均等法第24条
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律
第24条(時効の中断)
前条第1項の規定により調停により調停が打ち切られた場合において、当該調停の申請をした者が同条第2項の通知を受けた日から三十日以内に調停の目的となった請求について訴えを提起したときは、時効の中断に関しては、調停の申請の時に、訴えの提起があったものとみなす。
○通達による確認(平成18年雇児発第1011002号)
・時効の中断(法第24条)
法第24条は、法第23条により調停が打ち切られた場合に当該調停の申請をした者が打ち切りの通知を受けた日から30日以内に調停の目的となった請求について訴えを提起したときは、調停の申請の時に遡り、時効の中断が生じることを定めるものであること。
「調停の申請の時」とは、申請書が現実に都道府県労働局に提出された日であって、申請書に記載された申請年月日ではないこと。
また、調停の過程において申請人が調停を求める時効の内容を変更又は追加した場合にあっては、当該変更又は追加した時が「申請の時」に該当するものと解されること。
「通知を受けた日から30日以内」とは、民法の原則に従い、文書の到達した日は期間の計算に当り算入されないため、書面による調停打切りの通知が到達した日の翌日から起算して30日以内であること。
「調停の目的となった請求」とは、当該調停手続において調停の対象とされた具体的な請求(地位確認、損害賠償請求等)を指すこと。本条が適用されるためには、これらと訴えに係る請求とが同一性のあるものでなければならないこと。
○時効(消滅時効)・時効の成立とは何か?
一定の期間、権利の行使がなかった場合に、権利の消滅を認める制度を消滅時効といいます。
参考:民法第166条 消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。
2 前項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を中断するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。
民法第174条 次に掲げる債権は、一年間行使しないときは、消滅する。
2 月又はこれより短い時期によって定めた使用人の給料に係る債権 ※労基法で2年に修正
3 自己の労力の提供又は演芸を業とする者の報酬又はその供給した物の代価に係る債権
4 運送賃に係る債権
5 旅館、料理店、飲食店、貸席又は娯楽場の宿泊料、飲食料、席料、入場料、消費物の代価又は立替金に係る債権
6 動産の損料に係る債権
労働基準法第115条 この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は二年間、この法律の規定による退職手当の請求権は五年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。
消滅時効の意味は、一定期間権利を行使しなかった場合に、権利そのものが消滅してしまう制度ですから、セクハラによって被った損害の賠償請求件や解雇無効の差し止めの訴えの請求等、消滅時効が成立した場合には、そもそも債権者又は原告として裁判所に訴えを起こすことができる要件を欠いてしまいます。
時効の中断とは、一般的には「裁判上の請求」「差押・仮差押・仮処分」「債務者が債権の存在を認めた場合(承認)」により時効が中断し、それまで経過した期間(消滅時効の進行)を無にする効果があります。裁判上の請求を行う場合、賃金債権の消滅時効は毎月(又は毎週等)の本来の賃金支払日の翌日から2年ですから、過去の賃金支払日の翌日が裁判所に訴えた日から遡って2年を超える場合には、超えた部分の未払賃金は請求できないこととなります。また、例えば均等法違反により不法行為に該当するとして損害賠償請求を行う場合には、民法第724条により3年で請求権が消滅します。
参考:翌日起算の原則
通常、期間を計算すべき原因となった事象は、一日の途中に起こります。そこで、民法の規定により初日不算入の原則として期間を数え始める日(起算日)を翌日とすることとなっています。
民法第140条 日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
以上で均等法第24条を終了します。
均等法第24条