雇用保険とは何か? 2
逐条考察
第二章 適用事業等(第五条―第九条)
第五条 この法律においては、労働者が雇用される事業を適用事業とする。
2 適用事業についての保険関係の成立及び消滅については、労働保険の保険料の徴収等に関する
法律(昭和四十四年法律第八十四号。以下「徴収法」という。)の定めるところによる。
労働保険徴収法
第四条 雇用保険法第五条第一項の適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、
その事業につき雇用保険に係る保険関係が成立する。
○雇用保険の適用事業
雇用保険は、労働者を使用する事業につき事業単位でその事業が開始された日に成立します。とこ
ろが、この労働保険徴収法においては、一元適用事業と二元適用事業(農林水産業、建設業、都道府県
・市町村の事業、地方の独法等が行う事業、港湾運送の事業)が存在し、非常にわかりにくい運用が
なされています。そしてこの事業とは、「経営上一体をなす本店、支店、工場等を総合した企業その
ものを指すのではなく、個々の本店、支店、工場、鉱山、事務所のように、一つの経営組織として独
立性をもった経営体をいう。」とされています。
ここで、一元適用事業とは、労災保険と雇用保険を保険関係上一の事業として取り扱うものをい
い、一方の二元適用事業とは、労災保険の保険関係と雇用保険の保険会計を別々に取り扱うものをい
います。ただし、継続事業においては、通常は手続を行うことにより、「本店等が行う一の事業」と
して取扱をすることが可能です。通常問題となるのは、毎年の労働保険料の支払でありこの本社等に
一括する手続を行うことにより、本社で保険料に関する手続をすべて行うことができます。二元適用
事業の場合や有期事業の場合は少し複雑になりますので、ここでは省略します。※継続事業の反対の
有期事業とは、たとえば、建設現場のように工期の満了や建設物の完成に伴い終了する事業を言いま
す。
参考までに、労働基準法においても、適用単位は「事業場」すなわち、地理的に同一であり、かつ
事業内容が同一の事業場(支店、店舗、工場、営業所等の単位)という概念を用いています。
○労働者とは
労働者とは、「職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者」を言います。
ただし、労災保険法及び雇用保険法の適用が除外される労働者(被保険者から除外される労働者)
は、徴収法の労働者から除外されます。雇用保険の保険関係の成立及び消滅に関しては、徴収法の
規定に従いますから、被保険者に該当する労働者がいない事業の場合には、労災のみが適用される
事業となります。
第六条以降は、あす以降に記述します。