雇用保険とは何か? 4

2015年09月12日 10:16

逐条考察

第七条 (被保険者に関する届出)

 事業主(徴収法第八条第一項又は第二項の規定により元請負人が事業主とされる場合にあつては、当

該事業に係る労働者のうち元請負人が雇用する労働者以外の労働者については、当該労働者を雇用す

下請負人。以下同じ。)は、厚生労働省令で定めるところにより、の雇用する労働者に関し、当

該事業主の行う適用事業(同条第一項又は第二項の規定により数次の請負によつて行われる事業

の事業とみなされる場合にあつては、当該事業に係る労働者のうち元請負人が雇用する労働者以外の

労働者については、当該請負に係るそれぞれの事業。以下同じ。)に係る被保険者となつたこ

と、当該事業主の行う適用事業に係る被保険者でなくなつたことその他厚生労働省令で定める

事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。当該事業主から徴収法第三十三条第一項

の委託を受けて同項に規定する労働保険事務の一部として前段の届出に関する事務を処理する同条

第三項に規定する労働保険事務組合(以下「労働保険事務組合」という。)についても、同

とする。

 

第六条(被保険者となつたことの届出)

 事業主は、法第七条の規定により、その雇用する労働者が当該事業主の行う適用事業に

係る被保険者となつたことにいて、当該事実のあつた日の属する月の翌月十日までに、

雇用保険被保険者資格取得届(様式第二号。以下「資格取得届」という。)をその事業所

の所在地を管轄する公共職業安定所の長に提出しなければならない。

2 事業主は、次の各号のいずれかに該当する場合には、前項の規定により提出する資格取得届に労

働契約に係る契約書、労働者名簿、賃金台帳その他の当該適用事業に係る被保険者となつ

たことの事実及びその事実のあつた年月日を証明することができる書類を添えなければな

らない。

一 その事業主において初めて資格取得届を提出する場合

二 前項に規定する期限を超えて資格取得届を提出する場合

三 前項に規定する期限から起算して過去三年間に法第十条の四第二項に規定する同条第一項の規定による失業等給付の返還又は納付を命ぜられた金額の納付をすることを命ぜられたことその他これに準ずる事情があつたと認められる場合

四 前各号に定める場合のほか、資格取得届の記載事項に疑義がある場合その他の当該届出のみでは被保険者となつたことの判断ができない場合として職業安定局長が定める場合

3 事業主は、その同居の親族(婚姻の届出をしていないが、事実上その者と婚姻関係と

同様の事情にある者を含む。)その他特に確認を要する者として職業安定局長が定める者

に係る資格取得届を提出する場合には、第一項の規定により提出する資格取得届に、労

働契約に係る契約書、労働者名簿、賃金台帳その他の当該適用事業に係る被保険者とな

つたことの事実及びその事実のあつた年月日を証明することができる書類並びに職業安

定局長が定める書類を添えなければならない。

4 事業主は、前二項の規定にかかわらず、職業安定局長が定めるところにより、これ

らの規定に定める書類を添えないことができる。

5 第十条第一項の雇用保険被保険者証(同項を除き、以下「被保険者証」という。)の交付

を受けた者は、被保険者となつたときは、速やかに、その被保険者証をその者を雇用す

る事業主に提示しなければならない。

6 事業主は、法第二十二条第五項に規定する者であつて、被保険者となつた日が法第

九条第一項の規定による被保険者となつたことの確認があつた日の二年前の日より前に

あるものに係る被保険者となつたことの届出については、第一項の規定にかかわらず、

資格取得届に第三十三条の二各号に定めるいずれかの書類を添えてその事業所の所在地

を管轄する公共職業安定所の長に提出しなければならない。

 

第七条 (被保険者でなくなつたことの届出)

 事業主は、法第七条の規定により、その雇用する労働者が当該事業主の行う適用事業に

係る被保険者でなくなつたことについて、当該事実のあつた日の翌日から起算して十日以

内に、雇用保険被保険者資格喪失届(様式第四号。以下 「資格喪失届」という。)に労働契約に

る契約書、労働者名簿、賃金台帳その他の当該適用事業に係る被保険者でなくなつたことの事実及び

の事実のあつた年月日を証明することができる書類を添えてその事業所の所在地を管す

公共職業安定所の長に提出しなければならない。この場合において、当該適用事業に

係る被保険者でなくなつたことの原因が離職であるときは、当該資格喪失届に、次の各号

に掲げる者の区分に応じ、当該各号に定める書類を添えなければならない。

一 次号に該当する者以外の者 雇用保険被保険者離職証明書(様式第五号。以下「離職証明書」という。)及び賃金台帳その他の離職の日前の賃金の額を証明することができる書類

二 第三十五条各号に掲げる者又は第三十六条各号に掲げる理由により離職した者 前号に定める書類及び第三十五条各号に掲げる者であること又は第三十六条各号に掲げる理由により離職したことを証明することができる書類

2 事業主は、前項の規定により当該資格喪失届を提出する際に当該被保険者が雇用保険被保険者

離職票(様式第六号。以下「離職票」という。)の交付を希望しないときは、同項後段の

規定にかかわらず、離職証明書を添えないことができる。ただし、離職の日において五

十九歳以上である被保険者については、この限りでない。

3 公共職業安定所長は、離職したことにより被保険者でなくなつた者が、離職の日以前二年間(法

第十三条第三項に規定する特定理由離職者及び法第二十三条第二項各号のいずれかに該当する者

(法第十三条第一項の規定により基本手当の支給を受けることができる資格を有することとなる者

除く。)にあつては一年間)に法第十三条第一項に規定する理由により引き続き三十日以上

賃金の支払を受けることができなかつた場合において、必要があると認めるときは、そ

の者に対し、医師の証明書その他当該理由を証明することができる書類の提出を命ずる

ことができる。

4 事業主は、法第二十二条第五項に規定する者であつて、被保険者でなくなつた日が法第九条第一

項の規定による被保険者となつたことの確認があつた日の二年前の日より前にあるもの

に係る被保険者でなくなつたことの届出については、前三項の規定にかかわらず、資格

喪失届に第三十三条の二各号に定めるいずれかの書類を添えてその事業所の所在地を管

轄する公共職業安定所の長に提出しなければならない。

5 事業主は、第一項の規定にかかわらず、職業安定局長が定めるところにより、同項

に定める書類を添えないことができる。

 

雇用保険の資格取得届(則第六条)

 雇用保険においては、労働者が雇用保険の被保険者になったことについて、事業主が事業所の所轄の公共職業安定所に所定の書面及び添付書類と一緒に届け出ることとなっています。参考までに言えば、労災では被保険者という概念を採用していないため、資格取得に関する手続はありません。具体的には、新たに被保険者に該当する労働者を採用したとき、適用が除外されている労働者が雇用形態の変更等により、被保険者に該当することとなったときなどに資格取得届を提出する必要があります。

 

1.雇用保険被保険者資格取得届(出典:愛知労働局作成「雇用保険のしおり」)

 ・ 提出書類……「雇用保険被保険者資格取得届

      または「雇用保険被保険者資格 取得届(連記式)

    (新規に同一日で被保険者番号を複数取得し、 

          かつ一定規模の被保険者資格を取得する場合)

  ・ 提出期限……雇用した日の属する月の翌月 10 日まで 

  ・ 提出先……事業所の所在地を管轄する公共職業安定所

 

 ※次の場合を除き、添付書類は不要。

 ① 事業主として初めての被保険者資格取得届を行う場合。

 ② 被保険者資格取得届の提出期限(上記参照)を過ぎて提出される場合

 ③ 過去 3 年間に事業主の届出に起因する不正受給があった場合 

 ④ 労働保険料を滞納している場合。 ⑤ 著しい不整合がある届出の場合

 ⑥ 雇用保険法その他労働関係法令に係る著しい違反があった事業主による届出 の場合

 ※添付書類

 賃金台帳、労働者名簿、出勤簿(タイムカード等)、 その他社会保険の資格取得関係書類等その労働者を雇用したこと及びその年月 日が明らかなもの、有期契約労働者である場合には、書面により労働条件を確 認できる就業規則、雇用契約書等の添付が必要。

 ※役員等の被保険者資格取得届

 株式会社等の取締役等であって従業員としての身分を有する者、事業主と同居している親族、在宅勤務者についての届出である場合には、雇用関係を確認 するための書類の提出が必要。

 ※社会保険労務士、労働保険事務組合が提出する場合

 社会保険労務士、労働保険事務組合を通じて提出される場合には、次のいず れかに該当する場合のみ、添付書類が必要。  

 ① 届出期限を著しく(原則として6か月)徒過した場合  

 ② 公共職業安定所において、届出内容を確認する必要がある場合

 

なお、添付書類の内容は提出先の安定所により内容が異なる場合もあるため、事前に確認することをおすすめします。

また、会社に就職した労働者は以前に渡された雇用保険被保険者証(年金手帳も併せて)を会社の担当者に提出します。

 

雇用保険被保険者資格喪失届(則第七条)

(1)離職票の交付を希望しないとき 

 ・ 提出書類……「雇用保険被保険者資格喪失届」 

 ・ 提出期日……被保険者でなくなった日の翌日から 10 日以内 

 ・ 提出先……事業所の所在地を管轄する公共職業安定所 

 ・ 持参するもの……労働者名簿、賃金台帳、出勤簿(タイムカード)、

  雇用契約 書など 

(2)離職票の交付を希望するとき

 (※ 59 歳以上の離職者は本人が希望するしない にかかわらず必ず離職票の交付が必要。)

   ・ 提出書類……「雇用保険被保険者資格喪失届」「雇用保険被保険者離職証明書」(3枚1組) 

   ・ 提出期日……被保険者でなくなった日の翌日から 10 日以内  

 ・ 提出先……事業所の所在地を管轄する公共職業安定所 

 ・ 持参するもの……労働者名簿、出勤簿(タイムカード)、賃金台帳、

  辞令及び 他の社会保険の届出(控)、離職理由の確認できる書類(就 業規則、役員会議事録など)

 

※雇用保険被保険者資格喪失届は以下の場合にも提出します。

 ① 被保険者資格の要件を満たさなくなったとき。

   ② 被保険者が法人の役員に就任したとき。

 (ただし、公共職業安定所において兼務役員 として認められた場合を除く。) 

 ③ 被保険者として取り扱われた兼務役員が、従業員としての身分を失ったとき。

   ④ 他の事業所へ出向したとき。 

 ⑤ 被保険者が死亡したとき。

 

○二重雇用の問題について

 例えば在籍出向の場合など、その者の生計 を維持するのに必要な主たる賃金を受ける事業所において被保険者となります。従って、雇用保険では、従たる賃金を受ける事業所においては被保険者となりません。(二重の資格取得はできない。)。

 一方、労災の場合には被保険者の概念がないため、同時に複数の事業主に雇用されている場合であっても、それぞれの賃金支払状況に応じて事業主は保険料を負担します。また、健康保険・厚生年金の場合、このようなケースでは、被保険者に該当すればそれぞれの事業において保険料負担(合算して標準報酬を決定する。事業主負担分は按分して負担。)が生じます。

 

上記のように、在籍出向の場合には雇用保険保険料の二重払いをしてしまうリスクがあります。

 

 

 

 

以上で雇用保険法第七条を終了します。