雇用保険とは何か? 5

2015年09月13日 12:29

逐条考察

第八条(確認の請求)

 被保険者又は被保険者であつた者は、いつでも、次条の規定による確認を請求することができる。

第九条 (確認)

  厚生労働大臣は、第七条の規定による届出若しくは前条の規定による請求により、又は職権で、労働者が被保険者となつたこと又は被保険者でなくなつたことの確認を行うものとする。

2 前項の確認については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。

 

則第八条 (確認の請求)

  法第八条の規定による被保険者となつたこと又は被保険者でなくなつたことの確認の請求は、文書又は口頭で行うものとする。

2 前項の規定により文書で確認の請求をしようとする者は、次の各号に掲げる事項を記載し

  て署名又は記名押印した請求書を、その者を雇用し又は雇用していた事業主の事業所の所在

  地を管轄する公共職業安定所の長に提出しなければならない。この場合において、証拠があ

  るときは、これを添えなければならない。

一 請求者の氏名、住所及び生年月日

二 請求の趣旨

三 事業主の氏名並びに事業所の名称及び所在地

四 被保険者となつたこと又は被保険者でなくなつたことの事実、

  その事実のあつた年月日及びその原因

五 請求の理由

3 第一項の規定により口頭で確認の請求をしようとする者は、前項各号に掲げる事項を同項の公共職業安定所長に陳述し、証拠があるときはこれを提出しなければならない。

4 前項の規定による陳述を受けた公共職業安定所長は、聴取書を作成し、請求者に読み聞かせた上、署名又は記名押印させなければならない。

5 法第二十二条第五項に規定する者であつて、被保険者となつた日が法第九条第一項の規定による被保険者となつたことの確認があつた日の二年前の日より前にあるものが被保険者となつたことの確認の請求を文書で行う場合は、その者は、第二項の規定にかかわらず、第二項に規定する請求書に第三十三条の二各号に定めるいずれかの書類を添えて、その者を雇用し又は雇用していた事業主の事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に提出しなければならない。

6 法第二十二条第五項に規定する者であつて、被保険者でなくなつた日が法第九条第一項の規定による被保険者となつたことの確認があつた日の二年前の日より前にあるものが被保険者でなくなつたことの確認の請求を文書で行う場合は、その者は、第二項の規定にかかわらず、第二項に規定する請求書に第三十三条の二各号に定めるいずれかの書類を添えて、その者を雇用し又は雇用していた事業主の事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に提出しなければならない。

7 法第二十二条第五項に規定する者であつて、被保険者となつた日が法第九条第一項の規定による被保険者となつたことの確認があつた日の二年前の日より前にあるものが被保険者となつたことの確認の請求を口頭で行う場合は、その者は、第三項の規定にかかわらず、第二項各号に掲げる事項を同項の公共職業安定所長に陳述し、第三十三条の二各号に定めるいずれかの書類を提出しなければならない。

8 法第二十二条第五項に規定する者であつて、被保険者でなくなつた日が法第九条第一項の規定による被保険者となつたことの確認があつた日の二年前の日より前にあるものが被保険者でなくなつたことの確認の請求を口頭で行う場合は、その者は、第三項の規定にかかわらず、第二項各号に掲げる事項を同項の公共職業安定所長に陳述し、第三十三条の二各号に定めるいずれかの書類を提出しなければならない。

9 前二項の規定による陳述を受けた公共職業安定所長は、聴取書を作成し、請求者に読み聞かせた上、署名又は記名押印させなければならない。

10 第二項、第三項、第五項及び第七項の場合において、被保険者となつたことの確認の請求をしようとする者が、被保険者証の交付を受けた者であるときは、その被保険者証を提出しなければならない。

 

第九条 (確認の通知)

  公共職業安定所長は、法第九条第一項の規定による労働者が被保険者となつたこと又は被保険者でなくなつたことの確認をしたときは、それぞれ、雇用保険被保険者資格取得確認通知書(様式第六号の二)又は雇用保険被保険者資格喪失確認通知書(様式第六号の三)により、その旨を当該確認に係る者及びその者を雇用し、又は雇用していた事業主に通知しなければならない。この場合において、当該確認に係る者に対する通知は、当該事業主を通じて行うことができる。

2 公共職業安定所長は、当該確認に係る者又は当該事業主の所在が明らかでないために前項の規定による通知をすることができない場合においては、当該公共職業安定所の掲示場に、その通知すべき事項を記載した文書を掲示しなければならない。

3 前項の規定による掲示があつた日の翌日から起算して七日を経過したときは、第一項の規定による通知があつたものとみなす。

 

則第十条 (被保険者証の交付)

  公共職業安定所長は、法第九条の規定により被保険者となつたことの確認をしたときは、その確認に係る者に雇用保険被保険者証(様式第七号)を交付しなければならない。

2 前項の規定による被保険者証の交付は、当該被保険者を雇用する事業主を通じて行うことができる。

3 被保険者証の交付を受けた者は、当該被保険者証を滅失し、又は損傷したときは、雇用保険被保険者証再交付申請書(様式第八号)に運転免許証、健康保険の被保険者証その他の被保険者証の再交付の申請をしようとする者が本人であることの事実を証明することができる書類を添えて公共職業安定所長に提出し、被保険者証の再交付を受けなければならない。

 

○雇用保険の被保険者の仕組み

 雇用保険においては、適用事業所に使用されている一定の労働者(適用を除外されて

いる労働者以外の労働者)が被保険者として保険料の一部を負担し(本体部分の半分の額の

保険料)、失業等の保険事故が発生した場合に、所定の保険給付を受給できます。そこで、雇

用保険においても健康保険や厚生年金又は国民年金と同様に、政府(公共職業安定所)に被保

険者の資格をし得した(被保険者に該当した)旨の届出をする必要があり、事業者に義務付け

られているこの手続を行わなかった場合には、保険事故発生時に雇用保険の保険給付を受けら

れなくなってしまいます。(資格取得届提出後に交付される被保険者証が保険給付手続に必要

となります。)

 そこで、雇用保険の被保険者に該当する(または該当した)労働者は、法第八条により被保

険者に該当したこと、または該当しなくなったことの確認の請求を行うことができます。法文

上は厚生労働大臣が行うとされていますが(法第九条)、則第一条及び法第八十一条第二項の

規定により最終的に公共職業安定所の所長に委任されています。

 

○遡及適用

 雇用保険の被保険者に該当したにもかかわらず、会社が被保険者資格取得届及び保険料の支

払を行っていなかった場合には、労働者が法第八条の確認請求を行った日の前日等までの過去

二年間について被保険者期間に算入することとなっています(法第十四条第二項第二号)。

 また、事業主が保険関係成立届等や適用事業所設置届等を提出を怠った場合には、2年間遡

って保険料負担を行うことを求められる場合があります。

 

○マイナンバー制度の導入と雇用保険等について

 平成29年7月より、雇用保険業務において、他の行政機関(税務署を含む)との情報連携が開

始される予定となっています。そして、事前に会社等の事業者に、例えば「従業員の個人番号

を記載した雇用保 険被保険者資格取得届を作成し、 ハローワークに提出する等」の事務が義務

付けられます。そうすると、当然に所得税等との関連から、保険関係成立届や被保険者資格取

得届等の手続の不備が行政機関の視点から顕在化します。

 従来から、税制面での法人登録数と社会保険上の法人登録数の不一致(社会保険等の登録法

人数が少ない)が指摘されており、保険料の徴収漏れ、引いては労働者の保護の網に穴があい

ていることが指摘されて来ました。社会保険料負担や労働保険料負担の増により、会社の経営

状況が悪化するなどの懸念がありますが、それは本末転倒だと言えます。

 法に加入を規定された法人等が正しく社会保険料・労働保険料を納付することで、結果的に

全体の保険料の軽減や複数の減税につながることが想定されますし、それこそがあるべき姿だ

と考えます。

 

参考資料 マイナンバー制度の導入に向けて(雇用保険業務)

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000093030.pdf

 

 

 

以上で雇用保険法第八条・第九条を終了します。