2015年06月03日 14:05
高年齢者等の雇用の安定等に関する法律
第2条(定義)
この法律において「高年齢者」とは、厚生労働省令で定める年齢以上の者をいう。
2 この法律において「高年齢者等」とは、高年齢者及び次に掲げる者で高年齢者に該当
しないものをいう。
一 中高年齢者(厚生労働省令で定める年齢以上の者をいう。次項において同じ。)である求職者(次号に掲げる者を除く。)
二 中高年齢失業者等(厚生労働省令で定める範囲の年齢の失業者その他就職が特に困難な厚生労働省令で定める失業者をいう。第三章第三節において同じ。)
3 この法律において「特定地域」とは、中高年齢者である失業者が就職することが
著しく困難である地域として厚生労働大臣が指定する地域をいう。
則第1条
高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和四十六年法律第六十八号。以下「法」と
いう。)第二条第一項の厚生労働省令で定める年齢は、五十五歳とする。
則第2条
法第二条第二項第一号の厚生労働省令で定める年齢は、四十五歳とする。
則第3条
法第二条第二項第二号の厚生労働省令で定める範囲の年齢は、四十五歳以上六十五歳未満とする。
2 法第二条第二項第二号の就職が特に困難な厚生労働省令で定める失業者は、六十五歳未満の失業者であつて、次の各号のいずれかに該当するものとする。
一 障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)第二条第二号の身体障害者
二 売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)第二十六条第一項の規定により保護観察に付された者及び更生保護法(平成十九年法律第八十八号)第四十八条各号又は第八十五条第一項各号に掲げる者であつて、その者の職業のあつせんに関し保護観察所長から公共職業安定所長に連絡があつたもの
三 その他社会的事情により就職が著しく阻害されている者
則第4条
法第二条第三項の特定地域(以下「特定地域」という。)の指定は、雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第二十五条第一項に規定する広域職業紹介活動に係る地域であつて、次の各号に該当するものについて行うものとする。
一 法第二条第二項第一号の中高年齢者(以下「中高年齢者」という。)である求職者の数が著しく多いこと。
二 中高年齢者に係る求人の数に対する中高年齢者である求職者の数の比率が著しく高いこと。
三 中高年齢者である求職者のうち就職した者の割合が著しく小さいこと。
2 厚生労働大臣は、中高年齢者である失業者が多数発生することが見込まれ、前項各号に該当することとなると認められる地域その他前項の地域に準ずる地域であつて必要があると認めるものについても、特定地域の指定を行なうことができる。
3 特定地域の単位は、公共職業安定所の管轄区域とする。ただし、特別の事情がある場合には、別に厚生労働大臣が定める地域とする。
○平成24年基本指針(平成24年11月9日厚生労働省告示第559号)
第1 高年齢者の就業の動向に関する事項
1 人口及び労働力人口の高齢化
我が国の人口は、世界でも例を見ない急速な少子高齢化が進行しており、平成22年(2010年)から平成32(2020年)までの10年間においては、15~59歳の者が約492万人減少するのに対し、60歳以上の高年齢者が約418万人増加し、3人に1人が60歳以上の高年齢者となるものと見込まれる。
また、60歳以上の労働力人口は平成22年で約1,183万人であり、平成24年から平成26年にかけていわゆる団塊の世代(昭和22年から昭和24年までに生まれた世代)が65歳に達することから、平成22年と労働力率が同じ水準であるとすれば、平成22年(2010年)から平成32年(2020年)までの10年間においては、60~64歳の労働力人口は154万人減少し、65歳以上の労働力人口は134万人増加すると見込まれる(総務省統計局「国勢調査」(平成22年)、「労働力調査」(平成22年)及び国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(平成24年)の中位推計)。
2 高年齢者の雇用・就業の状況
⑴ 高年齢者をめぐる雇用情勢
高年齢者の雇用失業情勢を見ると、平成23年における完全失業率は、年齢計が4.5%であるのに対し、60~64歳層で5.1%となっており、これを男女別に見ると、男性については年齢計が4.8%、60~64歳層で6.2%であるのに対し、女性については年齢計が4.1%、60~64歳層では3.4%となっている(総務省統計局「労働力調査」(平成23年の数値は、岩手県、宮城県及び福島県を除く結果。以下同じ。))。
⑵ 高年齢者の就業状況
常用労働者が31人以上の企業における60~64歳層の常用労働者数は、平成21年の約155万人から、平成24年の約196万人に増加している(厚生労働省「高年齢者雇用状況報告」)。また、同年齢層の就業率は、平成17年に52.0%、平成23年に57.3%となっている。これを男女別に見ると、男性は、平成17年に65.9%、平成23年に70.9%となっている。また、女性は、平成17年に39.0%、平成23年に44.2%となっており、近年高まっている(総務省統計局「労働力調査」)。
55~69歳の高年齢者の勤務形態を見ると、男性の雇用者に占めるフルタイム勤務以外の者の割合は、55~59歳層で13.2%、60~64歳層で35.0%、65~69歳層で64.4%となっている。また、女性の雇用者に占めるフルタイム勤務以外の者の割合は、55~59歳層で55.1%、60~64歳層で65.1%、65~69歳層で81.1%となっており、年齢層が高くなるほど高まっている(独立行政法人労働政策研究・研修機構「高年齢者の雇用・就業の実態に関する調査」(平成22年))。
3 高年齢者に係る雇用制度の状況
⑴ 定年制及び継続雇用制度の動向
平成24年6月1日現在、常用労働者が31人以上の企業のうち97.3%が年金支給開始年齢(平成24年現在、64歳)までの改正前の法第9条第1項の規定に基づく高年齢者雇用確保措置(定年の引上げ、継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。以下同じ。)の導入又は定年の定めの廃止をいう。以下第1において同じ。)を実施済みである。そのうち、定年の定めの廃止の措置を講じた企業の割合は2.7%、定年の引上げの措置を講じた企業の割合は14.7%、継続雇用制度の導入の措置を講じた企業の割合は82.5%となっている。継続雇用制度を導入した企業のうち、希望者全員を対象とする制度を導入した企業の割合は42.8%、制度の対象となる高年齢者に係る基準を定めた企業の割合は57.2%となっている。
また、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は48.8%となっている(厚生労働省「高年齢者雇用状況報告」(平成24年))。
定年到達前の労働者が継続雇用時に希望する働き方と実際の状況を比較すると、正社員を希望する者の割合が44.2%と最も多いが、実際には正社員となる(または正社員の可能性が高い)者の割合は18.6%、嘱託・契約社員やパート・アルバイトとなる(または嘱託・契約社員やパート・アルバイトとなる可能性が高い)者の割合は45.7%となっている。また、フルタイムを希望する者の割合が51.6%であるのに対し、フルタイムとなる(またはフルタイムとなる可能性が高い)者の割合は33.2%となっている(独立行政法人労働政策研究・研修機構「高年齢者の雇用・就業の実態に関する調査」(平成22年))。
また、高年齢者雇用確保措置を講じている企業で、継続雇用時の雇用契約期間を1年単位とする企業の割合は83.5%、1年を超える期間とする企業の割合は6.0%、期間を定めない企業の割合は2.1%となっている(独立行政法人労働政策研究・研修機構「高齢者継続雇用に向けた人事労務管理の現状と課題」(平成19年))。
⑵ 賃金の状況
イ 賃金決定の要素
過去3年間に賃金制度の改定を行った企業(46.3%)では、その改定内容(複数回答)として「業績・成果に対応する賃金部分の拡大」(23.7%)、「職務・職種などの仕事の内容に対応する賃金部分の拡大」(23.3%)、「職務遂行能力に対応する賃金部分の拡大」(22.1%)を多く挙げている。また、業績評価制度を導入している企業の割合は、45.6%と半分近くになっている(厚生労働省「就労条件総合調査」(平成19年))。
ロ 転職者の賃金
転職時の賃金変動の状況をみると、10%以上の減少となっている者の割合は、一般に年齢が高いほど高くなる傾向にあり、45~49歳で18.7%、50~54歳で20.0%、55~59歳で31.5%、60~64歳で55.2%となっている。ただし、65歳以上では39.2%となっており、その割合は減少している(厚生労働省「雇用動向調査」(平成23年上半期))。
ハ 継続雇用時の賃金
継続雇用時の年収の見通しについては、年金等も含めて定年到達前の年収の6~7割となる者の割合が31.6%、4~5割となる者の割合が27.6%となっている(独立行政法人労働政策研究・研修機構「60歳以降の継続雇用と職業生活に関する調査」(平成20年))。
ニ 継続雇用時の賃金水準決定の要素
60代前半の継続雇用者の賃金水準決定の際に考慮している点(複数回答)をみると、「60歳到達時の賃金水準」(41.1%)、「高年齢雇用継続給付の受給状況」(25.0%)、「在職老齢年金の受給状況」(22.2%)、「担当する職務の市場賃金・相場」(21.7%)、「業界他社の状況」(18.9%)となっている(独立行政法人労働政策研究・研修機構「高齢者の雇用・採用に関する調査」(平成22年))。
5 高年齢者の就業意欲
60歳以上の男女の就業意欲についてみると、60歳くらいまで仕事をしたい者の割合が9.7%、65歳くらいまで仕事をしたい者の割合が19.2%、70歳くらいまで仕事をしたい者の割合が23.0%、75歳くらいまで仕事をしたい者の割合が8.9%、76歳以上まで仕事をしたい者の割合が2.4%、働けるうちはいつまでも仕事をしたい者の割合が36.8%となっている(内閣府「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」(平成20年))。
第2 高年齢者の雇用の機会の増大の目標に関する事項
高年齢者の職業の安定その他の福祉の増進を図るとともに、少子高齢化が進む中で経済社会の活力を維持するためには、生涯現役社会を実現することが必要である。
また、平成25年度から公的年金の報酬比例部分の支給開始年齢が段階的に65歳へ引き上げられることから、雇用と年金の確実な接続を図ることが重要である。このため、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律(平成24年法律第78号。以下「改正法」という。)に基づき、希望者全員の65歳までの高年齢者雇用確保措置が全ての企業において講じられるようにするとともに、年齢にかかわりなく働ける企業の普及を図り、高年齢者の雇用の場の拡大に努める。
なお、高年齢者の雇用対策については、その知識、経験等を活かした安定した雇用の確保が基本となるが、それが困難な場合にあっては、在職中からの再就職支援等により、円滑に企業間の労働移動を行うことができるよう、また、有期契約労働者を含め離職する労働者に対しては、その早期再就職が可能となるよう再就職促進対策の強化を図る。
また、高齢期には、個々の労働者の意欲、体力等個人差が拡大し、その雇用・就業ニーズも雇用就業形態、労働時間等において多様化することから、このような多様なニーズに対応した雇用・就業機会の確保を図る。
これらの施策により、新成長戦略(平成22年6月18日閣議決定)で示された平成32年までの目標(同戦略において、「平成32年度までの平均で、名目3%、実質2%を上回る成長」等としていることを前提。)である60~64歳の就業率を63%とすることを目指すとともに、同年までに65~69歳の就業率を40%とすることを目指す。
○高齢者雇用法第2条のまとめ
1.高年齢者の定義
55歳以上の年齢の者
2.中高年齢者
45歳以上の年齢の者
3.高年齢者等
55歳以上の者、54歳未満の者及び45歳以上54歳までの求職者、45歳以上54歳の失業者、65歳未満の一定の失業者、保護観察所長から公共職業安定所長に連絡があつた者、その他社会的事情により就職が著しく阻害されている者
4.法第二条第三項の特定地域の指定要件
① 中高年齢者である求職者の数が著しく多い地域
② 中高年齢者である求職者の数の比率が著しく高い地域
③ 中高年齢者である求職者のうち就職した者の割合が著しく小さい地域
※実際に指定された地域の確認が出来ませんでした。
以上で高齢者雇用法第2条を終了します。