雇用保険とは何か? 9

2015年09月29日 10:39

逐条考察

第十五条 (失業の認定) 

  基本手当は、受給資格を有する者(次節から第四節までを除き、以下「受給資格者」という。)が失業している日(失業していることについての認定を受けた日に限る。以下この款において同じ。)について支給する。

2 前項の失業していることについての認定(以下この款において「失業の認定」という。)を受けようとする受給資格者は、離職後、厚生労働省令で定めるところにより、公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをしなければならない。

3 失業の認定は、求職の申込みを受けた公共職業安定所において、受給資格者が離職後最初に出頭した日から起算して四週間に一回ずつ直前の二十八日の各日について行うものとする。ただし、厚生労働大臣は、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等(国、都道府県及び市町村並びに独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が設置する公共職業能力開発施設の行う職業訓練(職業能力開発総合大学校の行うものを含む。)その他法令の規定に基づき失業者に対して作業環境に適応することを容易にさせ、又は就職に必要な知識及び技能を習得させるために行われる訓練又は講習であつて、政令で定めるものをいう。以下同じ。)を受ける受給資格者その他厚生労働省令で定める受給資格者に係る失業の認定について別段の定めをすることができる。

4 受給資格者は、次の各号のいずれかに該当するときは、前二項の規定にかかわらず、厚生労働省令で定めるところにより、公共職業安定所に出頭することができなかつた理由を記載した証明書を提出することによつて、失業の認定を受けることができる。

一 疾病又は負傷のために公共職業安定所に出頭することができなかつた場合において、その期間が継続して十五日未満であるとき。

二 公共職業安定所の紹介に応じて求人者に面接するために公共職業安定所に出頭することができなかつたとき。

三 公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるために公共職業安定所に出頭することができなかつたとき。

四 天災その他やむを得ない理由のために公共職業安定所に出頭することができなかつたとき。

5 失業の認定は、厚生労働省令で定めるところにより、受給資格者が求人者に面接したこと、公共職業安定所その他の職業安定機関若しくは職業紹介事業者等から職業を紹介され、又は職業指導を受けたことその他求職活動を行つたことを確認して行うものとする。

 

令第三条 (法第十五条第三項の政令で定める訓練又は講習)

法第十五条第三項(法第七十九条の二の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の政令で定める訓練又は講習は、国、都道府県及び市町村並びに独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が設置する公共職業能力開発施設の行う職業訓練(職業能力開発総合大学校の行うものを含む。)のほか、次のとおりとする。

一 法第六十三条第一項第三号の講習及び訓練

二 障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)第十三条の適応訓練

三 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和四十六年法律第六十八号)第二十三条第一項の計画に準拠した同項第三号に掲げる訓練

四 法第六条第三号に規定する船員の職業能力の開発及び向上に資する訓練又は講習として厚生労働大臣が定めるもの

 
則第二十一条 (公共職業訓練等を受講する場合における届出)

  受給資格者は、公共職業安定所長の指示により法第十五条第三項に規定する公共職業訓練等(以下「公共職業訓練等」という。)を受けることとなつたときは、速やかに、公共職業訓練等受講届(様式第十二号。以下「受講届」という。)及び公共職業訓練等通所届(様式第十二号。以下「通所届」という。)に受給資格者証(当該受給資格者が法第三十六条第二項の同居の親族と別居して寄宿する場合にあつては、当該親族の有無についての市町村の長の証明書及び受給資格者証)を添えて管轄公共職業安定所の長に提出しなければならない。ただし、受給資格者証を添えて提出することができないことについて正当な理由があるときは、受給資格者証を添えないことができる。

2 受給資格者は、前項本文の規定にかかわらず、同項ただし書に規定するときのほか、職業安定局長が定めるところにより、受給資格者証を添えないことができる。

3 管轄公共職業安定所の長は受講届及び通所届の提出を受けたとき(第一項ただし書又は前項の規定により受給資格者証を添えないでこれらの届の提出を受けたときを除く。)は、受給資格者証に必要な事項を記載した上、返付しなければならない。

4 受給資格者は、受講届又は通所届の記載事項に変更があつたときは、速やかに、その旨を記載した届書に変更の事実を証明することができる書類及び受給資格者証を添えて管轄公共職業安定所の長に提出しなければならない。

5 受給資格者は、前項の規定にかかわらず、第七項の規定により準用する第一項ただし書に規定するときのほか、職業安定局長が定めるところにより、受給資格者証を添えないことができる。

6 管轄公共職業安定所の長は、第四項の届書の提出を受けたとき(前項又は次項の規定により準用する第一項ただし書の規定により受給資格者証を添えないで当該届書の提出を受けたときを除く。)は、受給資格者証に必要な改定をした上、返付しなければならない。

7 第十七条の二第四項の規定は第一項及び第四項の場合に、第一項ただし書の規定は第四項の場合に準用する。

 

則第二十二条 (失業の認定)

  受給資格者は、失業の認定を受けようとするときは、失業の認定日に、管轄公共職業安定所に出頭し、失業認定申告書(様式第十四号)に受給資格者証を添えて提出した上、職業の紹介を求めなければならない。

2 管轄公共職業安定所の長は、受給資格者に対して失業の認定を行つたときは、その処分に関する事項を受給資格者証に記載した上、返付しなければならない。

3 前条第一項ただし書の規定は、第一項の場合に準用する。

 

則第二十三条 (法第十五条第三項の厚生労働省令で定める受給資格者)

 法第十五条第三項の厚生労働省令で定める受給資格者は、次のとおりとする。

一 職業に就くためその他やむを得ない理由のため失業の認定日に管轄公共職業安定所に出頭することができない者であつて、その旨を管轄公共職業安定所の長に申し出たもの

二 管轄公共職業安定所の長が、行政機関の休日に関する法律(昭和六十三年法律第九十一号)第一条第一項に規定する行政機関の休日、労働市場の状況その他の事情を勘案して、失業の認定日を変更することが適当であると認める者

2 管轄公共職業安定所の長は、必要があると認めるときは、前項第一号の申出をしようとする者に対し、職業に就くためその他やむを得ない理由を証明することができる書類の提出を命ずることができる。

 

則第二十四条 (失業の認定日の特例等)

  公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける受給資格者に係る失業の認定は、一月に一回、直前の月に属する各日(既に失業の認定の対象となつた日を除く。)について行うものとする。

2 前条に規定する者に係る失業の認定は、同条の申出を受けた日に次の各号に掲げる日について行うものとする。

一 当該申出を受けた日が前条に規定する失業の認定日前の日であるときは、当該失業の認定日における失業の認定の対象となる日のうち、当該申出を受けた日前の各日

二 当該申出を受けた日が前条に規定する失業の認定日後の日であるときは、当該失業の認定日における失業の認定の対象となる日及び当該失業の認定日から当該申出を受けた日の前日までの各日

3 前項の規定により失業の認定が行われたときは、その後における最初の失業の認定日における失業の認定は、前条の申出を受けた日から当該失業の認定日の前日までの各日について行うものとする。

 

則第二十五条 (証明書による失業の認定)

  法第十五条第四項第一号に該当する受給資格者が証明書を提出することによつて失業の認定を受けようとするときは、その理由がやんだ後における最初の失業の認定日に管轄公共職業安定所に出頭し、次の各号に掲げる事項を記載した医師その他診療を担当した者の証明書を受給資格者証に添えて提出しなければならない。

一 受給資格者の氏名及び年齢

二 傷病の状態又は名称及びその程度

三 初診の年月日

四 治ゆの年月日

2 第二十一条第一項ただし書の規定は、前項の場合に準用する。

 

則第二十六条  

  法第十五条第四項第二号に該当する受給資格者が証明書を提出することによつて失業の認定を受けようとするときは、求人者に面接した後における最初の失業の認定日に管轄公共職業安定所に出頭し、次の各号に掲げる事項を記載したその求人者の証明書を受給資格者証に添えて提出しなければならない。

一 受給資格者の氏名及び年齢

二 求人者の氏名及び住所(法人の場合は、名称及び事務所の所在地)

三 面接した日時

2 第二十一条第一項ただし書の規定は、前項の場合に準用する。

 

則第二十七条 

  法第十五条第四項第三号に該当する受給資格者が証明書を提出することによつて失業の認定を受けようとするときは、公共職業訓練等受講証明書(様式第十五号。以下「受講証明書」という。)を管轄公共職業安定所の長に提出しなければならない。

2 第十七条の二第四項の規定は、前項の場合に準用する。

 

則第二十八条

  法第十五条第四項第四号に該当する受給資格者が証明書を提出することによつて失業の認定を受けようとするときは、その理由がやんだ後における最初の失業の認定日に管轄公共職業安定所に出頭し、次の各号に掲げる事項を記載した官公署の証明書又は管轄公共職業安定所の長が適当と認める者の証明書を受給資格者証に添えて提出しなければならない。

一 受給資格者の氏名及び住所又は居所

二 天災その他やむを得ない理由の内容及びその理由が継続した期間

三 失業の認定を受けるため管轄公共職業安定所に出頭することができなかつた期間

2 第二十一条第一項ただし書の規定は、前項の場合に準用する。

 

則第二十八条の二 (失業の認定の方法等)

  管轄公共職業安定所の長は、失業の認定に当たつては、第二十二条第一項の規定により提出された失業認定申告書に記載された求職活動の内容を確認するものとする。

2 管轄公共職業安定所の長は、前項の認定に関して必要があると認めるときは、受給資格者に対し、運転免許証その他の基本手当の支給を受けようとする者が本人であることを確認することができる書類の提出を命ずることができる。

3 管轄公共職業安定所の長は、第一項の確認の際に、受給資格者に対し、職業紹介又は職業指導を行うものとする。 

 

○条文の内容の整理

 基本手当の受給のための手続の概要は、前回に記述しましたが、今回は条文の内容に沿って

少し詳細にかつ、整理して記述します。 

1.第15条第1項(基本手当の支給対象者)

 基本手当は、受給資格者に対し、失業の認定を受けた日につき支給するとしています。

 

2.第15条第2項(失業の認定の手続)

 基本手当の前提となる失業の認定(日)を受けようとする受給資格者は、「離職後、厚生労働省令で定めるところにより、公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをしなければならない。」とされています。

則第19条 則第十九条 (受給資格の決定)

  基本手当の支給を受けようとする者(未支給給付請求者を除く。) は、管轄公共職業安定所に出

頭し、離職票に運転免許証その他の基本手当の支給を受けようとする者が本人であることを確

認することができる書類(当該基本手当の支給を受けようとする者が離職票に記載された離職の

理由に関し異議がある場合にあつては、当該書類及び離職の理由を証明することができる書類)

を添えて提出しなければならない。この場合において、その者が二枚以上の離職票を保管する

とき、又は第三十一条第三項若しくは第三十一条の三第三項の規定により受給期間延長通知書

の交付を受けているときは、併せて提出しなければならない。

 

3.第15条第3項(失業の認定)

 失業の認定は、求職の申し込みをした日から起算して、4週間に一度づつ行われます。また、

失業認定日には職業の紹介を求めなければならないとされています。

 ところで、最初に離職票を提出した日から失業認定を受けた合計7日間は待機期間とされ、

基本手当の受給対象日から除外されます。また、給付制限を受ける場合にも、その間は基本手

当が支給されません。

 例えば、自己都合離職の場合には、最初に離職票を提出し、受給資格の確認を受けた日から7

日間、さらにその翌日から3ヶ月間は、失業していても基本手当の支給対象外の日となります。

また、待機期間及び給付制限期間も失業の認定が行われ、待機期間中の7日間の失業認定が行わ

れなければ、待機が満了しません。

 公共職業訓練を行う場合の失業認定は、月に一度、認定日の属する月の前月の各日につい

て、失業認定が行われることとされています。(則第二十四条)

 

4.第15条第4項(失業認定の特例)

 失業の認定は、例外を除き、最初に安定所に行った日から4週間ごとに一回、受給資格者が当

該の安定所に出向いて行われます。だだし、失業認定日に出頭できない次の理由がある場合に

は、必要書類の提出により、失業認定を受けることができます。

一 疾病又は負傷のために公共職業安定所に出頭することができなかつた場合において、その

  期間が継続して十五日未満であるとき。

 ・必要な書類:その理由がやんだ後における最初の失業の認定日に管轄公共職業安定所に出頭し、次の各号に掲げる事項を記載した医師その他診療を担当した者の証明書を受給資格者証に添えて提出しなければならない。(則第二十四条)

  (一) 受給資格者の氏名及び年齢

  (二) 傷病の状態又は名称及びその程度

  (三) 初診の年月日

  (四) 治ゆの年月日

二 公共職業安定所の紹介に応じて求人者に面接するために公共職業安定所に出頭すること

  ができなかつたとき。

・必要な書類:求人者に面接した後における最初の失業の認定日に管轄公共職業安定所に出頭し、次の各号に掲げる事項を記載したその求人者の証明書を受給資格者証に添えて提出しなければならない。(則第二十五条)

 (一) 受給資格者の氏名及び年齢

 (二) 求人者の氏名及び住所(法人の場合は、名称及び事務所の所在地)

 (三) 面接した日時 

三 公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるために公共職業安定所に出頭する

  ことができなかつたとき。

・必要な書類:公共職業訓練等受講証明書(様式第十五号。以下「受講証明書」という。)を管轄公共職業安定所の長に提出しなければならない。(則第二十七条)

四 天災その他やむを得ない理由のために公共職業安定所に出頭することができなかつたとき。

・必要な書類:その理由がやんだ後における最初の失業の認定日に管轄公共職業安定所に出頭し、次の各号に掲げる事項を記載した官公署の証明書又は管轄公共職業安定所の長が適当と認める者の証明書を受給資格者証に添えて提出しなければならない。

 (一) 受給資格者の氏名及び住所又は居所

 (二) 天災その他やむを得ない理由の内容及びその理由が継続した期間

 (三) 失業の認定を受けるため管轄公共職業安定所に出頭することができなかつた期間

 

5.第15条5項(失業の認定の方法)

 失業の認定は、求職活動を行ったことを確認して行うものとされています。

 則第28条の2

  (一)失業の認定に当たつては、第二十二条第一項の規定により提出された失業認定

     申告書に記載された求職活動の内容を確認するものとする。

  (二)必要があると認めるときは、受給資格者に対し、運転免許証その他の基本手当の支

     給を受けようとする者が本人であることを確認することができる書類の提出を命

     ずることがある。

  (三)(一)の確認の際に、受給資格者に対し、職業紹介又は職業指導を行う。

 

○失業認定手続の詳細(出典:業務取扱要領)

失業の認定日の決定
(1)認定日の決定
イ  認定日は、受給資格者が離職後最初にその居住地の安定所に出頭した日に、その日以後の
期間について出頭した日から起算して4週間のうちに原則として1回あるように特定の曜日、
例えば火曜日というように具体的に指定するものである。この場合、安定所は、求人、求職の
状況(例えば同一の職種を適職とする者を同一日に指定するなど。)、事務量等を勘案して各
受給資格者についてはこれを指定しなければならない(則第19 条第3項)。再離職の場合も
同様である(則第20 条第2項)。
  認定日の変更は51351~51400 のほか、安定所長が行政機関の休日に関する法律第1 条第
1 項に規定する行政機関の休日、労働市場の状況等からみて適当と認める場合に行う(例えば、
祝日のため、所定の認定日に失業の認定を行うことができないときは、適宜その前後の日を指
定して認定日とする。)(則第23 条第1項第2号)。
  則第24 条第1項の規定により、失業の認定回数が1か月に1回となる場合における認定日
は、毎月の上旬の日(毎月○日、ただし、その日が日曜日、閉庁土曜日又は祝日であるときは
その前(後)の日というように)を適宜指定する(50951 参照)。
ロの場合のうち、年末年始における認定日(公共職業訓練等を受講している者に係る認定日
を除く。)については、次により取り扱う。
(イ) 12 月29 日から31 日までの日(以下「年末の休暇日」という。)が所定の認定日となる者
については、同月28 日以前1週間において失業の認定を行うこととしている日に、1月1日か
ら1月3日までの日(以下「年始の休暇日」という。)が所定の認定日となる者については、
同月4日以降1週間において失業の認定を行うこととしている日に、それぞれ認定日を適宜配
分し、失業の認定を行う。
(ロ) (イ)にかかわらず、aの基準に達する安定所にあっては、bの方法によって取り扱って差し
支えない。
a 取扱い基準
(イ)の取扱いによる場合に、最大限の努力をしても休暇期間の前後の日において、受給資格
者が失業の認定事務担当者1人当り1日平均200 人以上出頭することとなる場合
 この場合の計算は次の算式による。ただし、例年年末直前に受給資格者が激増する場合は、
 年末における受給資格者数により計算して差し支えない。
 『最近において1週間に出頭する受給資格者数×1.55』 ÷
  『5(=失業の認定事務が行われるとみなされる日数)×認定事務担当者数』
b 取扱い方法
 年末年始の休暇中の所定の失業の認定日及び年末年始の休暇日に引き続く3週間のうち
にある所定の認定日をそれぞれ1週間後の日に変更し、以後当該変更された認定日を基準と
して所定の認定日を定める。
 
失業の認定
1.  失業の認定の意義
( 1) 概要
 受給資格者が基本手当の支給を受けるには、安定所に出頭し求職の申込みをした上、
失業の認定を受けなければならない( 法第1 5 条第1 項及び第2 項)。受給資格者がこ
の失業の認定を受けようとするときには、失業の認定日に、受給資格者の住所又は居
所を管轄する安定所( 以下「住居所管轄安定所」という。) に出頭し、失業認定申告
書( 則様式第1 4 号)に受給資格者証を添えて提出した上、職業の紹介を求めなければ
ならない( 則第2 2 条第1 項、5 1 3 0 1 参照) 。
 この失業の認定とは、安定所が受給資格の決定を行った者について、失業の認定日
において、原則として前回の認定日から今回の認定日の前日までの期間( 以下「認定
対象期間」という。) に属する各日について、その者が失業していたか否かを確認す
る行為であり、当該受給資格者が求人に面接したこと、安定所その他の職業安定機関
( 船員を希望する者については、地方運輸局、船員雇用促進センターを加える。) 若
しくは職業紹介事業者等( 職業安定法第4 条第7 項に規定する職業紹介事業者又は業
として同条第4 項に規定する職業指導( 職業に就こうとする者の適性、職業経験その
他の実情に応じて行うものに限る。)を行う者( 安定所その他の職業安定機関を除く。)
をいう。以下同じ。5 3 2 0 6 ホ参照) から職業を紹介され、又は職業指導を受けたこと
その他求職活動を行ったことを確認して行う( 法第1 5 条第5 項) 。
 また、その具体的な認定方法については、受給資格者の住居所管轄安定所の長は、
提出された失業認定申告書に記載された求職活動の内容を確認して行う( 則第2 8 条の
2 ) 。認定対象期間中の全部又は一部の日について失業していなかったと確認するこ
とを失業の不認定という。
 この場合の失業とは、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くこ
とができない状態にあることをいう( 法第4 条第3 項) 。( なお、求職者給付の支給
を受ける者は、必要に応じ職業能力の開発及び向上を図りつつ、誠実かつ熱心に求職
活動を行うことにより、職業に就くように努めなければならない( 法第1 0 条の2 )と
されているところである。)
 なお、失業の認定は、住居所管轄安定所において行われるものであるが、住居所管
轄安定所が他の安定所に求職者給付及び就職促進給付に関する事務を委嘱した( 則第
5 4 条) ときは、委嘱を受けた安定所において行われる。
( 2) 労働の意思
 労働の意思とは、就職しようとする積極的な意思をいう
すなわち、安定所に出頭して求職の申込みを行うのはもちろんのこと、受給資格者
自らも積極的に求職活動を行っている場合に労働の意思ありとするものである。
( 3) 労働の能力
 労働の能力とは、労働( 雇用労働) に従事し、その対価を得て自己の生活に資し得
る精神的・肉体的及び環境上の能力をいうのであり、受給資格者の労働能力は、安定
所において本人の体力、知力、技能、経歴、生活環境等を総合してその有無を判断す
るものである。
( 4) 職業に就くことができない状態
 職業に就くことができない状態とは、安定所が受給資格者の求職の申込みに応じて
最大の努力をしたが就職させることができず、また、本人の努力によっても就職でき
ない状態をいうのである。この場合、安定所は、その者の職歴、技能、希望等を配慮
した上で、職業紹介を行う。
 
2  失業の認定要領
( 1) 概要
イ 失業の認定は、求職の申込みを受けた安定所において、受給資格者が離職後最初
に出頭した日から起算して4 週間に1 回ずつ直前の2 8 日の各日について行う( 法第
1 5 条第3 項) 。
ロ 失業の認定は、原則として前回の認定日以後、当該認定日の前日までの期間につ
いて行うものであるが、認定日が、就職日の前日である場合、受給期間の最終日で
ある場合又は支給終了日である場合は、当該認定日を含めた期間( 前回の認定日か
ら当該認定日までの期間) について失業の認定をすることもできる。
 ただし、この場合、当該認定日に就労することも考えられるから、当日就労する
予定がないことを確認し、かつ、当日就労した場合には直ちに届け出て基本手当を
返還しなければならない旨を告げておく。
ハ 安定所が、失業の認定日に失業の認定を行うに当たっては、次の事項について確
かめる。
(イ) 当該安定所において受給資格者証を交付した受給資格者であるかどうか、又は
委嘱若しくは移管の手続を経た受給資格者であるかどうか。
(ロ) 受給資格者本人であるかどうか。
(ハ) 所定の失業の認定日であるかどうか、及び前回の失業の認定日に出頭したかど
うか。
(ニ) 労働の意思及び能力があるかどうか。
(ホ) 就職した日又は自己の労働による収入があったかどうか。
( 2) 受給資格者本人であるかどうかの確認
 失業の認定は、受給資格者本人の求職の申込みによって行われるものであるから、
代理人による失業の認定はできない( 未支給失業等給付に係る失業の認定については、
5 3 1 0 4 参照) 。
 本人であることの確認は、受給資格者証に貼付された本人の写真によって行う。こ
の確認で必要があると認めるときは、更に受給資格者に対して5 0 0 0 3 ( 3 )ハに掲げる書
類及び当該書類に記載されている住所に受給資格者が実際に居住していることが確認
できる公共料金の領収書等( この確認の際、5 0 0 0 3 ( 3 )ハ( イ)又は( ロ)の書類を提示する
ことができず、やむを得ず5 0 0 0 3 ( 3 )ハ( ハ)の書類として公共料金の領収書等を提示し
場合を除く。) の提示を命じることができること( 則第2 8 条の2 第2 項) 。
 なお、受給資格者証を提出できない場合でも、それが紛失したものであることが明
らかであり、本人であることの証拠があるような場合には受給資格者証を再交付する
こともできる( 則第5 0 条、5 1 0 5 4 参照)。また、受給資格者証を提出することができ
ないことについて正当な理由がある場合には、次回の認定日に必ず提出すべく指示し
て受給資格者証の提出のないまま失業の認定を行い得る( 則第2 2 条第3 項) 。
( 3) 所定の認定日であるかどうかの確認
 失業の認定は、原則として、受給資格者について、あらかじめ定められた認定日に
行うものであるから、所定の認定日に出頭しないときは、認定対象期間全部について
認定しないこととなる。このため、受給資格者が失業の認定を受けるため安定所に出
頭したときは、提出された受給資格者証の記録により、その日が当該受給資格者につ
いて定められた認定日であるかどうかを確認する。
 なお、5 1 2 5 2 のなお書により受給資格者証を提出しない場合については、システム
を活用して当該者の支給台帳を確認する。
( 4) 労働の意思及び能力があるかどうかの確認
イ 概要
 受給資格者について労働の意思及び能力があると確認されるためには、単に安定
所に出頭して求職の申込みをしているだけではなく、真に就職への意欲をもち、か
つ、精神的、肉体的、環境的に労働の能力を有していることが必要である。
 失業の認定はロにより求職活動実績に基づいて行う。
 失業の認定日には、認定対象期間の2 8 日の各日について失業の認定を行うもので
あり、当該認定日以後の日については認定を行うことはできない。
 しかしながら、当該認定日において認定対象期間の全部又は一部の日について失
業の認定を行わなかった場合であって、その判断の基礎となった事情がその後も継
続するであろうと認められるときは、受給資格者に対し、その事情が継続する限り
失業の認定はできないが、その事情がやめば認定を行い得るのでその事情がやみ、
労働の意思及び能力が復活したときに安定所へ出頭するよう指導を行う。
 失業の認定を行わなかったときは、受給資格者証の「( 処理状況) 」欄及び失業
認定申告書の「※ 連絡事項」欄に、その旨を記載し、その期間及び理由も記載して
おく。
 失業の要件である労働の意思及び能力の有無の判定は一律に機械的に行うことな
く個々の事案について具体的な事情を考慮に入れて行うよう配慮しなければならな
い。
 また、この際紹介担当部門からの連絡を待って判定すべき場合は、当該連絡に基
づき認定係において判定するものであるが、この連絡方法等についてはあらかじめ
定められた簡易な方法によることとし、紹介担当部門及び認定係の業務の運営に支
障のないよう配慮しなければならない。
 なお、自己の都合により退職し、短時間労働者に該当する被保険者となるような求職
条件のみを希望する受給資格者については、妊娠、出産、育児、老病者の看護
その他家事又は家業の手伝い、加齢等による当人の肉体的能力の減退等が退職の原
因となっていることも考えられるので、失業の認定に当たっては、このことに十分
留意のうえ、ハにより慎重な判断を行う。
ロ 求職活動実績に基づく失業の認定
(イ) 失業の認定の対象となる求職活動実績の基準
a 求職活動の回数
(a) 基本手当に係る失業の認定日において、原則として前回の認定日から今回
の認定日の前日までの期間( 法第3 2 条の給付制限の対象となっている期間を
含む。以下「認定対象期間」という。)に、求職活動を行った実績( 以下「求
職活動実績」という。) が原則2 回以上あることを確認できた場合に、当該
認定対象期間に属する、他に不認定となる事由がある日以外の各日について
失業の認定を行う。
(b) ただし、次のいずれかに該当する場合には、上記(a)にかかわらず認定対象
期間中に行った求職活動実績は1 回以上あれば足りるものとする。
i 法第2 2 条第2 項に規定する厚生労働省令で定める理由により就職が困
難な( 5 0 3 0 4 参照) である場合
ⅱ 基本手当の支給に係る最初の失業の認定日( 以下「初回支給認定日」と
いう。) における認定対象期間( 待期期間を除く。) である場合
ⅲ 認定対象期間の日数が1 4 日未満となる場合
ⅳ 求人への応募を行った場合( 当該応募を当該認定対象期間における求職
活動実績とする。)
ⅴ 巡回職業相談所における失業の認定( 5 1 9 0 1~ 5 1 9 5 0 参照)及び市町村長
の取次ぎによる失業の認定( 5 1 9 5 1~ 5 2 0 0 0 参照) を行う場合
b 法第3 3 条の給付制限を行う場合の取扱い
(a) 法第3 3 条の給付制限( 給付制限期間が1 か月となる場合を除く。)満了後
の初回支給認定日については、当該給付制限期間と初回支給認定日に係る給
付制限満了後の認定対象期間をあわせた期間に求職活動を原則3 回以上行っ
た実績を確認できた場合に、他に不認定となる事由がある日以外の各日につ
いて失業の認定を行う。
(b) (a)の給付制限期間中の求職活動実績の要件は、初回支給認定日に係る認定
対象期間のみを対象とするものであり、それ以外の認定日については、a の
基準によって判断する。
c 求職活動実績の確認時等における積極的な職業紹介、職業相談の実施
(a) 認定時間の分散化等により、失業の認定日における受給資格者の職業紹介、
職業相談が確実に行えるよう必要な配慮を行い、認定日における積極的な職
業紹介に努める( 則第2 8 条の2 第2 項) 。
(b) 離職理由に基づく給付制限を受けている者については、初回講習等の実施
後できる限り早期に働きかけを行い、積極的な職業紹介、職業相談に努める
( 則第4 8 条) 。
(c) その他受給資格者の再就職意欲を常に喚起しつつ、ニーズに的確に対応し
た職業紹介、職業相談を行うよう努める。
(ロ) 求職活動の範囲
 求職活動実績として認められる求職活動は、就職しようとする積極的な意思を
具体的かつ客観的に確認し得る活動であることを要し、受給資格者と再就職の援
助者との間に、次のような就職の可能性を高める相互の働きかけがある活動及び
求人への応募等がこれに該当するものである。
このため、単なる、職業紹介機関への登録、知人への紹介依頼、安定所・新聞
・インターネット等での求人情報の閲覧等だけでは求職活動実績には該当しない。
a 安定所、( 船員を希望する者については、地方運輸局、船員雇用促進センタ
ー) 、許可・届出のある民間需給調整機関( 民間職業紹介機関、労働者派遣機
関をいう。以下同じ。) が行う職業相談、職業紹介等が該当するほか、公的機
関等( 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構、地方自治体、求人情報
提供会社、新聞社等) が行う求職活動に関する指導、個別相談が可能な企業説
明会等を含める。なお、受給資格者の住居所を管轄する安定所以外の安定所が
行う職業相談、職業紹介等を受けたことも当然に該当する。
b 求人への応募には、実際に面接を受けた場合だけではなく、応募書類の郵送、
筆記試験の受験等も含まれる。
ただし、書類選考、筆記試験、採用面接等が一の求人に係る一連の選考過程
である場合には、そのいずれまでを受けたかにかかわらず、一の応募として取
り扱う。
(ハ) 求職活動実績の基準を適用しない場合
a 次の場合は、(イ)の基準を適用せず、他に不認定となる事由がある場合を除き、
労働の意思及び能力があるものとして取り扱う。
(a) 安定所長の指示・推薦により公共職業訓練等を受講する場合、就職支援計
画に基づき求職者支援訓練を受講する場合、安定所の指導により各種養成施
設に入校する場合、公共職業訓練等や教育訓練給付の対象訓練等を受講して
いる場合及び則第1 1 5 条第4 号に基づく出向・移籍支援業務として実施され
る委託訓練・講習等を受講する場合であって、下記ニに照らし、労働の意思
及び能力があると認められる場合。
 ただし、当該訓練等を受け終わる日( 中途で取りやめる日を含む。) が含
まれる認定対象期間を除く。
 なお、当該訓練等を受け終わったことを1 回の求職活動実績とし、一の認
定対象期間から当該訓練等を受け終わる日を除いた期間が1 4 日未満の場合
は、当該1 回の求職活動実績で上記(イ)の基準を満たしたものとする。
 また、ここでいう「安定所長の指示・推薦により公共職業訓練等を受講し
ている場合」には、受講のために待期している期間( 5 2 3 5 3 ( 3 )参照) 及び変
更指示により前後の訓練等の間に生じる訓練等を受けない日( 5 2 3 5 4 ( 4 )参照)
を含む。
(b) 求人への応募に係る採否結果を得るまでに、一の認定対象期間の全期間を超えて
時間を要する場合の当該一の認定対象期間。
 なお、求人への応募に係る採否結果通知を受けたことを1 回の求職活動実
績とし、一の認定対象期間から採否結果通知を待っている期間( 採否結果通
知を得た日の前日まで)を除いた期間が1 4 日未満の場合は、当該1 回の求職
活動実績で(イ)の基準を満たしたものとする。
 また、本来、職業紹介と求人への応募は一体的なものであることから、以
上のような応募に係る採否結果を得るまでに期間を要する場合の取扱い及び
(イ)のa の(b)のⅳ については、安定所等から職業紹介を受けて応募した場合に
も同様とする。
b 次の場合は(イ)の基準を適用せず、失業の認定に係る手続きについてはそれぞ
れの取扱いに従って処理する。
(a) 審査若しくは訴訟の結果により、安定所の処分を変更し、遡及して一括認
定を行う場合( 5 1 4 5 1~ 5 1 5 0 0 参照)及び受給資格決定時に就職困難者である
か否か判明していない場合であって当該一括認定の取扱いに準じて取り扱う
場合( 5 0 3 0 4 ロ参照)
(b) 受給資格者が死亡により失業の認定を受けることができなかった期間に係
る基本手当の支給について、遺族の申請により失業の認定を行う場合( 5 3 1 0 1
~ 5 3 1 5 0 参照)
(c) 激甚災害時における求職者給付の支給の特例、災害時における求職者給付
の支給に関する特別措置に係る失業の認定を行う場合( 5 1 7 0 1~ 5 1 8 0 0 参照)
(d) 解雇の効力等について争いがある場合の失業の認定の場合( 5 3 3 0 2 参照。
 なお、5 3 3 0 5 に規定する本人の申出により条件付給付の取扱いから本給付の
取扱いへの変更を行った場合を除く。)
(e) 法第1 5 条第4 項第1 号又は第4 号に規定する理由により安定所に出頭す
ることができず失業の認定を証明書により行う場合( 当該理由により安定所
に出頭できなかった期間に限る。) ( 5 1 4 0 1 イ及びニ参照)
(ニ) 求職活動実績の確認方法等
a 自己申告に基づく判断
 求職活動実績については、失業認定申告書( 則様式第1 4 号)に記載された受
給資格者の自己申告に基づいて判断することを原則とし、求職活動に利用した
機関や応募先事業所の証明等( 確認印等) は求めない。
b サンプリングによる事実確認の調査
 各安定所ごとに、業務量等の実情を勘案して、サンプリング率( 1 % 程度を
目途) を設定し、利用した機関や応募先の事業所に問い合わせを行う等により
求職活動実績の確認を行う。
 この際、企業説明会など利用機関側で参加者個人を特定できないような場合
は、実施日・内容が一致していることの確認で足りる。また、応募先の事業所
で書類の廃棄等により応募した個人を特定できない場合等は、原則として受給
資格者の申告に基づき判断する。
 また、例えば、求職活動について虚偽の申告がなされている旨の通報があった場合
には、原則として確認を行うとともに、求職条件と申告された求職活動
内容に矛盾が見られる場合、記載漏れや誤記等が多い場合など、失業認定申告
書の記載内容に疑義がある場合にも必要に応じ同様の確認を行う。
 これらの確認の結果が受給資格者の申告と一致しないときは、受給資格者に
事実関係を確認し、申告が事実に反することが確認された場合は、失業の認定
の際の虚偽の申告として処理する。
c 求職活動実績に係る事実確認を行う旨の周知徹底
 失業認定申告書により申告のあった求職活動実績については、安定所から利
用した機関や応募先事業所への問い合わせ等により事実確認を行うことがあ
り、事実と相違する場合は不正受給として取り扱う旨、あらゆる機会を通じ、
受給資格者に対し周知徹底を図ること。
ハ 労働の意思又は能力があるかどうかの確認については、慎重に取り扱うべきもの
(イ) 妊娠、出産、育児、老病者の看護その他家事、家業手伝いのため退職した者
 この者は、離職理由そのものから一応労働の意思を失ったもの( 又は環境上職
業に就き得ない状態にあるもの) と推定される。
 ただし、短時間労働者に該当する被保険者となるような求職条件であればなお
就職可能である場合、当該退職が、母体保護、育児、看護その他家事、家業手伝
いに専念するためではなく、労働の意思能力とは関係がないと認められる他のや
むを得ない理由( 例えば通勤可能地域外への住居移転の必要) に基づくこと、又
は退職後( 通常相当期間を経過して) 退職の原因となった理由に変化のあったこ
とが確認された場合等であって、真に労働の意思又は能力があると認められる場
合はこの限りではない。
(ロ) 求職条件として短時間就労を希望する者
 雇用保険の被保険者となり得る求職条件( 2 0 3 0 3 ロ及びハに留意) を希望する
者に限り労働の意思を有する者と推定される。
(ハ) 内職、自営及び任意的な就労等の非雇用労働へ就くことのみを希望している者
 労働の意思を有する者として扱うことはできない。
ただし、求職活動と並行して創業の準備・検討を行う場合にあっては、その者
が自営の準備に専念するものではなく、安定所の職業紹介に応じられる場合には、
労働の意思を有する者と扱うことが可能であるので慎重に取り扱うこと。自営の
準備に専念するものか否かの判断については、5 0 1 0 2 ( 2 )ロ( 2 )参照。
(ニ) 職業指導を行ったにもかかわらず、特別の理由がないのに安定所が不適当と認
める職業又は不当と認める労働条件その他の求職条件の希望を固執する者
 この者は、一応労働の意思がないものと推定される。
これには次のような2 つの場合が考えられる。
a 安定所が適職又は適当な労働条件( 離職前の賃金より低い賃金の場合も含
む。) と認めるものを忌避し、未経験の職業又は不当に高い労働条件、その者
の学歴、経歴、経験その他の条件からみて無理な職業又は労働条件の希望を固
執する者
b 当該労働市場又は近隣の労働市場( 当該労働市場又は近隣の労働市場において、
就職が困難と認められる職種を希望する場合には、本人が具体的に移転就
職を希望する地域を含む。) においては、就職することがほとんど不可能と認
められる職種、労働条件その他の求職条件の希望を固執する者
(ホ) 循環的離職者は、離職前事業所以外の事業所への就職を希望していない場合に
は労働の意思があるものとは認められないものとし、ロの(イ)の求職活動の回数に
ついては、離職前事業所への求職活動を除いて2 回以上あることを確認する。
(へ) 老衰、疾病、負傷又は産前産後等本人に固有な精神的、肉体的諸原因により通
常のいかなる職業にも就くことができない( 適職なし)と認められる者であって、
公共職業訓練等を行う施設( 以下「訓練施設」という。) にも入校( 所) させる
ことができない者( 判定の困難な場合は、当該労働市場又は近隣の労働市場にお
いて、雇用されることの可能性の有無を考慮する。)
例えば、次のような者で医師の証明等により労働の能力のあることが立証でき
ない者であり、この者は、一応労働の能力がないものと推定される。
a 老衰の著しい者
b 高度又は悪質伝染性の疾病、負傷中の者
c 高度の身体障害により常に介護を要する者、労務に服することができない者、
又は特殊の技能を有するものでなければ、通常のいかなる職業にも就く能力が
ない( 適職なし) と認められる者であって、訓練施設にも入校( 所) させるこ
とのできない者
d 産前6 週間以内の女子及び産後8 週間以内の女子( 産後の場合は、医師の証
明のあるときは6 週間以内)
産前6 週間に至らない妊娠女子であっても、本人の身体の状況、当該労働市
場又は近隣の労働市場の通常の求人状況その他の事情を総合的に判断して、雇
用の可能性がないと認められる者は、労働の能力がないものとして取り扱う。
なお、妊娠の状況の確認は、主として母子健康手帳( いわゆる母子手帳) の提
示を求めること等によって行うこととし、確認に際しては、受給資格者の心証
を害さないよう十分慎重に注意することが必要である。
(ト) 労働者災害補償保険法の規定による休業補償給付その他これに相当する給付
( 5 3 0 0 3 ロ(ニ)に掲げるもの) の支給を受けている者
 この者については、一般に労働の能力がないものと判断されるが、一日のうち
一部の時間労働不能であることにより、労働基準法第7 6 条の規定による休業補
償、労働者災害補償保険法の規定による休業補償給付又は休業給付の支給を受け
ている者であって医師の証明等により被保険者となりうる条件での労働の能力の
あることが立証できる者はこの限りでない。
 なお、療養の状態が継続した期間が1 4 日以内の場合には、証明認定を行うこと
ができるので留意する。
(チ) 家事、家業又は学業等の都合により他の職業に就き得ない状態に在る者
例えば次のような者である。
a 乳幼児の保育、老病者の看護等のため、本人が家庭から離れられない事情に
ある者( ただし、乳幼児保育中の者については、その者の住所若しくは希望する求職
条件の職場の近隣又は通勤経路上の適当な場所に保育所等保育のための
施設又は親族等があり、その施設を利用し又は親族等に保育を依頼することが
でき、通勤も可能であると認められる場合を除く。)
b 結婚準備のため又は結婚生活のため他に就職し得ない事情にある者
c 農業、商業等家業の繁忙期に手伝いをする必要があるため、他に就職し得な
い事情にある者( 常時この状態にある者は、職業を有する者と認めるべきであ
る。)
d 昼間学生( 2 0 3 0 3 ホ(イ)から(ニ)に該当する者を除く。)
 この者は、一応労働の能力がないものと推定される
(リ) 所定の認定日に不出頭の者( 5 1 4 0 1~ 5 1 4 5 0 の証明認定による者を除く。)及び
職業紹介又は職業指導を受けるために安定所に出頭すべき呼出日等に不出頭の者
前回認定日不出頭の者及び呼出日等に不出頭の者( 以下「前回認定日等不出頭
者」という。) は今回の認定日に係る認定対象期間中は、一応労働の意思又は能
力がないものと推定される。
ただし、当該認定対象期間中に次のa からe までに該当する事実がある場合は
この限りではない。
a 就職( 安定所の紹介によると否とを問わない。)
b 求人者への応募
c 各種国家試験、検定等の資格試験の受験
d 安定所の指導による各種養成施設への入所又は各種講習の受講
e 安定所への出頭
 したがって、失業認定申告書の記載等によりこれらの事実が確認される場合に
は、今回の認定日に係る認定対象期間については、原則どおり当該認定対象期間
に属するそれぞれの日について、失業の状態にあったかどうかを確認し、失業の
認定又は不認定を行うものとする。
 また、これらの場合であっても、不出頭であった前回認定日又は呼出日の当日
については、原則として失業の不認定を行う。
 ただし、当該日について求人者との面接若しくは採用試験の受験の事実又は上
記c 若しくはd に該当する事実があることが明確に確認される場合はこの限りで
はない。
 なお、認定日における失業の認定は、当該認定日に係る認定対象期間について
のみ行い得るのであり、他の認定日に係る認定対象期間については行い得ないの
であるから、受給資格者が前回の認定日に出頭しなかった場合には、当該前回の
認定日に係る認定対象期間については、今回の認定日において、認定し得ない。
 また、前回認定日又は呼出日等に出頭できなかった状態が継続する場合の当該継
続する期間の失業の認定の取扱いについては、さらに(ヌ)参照。
(ヌ) 安定所に出頭することができない状態が継続する者
 次のa 又はb の場合以外の場合であって、安定所に出頭することができない状
態が継続した場合は、その期間が1 5 日以上であるときは、その期間のすべての日
について、労働の能力がないものとして失業の不認定を行う。
なお、出頭することができなかった期間に失業の認定日又は呼出日等が含まれ
る場合の失業の認定の取扱いについては、さらに(リ)参照。
a (リ)のa の理由により安定所に出頭することができない場合
就職している期間のすべての日について失業の不認定を行う。
b (リ)のb ~ d の理由及び法第1 5 条第4 項各号に該当する理由により安定所に
出頭することができない場合
その期間のすべての日について失業の認定を行い得る。
(ル) 妊娠、出産、育児等の理由により、受給期間が延長された者
受給期間が延長された者( 受給資格の決定を受けていた者に限る。) について
は、延長事由がやんだ後の最初の所定認定日において、延長事由がやんだ日の翌
日以後の失業の認定を行い得る。
 なお、延長事由の生じた日の直前の期間については、当該期間の所定認定日又
は認定日の変更により変更された認定日に本人が出頭した場合にのみ、失業の認
定を行い得る。
ニ 公共職業訓練等を行う施設等への入校( 所) 者等の取扱い
(イ) 安定所長の指示を受けずに公共職業訓練等を行う施設へ入校( 所) している者
は、原則として労働の意思及び能力があるものとして取り扱う。
(ロ) 各種養成施設へ入校( 所) した者については、その者が常に安定所の職業紹介
に応じられる状態であり、また自らも積極的に求職活動をしている場合には、失
業の認定を行うことができる。
(ハ) (イ)及び(ロ)における訓練等が長期にわたる場合には、その者の労働の意思及び能
力の有無の確認については慎重に行う。
ただし、受給資格者である身体障害者が、あん摩マッサージ指圧師、はり師、き
ゅう師等に関する法律第2 条第1 項にいう文部科学大臣の認定した学校又は厚生
労働大臣の認定した養成施設に入校( 所)した場合( 盲学校の本科を除く。)は、
当該養成訓練の期間が長期にわたる場合であっても、失業の認定を行って差し支
えない。
 なお、これらの者については、安定所長の指示により公共職業訓練等を受講す
る場合と異なり、法第1 5 条第4 項第3 号及び法第2 4 条の各規定は適用されない
ものであるので、留意する。
(ニ) 雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練として
厚生労働大臣が指定した教育訓練の受講は、就職の促進を図るために必要な職業
に関する教育訓練を受講するものであるので、原則として労働の意思及び能力が
あるものと取り扱うことができる。
 昼間通学制の場合等の対象教育訓練を受講する離職者に対する受給資格決定及び
失業の認定に当たっては、本人が常に安定所の職業紹介に応じられる状態であり、
また自らも積極的に求職活動をする意思があり、積極的に求職活動を行っている
ことが必要である。
 

 

 

 

以上で、雇用保険法第十五条を終了します。