均等法第12条、第13条
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律
第12条(妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置)
事業主は、厚生労働者省令で定めるところにより、その雇用する女性労働者が母子保健法(昭和40年法律第141号)の規定による保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保することができるようにしなければならない。
第13条
事業主は、その雇用する女性労働者が前条の保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするため、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講じなければならない。
2 厚生労働大臣は、前項の規定に基づき事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(次項において「指針」という。)を定めるものとする。
3 第4条第4項及び第5項の規定は、指針の策定及び変更について準用する。この場合において、同条第4項中「聴くほか、都道府県知事の意見を求める」とあるのは、「聴く」と読み替えるものとする。
※均等法第4条第4項:厚生労働大臣は、男女雇用機会均等対策基本方針を定めるに当たっては、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴くほか、都道府県知事の意見を求めるものとする。第5項:厚生労働大臣は、男女雇用機会均等対策基本方針を定めたときは、遅滞なく、その概要を公表するものとする。
均等法施行規則
第2条の3(法第12条の措置)
事業主は、次に定めるところにより、その雇用する女性労働者が保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保することができるようにしなければならない。
一 当該女性労働者が妊娠中である場合にあつては、次の表の上欄に掲げる妊娠週数の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる期間内ごとに一回、当該必要な時間を確保することができるようにすること。ただし、医師又は助産師がこれと異なる指示をしたときは、その指示するところにより、当該必要な時間を確保することができるようにすること。
妊娠週数 期間
妊娠23週まで 4週
妊娠24週から35週まで 2週
妊娠36週から出産まで 1週
ニ 当該女性労働者が出産後1年以内である場合にあっては、医師又は助産師が保健指導又は健康診査を受けることを指示したときは、その支持するところにより、当該必要な時間を確保することができるようにすること。
○通達による確認 平成18年通達
・妊娠中及び第13条、則第2条の3並びに「妊娠中及び出産後の女性労働者が保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするため事業主が講ずべき措置に関する指針(平成9年労働省告示第105号)」の趣旨及びその解釈については、引き続き「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等のための労働省関係法律の整備に関する法律の一部施行(第二次施行分)について(平成9年11月14日付け基発第695号、女発第36号)」によるものとすること。
参考:平成9年労働省告示第105号 妊娠中及び出産後の女性労働者が保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするために.doc (50688)
平成9年11月4日付け基発第695号、女発第36号 ○雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等のための労働省関係法律の整備に関する法律の一部施.doc (141824)
・深夜業に従事する女性労働者に対する措置(則13条)
(1)平成11年4月1日以降女性労働者に対する深夜業の規制が解消されたが、女性が充実した職業生活を送るためには、深夜業に従事する女性労働者の通勤及び業務の遂行の際における防犯面からの安全の確保が必要である。しかしながら、従来女性の深夜業は原則として法律上禁止されていたため、事業主において深夜業に従事する女性労働者の安全の確保に関する取組が十分になされない懸念も存在する。このため、則第13条は、法第2条第2項に規定された事業主の責務の一部を具体化するものとして、事業主は、当分の間、女性労働者を深夜業に従事させる場合には、通勤及び業務の遂行の際における当該女性労働者の安全の確保に必要な措置を講ずるように務めるべきことを明らかにしたものであること。
(2)「当分の間」とは、深夜業に従事する女性労働者に関して通勤及び業務の際における安全の確保に必要な措置が十分に講じられるようになるまでの間をいうものであり、具体的な年限を限ったものではないこと。
(3)「通勤」とは、労働者が就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復することをいうものであること。
(4)「業務の遂行」とは、労働者が実際にその業務についている状態をいうものであること。
(5)「安全の確保に必要な措置」の内容は、具体的には「深夜業に従事する女性労働者の就業環境等の整備に関する指針(平成10年労働省告示第21号)」2(1)に明らかにされているものであること。この指針の解釈については、「深夜業に従事する女性労働者の就業環境等の整備に関する指針について(平成10年6月11日付け女発第170号)」によられたいこと。
参考:平成10年労働省告示第21号 ○深夜業に従事する女性労働者の就業環境等の整備に関する指針.doc (59392)
平成10年6月11日 女発第170号 ○深夜業に従事する女性労働者の就業環境等の整備に関する指針について.doc (81408)
均等法施行規則第13条(深夜業に従事する女性労働者に対する措置)
事業主は、女性労働者の職業生活の充実を図るため、当分の間、女性労働者を深夜業に従事させる場合には、通勤及び業務の遂行の際における当該女性労働者の安全の確保に必要な措置を講ずるように務めるものとする。
○厚生労働省作成パンフレットによる第12条及び第13条のまとめ
均等法第12条(母性健康管理の措置)
注:妊産婦とは、妊娠中及び産後1年を経過しない女性のこと
イ 対象となる健康診断等
この法律でいう保健指導又は健康診断とは、妊産婦本人を対象に行われる産科に関する診察や諸検査と、その結果に基づいて行われる個別の保健指導のこと。(以下「健康診査等」という。)
ロ 確保すべき必要な時間
事業主は、女性労働者からの申出があった場合に、勤務時間の中で、健康診査等を受けるために必要な時間を与えなければならない。
・健康診査等に必要な時間については、
① 健康診査の受診時間
② 保健指導を直接受けている時間
③ 医療機関等での待ち時間
➃ 医療期間等への往復時間
をあわせた時間を考慮にいれて、十分な時間を確保できるようにすること。
・なお、女性労働者が自ら希望して、会社の休日等に健康診査等を受けることを妨げるものではない。
(1)健康診査を受けるために必要な時間の確保の回数等
イ 受診のために確保しなければならない回数
(イ)妊娠中
妊娠23週までは4週間に1回
妊娠24週から35週までは2週間に1回
妊娠36週以後出産までは1週間に1回
・ただし、医師または助産師(以下「医師等」という。)がこれと異なる指示をしたときは、その指示に従って、必要な時間を確保することができるようにしなければならない。
・「妊娠週数」は、最終月経の第1日目を0日にして最初の1週を0週として数える。通常、女性労働者の担当の医師等が示してくれるもの。
・通院のために必要な時間の申請は、原則として医師等により妊娠が確定された後となる。
(ロ)産後(出産後1年以内)
医師等が健康診査等を受けることを指示したときは、その指示するところにより、必要な時間を確保することができるようにしなければならない。
・産後の経過が正常な場合は、通常、産後休業期間中である産後4週間後に1回、健康診査等を受けることとなっている。
しかし、産後の回復不全等の症状で、健康診査等を受診する必要のある女性労働者もいるので、その場合には、必要な時間を確保することができるようにしなければならない。
ロ 回数の数え方
・「1回」とは、健康診査とその結果に基づく保健指導をあわせたもの。通常、健康診査と保健指導は同一の日に引き続き行われるが、医療期間等によっては健康診査に基づく保健指導を別の日に実施することもある。この場合には、両方で1回とみなすので、事業主は、女性労働者が健康診査を受診した日とは別の日に保健指導のみ受ける場合についても、時間を確保することが必要になる。
・「期間」は、原則として、受診日の翌日から数えて、その週数目の受診日と同じ曜日までとなる。例えば、「4週」の場合は、ある受診日が木曜日である場合、その週から数えて4週目に当たる週の木曜日までの期間をいう。事業主は、その期間内に次回の通院時間を確保できるようにしなければならない。
(2)必要な時間の確保方法
イ 必要な時間の与え方及び付与の単位
通院休暇制度を設ける場合には、個々の労働者によって、通院する医療機関等と勤務地との距離が異なったり、医師等に指定される診療時間も一定ではないので、個々の事情に配慮し、通院に要する時間の付与単位は、融通をもたせるようにすることが望まれる。
例えば、半日単位、時間単位等でも取れるようにしておくとよい。
・通院する医療機関等は、原則として、本人が希望する医療機関等とすること。
ロ 業務との調整等
健康診査等を受けるための通院日は、原則として女性労働者が希望する日(医師等が指定した日)にすること。
・事業主が通院日を会社の休日又は女性労働者の非番日に変更させることや休日以外の申請を拒否することは原則としてできない。
・事業主が業務の都合等により、やむを得ず通院日の変更を行わせる場合には、変更後の通院日には、原則として、女性労働者本人が希望する日とすること。
ハ 通院休暇の申請手続
(イ)申請に必要な事項
女性労働者が事業主に対して健康診査等に必要な時間を申請するに当たっては、通院の月日、必要な時間、医療機関等の名称及び所在地、妊娠週数等を書面で申請することが望まれる。
(ロ)申請に必要な書類
事業主は、妊娠週数又は出産予定日を確認する必要がある場合には、女性労働者の了承を得て、出産予定日証明書等の証明書類の提出を求めることができる。
・ただし、証明する書類として母子健康手帳を女性労働者に開示させることは、プライバシー保護の観点から好ましくない。
(ハ)申請時期
健康検査等に必要な時間の申請は、原則として事前に行う必要がある。ただし、事業主が、事後の申請について、遡って承認することを妨げるものではない。
2 指導事項を守ることができるようにするための事項(法第13条)
・指導事項を守ることができるようにするための措置
事業主が講じなければならないようにするための措置
① 妊娠中の通勤緩和
② 妊娠中の休憩に関する措置
③ 妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置
事業主はこれらの措置を決定した場合には、決定後速やかに女性労働者に対してその内容を明示すること。その際は、書面による明示が望しい。
(1)妊娠中の通勤緩和
イ 電車、バス等の公共交通機関の他、自家用車による通勤も通勤緩和の措置の対象となる。
ロ 措置の具体的内容としては、次のようなものが考えられる。
(イ)時差通勤
・始業時間及び週四時間に各々30分~60分程度の時間差を設けること
・労働基準法第32条に規定するフレックスタイムの制度を適用すること
(ロ)勤務時間の短縮
・1日30~60分程度の時間短縮
(ハ)交通手段・通勤経路の変更
・混雑の少ない経路への変更
○均等法施行規則第13条(深夜業に従事する女子労働者に対する措置)
(1)通勤及び業務の遂行の際における安全の確保
送迎バスの運行、公共交通機関の運行時間に配慮した勤務時間の設定、従業員駐車場の防犯灯の整備、防犯ベルの貸与等を行うことにより、深夜業に従事する女性労働者の通勤の際における安全を確保するよう務めること。
また、防犯上の観点から、深夜業に従事する女性労働者が一人で作業をすることを避けるよう務めること。
(2)子の養育又は家族の介護灯の事情に関する配置
雇用する女性労働者を新たに深夜業に従事させようとする場合には、子の養育又は家族の介護、健康等に関する事情を聴くこと等について配慮するよう務めること。
また、子の養育又は家族の介護を行う一定範囲の労働者が請求した場合においては、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、深夜業をさせてはならないこと。
・深夜業の制限を請求できる労働者
小学校入学までの子の養育又は要介護状態にある一定範囲の家族の介護を行う労働者
※以下に該当する労働者を除く
1)日々雇用される労働者
2)勤続1年未満の労働者
3)保育・介護ができる同居の家族がいる労働者
保育・介護ができる同居家族とは、16歳以上であって、以下の全てに該当する者をいう。
イ 深夜に就業していないこと(深夜の就業日数が1月について3日以下の者を含む。)
ロ 負傷、疾病又は心身の障害により請求に係る子又は家族を保育・介護することが困難でないこと
ハ 産前産後でないこと
4)1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
5)所定労働時間の全部が深夜にある労働者
○その他
均等法第12条、第13条についての、特段の考察事項はありません。代わりに(財)女性労働協会のホームページのご案内をいたします。
一般財団法人女性労働協会:https://www.bosei-navi.go.jp
以上で均等法第12条、第13条を終了します。
均等法第12条・第13条