せて講ずべき措置を明らかにしたものであること。
指針3(4)イは、労働者の個人情報については、「個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)」及び「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針(平成16年厚生労働省告示第259号)」に基づき、適切に取り扱うことが必要であるが、職場におけるセクシャルハラスメントの事案に係る個人情報は、特に個人のプライバシーを保護する必要がある事項であることから、事業主は、その保護のために必要な措置を講じるとともに、その旨を労働者に周知することにより、労働者が安心して相談できるようにしたものであること。
指針3(4)ロは、実質的な相談ができるようにし、また、事実関係の確保をすることができるようにするためには、相談者や事実関係の確認に協力した者が不利益な取扱いを受けないことが必要であることから、これらを理由とする不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、さらにその旨を労働者に周知・啓発することとしたものであること。
また、上記については、事業主の方針の周知・啓発の際や相談窓口の設置にあわせて、周知することが望しいものであること。
事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針:セクハラ対処指針.pdf (291738)
○事業主の対処措置
セクハラについては、「その他の労働条件の考察『セクハラ・パワハラの問題』」の項目で裁判例を含め記述しています。そこで、ここでは事業主の取るべき対処措置に限定して記述します。
・事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針(平成18年厚生労働省告示第615号) 抜粋
・事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関し雇用管理上講ずべき措置の内容
事業主は、職場におけるセクシャルハラスメントを防止するため、雇用管理上次の措置を講じなければならない。
(1)事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
事業主は、職場におけるセクシャルハラスメントに関する方針の明確化、労働者に対するその方針の周知・啓発として、次の措置を講じなければならない。
なお、周知・啓発をするに当たっては、職場におけるセクシャルハラスメントの防止の効果を高めるため、その発生の原因や背景について労働者の理解を深めることが重要である。その際、セクシャルハラスメントの発生の原因や背景には、性別役割分担意識に、基づく言動もあると考えられ、こうした言動をなくしていくことがセクシャルハラスメントの防止の効果を高める上で重要であることに留意することが必要である。
イ 職場におけるセクシャルハラスメントの内容及び職場におけるセクシャルハラスメントがあってはならない旨の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
(方針を明確化し、労働者に周知。啓発していると認められる例)
① 就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書において、職場におけるセクシャルハラスメントがあってはならない旨の方針を規定し、当該規定と併せて、職場におけるセクシャルハラスメントの内容及び性別役割分担意識に基づく言動がセクシャルハラスメントの発生の原因となり得ることを、労働者に周知・啓発すること。
② 社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に職場におけるセクシャルハラスメントの内容及び性別役割分担意識に基づく言動がセクシャルハラスメントの発生の原因や背景となり得ること並びに職場におけるセクシャルハラスメントがあってはならない旨の方針を記載し、配布等すること。
③ 職場におけるセクシャルハラスメントの内容及び性別役割分担意識に基づく言動がセクシャルハラスメントがあってはならない旨の方針を労働者に対して周知・啓発するための研修、講習等を実施すること。
ロ 職場におけるセクシャルハラスメントに係る性的な言動を行った者については、厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
(方針を定め、労働者に周知・啓発していると認められる例)
① 就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書において、職場におけるセクシャルハラスメントに係る性的な言動を行った者に対する懲戒規定を定め、その内容を労働者に周知・啓発すること。
② 職場におけるセクシャルハラスメントに係る性的な言動を行った者は、現行の就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書において定められている懲戒規定の適用の対象となる旨を明確化し、これを労働者に周知・啓発すること。
(2)相談(苦情を含む。以下同じ。)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
事業主は、労働者からの相談に対し、その内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応するために必要な体制の整備として、次の措置を講じなければならない。
イ 相談への対応のための窓口(以下「相談窓口」という。)をあらかじめ定めること。
(相談窓口をあらじめ定めていると認められる例)
① 相談に対応する担当者をあらかじめ定めること。
② 相談に対応するための制度を設けること。
③ 外部の機関に相談への対応を委託すること。
ロ イの相談窓口の担当者が、相談に対し、その内容や状況に応じた適切に対応できるようにすること。
また、相談窓口においては、職場におけるセクシャルハラスメントが現実に生じている場合だけでなく、その発生のおそれがある場合や、職場におけるセクシャルハラスメントに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応し、適切な対応を行うようにすること。例えば、放置すれば就業環境を害するおそれがある場合や、性別役割分担意識に基づく言動が原因や背景となってセクシャルハラスメントが生じるおそれがある場合等が考えられる。
(相談窓口の担当者が適切に対応することができるようにしていると認められる例)
① 相談窓口の担当者が相談を受けた場合、その内容や状況に応じて、相談窓口の担当者と人事部門とが連携を図ることができる仕組みとすること。
② 相談窓口の担当者が相談を受けた場合、あらかじめ作成した留意点まどを記載したマニュアル基づき対応すること。
(3) 職場におけるセクシャルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
事業主は、職場におけるセクシャルハラスメントに係る相談の申出があった場合において、その事案に係る事実関係の迅速かつ正確な確認及び適正な対処として、次の措置を講じなければならない。
イ 事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
(事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認していると認められる例)
① 相談窓口の担当者、人事部門又は専門の委員会等が、相談を行った労働者(以下「相談者」という。)及び職務におけるセクシャルハラスメントに係る性的な言動の行為者とされる者(以下「行為者」という。)の双方から事実関係を確認すること。
また、相談者と行為者の間で事実関係に関する主張に不一致があり、事実の確認が十分にできないと認められる場合には、第三者からも事実関係を聴取する等の措置を講ずること。
② 事実関係を迅速かつ正確に確認しようとしたが、確認が困難な場合などにおいて、法第18条に基づく調停の申請を行うことその他中立な第三者機関に紛争処理を委ねること。
ロ イにより、職場におけるセクシャルハラスメントが生じた事実が確認できた場合においては、速やかに被害を受けた労働者(以下「被害者」という。)に対する配慮のための措置を適性に行うこと。
(措置を適正に行っていると認められる例)
① 事案の内容や状況に応じ、被害者と行為者の間の関係改善に向けての援助、被害者と行為者を引き離すための配置転換、行為者の謝罪、被害者の労働条件上の不利益の回復、管理監督者又は事業場内産業保健スタッフ等による被害者のメンタル不調への相談対応等の措置を講ずること。
② 法第18条に基づく調停(※労働局の相談対応、あっせん調停のこと)その他中立的な第三者機関の紛争解決案に従った措置を被害者に対して講ずること。
ハ イにより、職場におけるセクシャルハラスメントが生じた事実が確認できた場合においては、行為者に対する措置を適正に行うこと。
(措置を適正に行っていると認められる例)
① 就業規則その他の職場における服務規律を定めた文書におけるセクシャルハラスメントに関する規定等に基づき、行為者に対して必要な懲戒その他の措置を講ずること。併せて事案の内容や状況に応じ、被害者と行為者の間の関係改善に向けての援助、被害者と行為者を引き離すための配置転換、行為者の謝罪、被害者の労働条件上の不利益の回復等の措置を講ずること。
② 法第18条に基づく調停その他中立な第三者機関の紛争解決案に従った措置を行為者に対して講ずること。
ニ 改めて職場におけるセクシャルハラスメントに関する方針を周知・啓発する等の再発防止に向けた措置を講ずること。
なお、職場におけるセクシャルハラスメントが生じた事実が確認できなかった場合においても、同様の措置を講ずること。
(再発防止に向けた措置を講じていると認められる例)
① 職場におけるセクシャルハラスメントがあってはならない旨の方針及び職場におけるセクシャルハラスメントに係る性的な言動を行った者について厳正に対処する旨の方針を、社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に改めて掲載し、配布等すること。
② 労働者に対して職場におけるセクシャルハラスメントに関する意識を啓発するための研修、講習等を改めて実施すること。
(4)(1)から(3)までの措置と併せて講ずべき措置
(1)から(3)までの措置と併せて講ずるに際しては、併せて次の措置を講じなければならない。
イ 職場におけるセクシャルハラスメントに係る相談者・行為者等の情報は当該相談者・行為者等のプライバシーに属するものであることから、相談への対応又は当該セクシャルハラスメントに係る事後の対応に当たっては、相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講ずるとともに、その旨を労働者に対して周知すること。
(相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じていると認められる例)
① 相談者・行為者等のプライバシーの保護のために必要な事項をあらかじめマニュアルに定め、相談窓口の担当者が相談を受けた際には、当該マニュアルに基づき対応するものとすること。
② 相談者・行為者等のプライバシーの保護のために、相談窓口の担当者に必要な研修を行うこと。
③ 相談窓口においては相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じていることを、社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に掲載し、配布等すること。
ロ 労働者が職場におけるセクシャルハラスメントに関し相談をしたこと又は事実関係の確認に協力したこと等を理由として、不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。
(不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者にその周知・啓発することについて措置を講じていると認められる例)
① 就業規則その他の職場における職務規律等を定めた文書において、労働者が職場におけるセクシャルハラスメントに関し相談をしたこと、又は事実関係の確認に協力したこと等を理由として、当該労働者が解雇等の不利益な取扱いをされない旨を規定し、労働者に周知・啓発をすること。
② 社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に、労働者が職場におけるセクシャルハラスメントに関し相談をしたこと、又は事実関係の確認に協力したこと等を理由として、当該労働者が解雇等の不利益な取扱いをされない旨を記載し、労働者に配布等すること。
○セクハラに関するまとめ
セクハラに関する雇用管理上の措置は、均等法第11条第1項により、「必要な措置を講じなければならない。」として、措置義務が明確化され不作為が不法行為に該当する規定となっています。
物事は大きくなってから対処しようとすると、その対処に必要な労力も費用も大きくなってしまいます。しかも、法律で義務付けられているわけですから、なんらかの対応をすべきかと思います。平成25年度の都道府県労働局の均等室に相談があった件数は21,418件(相談者は労使双方、その内労働者の相談件数は11,057件・51.6%)であり、内セクハラに関する相談件数は9,230件✩1(約43.1%)でした。※出典:平成 25 年度 都道府県労働局雇用均等室での法施行状況の公表
全国の都道府県労働局に相談があった個別労働紛争の平成25年度の相談件数は、1,050,042件✩2でした。セクハラ相談件数と比較すると約2.0%(✩1÷(✩1+✩2)×100)に相当します。※出典:平成25年度個別労働紛争解決制度施行状況 この件数を多いとみるか少ないとみるかですが、将来的に女性労働者が十分に活躍できる職場環境を構築するためには、無視してはならない数字かと考えます。
以上で均等法第11条を終了します。
均等法第11条