均等法第14条

2015年05月18日 15:51

雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律

第14条(国の事業主に対する相談・援助)

 国は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇が確保されることを促進するため、事業主が雇用の分野における均等な機会及び待遇の確保の支障となっている事情を改善することを目的とする次に掲げる措置を講じ、又は講じようとする場合には、当該事業主に対し、相談その他の援助を行うことができる。

一 その雇用する労働者の配置その他雇用に関する状況の分析

ニ 前号の分析に基づき雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となっている事情を改善するに当たって必要となる措置に関する計画の作成

三 前号の計画で定める措置の実施

四 前三号の措置の実施状況の開示

通達による確認(平成18年雇児発第1011002号)

・事業主に対する国の援助(法第2章第3節)

1.雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇を確保するためには、企業の制度や方針において、労働者に対する性別を理由とする差別の禁止に関する規定を遵守することに加えて、固定的な男女の役割分担意識に根ざす制度や慣行に基づき企業において、男女労働者の間に事実上生じている格差に着目し、このような格差の解消を目指して事業主が積極的かつ自主的に雇用管理の改善に取り組むことが望しい。このため、法第14条は、このような取組を行う事業主に対し、国が相談その他の援助を行うことができる旨を規定し、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の観点から、労働者の能力発揮を促進するための総合的な雇用管理の改善の取組を促すこととしたものであること。

2.本条柱書き及び第2号の「支障となっている事情」の意義は、第2の3(2)と同じであること。

※「支障となっている事情」とは、固定的な男女の役割分担意識に根ざすこれまでの企業における制度や慣行が原因となって、雇用の場において男女労働者の間に事実上の格差が生じていることをいうものであること。この格差は最終的には男女労働者数の差となって表れるものであることから、事情の存否については、女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない状況にあるか否かにより判断することが適当であること。

3.「その他の援助」としては、助言、情報提供が考えられるものであること。

4.第1号の「雇用に関する状況の分析」とは、企業において女性労働者(男性労働者)が男性労働者(女性労働者)と比べてどのような現状にあるかを客観的に把握し、その状況にアンバランスがある場合にはその原因を分析し、問題点を発見することをいうものであること。

5.第2号の「必要となる措置に関する計画の作成」とは、第1号の分析結果を踏まえて、男性労働者の間に事実上生じている格差を改善するための措置についての計画を作成することをいうものであること。計画の作成に当たっては、現実に即した具体的な目標及び目標を達成するための具体的取組を実施する目安となる期間を設定し、目標に沿って、発見された問題の解決に効果的な具体的措置を検討・策定することが望ましいものであること。

6.第3号の「計画で定める措置の実施」とは、第2号の計画で定めた具体的措置を実際に実施することをいうものであること。

 すなわち、本号に基づき事業主が実際に実施する措置には、女性のみを対象とした措置又は男性と比較して女性を有利に取り扱う措置と、男女双方を対象とした措置の両方が含まれるものであるが、前者については、法第8条により法に違反しないこととされた措置に限られるものであること。すなわち、法第5条及び第6条に規定する措置であって男性のみを対象とした措置又は女性と比較して男性を有利に取り扱う措置は許容されていないこと。

7.第4号の「必要な体制の整備」とは、第1号から第3号までの一連の取組等を行うために必要な体制を整備していくことをいうものであること。

8.第5号の「実施状況の開示」とは、第1号から第4号までの事業主の措置の実施状況を開示することをいう。

厚生労働省作成パンフレットより(均等法のあらまし)

ア 均等法第14条と第8条の関係

 均等法第14 条の「ポジティブ・アクション」として講じられる具体的措置としては、「女性のみ」又は「女性優遇」の措置と男女双方を対象として行う措置の両方があるが、このうち、「女性のみ」又は「女性優遇」の措置については、事業主が講ずることができるのは、第8条により法違反とはならないこととされた措置に限定される。

ロ 国の援助の具体的内容

 厚生労働省は、各地で経営者団体や各種業界団体と連携を図りながら、ポジティブ・アクションの重要性、手法についての事業主の理解を深めるよう周知を図るとともに、企業のポジティブ・アクションの具体的取組を援助するため、次のような事業を実施していること。           

 ① 行政と経営者団体が連携して「女性の活躍推進協議会」を開催。

 参考:女性の活躍推進協議会 https://www.mhlw.go.jp/positive-action.sengen/

 ②  「均等・両立推進企業表彰」を公募により実施し、ポジティブ・アクションを推進する企
業を表彰。

 ③  事業所から選任された機会均等推進責任者の活動を促すために、ポジティブ・アクショ
ンに関する情報提供を実施。

 ④  ポジティブ・アクション情報ポータルサイトにおいて、各企業のポジティブ・アクショ
ンの取組など各種情報を幅広く提供するとともに、企業が自社の女性の活躍推進の状況を自己診断できるシステムの運営。

 ⑤  使用者団体や労働組合などと連携して、男女間格差の「見える化」をするための支援ツールの作成・普及。                     

 ⑥  女性労働者が就業を継続していけるような環境づくりを促進するため、自社の取組を踏まえた企業経営者からのメッセージ集や女性管理職等からの女性社員へのヒント集を作成・普及するとともに、メンター制度の導入及びロールモデルの育成のためのマニュアルを作成・普及。

ポジティブアクションの進め方資料

 厚生労働省は、第14条に基づくポジティブアクションの進め方の資料やHPの作成を行っています。

参考:パンフレット ポジティブアクションの進め方.pdf (2236620)

   応援サイト https://www.positiveaction.jp/pa/   ※厚生労働省委託事業

 このHP(ポジティブアクション応援サイト)では、具体的な企業の取組事例の概略が掲載されています。ご参考にしていただけるかと思います。

ポジティブアクションの取組状況

 産業・規模、ポジティブ・アクションの取組状況別企業割合(H25) 付表67 https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/josei-jitsujo/dl/13e-6.pdf

    企業規模等          取り組んでいる

     10人以上           16.9%

     30人以上           20.8%

    5000人以上           64.0%

 1000人~4999人            41.8%

   300~999人            32.4%

   100~299人            27.4%

    30~99人            17.2%

    10~29人            14.8%

 平成25年度のポジティブアクションに関する取組状況は、以上のような状況となっています。

           

  

以上で均等法第14条を終了します。

 

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