均等法第30条・第31条・第32条・第33条
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律
第30条(公表)
厚生労働大臣は、第5条から第7条まで、第9条第1項から第3項まで、第11条第1項、第12条及び第13条第1項の規定に違反している事業主に対し、前条第1項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。
○通達による確認(平成18年雇児発第1011002号)第30条
・公表(法第30条)
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇を確固たるものとし、女性労働者の就業に関して妊娠中及び出産後の健康の確保を図る等の措置を推進するためには、労働者に対する差別等を禁止し、事業主に一定の措置を義務付けるとともに、法違反の速やかな是正を求める行政指導の効果を高め、法の実効性を確保することが必要である。
このような観点から、厚生労働大臣は、法第5条から第7条まで、第9条第1項から第3項まで、第11条第1項、第12条及び第13条第1項の規定に違反している事業主に対し自ら勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができることとしたものであること。
○厚生労働大臣の公表
本条による企業名の公表実績を調べましたが、今日現在公表された企業は無い様子です。
第31条(船員に関する特例)
船員職業安定法(昭和23年法律第130号)第6条第1項に規定する船員及び同項に規定する船員になろうとする者に関しては、第4条第1項並びに同条第4項及び第5項(同条第6項、第10条第2項、第11条第3項及び第13条第3項において準用する場合を含む。)、第10条第1項、第11条第2項、第13条第2項並びに前3条中「厚生労働大臣」とあるのは、「国土交通大臣」と、第4条第4項(同条第6項、第10条第2項、第11条第3項及び第13条第3項において準用する場合を含む。)中「労働政策審議会」とあるのは「交通政策審議会」と、第6条第2号、第7条、第9条第3項、第12条及び第29条第2項中「厚生労働省令」とあるのは「国土交通省令」と、第9条第3項中「労働基準法(昭和22年法律第49号)第65条第1項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第2項の規定による休業による休業をしたこと」とあるのは「船員法(昭和22年法律第100号)第87条第1項又は第2項の規定によって作業に従事しなかっらこと」と、第17条第1項、第18条第1項及び第29条第2項中「都道府県労働局長」とあるのは「地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)と、第18条第1項中「第6条第1項の紛争調整委員会(以下「委員会」という。)」とあるのは「第21条第3項のあっせん員候補者名簿に記載されている者のうちから指名する調停員」とする。
2 前項の規定により読み替えられた第18条第1項の規定により指名を受けて調停員が行う調停については、第19条から第27条までの規定は、適用しない。
3 前項の調停の事務は、三人の調停員で構成する合議体で取り扱う。
4 調停員は、破産手続開始の決定を受け、又は禁固以上の刑に処せられたときは、その地位を失う。
5 第20条から第27条までの規定は、第2項の調停について準用する。この場合において、第20条から第23条まで及び第26条中「委員会は」とあるのは「調停員は」と、第21条中「当該委員会が置かれる都道府県労働局」とあるのは「当該調停員を指名した地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)が置かれる地方運輸局(運管理部を含む。)」と、第26条中「当該委員会に係属している」とあるのは「当該調停員が取り扱つている」と、第27条中「この節」とあるのは「第31条第3項から第5項まで」と、「調停」とあるのは「合議体及び調停」と、「厚生労働省令」とあるのは「国土交通令」と読み替えるものとする。
○通達による確認(平成18年雇児発第1011002号)第31条
・船員に関する特例(法第31条)
船員及び船員になろうとする者に係る労働関係については、国土交通省が所管する別の体系となっているため、法中「厚生労働大臣」とあるのを「国土交通大臣」と読み替える等所要の整備を行ったものであること。
※均等法第31条は、船員及び船員になろうとする人が同法の適用があるものの、所管の違いから国土交通省及び同省の機関が担当する旨の読み替えを行っています。法律特有の難解な文章ですが、要約するとその様な趣旨となります。
第32条(適用除外)
第2章第1節及び第3節、前章、第29条並びに第30条の規定は、国家公務員及び地方公務員に、第2章第2節の規定は、一般職の国家公務員(特定独立行政法人の労働関係に関する法律(昭和23年法律第257号)第2条第2号の職員を除く。)、裁判所職員臨時措置法(昭和26年法律第299号)の適用を受ける裁判所職員、国会職員法(昭和22年法律第85号)の適用を受ける国会職員及び自衛隊法(昭和29年法律第165号)第2条第5項に規定する隊員に関しては適用しない。
参考:自衛隊法第2条第5項 この法律(第九十四条の六第三号を除く。)において「隊員」とは、防衛省の職員で、防衛大臣、防衛副大臣、防衛大臣政務官、防衛大臣補佐官、防衛大臣政策参与、防衛大臣秘書官、第一項の政令で定める合議制の機関の委員、同項の政令で定める部局に勤務する職員及び同項の政令で定める職にある職員以外のものをいうものとする。
○通達による確認(平成18年雇児発第1011002号)第32条
・適用除外(法第32条)
(1)法第2章第1節及び第3節、第3章、第29条並びに第30条の規定は、国家公務員及び地方公務員に関しては適用しないこととしたものであること。
「国家公務員及び地方公務員」とは、一般職又は特別職、常勤又は非常勤の別にかかわりなく、これに該当するものであること。また、国家公務員の身分が与えられている特定独立行政法人の職員、地方公務員の身分が与えられている特定地方独立行政法人もこれに含まれているものであること。
(2)法第2章第2節の規定は、一般職の国家公務員(特定独立行政法人等に勤務する者を除く。)、裁判所職員、国会職員及び防衛庁職員に関しては適用しないこととしたものであること。
なお、地方公務員については、適用することとなること。
○均等法第32条のまとめ
職種別のそれぞれ適用がある条文
a 特別職及び非常勤の国家公務員、国の特定独立行政法人の職員、地方公務員、特定地方独立行政法人の職員
第1条(目的)、第2条(基本理念)、第3条(啓発活動)、第4条(基本方針)、第11条(セクハラ対処)、第12条(妊産婦への措置)、第13条(産婦の勤務時間の変更等)、第28条(調査研究)、第33条(罰則)
b 一般職の国家公務員
第1条(目的)、第2条(基本理念)、第3条(啓発活動)、第4条(基本方針)、第28条(調査研究)、第33条(罰則)
c 裁判所職員、国会職員、防衛庁(防衛省)隊員
第1条(目的)、第2条(基本理念)、第3条(啓発活動)、第4条(基本方針)、第5条(採用時性差別禁止)、第6条(労働条件の性差別禁止)、第7条(間接差別禁止)、第8条(ポジティブA)、第9条(妊産婦)、第10条(指針)、以下第14条~第33条 が適用されます。
第33条(罰則)
第29条第1項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の過料に処する。
○通達による確認(平成18年雇児発第1011002号)第33条
・罰則(法第5章)
第29条第1項の助言、指導及び勧告を適切に行うためには、その前提として、同項の報告の聴取を適切に行う必要がある。このため、法第33条は法第29条第1項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者に対して、20万円以下の過料に処することとしたものであること。
なお、過料については、非訴訟手続法(明示31年法律第14号)第4編の過料事件の規定により、管轄の地方裁判所において過料の裁判の手続を行うものとなること。都道府県労働局長は、法第29条違反があった場合には、管轄の地方裁判所に対し、当該事業主について、法第29条第1項に違反することから、法第33条に基づき過料に処すべき旨の通知を行うこととなること。
○第33条の罰則まとめ
罰則の対象となる行為は、厚生労働大臣から委任を受けた都道府県労働局長が、事業主に対し均等法第29条第1項の規定による「この法律の施行に関し必要があると認める場合の事業主からの報告」について、報告を求められた事業主がその報告をしなかった又は虚偽の報告をした場合に要件を満たします。
また過料とは、一般に金銭を徴収する行政罰のこととされています。従って、刑事罰の科料とは異なります。
※罰金は1万円以上、科料は千円以上1万円未満の財産刑です。
参考:非訟事件手続法