過労死、過労自殺の問題に関する考察 2
○近年の自殺者数の年次推移(再掲):平成27年8月25日 内閣府自殺対策推進室作成(警察庁の自殺統計に基づく自殺者数の推移等)https://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/toukei/pdf/tsukibetsu_zanteichi.pdf
平成27年の自殺者数(単位人)
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 合計
合計 2,041 1,760 2,284 2,079 2,218 1,992 2,031 14,405 △452
H26年 2,079 1,878 2,317 2,229 2,262 2,068 2,024 14,857
男性 1,426 1,225 1,605 1,468 1,574 1,407 1,345 10,050△203
H26年 1,480 1,332 1,572 1,503 1,570 1,392 1,404 10,253
女性 615 535 679 611 644 585 686 4,355△269
H26年 599 546 745 726 692 676 620 4,604
※累計数の合計に差違があるが理由不明
○自殺理由の分析
前回に、自殺者数と経済状況に相関関係があることはすでに述べました。すなわち、経済状況が良好な年(景気が良い時)には自殺者数が比較的少なく、他方経済状況が悪化した年(景気が悪い年)に自殺者数が増加する傾向があります。今回は、公開されている資料から自殺の理由を考察します。
1.自殺者数の各国比較:出典 グローバルノート(https://www.globalnote.jp/post-10209.html)
2013年 単位/10万人あたりの人数 自殺率
国 自殺者数(人)
リトアニア 29.5
韓国 29.1
ロシア 29.0
ラトビア 20.4
ハンガリー 19.4
日本 19.1
スロベニア 18.6
ベルギー 17.4
エストニア 16.6
フランス 15.8
ポーランド 15.3
チェコ 14.2
オーストリア 13.6
アメリカ 12.5
2.日本に於ける自殺理由の分析:出典 平成22年厚生労働省作成資料https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jisatsu/dl/torimatome_2.pdf
無職男性の自殺死亡率は極めて高く、35歳から54歳までの年齢階 級では、有職者の約5倍となっており、無職者対策、とりわけ支援につ ながるためのゲートキーパー機能(自殺のサインに気付き、見守りや助 言を行い、相談支援につなぐ役割)の充実が必要である。
配偶者と離別した無職者の自殺死亡率は多くの年齢階級で最も高く、 35歳から54歳までの年齢階級では、離別した男性無職者の自殺死亡 率は有配偶の男性有職者の約20倍となっており、地域から孤立してい る方へのアプローチ手段の充実が必要である。
生活保護受給者の自殺死亡率は全体の自殺死亡率よりも高く(※)、被 保護者数に占める精神疾患及び精神障害を有する方の割合は全人口に 占める精神疾患患者の割合よりも高い。生活保護受給者に対する精神面 での支援体制の強化が必要であることが分かる。
職業等の属性によって、自殺に至る経路や要因は異なる。例えば「被 雇用者・勤め人」は、配置転換や転職等による「職場環境の変化」がき っかけとなって自殺に追い込まれるケースが多い。失業者は、「失業 → 生活苦 → 多重債務 → うつ → 自殺」といった経路をたどるケ ースが多い。各地域で対策に取り組む際は、そうした実態を踏まえて必 要な連携を図っていく必要がある。
3.自殺の原因別にみる分析(平成21年) 単位(人)出典:警察庁自殺の概要
自殺者数 原因特定件数 健康問題(うつ 統合失調症 アルコール 薬物)