均等法第18条
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律
第18条(調停の委任)
都道府県労働局長は、第16条に規定する紛争(労働者の募集及び採用についての紛争を除く。)について、当該紛争の当時者(以下「関係当時者」という。)の双方又は一方から調停の申請があつた場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第6条第1項の紛争調整委員会(以下「委員会」という。)に調停を行わせるものとする。
参考:個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律
第5条(あっせんの委任)
都道府県労働局長は、前条第一項に規定する個別労働関係紛争(労働者の募集及び採用に関する事項についての紛争を除く。)について、当該個別労働関係紛争の当事者(以下「紛争当事者」という。)の双方又は一方からあっせんの申請があった場合において当該個別労働関係紛争の解決のために必要があると認めるときは、紛争調整委員会にあっせんを行わせるものとする。
2 前条第三項の規定は、労働者が前項の申請をした場合について準用する。
第6条(委員会の設置)
都道府県労働局に、紛争調整委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2 委員会は、前条第一項のあっせんを行う機関とする。
※労働局の紛争調整委員会は両者(あっせん申請者と被申請者)の申し立て及び答弁を聴いた上で、両者にあっせん案(解決案)を提示し、両者がそのあっせん案を承諾すれば、和解契約としての効力が発生し両者を拘束します。だだし、判決と異なる点は、両者にあっせん案の受諾義務がない点です。
参考:あっせん制度①:個別紛争解決法 あっせん①.pdf (2701643)
あっせん制度②:あっせん②.pdf (3055206)
○通達による確認(平成18年雇児発第1011002号)
・調停の委任(法第18条)
(1)紛争の委任(法第18条第1項)
イ 紛争当時者(以下「関係当時者」という。)間の個別具体的な私法上の紛争について、当時者間の自主的な解決、都道府県労働局長による紛争解決の援助に加え、公正、中立な第三者機関の調停による解決を図るため、法第16条の紛争のうち募集及び採用に関する紛争を除いたものについて、関係当時者の双方又は一方から調停の申請があった場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、都道府県労働局長は、委員会に調停を行わせるものとすることとしたものであること。
ロ 「関係当時者」とは、現に紛争の状態にある労働者及び事業主をいうものであること。したがって、労働組合等の第三者は関係当時者にはなりえないものであること。
ハ 「調停」とは、紛争の当時者の間に第三者が関与し、当時者の互譲によって紛争の現実的な解決を図ることを基本とするものであり、行為が法律に抵触するか否か等を判定するものではなく、むしろ行為の結果生じた損害の回復等について現実的な解決策を提示して、当事者の歩み寄りにより当該紛争を解決しようとするものであること。※互譲:互いに譲り合うこと
ニ 次の要件に該当する事案については、「当該紛争のために必要があると認められないものとして、原則として、調停に付すことは適当であるとは認められないものであること。
① 申請が、当該紛争に係る事業主の措置が行われた日(継続する措置の場合にあってはその終了した日)から1年を経過した紛争に係るものであること。
② 申請に係る紛争が既に司法的救済又は他の行政的救済に係属しているときや集団的な労使紛争にからんだものであること。※筆者加筆:都道府県労働委員会に関係する案件である場合
ホ 都道府県労働局長が「紛争の解決のために必要がある」か否かを判断するに当たっては、ニに該当しない場合は、法第15条による自主的解決の努力の状況も考慮の上、原則として調停を行う必要があると判断するものであること。
(2)調整の申請をしたことを理由とする解雇その他不利益な取扱いの禁止(法第18上第2項)
法第18条第1項の調停により、関係当時者に生じた個別具体的な私法上の紛争を円滑に解決することの重要性にかんがみれば、事業主に比べ弱い立場にある労働者を事業主の不利益取扱いから保護する必要があることから、労働者が調停の申請をしたことを理由とするその他不利益な取扱いを禁止することとしたものであること。
「理由として」及び「不利益な取扱い」の意義は、それぞれ第5の3(2)ロ及びハと同じであること。
○厚生労働省作成パンフレット抜粋(均等法のあらまし)
関係当事者間の個別紛争について、均等法第15 条、第17 条に加え、公正、中立な第三者機関の調停による解決を図るために設けられている規定であること。調停は紛争調整委員会の委員のうちから会長が指名する3人の調停委員によって行われ、調停を行うための会議を「機会均等調停会議」と称すること。
調停の対象となる紛争は、具体的には、配置(業務の配分及び権限の付与を含む)・昇進・降格・教育訓練、一定範囲の福利厚生、職種・雇用形態の変更、退職勧奨・定年・解雇・労働契約の更新、一定範囲の間接差別、婚姻、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い等、セクシュアルハラスメント、母性健康管理措置についての紛争であり、募集・採用についての紛争は対象とはならないこと。
調停申請は関係当事者の一方からの申請でも可能であること。また、労働者が調停の申請をしたことを理由として、事業主は、その労働者に対して解雇その他不利益取扱いをしてはならないこととされていること。
○調停の対象にならない紛争
次のような場合には、紛争の解決のために必要があると認められず、原則として調停は開始されない。
・募集・採用に関する紛争
・労働組合と事業主の間の紛争や労働者と労働者の間の紛争など
・申請に係る紛争に関し、確定判決が出されている場合
・申請に係る紛争が既に司法的救済または調停以外の行政的救済に係属している場合(関係当事者双方が調停を優先させる意向がある場合を除く)
・申請に係る紛争が集団的な労使紛争にからんだものである場合
・ 事業主の措置が行われた日、または措置の内容が終了した日から1年以上経過している場合
○あっせんが打ち切りになる場合
①本人の死亡、法人の消滅などがあった場合
②当事者間で和解が成立した場合
③調停が取り下げられた場合
④他の関係当事者が調停に非協力的で度重なる説得にもかかわらず出席しない場合
⑤対立が著しく強く、歩み寄りが困難である場合
⑥調停案を受諾しない場合
○他法による調停
あっせん委員会による調停は個別紛争解決法、均等法のほか、パートタイム労働法及び育児・介護休業法の規定による紛争においても行われます。
参考:紛争解決援助制度のご案内(厚生労働省作成パンフレット):均等法個別紛争.pdf (1471836)
上記パンフレットには、事例も記載されています。
以上で均等法第18条を終了します。
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