均等法第6条

2015年05月12日 09:46

雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律

第6条(性別を理由とする差別の禁止②)

 事業主は、次に掲げる事項について、労働者の性別を理由として、差別的取扱いをしてはならない。

一 労働者の配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)、昇進、降格及び教育訓練

二 住宅資金の貸付けその他これに準じる福利厚生の措置であって厚生労働省令で定めるもの

三 労働者の職種及び雇用形態の変更

四 退職の勧奨、定年及び解雇並びに労働契約の更新

均等法施行規則(福利厚生)

第1条 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(以下「法」という。)第6条第2号の厚生労働省令で定める福利厚生の措置は、次のとおりとする。

一 生活資金、教育資金その他労働者の福祉の増進のために行われる資金の貸付け

二 労働者の福祉の増進のために定期的に行われる金銭の給付

三 労働者の資産形成のために行われる金銭の給付

四 住宅の貸与

通達による確認

1.平成9年通達

配置、昇進及び教育訓練(第6条関係)

 これまで事業主の努力義務であった配置及び昇進について、女性労働者に対する差別を禁止することとするとともに、教育訓練については差別的取扱いが禁止される対象の範囲を限定しないこととし、事業主は、労働者の配置、昇進及び教育訓練について、労働者が女性であることを理由として、男性と差別的取扱をしてはならないものとしたこと。

2.平成18年通達

・配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)(法第6条第1号)

イ 「配置」には、採用に引き続いて行う場合と配置転換によりある職務へと変える場合のいずれも含まれるものであること。

ロ いわゆる出向も配置に含まれるものであること。

ハ 派遣元事業主が派遣先からの男女と指定した労働者派遣の要請に応じることは、紹介予定派遣に係る女性派遣労働者の特定等に係る措置に関する特例について定めた「派遣先が講ずべき措置に関する指針(平成11年労働省告示第138号」第2の18(4)②において行って差し支えないこととされている場合を除き、法第6条違反となるものであり、派遣先のかかる要請は、本条の趣旨に照らして好ましくないものであること。

・昇進(法第6条第1号)

「昇進」には、いわゆる定期昇給やベース・アップは含まれないこと。

・降格(法第6条第1号)

 同格の役職間の異動であれば異動先の役職の権限等が異動前の役職の権限等よりも少ないものであったとしても、「降格」には含まれないものであること。

・教育訓練(法第6条第1号)

イ 「教育訓練」には、業務の遂行に関連する知識、技術、技能を付与するもののみならず、社会人としての心構えや一般教養等の付与を目的とするものも含まれるものであること。

ロ 「教育訓練」には、事業主が自ら行うもののほか、外部の教育訓練機関等に委託して実施するものも含まれるものであること。

ハ 業務の遂行の過程内において行う教育訓練については、明確な訓練目標が立てられ、担当する者が定められている等計画性を有するものが該当するものであり、単に見よう見まねの訓練や個々の業務指示は含まれないものであること。

二 指針第2の6(2)ロ①の「将来従事する可能性のある職務に必要な知識を身につけるための教育訓練」とは、例えば、管理職に就くために必要とされる能力、知識を付与する教育訓練が考えられるものであること。

・福利厚生(法第6条第2号)

イ 法第6条第2号及び則第1条は、福利厚生の措置のうち、住宅資金の貸付け等供与の条件が明確でかつ経済的価値の高いものについて、事業主は、労働者の性別を理由として、差別的取扱いをしてはならないこととしたものであること。

ロ 事業主が行う種々の給付や利益の供与のうち「賃金」と認められるものについては、そもそも本号の「福利厚生の措置」には当たらないものであること。すなわち、扶養手当、家族手当、配偶者手当等はもとより、適格退職年金、自社年金等のいわゆる企業年金や中小企業退職金共済制度による退職金も、支給条件が明確にされていれば賃金と解されるので、いずれも本条にいう福利厚生の措置には当たらないものであること。

ハ 福利厚生の措置を共済会等事業主とは別の主体が行う場合であっても、事業主による資金の負担の割合、運営の方法等の実態を考慮し、実質的には事業主が行うものとみることができる場合には本条の対象となるものであること。

ニ 「住宅資金」には、住宅の建設又は購入のための資金のほか、住宅の用に供する宅地又はこれに係る借地権の取得のために資金、住宅の改良のための資金を含むものであること。

ホ 則第1条第1号の「労働者の福祉の増進のため」とは、広い概念であり、本号は、転勤、物資購入、子弟の入学、冠婚葬祭、災害、傷病等労働者の生活全般にわたって経済的支出を伴う事象に対し行われる資金の貸付け一般を含むものであること。

ヘ 則第1条第2号の「定期的に」とは、給付の行われる時期及びその間隔があらかじめ定められていることをいうものであること。

 「金銭」には、通貨のほか、金券、施設利用券等これに準ずるものも含むものとして同様に取り扱うこととし、また、「給付」には、直接支給する場合のほか労働者に代わって保険会社等に支払う場合等も含まれるものであること。

 本号には、具体的には、私的保険制度の補助、奨学金の支給、自己啓発セミナーの受講料の補助等が含まれるものであること。

 労働災害が発生した場合には労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)に基づく保険給付に上積みして給付を行ういわゆる企業内積補償制度は、損失補償的性格のものであることから、本号には含まれないものであること。

ト 則第1条第3号の「資産形成」には、預貯金の預入、金銭の信託、有価証券の購入その他貯金をすること及び持家・土地の取得又は家屋の改良等が含まれるものであること。

  本号には、具体的には、勤労者財産形成促進法(昭和46年法律第92号)に基づく勤労者財産形成貯蓄に対する奨励金の支給、住宅ローンの利子補給、社内預金に対する利子、持株援助制度における奨励金の支給等が含まれるものであること。

 なお、本号は、一時金であるか定期金であるかを問わないものであること。

チ 則第1条第4号の「住宅」とは、居住の用に供する家屋又は家屋の一部をいうものであること。

 独身者に対する住宅の貸与が男性のみに限られるものとされている場合には差別解消のための措置が必要であり、具体的には、男子寮や世帯用住宅に女性独身者を入居させるようにすること、女子寮の建設又は住宅の借上げにより、女性独身者にも住宅を貸与することができるようにすること等が考えられるものであること。独身者に対する住宅の貸与が女性のみに限られている場合についても同様であること。

  住宅手当の支給は、則第1条第4号の住宅の貸与の措置には当たらないものであり、住宅の貸与の代替措置として認められるものではないこと。

 住宅の貸与に関し、例えば、女性について男性と異なる年齢、勤続年数等の入居条件を設定することは、「性別」を理由とした差別的取扱いに該当するものであること。

 労働基準法(昭和22年法律第49号)上の「事業附属寄宿舎」とは、本来事業運営の必要性から設置されているものであるが、寝室が個室になっていること、入居費は低廉であること等の状況にあり、福利厚生施設の性格を有するものであれば、本号に該当するものであること。

・定年(法第6条第4号)

 定年についての差別的取扱いとは、差別的な定年制度をとっていること又は当該制度に基づき労働者を退職させることをいうものであること。

・解雇(法第6条第4号)

 形式的には勧奨退職であっても、事業主の有形無形の圧力により、労働者がやむを得ず応ずることとなり、労働者の真意に基づくものでないと認められる場合は、「解雇」に含まれるものであること。

 また、形式的には雇用期間を定めた契約であっても、それが反復更新され、実質においては期間の定めのない雇用契約と認められる場合には、その期間の満了を理由として雇止めをすることは「解雇」に当たるものであること。

事業主の対処指針(平成18年、告示第614号)

・配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)(法第6条第1号関係)

(1)法第6条第1号の「配置」とは、労働者を一定の職務に就けること又は就いている状態をいい、従事すべき職務における業務の内容及び就業の場所を主要な要素とするものである。

 なお、配置には、業務の配分及び権限の付与が含まれる、また、派遣元事業主が、労働者派遣契約に基づき、その雇用する派遣労働者に係る労働者派遣をすることも、配置に該当する。

 法第6条第1号の「業務の配分」とは、特定の労働者に対し、ある部門、ラインなどが所管している複数の業務のうち一定の業務を割り当てることをいい、日常的な業務指示は含まれない。

 また、法第6条第1号の「権限の付与」とは、労働者に対し、一定の業務を遂行するに当たって必要な権限を委任することをいう。

・配置に関し、一の雇用管理区分において、例えば、次に掲げる措置を講ずることは、法第6条第1号により禁止されるものである。ただし、14の(1)のポジティブ・アクションを講ずる場合についてはこの限りではない。

イ 一定の職務への配置に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること。

(排除していると認められる例)

① 営業の職務、秘書の職務、企画立案業務を内容とする職務、定型的な事務処理業務を内容とする職務、海外で勤務する職務等一定の職務への配置に当たって、その対象を男女のいずれかのみとすること。

② 時間外労働や深夜の多い職務への配置に当たって、その対象を男性労働者のみとすること。

③ 派遣元事業主が、一定の労働者派遣契約に基づく労働者派遣について、その対象を男女のいずれかのみとすること。

④ 一定の職務への配置の資格についての試験について、その受験資格を男女のいずれかに対してのみ与えること。

ロ 一定の職務への配置に当たっての条件を男女で異なるものとすること。

(異なるものとしていると認められる例)

① 女性労働者についてのみ、婚姻したこと、一定の年齢に達したこと又は子を有していることを理由として、企画立案業務を内容とする職務への配置の対称から排除すること。

② 男性労働者については、一定数の支店の勤務を経た場合に本社の経営企画部門に配置するが、女性労働者については、当該一定数を上回る数の支店の勤務を経なければ配置しないこと。

③ 一定の職務への配置に当たって、女性労働者についてのみ、一定の国家資格の取得や研修の実績を条件とすること。

④ 営業部門について、男性労働者については全員配置の対象とするが、女性労働者については希望者のみを配置の対称とすること。

ハ 一定の職務への配置に当たって、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について異なる取扱をすること。

(異なる取扱いをいていると認められる例)

① 一定の職務への配置に当たり、人事考課を配慮する場合において、男性労働者は平均的な評価がなされている場合にはその対象とするが、女性労働者は特に優秀という評価がなされている場合にのみその対象とすること。

② 一定の職務への配置の資格についての試験の合格基準を、男女で異なるものとすること。

③ 一定の職務への配置の資格についての試験の受験を男女のいずれかに対してのみ奨励すること。

ニ 一定の職務への配置に当たって、男女のいずれかを優先すること。

(優先していると認められる例)

 営業部門への配置の基準を満たす労働者が複数いる場合に、男性労働者を優先して配置すること。

ホ 配置における業務の配分に当たって、男女で異なる取扱をすること。

(異なる取扱をしていると認められる例)

① 営業部門において、男性労働者には外勤業務に従事させるが、女性労働者については当該業務から排除し、内勤業務のみに従事させること。

② 男性労働者には通常の業務のみに従事させるが、女性労働者については通常の業務に加え、会議の庶務、お茶くみ、そうじ当番等の雑務を行わせること。

ヘ 配置における権限の付与に当たって、男女で異なる取扱をすること。

(異なる取扱をしていると認められる例)

① 男性労働者には一定金額まで自己の責任で買い付けできる権限を与えるが、女性労働者には当該金額よりも低い金額までの権限しか与えないこと。

② 営業部門において、男性労働者には新規に顧客の開拓や商品の提案をする権限を与えるが、女性労働者にはこれらの権限を与えず、既存の顧客や商品の販売をする権限しか与えないこと。

ト 配置転換に当たって、男女で異なる取扱いをすること。

(異なる取扱いをしていると認められる例)

① 経営の合理化に際し、女性労働者についてのみ出向の対象とすること。

② 一定の年齢以上の女性労働者のみを出向の対象とすること。

③ 女性労働者についてのみ、婚姻又は子を有していることを理由として、通勤が不便な事業場に配置転換すること。

➃ 工場を閉鎖する場合において、男性労働者については近隣の工場に配置するが、女性労働者については通勤が不便な遠隔地の工場に配置すること。

⑤ 男性労働者については、複数の部門に配置するが、女性労働者については当初に配置した部門から他部門に配置転換しないこと。

・昇進(法第6条第1号関係)

(1)法第6条第1号の「昇進」とは、企業内での労働者の位置付けについて下位の職階から上位の職階への移動を行うことをいう。昇進には、職制上の地位の上方移動を伴わないいわゆる「昇格」も含まれる。

(2)昇進に関し、一の雇用管理区分において、例えば、次に掲げる措置を講ずることは、法第6条第1号により禁止されるものである。ただし、14の(1)のポジティブ・アクションを講ずる場合については、この限りではない。

イ 一定の役職への昇進に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること。

(排除していると認められる例)

① 女性労働者についてのみ、役職への昇進の機会を与えない、又は一定の役職までしか昇進できないものとすること。

② 一定の役職に昇進するための試験について、その受験資格を男女のいずれかに対してのみ与えること。

ロ 一定の役職への昇進に当たっての条件を男女で異なるものとすること。

(異なるものとしていると認められる例)

① 女性労働者についてのみ、婚姻したこと、一定の年齢に達したこと又は子を有していることを理由として、降格できない、又は一定の役職までしか昇進できないものとすること。

② 課長への昇進にあたり、女性労働者については課長補佐を経ることを要するものとする一方、男性労働者については課長補佐を経ることなく課長に昇進できるものとすること。

③ 男性労働者については出勤率が一定の率以上である場合又は一定の勤続年数を経た場合に昇格させるが、女性労働者についてはこれらを超える出勤率又は勤続年数がなければ昇格できないものとすること。

➃ 一定の役職に昇進するための試験について、女性労働者についてのみ上司の推薦を受けることを受験の条件とすること。

ハ 一定の役職への昇進に当たって、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱をすること。

(異なる取扱をしていると認められる例)

① 課長に昇進するための合格基準を、男女で異なるものとすること。

② 男性労働者については人事考課において平均的な評価がなされている場合には昇進させるが、女性労働者については特に優秀という評価がなされている場合にのみその対象とすること。

③ AからEまでの5段階の人事考課を設けている場合において、男性労働者については最低の評価であってもCランクとする一方、女性労働者については最高の評価であってもCランクとする運用を行うこと。

➃ 一定年齢に達した男性労働者については全員役職に昇進できるように人事考課を行うものとするが、女性労働者についてはそのような取扱をしないこと。

⑤ 一定の役職に昇進するための試験について、男女のいずれかについてのみその一部を免除すること。

⑥ 一定の役職に昇進するための試験の受験を男女のいずれかに対してのみ奨励すること。

ニ 一定の役職への昇進に当たり男女のいずれかを優先すること。

(優先していると認められる例)

 一定の役職への昇進基準を満たす労働者が複数いる場合に、男性労働者を優先して昇進させること。

・降格(法第6条第1号関係)

(1)法第6条第1号の「降格」とは、企業内での労働者の位置付けについて上位の職階から下位の職階の移動を行うことをいい、昇進の反対の措置である場合と、昇格の反対の措置である場合の双方が含まれる。

(2)降格に関し、一の雇用管理区分において、例えば、次に掲げる措置を講ずることは、法第6条第1号により禁止されるものである。

イ 降格に当たって、その対象を男女のいずれかのみとすること。

(男女のいずれかのみとしていると認められる例)

 一定の役職を廃止するに際して、当該役職に就いていた男性労働者については同格の役職に配置転換するが、女性労働者については降格させること。

ロ 降格に当たっての条件を男女で異なるものとすること。

(異なるものとして認められる例)

 女性労働者についてのみ、婚姻又は子を有していることを理由として、降格の対象とすること。

ハ 降格に当たって、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱をすること。

(異なる取扱いをしていると認められる例)

① 営業成績が悪いものについて降格の対象とする旨の方針を定めている場合に、男性労働者については営業成績が最低の者のみを降格の対象とするが、女性労働者については営業成績が平均以下の者は降格の対象とすること。

② 一定の役職を廃止するに際して、降格の対象となる労働者を選定するに当たり、人事考課を考慮する場合に、男性労働者については最低の評価がなされている者のみ対象とするが、女性労働者については特に優秀という評価がなされている者以外は降格の対象とすること。

ニ 降格に当たって、男女のいずれかを優先すること。

(優先していると認められる例)

 一定の役職を廃止するに際して、降格の対象とする労働者を選定するに当たって、男性労働者よりも優先して、女性労働者を降格の対象とすること。

・教育訓練(法第6条第1号関係)

(1)法第6条第1号の「教育訓練」とは、事業主が、その雇用する労働者に対して、その労働者の業務の遂行の過程外(いわゆる「オフ・ザ・ジョブ・トレーニング」)において又は当該業務の遂行の過程内(いわゆる「オン・ザ・ジョブ・トレーニング」)において、現在及び将来の業務の遂行に必要な能力を付与するために行うものをいう。

(2)教育訓練に関し、一の雇用管理区分において、例えば、次に掲げる措置を講ずることは、法第6条第1号により禁止されるものである。ただし、14の(1)のポジティブ・アクションを講ずる場合については、この限りではない。

イ 教育訓練に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること。

(排除していると認められる例)

① 一定の職務に従事する者を対象とする教育訓練を行うに当たって、その対象を男女のいずれかのみとすること。

② 工場実習や海外留学による研修を行うに当たって、その対象を男性労働者のみとすること。

③ 接遇訓練を行うに当たって、その対象を女性労働者のみとすること。

ロ 教育訓練を行うに当たって、その対象を女性労働者のみとすること。

(異なるものとしていると認められる例)

① 女性労働者についてのみ、婚姻したこと、一定の年齢に達したこと又は子を有していることを理由として、将来従事する可能性のある職務に必要な知識を身につけるための教育訓練の対象から排除すること。

② 教育訓練の対象者について、男女で異なる勤続年数を条件とすること。

③ 女性労働者についてのみ、上司の推薦がなければ教育訓練の対象としないこと。

➃ 男性労働者については全員を教育訓練の対象とするが、女性労働者については希望者のみを対象とすること。

ハ 教育訓練の内容について、男女で異なる取扱いをすること。

(異なる取扱いをしていると認められる例)

 教育訓練の期間や過程を男女で異なるものとすること。

・福利厚生(法第6条第2号・均等則第1条第2号各号関係)

(1)(2)において、「福利厚生措置」とは、法第6条第2号の規定及び雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律施行規則(昭和61年労働省令第2号。以下「均等則」という。)第1条各号に掲げる以下のものをいう。

(法第6条第2号及び均等則第1条に掲げる措置)

イ 住宅資金の貸付け(法第6条第2号)

ロ 生活資金、教育資金その他労働者の福祉の増進のために行われる資金の貸付け(均等則第1条第1号)

ハ 労働者の福祉の増進のために定期的に行われる金銭の給付(均等則第1条第2号)

ニ 労働者の資産形成のために行われる金銭の給付(均等則第1条第3号)

ホ 住宅の貸与(均等則第1条第4号)

(2)福祉厚生の措置に関し、一の雇用管理区分において、例えば、次に掲げる措置を講ずることは、法第6号第2号により禁止されるものである。

イ 福利厚生の措置の実施に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること。

(排除していると認められる例)

 男性労働者についてのみ、社宅を貸与すること。

ロ 福利厚生の措置の実施に当たっての条件を男女で異なるものとすること。

(異なるものとしていると認められる例)

① 女性労働者についてのみ、婚姻を理由として、社宅の貸与の対象から排除すること。

② 住宅資金の貸付けに当たって、女性労働者に対してのみ、配偶者の所得額に関する資料の提出を求めること。

③ 社宅の貸与に当たり、世帯主であることを条件とする場合において、男性労働者については本人の申請のみで貸与するが、女性労働者に対しては本人の申請に加え、住民票の提出を求め、又は配偶者に一定以上の所得がないことを条件とすること。

・職種の変更(法第6条第3号関係)

(1)法第6条第3号の「職種」とは、職務や職責の類似性に着目して分類されるものであり、「営業職」・「技術職」の別や、「総合職」・「一般職」の別などがある。

(2)職種の変更に関し、一の雇用管理区分(職種の変更によって雇用管理区分が異なることとなる場合には、変更前の一の雇用管理区分をいう。)において、例えば、次に掲げる措置を講ずることは、法第6条第3号により禁止されるものである。ただし、14の(1)のポジティブ・アクションを講ずる場合には、この限りではない。

イ 職種の変更に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること。

(排除していると認められる例)

① 「一般職」から「総合職」への職種の変更について、その対象を男女のいずれかのみとすること。

② 「総合職」から「一般職」への職種の変更について、制度上は男女双方を対象とするが、男性労働者については職種の変更を認めない運用を行うこと。

③ 「一般職」から「総合職」への職種の変更のための試験について、その受験資格を男女のいずれかに対してのみ与えること。

➃ 「一般職」の男性労働者については、いわゆる「準総合職」及び「総合職」への職種の変更の対象とするが、「一般職」の女性労働者については、「準総合職」のみを職種の変更の対象とすること。

ロ 職種の変更に当たっての条件を男女で異なるものとすること。

(異なるものとして認められる例)

① 女性労働者についてのみ、子を有していることを理由として、「一般職」から「総合職」への職種の変更を対象から排除すること。

② 「一般職」から「総合職」への職種の変更について、男女で異なる勤務年数を条件とすること。

③ 「一般職」から「総合職:への職種の変更について、男女のいずれかのみ、一定の国家資格の取得、研修の実績又は一定の試験に合格することを条件とすること。

➃ 「一般職」から「総合職」への職種変更のための試験について、女性労働者についてのみ上司の推薦を受けることを受験の条件とすること。

ハ 一定の職種への変更に当たって、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱をすること。

(異なる取扱をしていると認められる例)

① 「一般職」から「総合職」への職種の変更のための試験の合格基準を男女で異なるものとすること。

② 男性労働者については人事考課において平均的な評価がなされている場合には「一般職」から「総合職」への職種の変更の対象とするが、女性労働者については特に優秀という評価がなされている場合にのみその対象とすること。

③ 「一般職」から「総合職」への職種の変更のための試験について、その受験を男女のいずれかに対してのみ奨励すること。

➃ 「一般職」から「総合職」への職種の変更のための試験について、男女のいずれかについてのみその一部を免除すること。

ニ 職種の変更に当たって、男女のいずれかを優先すること。

(優先していると認められる例)

 「一般職」から「総合職」への職種の変更の基準を満たす労働者の中から男女のいずれかを優先して職種の変更の対象とすること。

ホ 職種の変更について男女で異なる取扱いをすること。

(異なる取扱いをしていると認められる例)

① 経営の合理化に際して、女性労働者のみを、研究職から賃金その他の労働条件が劣る一般事務職への職種の変更の対象とすること。

② 女性労働者についてのみ、年齢を理由として、アナウンサー等の専門職から事務職への変更の対象とすること。

・雇用形態の変更(法第6条第3号関係)

(1)法第6条第3号の「雇用形態」とは、労働契約の期間の定めの有無、所定労働時間の長さ等により分類されるものであり、いわゆる「正社員」、「パートタイム労働者」、「契約社員」などがある。

(2)雇用形態の変更に関し、一の雇用管理区分(雇用形態の変更によって雇用管理区分がことなることとなっている場合には、変更前の一の雇用管理区分をいう。)において、例えば、次に掲げる措置を講ずることは、法第6条第3号により禁止されるものである。ただし、14の(1)のポジティブ・アクションを講ずる場合には、この限りではない。

イ 雇用形態の変更に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること。

(排除していると認められる例)

① 有期契約労働者から正社員への雇用形態の変更の対象を男性労働者のみとすること。

② パートタイム労働者から正社員への雇用形態の変更のための試験について、その受験資格を男女のいずれかに対してのみ与えること。

ロ 雇用形態の変更に当たっての条件を男女で異なるものとすること。

(異なるものとしていると認められる例)

① 女性労働者についてのみ、婚姻又は子を有していることを理由として、有期契約労働者から正社員への雇用形態の変更の対象から排除すること。

② 有期契約労働者から正社員への雇用形態の変更について、男女で異なる勤続年数とすること。

③ パートタイム労働者から正社員への雇用形態の変更について、男女のいずれかについてのみ、一定の国家資格の取得や研修の実績を条件とすること。

➃ パートタイム労働者から正社員への雇用形態の変更のための試験について、女性労働者についてのみ上司の推薦を受けることを受験の条件とすること。

ハ 一定の雇用形態への変更に当たって、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱をすること。

(異なる取扱をしていると認められる例)

① 有期契約労働者から正社員への雇用形態の変更のための試験の合格基準を男女で異なるものとすること。

② 契約社員から正社員への雇用形態の変更について、男性労働者については、人事考課において平均的な評価がなされている場合には変更の対象とするが、女性労働者については、特に優秀という評価がなされている場合にのみその対象とすること。

③ パートタイム労働者から正社員への雇用形態の変更のための試験の受験について、男女のいずれかに対してのみ推奨すること。

➃ 有期契約労働者から正社員への雇用形態の変更のための試験の受験について、男女のいずれかについてのみその一部を免除すること。

ニ 雇用形態の変更に当たって、男女のいずれかを優先すること。

(優先していると認められる例)

 パートタイム労働者から正社員への雇用形態の変更の基準を満たす労働者の中から、男女のいずれかを優先して雇用形態の変更の対象とすること。

ホ 雇用形態の変更について、男女で異なる取扱いをすること。

(異なる取扱いをしていると認められる例)

① 経営の合理化に際して、女性労働者のみを、正社員から賃金その他の労働条件は劣る有期契約労働者への雇用形態の変更の勧奨の対象とすること。

② 女性労働者についてのみ、一定の年齢に達したこと、婚姻又は子を有していることを理由として、正社員から賃金その他の労働条件が劣るパートタイム労働者への雇用形態の変更の勧奨の対象とすること。

③ 経営の合理化に当たり、正社員の一部をパート労働者とする場合において、正社員である男性労働者は、正社員としてとどまるか、又はパートタイム労働者に雇用形態を変更するかについて選択できるものとするが、正社員である女性労働者については、一律パートタイム労働者への雇用形態の変更を強要すること。

・退職の勧奨(法第6条第4号関係)

(1)法第6条第4号の「退職の勧奨」とは、雇用する労働者に対し退職を促すことをいう。

(2)退職の勧奨に関し、一の雇用管理区分において、例えば、次に掲げる措置を講ずることは、法第6条第4号により禁止されるものである。

イ 退職の勧奨にあたって、その対象を男女のいずれかのみとすること。

(男女のいずれかのみとしていると認められる例)

 女性労働者に対してのみ、経営の合理化のための早期退職制度の利用を働きかけること。

ロ 退職の勧奨に当たっての条件を男女で異なるものとすること。

(異なるものとしていると認められる例)

① 女性労働者に対してのみ、子を有していることを理由として、退職の勧奨をすること。

② 経営の合理化に際して、既婚の女性労働者に対してのみ、退職の勧奨をすること。

ハ 退職の勧奨にあたって、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱をすること。

(異なる取扱をしていると認められる例)

 経営合理化に伴い退職勧奨を実施するにあたり、人事考課を考慮する場合において、男性労働者については最低の評価がなされている者のみ退職の対象とするが、女性労働者については特に優秀とする評価がなされている者以外は退職の対象とすること。

ニ 退職の勧奨に当たって、男女のいずれかを優先すること。

(優先していると認められる例)

① 男性よりも優先して、女性労働者に対して退職の勧奨をすること。

② 退職の勧奨の対象とする年齢を女性労働者については45歳、男性労働者については50歳とするなど男女で差を設けること。

・定年(法第6条第4号関係)

(1)法第6条第4号の「定年」とは、労働者が一定年齢に達したことを雇用関係の終了とする制度をいう。

(2)定年に関し、一の雇用管理区分において、例えば、次に掲げる措置を講ずることは、法第6条第4号により禁止されるものである。

 定年の定めについて、男女で異なる取扱をすること。

(異なる取扱をしていると認められる例)

 定年年齢の引き上げを行うに際して、厚生年金の支給開始年齢に合わせて男女で異なる定年を定めること。

・解雇(法第6条第4号関係)

(1)法第6条第4号の「解雇」とは、労働契約を将来に向かって解約する事業主の一方的な意思表示をいい、労使の合意による退職は含まない。

(2)解雇に関し、一の雇用管理区分において、例えば、次に掲げる措置を講ずることは、法第6条第4号により禁止されるものである。

イ 解雇に当たって、その対象を男女のいずれかのみとすること。

(男女のいずれかのみとしていると認められる例)

 経営の合理化に際して、女性のみを解雇の対象とすること。

ロ 解雇の対象を一定の条件に該当する者とする場合において、当該条件を男女で異なるものとすること。

(異なる条件としていると認められる例)

① 経営の合理化に際して、既婚の女性労働者のみを解雇の対象とすること。

② 一定年齢以上の女性労働者のみを解雇の対象とすること。

ハ 解雇に当たって、能力及び資質の有無を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱をすること。

(異なる取扱をいていると認められる例)

 経営合理化に伴う解雇に当たり、人事考課を考慮する場合において、男性労働者については特に優秀という評価がなされている者以外は解雇の対象とすること。

ニ 解雇に当たって、男女のいずれかを優先すること。

(優先していると認められる例)

 解雇の基準を満たす労働者の中で、男性労働者よりも優先して女性労働者を解雇の対象とすること。

・労働契約の更新(法第6条第4号関係)

(1)法第6条愛4号の「労働契約の更新」とは、期間の定めのある労働契約について、期間の満了に際して、従前の契約と基本的な内容が同一である労働契約を締結することをいう。

(2)労働契約の更新に関し、一の雇用管理区分において、例えば、次に掲げる措置を講ずることは、法第6条第4号により禁止されるものである。

イ 労働契約の更新に当たって、その対象からいずれかを排除すること。

(排除していると認められる例)

 経営の合理化に際して、男性労働者のみを、労働契約の更新の対象とし、女性労働者については、労働契約の更新をしない(いわゆる「雇止め」をする)こと。

ロ 労働契約の更新に当たっての条件を男女で異なるものとすること。

(異なるものとしていると認められる例)

① 経営の合理化に際して、既婚の女性労働者についてのみ、労働契約の更新をしない(いわゆる「雇止め」をする)こと。

② 女性労働者についてのみ、子を有していることを理由として、労働契約の更新をしない(いわゆる「雇止め」をする)こと。

③ 男女のいずれかについてのみ、労働契約の更新回数の上限を設けること。

ハ 労働契約の更新に当たって、能力及び資質の有無を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱をすること。

(異なる取扱いをしていると認められる例)

 労働契約の更新に当たって、男性労働者については平均的な営業成績である場合には労働契約の更新の対象とするが、女性労働者については、特に営業成績が良い場合にのみその対象とすること。

ニ 労働契約の更新に当たって男女のいずれかを優先すること。

(優先していると認められる例)

 労働契約の更新の基準を満たす労働者の中から、男女のいずれかを優先して労働契約の更新の対象とすること。

 

法違反とならない場合

(1)(略)次に掲げる措置を講ずることは、法第8条に定める雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となっている事情を改善することを目的とする措置(ポジティブ・アクション)として、法第5条及び第6条の規定に違反することとならない

イ 女性労働者が男性労働と比較して相当程度少ない雇用管理区分における募集又は採用に当たって、当該募集又は採用に係る情報の提供について女性に有利な取扱をすること、採用の基準を満たす者の中から男性より女性を優先して採用することその他男性と比較して女性に有利な取扱いをすること。

ロ 一の雇用管理区分における女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない職務に新たに労働者を配置する場合に、当該配置の資格についての試験の受験を女性労働者の中から男性労働者より女性労働者を優先して配置することその他男性労働者と比較して女性労働者に有利な取扱いをすること。

ハ 一の雇用管理区分における女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない役職への昇進に当たって、当該昇進のための試験の受験を女性労働者のみに奨励すること、当該昇進の基準を満たす労働者の中から男性労働者より女性労働者を優先して昇進させることその他男性労働者と比較して女性労働者に有利な取扱いをすること。

ニ 一の雇用管理区分における女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない職務又は役職に従事するに当たって必要とされる能力を付与する教育訓練に当たって、その対象を女性労働者のみとすること、女性労働者に有利な条件を付すことその男性労働者と比較して女性労働者に有利な取扱をすること。

ホ 一の雇用管理区分における女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない職種への変更について、当該職種の変更のための試験の受験を女性労働者のみに奨励すること、当該職種の変更の基準を満たす労働者の中から男性労働より女性労働者を優先して職種の変更の対象とすることその他男性労働者と比較して女性労働者に有利な取扱いをすること。

ヘ 一の雇用管理区分における女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない雇用形態への変更について、当該雇用形態の変更のための試験の受験を女性労働者のみに奨励すること、当該雇用形態の変更の基準を満たす労働者の中から男性労働者より女性労働者と比較して女性労働者に有利な取扱いをすること。

(2)次に掲げる場合において、2から4までにおいて掲げる措置を講ずることは、性別にかかわりなく均等な機会を与えていない、又は性別を理由とする差別的取扱いをしているとは解されず、法第5条及び第6条の規定に違反することとはならない。

イ 次に掲げる職務に従事する労働者に係る場合

① 芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請から男女のいずれかのみに従事させることが必要である職務 

② 守衛、警備員等のうち防犯上の要請から男性に従事させることが必要である職務

③ ①及び②に掲げるもののほか、宗教上、風紀上、スポーツにおける競技の性質上その他の業務の性質上男女のいずれかのみに従事させることについてこれらと同程度の必要性があると認められる職務

ロ 労働基準法(昭和22年法律第49号)第61条第1条、第64条の2若しくは第64条の3第2項の規定により女性を就業させることができず、又は保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第3条の規定により男性を就業させることができないことから、通常の業務を遂行するために、労働者の性別にかかわりなく均等な機会を与え又は均等な取扱いをすることが困難であると認められる場合

ハ 風俗、風習等の相違により男女のいずれかが能力を発揮し難しい海外での勤務が必要な場合その他特別の事情により労働者の性別にかかわりなく均等が機会を与え又は均等な取扱いをすることが困難であると認められる場合

均等法第6条の趣旨

 均等法の均等機会及び均等待遇の具体的内容については、ほとんど第6条に集約されています。以下に、まとめてみます。※出典:厚生労働省作成 均等法のあらまし

1.配置に関し禁止される措置の例

 ① 一定の職務への配置に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること

 ② 一定の職務への配置に当たっての条件を男女で異なるものとすること

 ③ 一定の職務への配置に当たって、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱いをすること

 ➃ 一定の職務への配置に当たって、男女のいずれかを優先すること

 ⑤ 配置における業務の配分に当たって、男女で異なる取扱いをすること

 ⑥ 配置における権限の付与に当たって、男女で異なる取扱いをすること

 ⑦ 配置転換に当たって、男女で異なる取扱いをすること

2.昇進に関し禁止される措置の例

 ① 一定の役職への昇進に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること

 ② 一定の役職の昇進に当たっての条件を男女で異なるものとすること

 ③ 一定の役職への昇進に当たって、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱いをすること

 ➃ 一定の役職への昇進に当たり男女のいずれかを優先すること

3.降格に関し禁止される措置の例

 ① 降格に当たって、その対象を男女のいずれかのみとすること

 ② 降格に当たっての条件を男女で異なるものとすること

 ③ 降格に当たって、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱いをすること

 ➃ 降格に当たって、男女のいずれかを優先すること

4.教育訓練に関し禁止される措置の例

 ① 教育訓練に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること

 ② 教育訓練を行うに当たっての条件を男女で異なるものとすること

 ③ 教育訓練の内容について、男女で異なる取扱いをすること

5.福利厚生に関し禁止される措置の例

 ① 福利厚生の措置の実施に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること

 ② 福利厚生の措置の実施に当たっての条件を男女で異なるものとすること

6.職種の変更に関し禁止される措置の例

 ① 職種の変更に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること

 ② 職種の変更に当たっての条件を男女で異なるものとすること

 ③ 一定の職種への変更に当たって、能力及び資質の変更の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱いをすること

 ➃ 職種の変更に当たって、男女のいすれかを選択すること

 ⑤ 職種の変更について男女で異なる取扱いをすること

7.雇用形態の変更に関し禁止される措置の例

 ① 雇用形態の変更に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること

 ② 雇用形態の変更に当たっての条件を男女で異なるものとすること

 ③ 一定の雇用形態への変更に当たって、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱いをすること

 ➃ 雇用形態の変更に当たって、男女のいずれかを優先すること

 ⑤ 雇用形態の変更について、男女で異なる取扱いをすること

8.退職の勧奨に関し禁止される措置の例

 ① 退職の勧奨に当たって、その対象を男女のいずれかのみとすること

 ② 退職の勧奨に当たっての条件を男女で異なるものとすること

 ③ 退職の勧奨に当たって、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について異なる取扱いをすること

 ➃ 退職の勧奨に当たって、男女のいずれかを優先すること

9.定年に関し禁止される措置の例

 ① 定年の定めについて、男女で異なる取扱いをすること

10.解雇に関し禁止される措置の例

 ① 解雇に当たって、その対象を男女のいずれかのみとすること

 ② 解雇の対象を一定の条件に該当する者とする場合において、当該条件を男女で異なるものとすること

 ③ 解雇に当たって、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱いをすること

 ➃ 解雇に当たって、男女のいずれかを優先すること

11.労働契約の更新(雇止め)に関し禁止される措置の例

 ① 労働契約の更新に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること

 ② 労働契約の更新に当たっての条件を男女で異なるものとすること

 ③ 労働契約の更新に当たって、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱いをすること

 ➃ 労働契約の更新に当たって男女のいずれかを優先すること

まとめ

 均等待遇の義務付けは、「配置」「昇進」「降格」「教育訓練」「住宅資金の貸付け」「その他の福利厚生」「職種の変更」「雇用形態の変更」「退職の勧奨」「定年」「解雇」「労働契約の更新」について事業主に課されてます。均等法の事業主の措置義務には罰則規定が設けられていませんが、民事的には不法行為(民法第709条)に該当しますので、労働者側に損害賠償の訴えを提起される可能性があります。

 

以上で均等法第6条を終わります。均等法6条については、考察するというよりも規定内容の確認を重視しました。

 

均等法第6条