雇用保険とは何か? 8

2015年09月28日 10:32

逐条考察

第二節 一般被保険者の求職者給付

第一款 基本手当 

第十三条 (基本手当の受給資格)

 基本手当は、被保険者が失業した場合において、離職の日以前二年間(当該期間に疾病、負傷

その他厚生労働省令で定める理由により引き続き三十日以上賃金の支払を受けることができな

つた被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかつた日数を二

年に加算した期間(その期間が四年を超えるときは、四年間)。第十七条第一項において「算定対

象期間」という。)に、次条の規定による被保険者期間が通算して十二箇月以上であつたとき

に、の款の定めるところにより、支給する。

2 特定理由離職者及び第二十三条第二項各号のいずれかに該当する者(前項の規定により基本

手当の支給を受けることができる資格を有することとなる者を除く。)に対する前項の規定の適

用については、同項中「二年間」とあるのは「一年間」と、「二年に」とあるのは「一年に」

と、「十二箇月」とあるのは「六箇月」とする。

3 前項の特定理由離職者とは、離職した者のうち、第二十三条第二項各号のいずれかに該当

する者以外の者であつて、期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の

更新がないこと(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立

するに至らなかつた場合に限る。)その他のやむを得ない理由により離職したものとして厚生労

働省令で定める者をいう。

 

第十四条 (被保険者期間)

 被保険者期間は、被保険者であつた期間のうち、当該被保険者でなくなつた日又は各月にお

いてその日に応当し、かつ、当該被保険者であつた期間内にある日(その日に応当する日がな

い月においては、その月の末日。以下この項において「喪失応当日」という。)の各前日から各

前月の喪失応当日までさかのぼつた各期間(賃金の支払の基礎となつた日数が十一日以上である

ものに限る。)を一箇月として計算し、その他の期間は、被保険者期間に算入しない。ただし、

当該被保険者となつた日からその日後における最初の喪失応当日の前日までの期間の日数が十

五日以上であり、かつ、当該期間内における賃金の支払の基礎となつた日数が十一日以上であ

るときは、当該期間を二分の一箇月の被保険者期間として計算する。

2 前項の規定により被保険者期間を計算する場合において、次に掲げる期間は、同項に規定

する被保険者であつた期間に含めない。

一 最後に被保険者となつた日前に、当該被保険者が受給資格(前条第一項(同条第二項にお

いて読み替えて適用する場合を含む。)の規定により基本手当の支給を受けることができる資

格をいう。次節から第四節までを除き、以下同じ。)、第三十七条の三第二項に規定する高年

齢受給資格又は第三十九条第二項に規定する特例受給資格を取得したことがある場合には、

当該受給資格、高年齢受給資格又は特例受給資格に係る離職の日以前における被保険者であ

つた期間

二 第九条の規定による被保険者となつたことの確認があつた日の二年前の日(第二十二条第

五項に規定する者にあつては、同項第二号に規定する被保険者の負担すべき額に相当する額

その者に支払われた賃金から控除されていたことが明らかである時期のうち最も古い時期

として厚生労働省令で定める日)前における被保険者であつた期間

 

第一款 基本手当

 

則第十八条(法第十三条第一項の厚生労働省令で定める理由) 

 法第十三条第一項の厚生労働省令で定める理由は、次のとおりとする。

一 事業所の休業

二 出産

三 事業主の命による外国における勤務

四 国と民間企業との間の人事交流に関する法律第二条第四項第二号に該当する交流採用

五 前各号に掲げる理由に準ずる理由であつて、管轄公共職業安定所の長がやむを得ないと認めるもの

 

則第十九条 (受給資格の決定)

 基本手当の支給を受けようとする者(未支給給付請求者を除く。)は、管轄公共職業安定所に出

頭し、離職票に運転免許証その他の基本手当の支給を受けようとする者が本人であることを確

認することができる書類(当該基本手当の支給を受けようとする者が離職票に記載された離職の

由に関し異議がある場合にあつては、当該書類及び離職の理由を証明することができる書類)

添えて提出しなければならない。この場合において、その者が二枚以上の離職票を保管する

とき、又は第三十一条第三項若しくは第三十一条の三第三項の規定により受給期間延長通知書

の交付を受けているときは、併せて提出しなければならない。

2 管轄公共職業安定所の長は、前項の基本手当の支給を受けようとする者が第三十二条各号

に該当する場合において、必要があると認めるときは、その者に対し、その者が同号に該当す

る者であることの事実を証明する書類の提出を命ずることができる。

3 管轄公共職業安定所の長は、離職票を提出した者が、法第十三条第一項(同条第二項におい

て読み替えて適用する場合を含む。次項において同じ。)の規定に該当すると認めたときは、法

第十五条第三項の規定によりその者が失業の認定を受けるべき日(以下この節において失業の

認定日」という。)を定め、その者に知らせるとともに、受給資格者証に必要な事項を記載し

上、交付しなければならない。

4 管轄公共職業安定所の長は、離職票を提出した者が法第十三条第一項の規定に該当しない

と認めたときは、離職票にその旨を記載し、返付しなければならない。

 

第十九条の二 (法第十三条第三項の厚生労働省令で定める者)

 法第十三条第三項の厚生労働省令で定める者は、次のいずれかの理由により離職した者とする。

一 期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないこと(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかつた場合に限る。)

二 法第三十三条第一項の正当な理由

 

則第二十条 (受給期間内に再就職した場合の受給手続)

 受給資格者は、法第二十四条第二項に規定する受給期間(以下「受給期間」という。)内に就職し

たときは、その期間内に再び離職し、当該受給資格に基づき基本手当の支給を受ける場合のた

めに、受給資格者証を保管しなければならない。

2 受給資格者は、受給期間内に就職し、その期間内に再び離職し、当該受給期間内に係る受

給資格に基づき基本手当の支給を受けようとするときは、管轄公共職業安定所に出頭し、その

保管する受給資格者証を離職票又は雇用保険被保険者資格喪失確認通知書に添えて提出しなけ

ればならない。この場合において、管轄公共職業安定所の長は、その者について新たに失業の

認定日を定め、受給資格者証に必要な改定をした上、返付しなければならない。

 

○基本手当とは何か。

 そもそも、基本手当とは何か考えてみます。雇用保険も「保険」ですから、保険契約(任意

か法による強制かは別にして)の存在、保険料の支払、保険事故、保険(金)の支払、特約等

が存在します。そして、法に定める「被保険者の失業」が主たる保険事故であることは間違い

ありませんし、基本手当とは、法の目的である「労働者が失業した場合に政府が行う必要な給

付」のなかの一つです。また、その給付目的は、労働者の失業中(一定期間に限る)の生活保

障に他なりません。 

 次に、基本手当の具体的な内容ですが、失業日あたりの日額という形式で事後に支払が行わ

れ、その額は、原則的に失業日前の直近の賃金締切日から6ヶ月間遡って支払われた賃金の平

均日額に給付率を乗じて得た額が支給されますが、最低保障日額及び限度額が設定されていま

す。

 参考までに言えば、平成27年8月1日現在の基本手当日額の限度額は次の通りです。

30歳未満 6,395円
30歳以上45歳未満 7,105円
45歳以上60歳未満 7,810円
60歳以上65歳未満 6,714円

出典:厚生労働省HP

 また、基本手当の最低保障額は、1840円です。

 

基本手当の給付率

60歳未満の受給資格者の給付率 H27.8.1からの賃金日額の範囲 60歳以上65歳未満の受給資格者の給付率 H27.8.1からの賃金日額の範囲
80% 2,300円以上4,600円未満 80% 2,300円以上4,600円未満
50~80% 4,600円以上11,660円以下 45~80% 4,600円以上10,500円以下
50% 11,660円超 45% 10,500円超

参考:リーフレット https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000091783.pdf

 

○基本手当の受給要件

 公的年金も同様ですが、被保険者であった者のすべてが基本手当を受給できるわけではな

く、その建付けは、他の公的制度と同様に非常に複雑なものとなっています。原則的に被保

険者であった者が公共職業安定所に出頭し、受給資格の認定を受けた後、待機期間及び給付

制限期間を経過した後の失業認定日に過去の失業日として認定を受けた日をまとめた合計額

が、事後的に支給されることとなります。

 

 基本手当の受給要件の詳細は、業務取扱要領の内容を引用します。

1 受給資格の決定及び被保険者期間
(1)受給資格及び受給資格者の意義
受給資格とは、法第13 条第1 項の規定により基本手当の支給を受けることができる資格をい
い、この受給資格を有する者を受給資格者という。
即ち、一般被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず職業に就くことの
できない状態にある場合で、算定対象期間に被保険者期間(50103 参照)が通算して12 か月
以上であったときに基本手当の支給を受けることができる。
この算定対象期間は、原則として、離職の日以前2 年間である(50151~50200 参照)。
なお、受給資格に係る離職理由が特定理由離職者又は特定受給資格者に該当する場合は、離職
の日以前の2 年間に被保険者期間が12 か月以上ないときは、離職の日以前1 年間に被保険者
期間が6か月以上であれば基本手当の支給を受けることができる(特定理由離職者の範囲につ
いては50305-2、特定受給資格者の範囲については50305 参照)。
この場合における算定対象期間は、原則として離職の日以前1 年間である。
高年齢継続被保険者、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者のそれぞれの給付を受ける
ことができる資格を有する者は、受給資格者と呼ばない。
また、基本手当の受給を終了し、支給残日数がなくなった者は、受給資格者ではない。
2)受給資格の決定
イ 受給資格の決定とは、安定所長が離職票を提出した者について、基本手当の支給を受けるこ
とができる資格を有する者であると認定することをいう。
すなわち、次の3 つの要件を満たしている者であると認定することである。
(イ) 離職による資格喪失の確認を受けたこと
(ロ) 労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあること
(ハ) 算定対象期間(原則として離職の日以前2 年間(受給資格に係る離職理由が特定理由離職者
又は特定受給資格者に該当する場合は2 年間又は1 年間)。疾病、負傷等による受給要件の緩
和について、50151~50200 参照)に、被保険者期間が通算して12 か月(受給資格に係る離職
理由が特定理由離職者又は特定受給資格者に該当する場合は12 か月又は6 か月)以上あること
なお、2 枚以上の離職票を提出すべき者に係るこの要件の判断については、50104 を参照する
こと。
受給資格者が受給資格の決定を受けるには、安定所に出頭し、求職の申込みをしなければなら
ない(法第15 条第2 項、則第19 条第1 項)。
なお、受給期間(50251 参照)を経過した者については、受給資格の決定を行うことはできな
い(50205 参照)。
ロ 受給資格の決定に当たっては、次の点に留意する。
(イ) 特別の理由がないのに本人に不適当な労働条件その他の不適当な求職条件の希望を固執す
る者については、労働の意思及び能力の有無の判定を慎重に行う。
(ロ) 妊娠、出産、育児、老病者の看護その他家事家業の手伝いのために退職した者について
は、労働の意思及び能力の有無の判定を慎重に行って、受給資格の決定を行う
なお、妊娠、出産、育児等の理由で退職した者で、労働の意思又は能力がないと判定した者
については、受給期間の延長(50261 参照)の制度がある旨の説明を行い、希望する場合は所
要の申請手続をとるよう指導する。
(ハ) 求職条件として短時間就労のみを希望する者については、雇用保険の被保険者となり得る
求職条件(20303 ロ及びハに留意)を希望する者に限り労働の意思を有するものとして扱う。
なお、自己の都合により退職し、短時間労働者に該当する被保険者となるような求職条件の
みを希望する受給資格者については、妊娠、出産、育児、老病者の看護その他家事又は家業の
手伝い、加齢等による当人の肉体的能力の減退等が退職の原因となっていることが比較的多い
ので、このことに十分留意の上、51254 のハにより慎重な判断を行う。
(ニ) 内職、自営及び任意的な就労等の非雇用労働へ就くことのみを希望している者について
は、労働の意思を有するものとして扱うことはできない。
ただし、求職活動と並行して創業の準備・検討を行う場合にあっては、その者が自営の準備
に専念するものではなく、安定所の職業紹介に応じられる場合には、受給資格決定を行うこと
が可能となるので留意すること。
ここで、自営業の開業に先行する準備行為であって事務所の設営等開業に向けた継続的性質
を有するものを開始した場合は、原則として、自営の準備に専念しているものと取り扱うこと。
一方で、事業許可取得のための申請手続、事務所賃借のための契約手続等の諸手続(当該諸手
続のための書類の作成等の事実行為を含む。)を行っているに過ぎないような場合は、その行
為が求職活動の継続と両立しないようなものでないかどうかについて、個別具体的な事情を勘
案して判断すること。
(ホ) 離職し、被保険者資格を喪失した者であっても、当該離職前からの雇用関係、委任関係又
は自営業を継続すること等により受給資格の決定の際に就職状態(51255 参照)にある場合
には、受給資格の決定を行うことはできない。
また、求職申込み前の契約等に基づき求職申込み後にも就労する予定がある者については、
受給資格の決定の際に就職状態(51255 参照)にない場合であっても、労働の意思及び能力を
慎重に確認しなければ受給資格の決定は行えない。
(ヘ) 受給資格の決定を受けようとする精神障害者については、障害者担当の職業相談部門と十
分に連携した上で、週平均で20 時間以上の就労を希望し、実際に就労が可能と総合的に判断
できる場合には、受給資格の決定を行って差し支えない。
(ト) 労働の意思又は能力がないと認めて受給資格の否認を行う場合(50203 参照)には、雇用
保険審査官に対して審査請求をすることができる旨を教示する。教示を行うに当たっては、あ
らかじめその旨を記載したゴム印を作成して、これによることとしても差し支えない。
(チ) 船員であった者については、船員以外の求人を希望している受給資格者であっても地方運
輸局は拒否することなく、受給資格の決定を行った上で原則として受給資格者の住所を管轄す
る安定所に委嘱(51501 参照)を行い、船員の求人を希望している受給資格者であっても安定所
は拒否することなく、受給資格の決定を行った上で原則として受給資格者の住所を管轄する地
方運輸局に委嘱を行うこと。
(リ) 地方運輸局については、受給資格の確認に疑義が生じた場合は即座の判断ができず、労働
局を介して過去の被保険者であった期間等の確認を行うことから、当該本人に対して、労働局
への照会の結果によっては受給できない場合もあり得ることから、次回来所日までに決定内容
を通知する旨を伝える必要がある。
50103(3)被保険者期間
イ 被保険者期間の計算方法
(イ) 被保険者期間は、被保険者が離職した日の翌日又は各月においてその日に応当し、かつ、
当該被保険者であった期間内にある日(その日に応当する日がない月においては、その月の末
日。以下「喪失応当日」という。)の各前日から各前月の喪失応当日までさかのぼった各期間
(賃金の支払の基礎となった日数が11 日以上あるものに限る。)を1 か月として計算する
(法第14 条第1 項)。
すなわち、被保険者として雇用された期間を、資格の喪失の日の前日からさかのぼって1 か
月毎に区切って行き、このように区切られた1 か月の期間に賃金支払基礎日数が11 日以上あ
る場合に、その1 か月の期間を被保険者期間の1 か月として計算する。また、このように区切
ることにより1 か月未満の期間が生ずることがあるが、その1 か月未満の期間の日数が15 日
以上あり、かつ、その期間内に賃金支払基礎日数が11 日以上あるときに、その期間を被保険
者期間の2 分の1 か月として計算する。

※なお、具体的な被保険者期間の認定の事例については、業務取扱要領を参照

(4)2枚以上の離職票の提出があった場合の受給資格決定の要領
離職票を提出した者が、2 枚以上の離職票を提出すべき者である場合は、当該離職票の他に何枚
の離職票を所持(離職票の交付を受けていない場合を含む。)しているかについて、センター
はその枚数を通知する。安定所は通知された枚数と提出された枚数が一致しない場合は、残り
の提出すべき離職票を提出するよう指導し、次の要領により受給資格の決定を行う(50103 イ
(ロ)参照)(法第13 条第1 項、同第14 条第2 項、同第20 条第3 項)。
イ 2 枚の離職票を提出して求職の申込みを行った者については、前後の離職票が単独で受給資
格を満たしているか否かにかかわらず、後の離職票の離職理由を判定した上で、原則として離
職の日以前2 年間(受給資格に係る離職理由が特定理由離職者又は特定受給資格者に該当する
場合は2年間又は1 年間)について、順次遡って被保険者期間が12 か月(受給資格に係る離職
理由が特定理由離職者又は特定受給資格者に該当する場合は12 か月又は6 か月)となるまで通
算することとする。
ロ 3 枚以上の離職票を提出した者についても、上記イと同様、最後の離職票に係る離職理由を
判定した上で順次遡って通算する。
(5) 船員であった者が陸上勤務者(陸上勤務者であった者が船員)になった後に離職
した場合の被保険者期間の算定方法
雇用保険の被保険者であった期間のうち、喪失日(離職日の翌日)又は各月においてその日に
応当し、かつ、当該被保険者であった期間内にある日(応答する日がない場合はその月の末
日)の各前日から各前月の喪失応当日までさかのぼった期間を1 か月として計算することにな
るが、雇用形態が船員であった被保険者であった者が、同一事業主のもとで1 日の空白もなく
陸上勤務者となった場合における被保険者期間の算定ついては、取得時より陸上勤務者であっ
たものとみなした上で(雇用形態が陸上勤務者であった者が、同一の事業主のもとで1 日の空
白もなく船員となった場合における被保険者期間の算定については、取得時より船員であった
ものとみなした上で)、さかのぼって被保険者期間を算定する。
(7)日雇の受給資格調整を受けた者の受給資格の決定
法第56 条第1 項又は法第56 条の2 第1 項の規定による受給資格の調整の措置の適用を受けた旨
の申出のあった者について、受給資格の決定を行う場合は、次に留意する(90804 参照)。
イ その者が所持している受給資格の調整を受けた旨の記録のある日雇労働被保険者手帳の提出
を求め、受給資格の調整を受けた結果、法第56 条第1 項の規定により被保険者期間として計算
できる年月又は法第56 条の2 第1 項の規定により被保険者であった期間とみなせる期間につい
て確認する。
ロ 提出された日雇労働被保険者手帳の記録事項について不審のあった場合又は手帳を紛失した
ため提出できない等受給資格の調整を行うため、その事実の確認ができない場合は、受給資格
の調整の申出をした者に、氏名、生年月日、受給資格の調整を受けた年月日、安定所名、受給
資格の調整措置を受ける年月及び当該措置を受けるに至った事業所の所在地、名称を聴取し、
速やかに当該措置の確認を行った安定所に対し、必要事項の確認を文書により求める。
ハ 受給資格の調整を行い得ると確認できるときは、適宜の用紙に次の事項を記載して離職票の
裏面に貼付しておく。
(イ) 受給資格の調整を受け得る旨の確認を行った年月日及び安定所名並びに提出された手帳の
交付番号及び交付安定所名
(ロ) 法第56 条第1 項によって被保険者期間として計算できる年月又は法第56 条の2 第1 項に
よって被保険者であった期間とみなした期間
(ハ) 法第56 条第1 項によって被保険者期間として計算できる年月別に貼付された雇用保険印紙
の種類別枚数、又は法第56 条の2 第1 項によって被保険者であった期間とみなした期間につい
て、賃金月(50601 イ参照)別に貼付された雇用保険印紙の種類別枚数
(ニ) 50701 によって計算して得た当該月又は当該賃金月に支払われたとする賃金額
(8)船員に係る被保険者期間の通算(船員保険制度の雇用保険への統合に伴う経過措置)
イ 平成22 年1月1日より船員保険制度(失業部門)が雇用保険制度に統合されることに伴い、
経過措置として、施行日(平成22 年1月1日)の前日において「旧船員保険法の規定による被
保険者であった者」については、施行日に雇用保険の被保険者資格を取得するとされており
(19年改正法附則第35 条及び第36 条)、これにより雇用保険の被保険者資格を取得した者
については、施行日前の「船員保険の被保険者であった期間」は「雇用保険の被保険者であっ
た期間」とみなすこととされている(19 年改正法附則第37 条)。
また、施行日前に船員保険の被保険者であったことがある者が、施行日以後に雇用保険の被保
険者資格を取得した場合において、当該雇用保険被保険者資格を取得した日の直前の「船員保
険の被保険者資格を喪失した日(離職日の翌日)」が「当該雇用保険被保険者資格を取得した
日」前1年の期間内にあるときは、施行日前の「船員保険の被保険者であった期間」は「雇用
保険の被保険者であった期間」とみなすこととされている(雇用保険法等の一部を改正する法
律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令(平成21 年政令第296 号。以下
「21 年政令」という。)附則第60 条)。
ただし、上記の場合(19 年改正法附則第37 条、または21 年政令附則第60 条により「雇用保険
の被保険者であった期間」とみなす場合)において、以下に該当する「船員保険の被保険者で
あった期間」については、「雇用保険の被保険者であった期間」とはみなさないので留意する
こと
(21 年政令附則第46 条第1号から第3号及び附則第60 条第1号から第3号)。
(イ) 船員保険において被保険者である期間(旧船員保険法における「被保険者タリシ期間」)と
されない期間(旧船員保険法第33 条の3第4項各号に該当するもの)
(ロ) 「施行日前の船員保険の被保険者であった期間」に係る被保険者資格を取得した日の直前の
「船員保険の被保険者の資格を喪失した日」が当該船員保険の被保険者資格を取得した日前1
年の期間内にないときは、当該直前の船員保険の被保険者資格を喪失した日前の船員保険の被
保険者であった期間
(ハ) 船員保険における失業保険金の支給を受けたことがある者については、当該失業保険金を
受けることができる資格に係る離職の日以前の被保険者であった期間
なお、歴月の12 月をもって1年、暦日の30 日をもって1月とする。
上記のとおり、「雇用保険の被保険者であった期間」とみなされる「船員保険の被保険者であ
った期間」については、以下の例示1~3を参照すること。
また、船員についての被保険者であった期間については、取得日、離職日も含め、システムに
より、船員保険被保険者台帳照会(ハローワークシステム業務処理要領(以下「センター要
領」という。)第12「船員被保険者台帳関係」参照)を行い確認すること。
 
○まとめ
 雇用保険の受給手続については、本人が離職者の住所地を管轄する公共職業安定所に出向い
て、離職票を提出し、担当官から説明を受けることが最も適切ですが、ここでは概略を記述し
ます。
 
1.受給資格の決定を受け、受給資格者証の交付を受ける。
 安定所に出向いた後は、「受給資格の決定のための受給要件及び労働の意思能力の確認、失
業の認定」を担当者にしてもらいます。ところで、民間の保険では、保険会社の担当者に電話
して以後は、その担当者が手続を行ってくれますが、雇用保険では「管轄公共職業安定所に出
頭し、離職票に運転免許証その他の基本手当の支給を受けようとする者が本人であることを確
認することができる書類(当該基本手当の支給を受けようとする者が離職票に記載された
離職の理由に関し異議がある場合にあつては、当該書類及び離職の理由を証明するこ
とができる書類)を添えて提出しなければならない。(則第十九条)」とされているとおり、
安定所に出頭せよと規定されています。労働者(被保険者)も保険料を支払っている筈です
が、随分民間と違うものだと思います。
 そして、受給資格があること及び「労働の意思及び能力があるにも拘わらず職業に就けない
状態にあること」の確認がされれば、受給資格証(何種類かある)が交付されます。
 なお、「高年齢受給資格者及び特例受給資格者」は、ここで言う受給資格者ではありません。
 
2.一般被保険者の受給資格の内容
 「離職の日以前2年間に、被保険者期間(※補足2)が通算して12か月以上あること。

 ただし、特定受給資格者又は特定理由離職者については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可。」とされています。

※補足2 被保険者期間とは、雇用保険の被保険者であった期間のうち、離職日から1か月ごとに区切っていた期間に賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1か月と計算します。

※出典:ハローワーク・インターネットサービス

 https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html

 

受給資格の概要

 a 離職の日以前2年間に「被保険者期間」が通算して12ヶ月以上あること。

   ただし、受給資格に係る離職理由が特定理由離職者又は特定受給資格者に該当する場合

  は、離職の日以前の2 年間に被保険者期間が12 か月以上ないときは、離職の日以前1 年

  間に被保険者期間が6か月以上であれば基本手当の支給を受けることができる(特定理由

  離職者の範囲については業務取扱要領を参照)。

 (1)被保険者期間

   イ 被保険者期間の計算方法

     被保険者期間は、被保険者が離職した日の翌日又は各月においてその日に応当し、
   かつ、当該被保険者であった期間内にある日(その日に応当する日がない月において
   は、その月の末日。以下「喪失応当日」という。)の各前日から各前月の喪失応当日
   までさかのぼった各期間(賃金の支払の基礎となった日数が11 日以上あるものに限
   る。)を1 か月として計算する(法第14 条第1 項)。
   すなわち、被保険者として雇用された期間を、資格の喪失の日の前日からさかのぼって
   1 か月毎に区切って行き、このように区切られた1 か月の期間に賃金支払基礎日数が11
    日以上ある場合に、その1 か月の期間を被保険者期間の1 か月として計算する。また、
   このように区切ることにより1 か月未満の期間が生ずることがあるが、その1 か月未満
   の期間の日数が15 日以上あり、かつ、その期間内に賃金支払基礎日数が11 日以上ある
   ときに、その期間を被保険者期間の2 分の1 か月として計算する。 

※詳細は、業務取扱要領を参照。

 

(2)算定対象期間

    上記の(1)の被保険者期間(1ヶ月単位)の存在をみる期間を言います。

   なお一~五の期間がある場合は、その期間を除外して算定対象期間が延長されます。

   「当該期間に疾病、負傷その他厚生労働省令で定める理由により引き続き三十日

    以上賃金の支払を受けることができなかつた被保険者については、当該理由により

    賃金の支払を受けることができなかつた日数を二年に加算した期間」(最長4年) 

   一 事業所の休業

  二 出産 

  三 事業主の命による外国における勤務 

  四 国と民間企業との間の人事交流に関する法律第二条第四項第二号に該当する

    交流採用 

  五 前各号に掲げる理由に準ずる理由であつて、管轄公共職業安定所の長がやむを得な

    いと認めるもの

    (則第十八条)

  (3)基本手当の受給資格確認の際、被保険者期間に算入しない期間

    ア 受給資格を得た場合のそれ前の被保険者期間

    (前回の受給資格、高年齢受給資格又は特例受給資格を得た時点前の被保険者であつ

     た期間)  

    イ 被保険者資格確認のあった日前2年間を超える期間

     ※事業主が被保険者の資格取得届を出していなかった場合で、離職後に基本手当の

      受給申請を行うと、離職日から遡り2年を超える期間は、被保険者期間に算入し

      てくれません。

 

 

 

 

以上で雇用保険法第十三条、第十四条を終わります。