高齢者労働法第54条、第55条、第56条、第57条

2015年06月11日 14:39

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律

第54条(権限の委任

 この法律に定める厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、その一

部を都道府県労働局長に委任することができる。

2 前項の規定により都道府県労働局長に委任された権限は、厚生労働省令で定

るところにより、公共職業安定所長に委任することができる。

 

則第34条(権限の委任)

 法第五十四条第一項の規定により、次に掲げる厚生労働大臣の権限は、都道府県労働局長に委任する。ただし、厚生労働大臣が第一号から第三号まで及び第七号に掲げる権限を自ら行うことを妨げない。

一 法第十条に規定する厚生労働大臣の権限

二 法第十七条の二に規定する厚生労働大臣の権限

三 法第十八条の二第二項に規定する厚生労働大臣の権限

四 法第四十二条第二項(法第四十五条において準用する場合を含む。)に規定する厚生労働大臣の権限

五 法第四十二条第五項(法第四十五条において準用する場合を含む。)に規定する厚生労働大臣の権限

六 法第四十二条第六項において読み替えて適用する労働者派遣法第五条第二項並びに法第四十二条第六項において適用する労働者派遣法第十一条第一項、第十三条第一項及び第二十三条第一項に規定する厚生労働大臣の権限

七 法第五十二条第二項に規定する厚生労働大臣の権限

2 法第五十四条第二項の規定により、前項第一号から第三号まで及び第七号に掲げる権限は、管轄公共職業安定所の長に委任する。ただし、都道府県労働局長が前項第一号から第三号までに掲げる権限を自ら行うことを妨げない。

 

第55条 

 第四十九条第三項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、五十万円以下

の罰金に処する。

 

第56条

 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人

の業務に関して前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対

しても、同条の刑を科する。

 

第57条

 第十六条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者(法人であるときは、その代表者)は、十万円以下の過料に処する。

 

厚生労働大臣の権限の委任

 法第54条に規定により本法による一定の厚生労働大臣の権限は、都道府県労働局長に委任(一部の権限は公共職業安定所長に再委任)されるとしています。ただし、則第34条により管轄公共職業安定所長に再委任した権限(則第34条第1項第1~3号及び第7号に定める権限)を厚生労働大臣又は労働局長が自らその権限を行使してもよいとされています。

則第34条第1項に規定される厚生労働大臣の権限の委任

・第1号(法第10条の権限)厚生労働大臣、労働局長、公共職業安定所長に再委任

 定年の引き上げ・廃止又は継続雇用制度の導入を行っていない事業主に対する助言指導等、勧告・企業名の公表 

・第2号(法第17条の2の権限)厚生労働大臣、労働局長、公共職業安定所長に再委任

 離職労働者が希望しているにも拘わらず、求職活動支援書を作成しない事業主に対する助言・指導及び勧告

・第3号(法第18条の2第2項の権限)厚生労働大臣、労働局長、公共職業安定所長に再委任

 求人年齢制限の理由を付さない事業主に対する報告を求めること及び助言・指導・勧告

・第4号(法第42条第2項他の権限)

 シルバー人材センターが行う有料職業紹介事業に関する届出に係る権限

・第5号(法第42条第5項他の権限)

 シルバー人材センターが行う労働者派遣事業に関する届出に係る権限

・第6号(法第42条第6項に規定される労働者派遣事業関連の権限)

 読み替え規定による労働者派遣法第十一条第一項、第十三条第一項及び第二十三条第一項に規定する権限

・第7号(法第52条第2項に規定される権限)厚生労働大臣、労働局長、公共職業安所定長に再委任

 必要に応じて事業主に報告を求める権限

第55条 罰則規定(法第49条第3項違反)

 機構が行う給付金の支給に関連し、定年の引上げ、継続雇用制度の導入、再就職の援助等高年齢者等の雇用の機会の増大に資する措置を講ずる事業主又はその事業主の団体に対して、必要な報告を求めた際、報告をしなかった場合若しくは虚偽の報告を行った場合には、50万円以下の罰金に処せられる旨規定されています。

 

第56条 両罰則規定

 第55条違反については、法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者等の自然人及び法人の双方を罰する旨規定されています。

第57条 第16条第1項違反に対する過料

 多数離職届けの未提出の再には、10万円以下の過料に処される旨規定されています。

 参考:科料~1万円未満の財産刑(刑事罰)、過料~行政罰である財産刑(刑事罰ではない)

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の総まとめ

 高齢者雇用法は、以下の点について規定しています。

1.定年の最低年齢の定め

  60歳未満の定年年齢を定めた就業規則又は労働契約等の規定は、その定年の規定は無効となります。

2.65歳までの雇用を促す規定

  事業主は、65歳までの定年年齢の引き上げ、60歳以降の継続雇用制度の導入、定年制度の廃止のいずれかの措置を講じなければなりません。また、継続雇用制度においては希望者全員を原則的に継続して雇用しなければなりません。

3.事業主への相談・指導・勧告・企業名の公表

 年金制度の改正により、定年後の60歳から65歳までの国民の生活を設計する必要性から、企業に対しても本質的な人事制度の変更を求める必要があり、その観点から事業主に対し定年前後の労働者に対しいくつかの措置を講じるように求め、併せて労働局を中心として事業主に対する相談・指導等を行うこととしています。

4.高年齢求職者に対する就職援助等

 ハローワークが中心となって、45歳以降の労働者、特に60歳以降の労働者に対し、就職の支援等を行うこととしています。

5.高齢者雇用に関する調査研究の実施

 独立行政法人「労働政策研究・研修機構」及び「高齢・障害・求職者雇用支援機構」などの関連機関を中心として、厚生労働省においても高年齢者等の雇用状況他について、調査研究をおこなうこととされています。

6.シルバー人材センター等の設置

 全国のシルバー人材センターにおいて、定年退職後の求職者等に対し、個別の仕事の斡旋、有料職業紹介事業の実施、労働者派遣事業の実施等を行うことといしています。

7.多数離職届その他の報告義務を規定

 雇用状況の安定及び離職者の早期の就職の実現、高年齢者等の雇用状況の把握のため、事業主に対し所定の報告書を求めることとしています。

8.給付金等の支給

 高年齢者等の就職の促進等のため、各種の給付金等を支給することとしています。

 

 

以上で、高齢者雇用法第54条・第55条・第56条・第57条を終了します。なお、附則については割愛します。