賃金、賃金制度に関する考察 3 (最賃法5条~8条)

2015年07月02日 11:07

最低賃金法

第5条(現物給与等の評価

 賃金が通貨以外のもので支払われる場合又は使用者が労働者に提供した食事その他のものの代金を賃金から控除する場合においては、最低賃金の適用について、これらのものは、適正に評価されなければならない。

 

第6条(最低賃金の競合

 

 労働者が二以上の最低賃金の適用を受ける場合は、これらにおいて定める最低賃金額のうち最高のものにより第四条の規定を適用する。

2 前項の場合においても、第九条第一項に規定する地域別最低賃金において定める最低賃金額については、第四条第一項及び第四十条の規定の適用があるものとする。

 

第7条(最低賃金の減額の特例

 

 使用者が厚生労働省令で定めるところにより都道府県労働局長の許可を受けたときは、次に掲げる労働者については、当該最低賃金において定める最低賃金額から当該最低賃金額に労働能力その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める率を乗じて得た額を減額した額により第四条の規定を適用する。

 一 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者

 二 試の使用期間中の者

 三 職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第二十四条第一項の認定を受けて行われる職業訓練のうち職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させることを内容とするものを受ける者であつて厚生労働省令で定めるもの

 四 軽易な業務に従事する者その他の厚生労働省令で定める者

 

第8条(周知義務

 

 最低賃金の適用を受ける使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該最低賃金の概要を、常時作業場の見やすい場所に掲示し、又はその他の方法で、労働者に周知させるための措置をとらなければならない。

 

最低賃金法施行規則

則第3条(最低賃金の減額の特例

 法第七条第三号の厚生労働省令で定める者は、職業能力開発促進法施行規則(昭和四十四年労

働省令第二十四号)第九条に定める普通課程若しくは短期課程(職業に必要な基礎的な技能及びこ

れに関する知識を習得させるためのものに限る。)の普通職業訓練又は同条に定める専門課程の

高度職業訓練を受ける者であつて、職業を転換するために当該職業訓練を受けるもの以外のも

のとする。

2 法第七条第四号の厚生労働省令で定める者は、軽易な業務に従事する者及び断続的労働に従事する者とする。ただし、軽易な業務に従事する者についての同条の許可は、当該労働者の従事する業務が当該最低賃金の適用を受ける他の労働者の従事する業務と比較して特に軽易な場合に限り、行うことができるものとする。

 

則第4条(減額許可)

 法第七条の許可を受けようとする使用者は、許可申請書を当該事業場の所在地を管轄する労

働基準監督署長を経由して都道府県労働局長に提出しなければならない。

2 前項の許可申請書は、法第七条第一号の労働者については様式第一号、同条第二号の労働

者については様式第二号、同条第三号の労働者については様式第三号、前条第二項の軽易な業

務に従事する者については様式第四号、同項の断続的労働に従事する者については様式第五号

によるものとする。

 

則第5条(最低賃金の減額の率

 法第七条の厚生労働省令で定める率は、次の表の上欄に掲げる者の区分に応じ、それぞれ同

表の下欄に定める率以下の率であつて、当該者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等

を勘案して定めるものとする。

法第七条第一号に掲げる者

当該掲げる者と同一又は類似の業務に従事する労働者であつて、減額しようとする最低賃金額と同程度以上の額の賃金が支払われているもののうち、最低位の能力を有するものの労働能率の程度に対する当該掲げる者の労働能率の程度に応じた率を百分の百から控除して得た率

法第七条第二号に掲げる者

百分の二十

法第七条第三号に掲げる者

当該者の所定労働時間のうち、職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第二十四条第一項の認定を受けて行われる職業訓練の時間(使用者が一定の利益を受けることとなる業務の遂行の過程内において行う職業訓練の時間を除く。)の一日当たりの平均時間数を当該者の一日当たりの所定労働時間数で除して得た率

第三条第二項の軽易な業務に従事する者

当該軽易な業務に従事する者と異なる業務に従事する労働者であつて、減額しようとする最低賃金額と同程度以上の額の賃金が支払われているもののうち、業務の負担の程度が最も軽易なものの当該負担の程度に対する当該軽易な業務に従事する者の業務の負担の程度に応じた率を百分の百から控除して得た率

第三条第二項の断続的労働に従事する者

当該者の一日当たりの所定労働時間数から一日当たりの実作業時間数を控除して得た時間数に百分の四十を乗じて得た時間数を当該所定労働時間数で除して得た率

則第6条(周知義務)

 法第八条の規定により使用者が労働者に周知させなければならない最低賃金の概要は、次のとおりとする。

 一 適用を受ける労働者の範囲及びこれらの労働者に係る最低賃金額

 二 法第四条第三項第三号の賃金

 三 効力発生年月日

 

○最低賃金法関連通達

1.昭和34年通達

・法第六条関係

※労働協約締結が現物給付の前提条件となること。従って、労働組合がない事業所及び非組合員については、金銭に換えて現物給付(現物給与)を行うことはできない。(労働基準法第24条第1項)

 本条は、最低賃金が決定された場合に、使用者が労働者に提供する食事その他の現物給与等を不適正に評価することにより最低賃金の脱法を図ることを防止する趣旨であること。

 適正な評価とは、当該現物給与等を労働者に支給するために要した実際費用をこえないものとすること。

・法第八条(即第四条及び第五条)関係

 本条は、第一号から第四号までに掲げる労働者が当該最低賃金の主たる適用対象として予定されておらず、かつ、これを適用することが著しく実情に即さない場合の規定であるから、許可は必要な限度に止めるよう慎重に配慮すること。

 試の使用期間中の労働者であるかどうかは、当該事業場で使用されている名称のみによつて判断することなく、試の使用期間の実態を備えているか否かによつて判断すること。

 軽易な業務に従事する者とは、決定した最低賃金の適用を受ける一般の労働者の従事する業務と比較して特に軽易な業務に従事する労働者という相対的概念であつて、作業それ自体として軽易である場合に適用除外を認めようとする趣旨ではないこと。

 別段の定がある場合とは、法第八条各号の労働者について他の労働者に適用する最低賃金額と異る最低賃金額を定めている場合、当該最低賃金がこれらの労働者のみに適用されるものである場合及びこれらの労働者について適用除外を許さない旨の明文の定がある場合をいうこと。

 本条の許可は、最低賃金が改正された場合等当該許可に係る事情に著しい変更があつたときは、必要に応じ、これを取り消し、あらためて申請をさせて、あらたな事情に即するものについて許可を与えるべきこと。

 

2.平成19年通達

最低賃金の減額の特例

使用者が厚生労働省令で定めるところにより都道府県労働局長の許可を受けたときは、次に掲げる労働者については、当該最低賃金において定める最低賃金額から当該最低賃金額に労働能力その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める率を乗じて得た額を減額した額を当該労働者に適用される最低賃金額とするものとしたこと。(第7条関係)

① 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者

② 試の使用期間中の者

  ③ 職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第24条第1項の認定を受けて行われる職業

 訓練のうち職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させることを内容とするものを受ける者であって厚生労働省令で定めるもの

④ 軽易な業務に従事する者その他の厚生労働省令で定める者

 

3.平成20年通達

第4 最低賃金の競合規定の改正(新法第6条関係)

2以上の最低賃金が競合する場合は、これらにおいて定める最低賃金額のうち最高のものにより新法第4条第1項を適用するものであり、こうした優先関係は従来と変わるものではないが、この場合においても、地域別最低賃金については、新法第4条第1項(最低賃金の効力)及び第40条(罰則)の規定の適用があることとしたものであること。したがって、特定最低賃金が適用される場合においても、地域別最低賃金において定める最低賃金額未満の賃金しか支払わなかった使用者については、新法第4条第1項違反として処罰することが可能であること。

第5 最低賃金の適用除外規定の廃止及び減額の特例規定の新設(新法第7条及び新則第3条から第5条まで関係)

1 趣旨

旧法第8条においては、その雇用に悪影響を及ぼすおそれがあることから、使用者が都道府県労働局長の許可を受けたときは、同条各号に掲げる者について、最低賃金の適用を除外することができることとしていたが、従来、同条の許可に際しては、附款を付して支払下限額を定め、その支払いを求めるという運用をしてきたところである。しかしながら、今般、最低賃金の安全網としての機能を強化する観点から、最低賃金の適用対象をなるべく広範囲とすることが望ましく、労働者保護にも資することから、同条の適用除外規定を廃止し、新法第7条において、使用者が都道府県労働局長の許可を受けたときは、当該最低賃金において定める最低賃金額から当該最低賃金額に労働能力その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める率を乗じて得た額を減額した額により新法第4条の規定を適用することとしたものであること。したがって、新法第7条の許可による減額後の最低賃金額(地域別最低賃金額に係るものに限る。)未満の賃金の支払いについては、新法第40条の罰則の適用があるものであること。

また、旧法第8条第4号に規定していた「所定労働時間の特に短い者」については、日額、週額又は月額によって定められた最低賃金額の適用を前提としたものであったことから、最低賃金額の表示単位期間を時間に一本化したことに伴い、削除することとしたものであるが、その他の対象労働者の範囲については従来と変わるものではないこと。

2 減額率(新則第5条関係)

 新法第7条の厚生労働省令で定める率については、新則第5条において、対象労働者の区分に応じ、それぞれ次の率以下の率であって、当該対象労働者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等を勘案して定めることとしたものであること。

(1) 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者(新法第7条第1号関係)

対象労働者と「同一又は類似の業務に従事する労働者であつて、減額しようとする最低賃金額と同程度以上の額の賃金が支払われているもののうち、最低位の能力を有するもの」の労働能率の程度に対する当該対象労働者の労働能率の程度に応じた率を100分の100から控除して得た率

(2) 試の使用期間中の者(新法第7条第2号関係)

100分の20

(3) 基礎的な技能及び知識を習得させるための職業訓練を受ける者(新法第7条第3号及び新則第3条第1項関係)

対象労働者の所定労働時間のうち、職業訓練の1日当たりの平均時間数を当該対象労働者の1日当たりの所定労働時間数で除して得た率

(4) 軽易な業務に従事する者(新法第7条第4号及び新則第3条第2項関係)

対象労働者と「異なる業務に従事する労働者であつて、減額しようとする最低賃金額と同程度以上の額の賃金が支払われているもののうち、業務の負担の程度が最も軽易なもの」の当該負担の程度に対する当該対象労働者の業務の負担の程度に応じた率を100分の100から控除して得た率

(5) 断続的労働に従事する者(新法第7条第4号及び新則第3条第2項関係)

対象労働者の1日当たりの所定労働時間数から1日当たりの実作業時間数を控除して得た時間数に100分の40を乗じて得た時間数を当該所定労働時間で除して得た率

 

4.法第7条の許可基準

第2 法第7条の許可基準(昭和34年10月28日)(基発第747号)
法第7条の許可に当たっては、同条各号の者についてそれぞれ次の基準によること。
1 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者(法第7条第1号関係)
(1) 精神又は身体の障害がある労働者であっても、その障害が当該労働者に従事させようとする業務の遂行に直接支障を与えることが明白である場合のほかは許可しないこと。
(2) 当該業務の遂行に直接支障を与える障害がある場合にも、その支障の程度が著しい場合にのみ許可すること。この場合に、支障の程度が著しいとは、当該労働者の労働能率の程度が当該労働者と同一又は類似の業務に従事する労働者であって、減額しようとする最低賃金額と同程度以上の額の賃金が支払われているもののうち、最低位の能力を有するものの労働能率の程度にも達しないものであること。
2 試の使用期間中の者(法第7条第2号関係)
(1) 試の使用期間とは、当該期間中又は当該期間の後に本採用をするか否かの判断を行うための試験的な使用期間であって、労働協約、就業規則又は労働契約において定められているものをいうこと。したがって、その名称の如何を問わず、実態によって本号の適用をするものであること。
(2) 当該業種、職種等の実情に照らし必要と認められる期間に限定して許可すること。この場合、その期間は最長6か月を限度とすること。
3 職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第24条第1項の認定を受けて行われる職業訓練のうち職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させることを内容とするものを受ける者であって厚生労働省令で定めるもの(法第7条第3号及び最低賃金法施行規則(昭和34年労働省令第16号。以下「則」という。)第3条第1項関係)
職業訓練中であっても、訓練期間を通じて1日平均の生産活動に従事する時間(所定労働時間から認定を受けて行われる職業訓練の時間(使用者が一定の利益を受けることとなる業務の遂行の過程内において行う職業訓練の時間を除く。)を除いた時間)が、所定労働時間の3分の2程度以上である訓練年度については、許可しないこと。
なお、訓練期間が2年又は3年であるものの最終年度については、原則として許可しないこと。
4 軽易な業務に従事する者(法第7条第4号及び則第3条第2項関係)
軽易な業務に従事する者として法第7条の許可申請の対象となる労働者は、その従事する業務の負担の程度が当該労働者と異なる業務に従事する労働者であって、減額しようとする最低賃金額と同程度以上の額の賃金が支払われているもののうち、業務の負担の程度が最も軽易なものの当該負担の程度と比較してもなお軽易である者に限られること。
なお、常態として身体又は精神の緊張の少ない監視の業務に従事する者は、軽易な業務に従事する者に該当すること。
5 断続的労働に従事する者(法第7条第4号及び則第3条第2項関係)
断続的労働に従事する者として法第7条の許可申請の対象となる労働者は、常態として作業が間欠的であるため労働時間中においても手待ち時間が多く実作業時間が少ない者であること。
6 最低賃金法の一部を改正する法律(平成19年法律第129号。以下「改正法」という。)の施行に伴う経過措置
(1) 改正法の施行の日(平成20年7月1日)(以下「施行日」という。)以後最初に改正法による改正後の法第15条第2項の規定による改正又は廃止の決定が効力を生ずるまでの間における改正法附則第5条第2項に規定する最低賃金の適用を受ける労働者に対する4の適用については、当該労働者について最低賃金額が時間によって定められている場合は、許可の対象として差し支えないものの、最低賃金額が日、週又は月によって定められている場合において、当該労働者の所定労働時間が、当該最低賃金の適用を受ける他の労働者に比して相当長いときは、この限りではないこととする。
(2) 施行日以後最初に改正法による改正後の法第15条第2項の規定による改正又は廃止の決定が効力を生ずるまでの間における改正法附則第5条第2項に規定する最低賃金の適用を受ける労働者に対する5の適用については、最低賃金の時間額が適用される場合を除き、当該労働者の実作業時間数が当該最低賃金の適用を受ける他の労働者の実作業時間数の2分の1程度以上であるときは許可しないこととする。

 

条文ごとの整理

1.第5条(最低賃金の競合)

 労働協約に基づく現物供与の場合の適正評価を規定しており、この場合の適正評価とは「適正な評価とは、当該現物給与等を労働者に支給するために要した実際費用をこえないものとすること。」とされている様に、最低賃金割れの給与とする目的で、価値の低い物を賃金の代替として支給することを禁止している。

 具体的な許可基準は次のとおり。

 ① 物品を支給し、又は利益を供与するに要した実際費用を超えないこと

 ② 労働協約又は労使控除協定で現物給与等の評価額を定めているときは、原則としてこれによる(不適当である場合には、都道府県労働局長が判断する。)

 

2.第6条(最低賃金の競合)

 最低賃金の競合の場合には、もっとも高い最低賃金の適用を受けることとなる。最低賃金が時間給に統一変更されたため、この問題はあまり起きないと考えられる。ただし、例えば労働者派遣業において、派遣元事業所がA県に所在し他方で派遣先の事業所がB県に所在する場合に、どちらの県の地域別最低賃金を適用するか注意が必要である。この場合は、、もちろん実際に就労する派遣先の事業所の所在地の地域別最低賃金が適用される。

 また、一般に地域別最低賃金と特定最低賃金を比較すると特定最低賃金の方が高い価額となっているため、特定最低賃金が適用される業務については、特定最低賃金の適用除外者を除き特定最低賃金が適用される。

 

3.第7条(最低賃金の減額)

 最低賃金の減額特例の規定であり、心神障害者等(第1号)、試用期間中の労働者(第2号)、最賃則で定める職業訓練中の者(第3号)、最賃則で定める監視断続労働等(第4号)については、都道府県労働局長の許可を得て、本来の最低賃金額から最賃則で定める減額率を乗じて得た額を控除した価額を最低賃金として適用する旨規定されている。

 従来の適用除外制度では、事業主が独自の判断で適用除外に該当の判断をおこない、法の趣旨を拡大解釈する恐れがあった。そのため、平成20年改正法施行により許可・減額制に変更された。

(ⅰ)第1号

  具体的な運営基準(一般的な許可基準は通達されている)が公開されていないため、「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者」に該当するか否かの具体的・詳細な基準は不明。また、具体的な減額率も不明。

 許可基準は次のとおり。

  ① その障害が当該労働者に従事させようとする業務の遂行に直接支障を与えることが明白である場合に限られる。

  ② 業務の遂行に直接支障を与える障害がある場合にも、その支障の程度が著しい場合に限られる。すなわち、労働者の労働能率の程度が当該労働者と同一又は類似の業務に従事する労働者であって、減額しようとする最低賃金額と同程度以上の額の賃金が支払われているもののうち、最低位の能力を有するものの労働能率の程度にも達しないものに限られること。

(ⅱ)第2号

  試用期間中の者とは、「試の使用期間中の労働者であるかどうかは、当該事業場で使用されている名称のみによつて判断することなく、試の使用期間の実態を備えているか否かによつて判断する」とされている。また、減額率は20%(最低賃金額の80%を適用)とされている。

 許可基準によれば、「労働協約、就業規則又は労働契約において定められているものをいう」とされ、最低賃金の減額適用期間は最長6ヶ月とされる。

(ⅲ)第3号

  職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第24条第1項の認定を受けて行われる職業訓練のうち職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させることを内容とするもの(職業能力開発促進法施行規則(昭和四十四年労働省令第二十四号)第九条に定める普通課程若しくは短期課程(職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させるためのものに限る。)の普通職業訓練又は同条に定める専門課程の高度職業訓練を受ける者であつて、職業を転換するために当該職業訓練を受けるもの以外のもの)とされていること。

 また、減額率は具体的には不明。

 職業訓練の時間が、所定労働時間の3分の2程度以上である訓練年度については、許可しないとされる。

(ⅳ)第4号(軽易な作業)

  「その労働者の従事する業務が他の労働者の従事する業務と比較して特に軽易な場合のみ」に許可されるとしている。また、同様に具体的な減額率は不明。

  従事する業務の負担の程度が当該労働者と異なる業務に従事する労働者であって、減額しようとする最低賃金額と同程度以上の額の賃金が支払われているもののうち、業務の負担の程度が最も軽易なものの当該負担の程度と比較してもなお軽易である者に限られる。

(ⅴ)第4号(断続的労働に従事する者)

  常態として作業が間欠的であるため労働時間中においても手待ち時間が多く実作業時間が少ない者に限られる。なお、減額率は実態に即して定められる。

 

4.第8条(最低賃金額等の周知)

 最低賃金に関し、周知すべき項目は次のとおり。(最賃則第6条)

  一 適用を受ける労働者の範囲及びこれらの労働者に係る最低賃金額

 二 法第四条第三項第三号の賃金

   ※最低賃金の換算に算入しない次の賃金

   ① 一月をこえない期間ごとに支払われる賃金以外の賃金で厚生労働省令で定めるもの

   ② 通常の労働時間又は労働日の賃金以外の賃金で厚生労働省令で定めるもの 

    ③ 三当該最低賃金において算入しないことを定める賃金

 三 効力発生年月日

   ※地域別最低賃金及び特定最低賃金は、都道府県別に定められるため、適用開始の日がそれぞれ異なる。

 また、都道府県労働局は、地域別最低賃金及び特定最低賃金の改定時ごとに、掲示用のパンフレット他を作成し配布しているため、それらを目立つ場所に掲示することで、法第8条の周知が可能である。(HPからダウンローも可能。)



 

以上で、賃金に関する考察3(最賃法5条~8条)を修了します。