賃金、賃金制度に関する考察 10(最賃法の実際)

2015年07月04日 15:32

最低賃金法

最低賃金額以上であるかどうかを確認する方法(厚生労働省のHPより引用)※加筆あり

HPのURL:https://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/kijunkyoku/minimum/minimum-13.htm

 支払われる賃金が最低賃金額以上となっているかどうかを調べるには、最低賃金の対象となる賃金額と適用される最低賃金額を以下の方法で確認します。

(1)時間給の場合

   時間給≧地域別(特定)最低賃金 により判断する。

 ※注:深夜業の場合  時間給×(100÷125)≧地域別(特定)最低賃金

    例えば、所定労働時間の全部が22:00~5:00の時間帯にある場合には、

    適用される最低賃金が仮に800円とした場合に、1,000円以上の支払がないときに、

    最低賃金法第4条第1項違反となります。(罰則は、50万円以下の罰金)

   そのほか、所定時間外労働をおこなった場合には、所定外労働の賃金部分を控除して

  判断します。

 ※所定時間外労働と法定時間外労働は、異なる概念であることに留意が必要です。

  また、最低賃金割れの差額を賞与等で補填することは、本法第4条の趣旨からできないこと

     となります。

     加えて、労働基準法第24条の全額払いの規定にも違反します。

 

最低賃金法施行規

最低賃金以上の賃金として判断する際に、算入しない賃金

第一条 (算入しない賃金)

 最低賃金法(以下「法」という。)第四条第三項第一号の厚生労働省令で定める賃金は、臨時に支払われる賃金及び一月をこえる期間ごとに支払われる賃金とする。

2 法第四条第三項第二号の厚生労働省令で定める賃金は、次のとおりとする。

一 所定労働時間をこえる時間の労働に対して支払われる賃金

二 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金

三 午後十時から午前五時まで(労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第三十七条第四項の規定により厚生労働大臣が定める地域又は期間については、午後十一時から午前六時まで)の間の労働に対して支払われる賃金のうち通常の労働時間の賃金の計算額をこえる部分

 
 最低賃金の対象となる賃金
 最低賃金の対象となる賃金は、最低賃金の実質的な効果を確保するために、毎月支払われる基本的な賃金に限定されており、具体的には、以下の賃金は最低賃金の対象外とされている(法第5条第3項、最低賃金法施行規則(以下「則」という。)第2条)。
  (1)  臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  (2)  1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  (3)  所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金
  (4)  所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金
  (5)  深夜(午後10時から午前5時までの間の)労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分
  (6)  当該最低賃金において算入しないことを定める賃金(現行最低賃金はいずれも精皆勤手当、通勤手当及び家族手当を算入しないことと定めている。)

(2)日給制の場合

   日給額÷一日の所定労働時間≧地域別(特定)最低賃金 により判断します。

  ※日によつて所定労働時間数が異なる場合には、一週間における一日平均所定労働時間数

        を使用   

  ※変形労働時間制を採用してない場合には、一日の所定労働時間は8時間以下ですから、

   例えば、一日の所定労働時間が7時間30分で、適用される最低賃金額が800円の場合に、

   日給額が6,000円のときの判断

     ¥6,000÷7.5時間=¥800 となり、この事例は最低賃金額以上だと確認できます。

 

(3)週給の場合

   週給額÷一週間の所定労働時間≧最低賃金額

  ※週によつて所定労働時間数が異なる場合には、四週間における一週平均所定労働時間数

 

(4)月給の場合

   月給額÷1ヶ月平均の所定労働時間(1年間の総所定労働時間÷12ヶ月)≧最低賃金額

  ※この場合、職能手当・職務手当・役職手当等も基本給に加算して判断することと

        なります。

   ただし、通勤手当、家族手当、3ヶ月等ごとに支払われる精勤手当、6ヶ月ごと等に支払

        われる賞与、結婚手当等は除外します。

  事例:

   給与額 基本給 150,000円、職能手当 9,000円、 職務手当 5,000円、

       所定時間外労働手当 25,000円  計 164,000円(時間外手当を除く)

   年間労働日数 245日 1日の所定労働時間 8時間 最低賃金額 750円

   月平均の所定労働時間=8h×245日÷12ヶ月=163.33・・・

   164,000円÷(8×245÷12)≒1004.82円 ≧750円 となり最低賃金を上回ります。  

 

(5)タクシー業の場合(歩合給) 厚生労働省作成パンフレット引用

1.賃金が固定給と歩合給の合計額の場合

    固定給         85,000円(通勤手当、精勤手当、家族手当を除く)

    歩合給         56,000円

    固定給の割増手当    20,625円(時間外+深夜割増)

    歩合給の割増手当      3,150円(時間外+深夜割増)

    賃金計         164,775円

    月平均所定労働時間 170時間 その月の総労働時間 200時間

    地域別最低賃金額  764円

     固定給部分  85,000円÷170時間=500円 注:所定労働時間を使用

     歩合給部分  56,000円÷200時間=280円 注:総労働時間を使用

     時間単価計     500円+280円=780円 ≧764円  

2.賃金がすべて歩合給の場合

    歩合給        144,000円

    割増賃金         8,100円

    賃金計        152,100円

    総労働時間        200時間

    給与時間単価  144,000円÷200時間=720円 <764円 

    この場合は、最低賃金額を割っていますので違法となり、適用される最低賃金額が

    みなし賃金単価となります。 

    :賃金のすべてが歩合給の場合、所定労働時間は使用しません。

 

以下参考資料

 

タクシー運転手の最低賃金に関するパンフレットのURLは以下の通りです。

URL:https://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/kijunkyoku/minimum/dl/01b.pdf

 

地域別最低賃金一覧

URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/

 

特定最低賃金一覧

URL:https://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/kijunkyoku/minimum/minimum-19.htm

 

 

 

 

 

 

以上で最低賃金と支給賃金の比較方法の実際を終了します。