高齢者雇用法第6条

2015年06月04日 13:52

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律

第6条(高年齢者等職業安定対策基本方針

 厚生労働大臣は、高年齢者等の職業の安定に関する施策の基本となるべき

方針(以下「高年齢者等職業安定対策基本方針」という。)を策定するものとする。

 

2 高年齢者等職業安定対策基本方針に定める事項は、次のとおりとする。

 

一 高年齢者等の就業の動向に関する事項

二 高年齢者の雇用の機会の増大の目標に関する事項

三 第四条第一項の事業主が行うべき職業能力の開発及び向上、作業施設の改善その他の諸条件の整備、再就職の援助等並びに同条第二項の事業主が行うべき高齢期における職業生活の設計の援助に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針となるべき事項

四 第九条に規定する高年齢者雇用確保措置の円滑な実施を図るため講じようとする施策の基本となるべき事項

五 高年齢者等の再就職の促進のため講じようとする施策の基本となるべき事項

六 前各号に掲げるもののほか、高年齢者等の職業の安定を図るため講じようとする施策の基本となるべき事項

 

3 厚生労働大臣は、高年齢者等職業安定対策基本方針を定めるに当たつては、あらかじめ、関係行政機関の長と協議するとともに、労働政策審議会の意見を聴かなければならない。

 

4 厚生労働大臣は、高年齢者等職業安定対策基本方針を定めたときは、遅滞なく、その概要を公表しなければならない。

 

5 前二項の規定は、高年齢者等職業安定対策基本方針の変更について準用する。

 

平成24年通達

・高年齢者等職業安定対策基本方針(法第6条第2項)
 高年齢者等職業安定対策基本方針に定めるべき高年齢者の雇用の機会の増大の目標に関する事項について、当該高年齢者を65 歳未満に限定しないこととしたこと。また、法第9条の事業主が講ずべき同条に規定する高年齢者雇用確保措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針となるべき事項を削除することとしたこと。
1 趣旨
 改正法の趣旨等を踏まえ、高年齢者等の雇用・就業についての目標及び施策の基本的考え方を、労使をはじめ国民に広く示すとともに、事業主が行うべき諸条件の整備等に関する指針を示すこと等により、高年齢者等の雇用の安定の確保、再就職の促進及び多様な就業機会の確保を図るため、基本方針を策定することとしたものであること。
2 内容
(1)対象期間
 この基本方針の対象期間は、平成25 年度から平成29 年度までの5年間とするものであること。
(2)高年齢者等の就業の動向に関する事項(基本方針第1関係)
 高年齢者の雇用・就業の状況や、高年齢者に係る雇用制度の状況等について、最新の統計結果等を盛り込むものであること。
(3)高年齢者の雇用の機会の増大の目標に関する事項(基本方針第2関係)
 平成25 年度から公的年金の報酬比例部分の支給開始年齢が段階的に65 歳へ引き上げられることを踏まえ、希望者全員の65 歳までの高年齢者雇用確保措置が全ての企業において講じられるよう雇用の場の拡大に努めること等により、新成長戦略(平成22 年6月18 日閣議決定)で示された平成32 年までの目標(「平成32 年度までの平均で、名目3%、実質2%を上回る成長」等としていることが前提。)である60~64 歳の就業率を63%とすることを目指すとともに、同年までに65~69 歳の就業率を40%とすることを目指すものであること。
(4)事業主が行うべき諸条件の整備等に関して指針となるべき事項(基本方針第3関係)
 現行の基本方針に盛り込まれている内容に加え、再就職援助等の対象者について法施行規則の改正内容を踏まえて改めるものであること。
(5)高年齢者等の職業の安定を図るための施策の基本となるべき事項(基本方針第4関係)
 現行の基本方針に盛り込まれている内容に加え、新たに以下の内容を盛り込むものであること。
   高年齢者雇用確保措置の実施に係る指導を繰り返し行ったにもかかわらず何ら具体的な取組を行わない企業には勧告書を発出し、勧告に従わない場合には企業名の公表を行い、各種法令等に基づき、公共職業安定所での求人の不受理・紹介留保、助成金の不支給等の措置を講じること。
   特に有期契約労働者であった離職者については、公共職業安定所におけるマッチング支援、担当者制によるきめ細かな支援等の活用により、早期の再就職の促進に努めること。
   生涯現役社会の実現に向けて、国民各層の意見を幅広く聴きながら、当該社会の在り方やそのための条件整備について検討するなど、社会的な気運の醸成を図ること。
 
基本方針(平成24年11月9日厚生労働省告示第559号)

 高年齢者等職業安定対策基本方針

はじめに
1 方針のねらい
 少子高齢化の急速な進行により、今後、労働力人口の減少が見込まれる中で、我が国経済の活力を維持していくためには、若者、女性、高年齢者、障害者など働くことができる全ての人の就労促進を図り、そうした全ての人が社会を支える「全員参加型社会」の実現が求められている。高年齢者についても、その能力の有効な活用を図ることが重要な課題であることから、高年齢者の厳しい雇用環境が依然として続いている現状への的確な対応を図りつつ、高年齢者が健康で、意欲と能力がある限り年齢にかかわりなく働き続けることができる社会(以下「生涯現役社会」という。)の実現を目指す必要がある。
 また、平成25年度から公的年金の報酬比例部分の支給開始年齢が段階的に65歳へ引き上げられることに対応し、雇用と年金の確実な接続等を図るため、平成24年第180回通常国会において高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和46年法律第68号。以下「法」という。)の改正が行われた。
 この基本方針は、この法改正の趣旨等を踏まえ、高年齢者の雇用・就業についての目標及び施策の基本的考え方を、労使をはじめ国民に広く示すとともに、事業主が行うべき諸条件の整備等に関する指針を示すこと等により、高年齢者の雇用の安定の確保、再就職の促進及び多様な就業機会の確保を図るものである。
2 方針の対象期間
 この基本方針の対象期間は、平成25年度から平成29年度までの5年間とする。ただし、この基本方針の内容は平成24年の法改正を前提とするものであることから、高年齢者の雇用の状況や、労働力の需給調整に関する制度、雇用保険制度、年金制度、公務員に係る再任用制度等関連諸制度の動向に照らして、必要な場合は改正を行うものとする。
以下項目のみ
第1 高年齢者の就業の動向に関する事項、第2 高年齢者の雇用の機会の増大の目標に関する事項、第3 事業主が行うべき諸条件の整備等に関して指針となるべき事項、第4 高年齢者の職業の安定を図るための施策の基本となるべき事項
 
参考:高年齢者等職業安定対策基本方針 高齢者職業安定対策基本方針.pdf (295810)
 
高齢者雇用法第6条まとめ
1.労働政策審議会議事録(議事録写し)
A:平成24年10月2日 職業安定分科会雇用対策基本問題部会 議事録抜粋
○中山高齢者雇用対策課長 
 昨年度の当部会でご議論いただきました「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部改正」ですが、1月6日に建議いただきました。これに基づき法律の改正案を3月9日に国会に提出しまして、衆議院で一部修正の上、8月29日に可決・成立いたしました。9月5日に公布されたところです。本日は、この改正内容を来年4月1日から施行するに当たり、必要な政省令・告示の整備について、資料に沿ってご説明いたします。 
  お手元の資料に沿ってご説明させていただきます。資料1をご覧ください。今後のスケジュール案を示したものです。9月14日に職業安定分科会を開催し、先ほど申し上げた事項について、この雇用対策基本問題部会で検討することについてご了解をいただいております。その後、10月の中下旬までには労働政策審議会の職業安定分科会を開催し、本日の結果等をご報告して、また具体的な諮問、答申といった手続に入っていきたいと考えているところです。このほかに、ここには書いておりませんが、パブリックコメント等の手続があります。できるだけ早い公布を心がけておりますが、最短で11月初旬頃になるのではないかという状況です。
  裏側に政令事項、省令事項、告示事項の概要が出ております。政令事項については、附則の一部削除ということで、後ほど説明いたしますが、形式整備です。省令事項については、マル1特殊関係事業主の範囲を定めるもの。マル2再就職援助措置の対象となる高年齢者等の範囲、マル3高年齢者雇用状況報告書の整備。マル2、マル3は若干形式整備的な要素があります。告示事項については、高年齢者等職業安定対策基本方針、もう1つが高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針です。
  資料2は改正法の内容の資料です。皆さんは先刻ご承知と思いますが、概要だけ申し上げておきますと、資料2-1に法律の改正の概要が記されております。趣旨として、少子高齢化社会が進展する中で働くことができる人、全ての就労促進を図り、社会を支えていくという全員参加型の社会の実現が求められている中、高齢者の就労促進を進めていくことが必要であろうということが1つと、ここには明示的に書いてありませんが、老齢年金の支給開始年齢が明年4月から61歳に引き上げられることがあり、無収入、無年金の人が増えないようにということで、いわば雇用と年金の確実な接続を図る。そういった点から制度の改正が必要であるという判断に至って、このような法案を提出したものです。
  概要の1番目は、継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止です。現行法第9条第2項にあります継続雇用制度の対象となる高年齢者について、事業主が労使協定により定める基準により限定できる仕組みを廃止するというものです。
  2点目は、継続雇用制度の対象者を雇用する企業の範囲の拡大です。継続雇用制度の対象となる高年齢者を雇用する範囲をグループ企業まで拡大する仕組みを設けるということで、後ほど省令事項のところでご説明申し上げます。
  3番目、義務違反の企業に対する公表規定の導入ということで、高年齢者雇用確保措置義務に関する勧告に従わない企業名を公表する規定を設けるということです。現在は指導・助言・勧告という内容が定められておりますが、さらに勧告に従わない企業についてはその企業名を公表できる規定を設けたものです。
  4点目は高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針の策定です。現行法の第6条第3項の高年齢者等職業安定対策基本方針の中に、高年齢者雇用確保措置の指針となるべき事項が定められているわけですが、その根拠規定を高年齢者雇用確保措置の規定のある第9条に移して、独立した指針を設ける。そういう整備です。この4点目は衆議院の修正により加わった部分です。
  その他として、1のところで申し上げました今般廃止となる労使協定により定める基準により継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みについては、12年間の経過措置を設ける。そのほか、所要の規定の整備を行うということです。改正の概要は以上です。資料2-2、資料2-3に具体的な条文とか改正の際の、特に衆議院の修正の際の国会における議論といったものが付け加えてあります。
  資料3をご覧ください。「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行令の一部を改正する政令案」です。資料3-1の内容に書いてありますとおり、政令の附則第4項から第6項までを削除するといった内容です。これは高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律により定められていた、これは平成16年の改正ですが、その際に現規則で経過措置期間を設けて、協議が整わない場合、就業規則で基準を定めることができる旨の規定があったわけですが、その根拠となっておりました高齢法の附則の第5条が削除されたことに伴い、こちらの政令についても第4項から第6項までを削除する。いわば、形式の整備です。
  資料4は「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」です。次の頁に要旨が出ております。(1)は特殊関係事業主です。改正後の高齢法第9条第2項の中で、厚生労働省令で特殊関係事業主について定めるとされておりますので、その関係の省令を整備するものです。(2)は法第15条に定める再就職援助措置等の対象となる者について、継続雇用制度の対象者を限定する基準が廃止となることから見直しを行うものということで、経過措置に基づいて、省令の第6条において、基準が残るその部分についての手当をするものです。(3)の高年齢者雇用状況報告書については、文言整理等、継続雇用制度の対象者を限定する仕組みが廃止されたことに伴う省令の整備を行うものです。これについては、諮問事項ということで、厚生労働大臣 三井辧雄から労働政策審議会 会長 諏訪康雄殿宛で諮問文がついているものです。
  次は省令案要綱です。3頁の第1の特殊関係事業主、第1項の(一)号以下、当該事業主の子法人等、当該事業主を子法人等とする親法人等とありますが、子会社、親会社、親会社の子会社、関連会社、親会社の関連会社、従前から説明してきている内容を法文化するとこのような形になるといった規定です。基本的には、銀行法施行令等の内容に沿った形で案文を整備させていただいているものです。10頁と11頁は「高年齢者雇用状況報告書」です。10頁が改正案、11頁が現行のものです。右側の現行制度のマル10継続雇用制度、継続雇用制度の導入・改定予定、こういったところが左側の改正案では様式が整備されているというところです。
  資料5に「高年齢者等職業安定対策基本方針(案)」の関係資料が入っております。資料5-3に新旧対照表が入っておりますので、こちらで説明させていただきます。17頁目以降になります。右側が現行の基本方針、左側が改正案です。下線を付してある部分が変更点です。1頁の主要な改正点は第1パラグラフにあります。「全員参加型社会」、先ほど法改正の趣旨のところでも申し上げましたが、そういったことが求められている背景を書かせていただいております。もう少し下には「生涯現役社会」というワーディングの概念の整備もさせていただいております。
  2頁以降は「高年齢者の就業の動向に関する事項」ということで、統計データ等のリニューアルをしているものです。申し遅れましたが、全体の18頁のいちばん上のところに基本方針の対象期間は、平成25年度から平成29年度までの5年間とするということで、期間についても書かせていただいているところです。
  以下は、新旧対照でご覧いただいてお分かりいただけますように、データのリニューアル等が中心となっております。7頁の下に60歳から64歳の就業率、65歳から69歳の就業率についての目標が示されているところです。
  11頁以降は右側にありますように、高年齢者雇用確保措置に関する指針です。従来は基本方針の中で示されておりましたが、今般の改正により、独立した指針として制定されるということで、基本方針から落ちているわけです。13頁目以下は基本的に文言の整理等が内容となっているところです。
  19頁では、3番「その他高年齢者の職業の安定を図るための施策の基本となるべき事項」があります。この中で個別の事項を書いておりましたところのいちばん前に、生涯現役社会の実現に向けた取組ということで、全体を貫く考え方を冒頭に書いております。これも従来あったものを整備したものです。
  資料6をご覧ください。こちらが「高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針(案)」です。これについては、いま申し上げましたように、従来、高年齢者等職業安定対策基本方針の中に規定されていたものを独立した指針として定めるといったものですので、基本方針との新旧対照表をご用意しております。
  資料6-3で説明させていただきます。第1では趣旨を書かせていただいたものです。第2は高年齢者雇用確保措置の実施及び運用ということです。高年齢者雇用確保措置の中の2ですが、継続雇用制度、高年齢者雇用確保措置はご案内のとおり、定年の引き上げ、定年の廃止、継続雇用制度の導入の3つほどあるわけですが、その中の継続雇用制度についての指針をここで記しております。継続雇用制度を導入する場合には、希望者全員を対象とする制度とするということです。今般、第9条第2項の選定基準が廃止されますので、こういった考え方が具体的なものになっているわけですが、そのあとに、この場合において法第9条第2項に規定する特殊関係事業主が雇用を確保しようとするときについて書いていますが、当該関係事業主との間で契約を締結する必要があることに留意するという旨が書かれております。
  その次のパラグラフです。心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く。以下同じ。)に該当する場合は、継続雇用しないことができるということです。1月の建議の中で示されたこと等が、ここに記述されているわけです。
  次のパラグラフは、就業規則に定める解雇事由又は退職事由と同一の事由を継続雇用しないことができる事由として、解雇や退職の規定とは別に就業規則に定めることもできる。また、当該同一の事由について、継続雇用制度の円滑な実施のため、労使が協定を締結することができる。なお、解雇事由又は退職事由とは異なる運営基準を設けることは、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律の趣旨を没却するおそれがあることに留意するというパラグラフです。ただし、継続雇用しないことについては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められると考えられることに留意する。この最後のパラグラフも1月6日の建議で書いていただいたものを書かせていただいています。
  3番目の経過措置ですが、先ほど改正法の中で紹介させていただきましたが、改正法の施行の際、既に労使協定により、継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を定めている事業主は改正法附則第3項の規定に基づき、当該基準の対象者の年齢を平成37年3月31日まで段階的に引き上げながら、当該基準を定めてこれを用いることができるという内容のものです。具体的な条文等については、先ほどの法律の改正の資料2に条文が出ております。こちらを参照していただければと思います。具体的には資料2-2の14頁です。このうちの第3項が経過措置規定です。
  4番の賃金・人事処遇制度の見直しについては、留意事項ということで列挙されております。基本的に従前のものを引用しているところです。3頁の下のところに契約期間が終了する契約とする場合には云々のところについては、表現を分かりやすくする観点から文の前後を入れ替えておりますが、書かれている内容については一緒です。関係資料の説明は以上です。
  資料7の参考資料は高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の関係条文。先ほど来申し上げております1月6日にまとめていただきました建議をつけさせていただいているところです。以上です。
○森戸委員 
 細かいことは分かりませんが、建前上というか理屈でいうと、既にQ&Aに書いてあることであり、この解釈についておそらく争いはないであろうと。今回の法改正で、このQ&Aのこの部分が変わったわけではないという意味では確かだと思います。その変わっていないものも含め、Q&Aをこの指針に格上げなのか何なのかは知りませんが書くとなると、ほかにもいろいろQ&Aには規定があると思いますので、それを全部含めて、これはこの際、指針に入れようとか入れないとか、そういう議論を全部本当はしなければいけなくて、これだけ指針に書くというのも、そこはそれこそ、あまり議論ができていないと思います。もちろんQ&Aに書いてあるから大事なことではあるのでしょうけれども、一応建前でいうと、今回の指針は、いろいろ改正の経緯があって第9条第3項に基づいた話で出てきているので、その事業主として、どういう措置を取れば高年法の継続雇用、高年齢者雇用確保措置義務違反にならないかということを定めるものですよね。 
  そうすると、Q&Aにあることは、どういう制度を作るかという話とは必ずしも直接は関係のないことです。一般的に、極めて民事的なというか、契約自由ですよと。再雇用の内容は労使の意見が一致しなければ駄目だし、別に労働者側の希望する条件で呑まなければいけないということはありませんよというのは制度として定めるものというのではなくて、そういう解釈になりますねという話なので、指針のほうは最低限就業規則や何かをどうすれば高年法違反になりませんよ、という話を最低限書くという原則でおそらくできているので、客観的合理的な理由とかは若干それからはみ出るけれども、ただそれは必要なので、それもここに書いておかないといけないというので入っていると思うので、なるべくその指針のほうは事業主が何をすればいいかということに純粋に関わるものを書くことにしていると思うので、Q&Aみたいに、より広く制度全般に関わることを全部入れてしまうと、改正法の趣旨にも反するのではないかなと思いますし、委員がご心配になるようなことは少なくとも今回の改正でQ&Aのこの点は変わっていないし、これはある意味、当然の前提になっている制度であると思うので、今回の指針案でも、使用者側の考えていらっしゃることにそんなに反した内容にはならないのではないかと私は思います。すみません、ちょっと長く喋りました。
 
B:平成24年11月2日 職業安定分科会 議事録抜粋
○高齢者雇用対策課長 
 高齢者雇用対策課長の中山です。9月14日に、本分科会が開催をされています。その際報告いたしましたとおり、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正し、来年4月1日から施行するに当たり、検討をお願いする政省令、告示の整備について、これからお手元の資料に基づいて説明をいたします。ただ今、分科会長からお話がありましたとおり、10月2日、雇用対策基本問題部会において議論をいただき、政省令案、告示案について妥当なものとして了承をいただいていることを申し添えさせていただきます。 
 初めに、改正の内容について、資料?5-3を御覧いただきたいと思います。既に御案内のとおりですが、今回の改正の趣旨は2つほどあります。1つ目は、少子高齢化が進展する中、働くことができる人全てで社会を支えていく「全員参加型社会」の実現が求められている中で、高齢者の就労促進を進めていくことが必要であること。また、ここには明示的には書いていませんが、老齢厚生年金の支給開始年齢が、来年4月から61歳に引き上げられるということで、無収入・無年金の人が生じないように、雇用と年金の確実な接続を図ることが必要である、といった2つの趣旨がこの改正法の背景にあるわけです。
 具体的な中身を申し上げます。1点目は、「継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止」です。現行法の第9条第2項には、継続雇用制度の対象となる高年齢者について、事業主が労使協定により定める基準により限定できる仕組みがありますが、これを廃止するということです。
 2点目は、「継続雇用制度の対象者を雇用する企業の範囲の拡大」です。継続雇用制度の対象となる高年齢者を雇用する範囲を、グループ企業にまで拡大する仕組みを設けるということです。これが、後ほど説明いたします省令で規定する事項です。
 3点目は、「義務違反の企業に対する公表規定の導入」です。現在、高齢者雇用確保措置義務に関する助言、指導、勧告といった規定が設けられていますが、更に企業名を公表できるという規定を設けたものです。
 4点目は、「高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針の策定」です。現行法の第6条第3項、高年齢者等職業安定対策基本方針の中で、高年齢者雇用確保措置の指針となるべき事項が定められていますが、その根拠規定をこの高年齢者雇用確保措置の規定のあります第9条に移して、独立した指針を設けるという整備を行ったものです。この点については、衆議院の民自公3党による修正で加わったものです。この点は、後ほど大臣告示、指針のところで御説明いたします。
 最後は、「その他」事項です。1点目で申し上げました、今般廃止となる労使協定により対象者を定める基準により継続雇用制度の対象者を限定するという仕組みに、12年間の経過措置が設けられるということです。以上が、改正の概要です。
 続いて、当分科会で御検討いただく事項について、個々に御説明いたします。資料?1を御覧ください。こちらは、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行令の一部を改正する政令案」です。資料?1-1に、内容が書かれています。これは、今回政令の附則第4項から第6項の削除、及びその他所用の整備を行うといった内容です。この附則第4項から第6項の削除については、平成16年の「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律」により定められていた経過措置期間が、平成22年度末で終了していまして、現在効力を有していませんので、その関係の政令の規定を削除すると。いわば形式の整備ということで、報告事項という形で整理をさせていただいているものです。
 続いて、資料?2です。「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」です。これは綴じ方が反対からになっていますが、1枚めくっていただきますと要旨が出ています。内容を御覧いただきますと、(1)特殊関係事業主と書いてあります。これは、法律の第9条第2項に規定します、厚生労働省令で定めることとされている特殊関係事業主について規定するものです。(2)は、再就職援助措置の対象となる高年齢者の範囲等です。これは、継続雇用制度の対象者を限定する基準が廃止となることから見直しを行うもので、経過措置に基づいて省令の第6条において基準が残る部分についての手当てをするものです。(3)の高年齢者雇用状況報告書については、文言整理等、継続雇用制度の対象者を限定する仕組みが廃止されたことに伴う所用の整備を行うものです。
 なお、この省令については、先ほど分科会長からお話がありましたとおり、諮問事項ということで、資料?2-2に諮問文が付けられています。厚生労働大臣三井辨雄から労働政策審議会会長諏訪康雄殿宛てで、10月2日付、これは先ほどの基本問題部会が開催された日付けの諮問文が付いているものです。また、資料?2-4、同日の基本問題部会において、厚生労働省案は妥当と認めるという内容の部会報告をいただいていますので、それを添付させていただいています。
 省令案要綱の3ページについて御覧いただきたいと思います。第1の特殊関係事業主ですが、第1項の(1)に、「当該事業主の子法人等」と「当該事業主を子法人等とする親法人等」とありますが、子会社、親会社、親会社の子会社、関連会社、親会社の関連会社。従前から説明してきました、グループ企業まで継続雇用の範囲を拡大するという内容を法文化してまいりますと、このような形になります。それ以下については、親会社、子会社や関連会社等になる関係の議決権の割合等について書いています。これは、銀行法施行令や会社法などの規定を参考にして整備をしているものです。
 10、11ページですが、こちらは「高年齢者雇用状況報告書」の様式です。10ページが改正案、11ページは現行様式です。11ページの現行制度の⑩継続雇用制度、⑪継続雇用制度の導入・改定予定について、10ページの改正案において様式の整備がされているところです。
 続いて、資料?3を御覧ください。「高年齢者等職業安定対策基本方針(案)」です。資料?3-3の真ん中辺以降から新旧対照表が入っていますので、こちらを御覧ください。右側が現行の基本方針、左側が改正案です。下線を付けてある部分が変更点です。1ページ目の主要な改正点については、先ほど法改正の趣旨のところでも申し上げていますが、「全員参加型社会」が求められているといった点について、最初に1「方針のねらい」に書かせていただいています。更にその下には「生涯現役社会」といった考え方の整理もさせていただいています。更に、この基本方針の2ページの上に、この基本方針の対象期間が平成25年度から29年度までの5年間とするということも示させていただいています。そのあとは、「高年齢者の就業の動向に関する事項」ということで、新旧対照表を見ていただくとお分かりのように、統計データのリニューアル等が中心になっています。
 7ページの下辺りになりますが、高年齢者の雇用の機会の増大の目標に関する事項ということで、60歳から64歳までの就業率、65歳から69歳までの就業率について、目標が示されているところです。それから先は、高年齢者雇用確保措置の指針に関する事項ということで、今回は基本方針から新たに独立した指針に設けるほうに内容が移動しています。そのあとは、高年齢者の職業の安定を図るための施策の基本となるべき事項が書かれているところです。
 続いて、資料?4を御覧ください。「高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針(案)」です。これについては先ほど申し上げたように、従来、高年齢者等職業安定対策基本方針の中に規定されていたものを、独立した指針として定めるものです。資料?4-2を御覧ください。先ほど、基本方針のところでも、省略してしまいましたが、このような形で厚生労働大臣三井辨雄から、労働政策審議会会長諏訪康雄殿宛てに諮問文が載っています。
 資料?4-2が指針案で、資料?4-3が新旧対照表の形にした指針の案です。旧のほうは、「高年齢者等職業安定対策基本方針」の中の高齢者確保措置に関する指針部分です。第1は「趣旨」です。第2は「高年齢者雇用確保措置の実施及び運用」です。その中の2「継続雇用制度」を御覧ください。高年齢者雇用確保措置は、定年の引上げ、定年の廃止、継続雇用制度の導入の3つの中からいずれかを行っていただくことになります。その中の継続雇用制度についての指針となるべき事項が、ここに書かれています。
 最初に継続雇用制度を導入する場合には、希望者全員を対象とすると書かれています。これは、先ほど来説明しています第9条第2項の継続雇用の対象者を選別する基準が廃止されますので、このような表現ぶりになっています。そのあとに書かれていることは、この場合において法第9条第2項に規定する特殊関係事業主が雇用を確保しようとするときについて、当該関係事業主の間で契約を締結する必要があることに留意する旨が書かれています。
 その次のパラグラフですが、心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等、就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く。以下同じ)に該当する場合には、継続雇用しないことができる旨を示しています。これは、1月6日の審議会でまとめていただいた建議の中で示された点について、ここに記述をしています。
 次のパラグラフは、就業規則に定める解雇事由又は退職事由と同一の事由を、継続雇用しないことができる事由として、解雇や退職の規定とは別に就業規則に定めることもできる。また、当該同一の事由について、継続雇用制度の円滑な実施のため、労使が協定を締結することができる。なお、解雇事由又は退職事由とは異なる運営基準を設けることは、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律の趣旨を没却する恐れがあることに留意するという内容になっています。
 最後のパラグラフは、ただし継続雇用しないことについては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められると考えられることに留意するとなっています。これも、1月6日の建議でまとめていただいたものを書かせていただいています。
 3番目の「経過措置」ですが、先ほど改正法の概要の説明の中で紹介をさせていただきました。この改正法の施行の際、既に労使協定により継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を定めている事業主は、改正法附則第3項の規定に基づき、当該基準の対象者の年齢を平成37年3月31日まで段階的に引き上げながら、当該基準を定めてこれを用いることができるという内容です。
 4点目の「賃金・人事処遇制度の見直し」については、留意事項ということで列挙をしています。高年齢者になる前から関係してくるような事項も含めて、基本的に従前のものを引用しています。新旧対照表の指針の3ページと4ページの間辺りに線が付してありますが、これは「契約期間が終了する契約とする場合には云々」のところについては、表現を分かりやすくする観点から文の前後を入れていますが、内容については変わっていません。資料の説明は、以上です。
 なお、資料?5-4として、10月18日に公表しました平成24年高年齢者の雇用状況の集計結果が出ていますので、添付させていただきました。
 
2.まとめ
 高年齢者等の継続雇用制度は、現行法以前は希望者のうち一定の労働者について、就業規則その他に選抜基準を設定し、使用者側が継続雇用希望者等の一部のみを継続雇用する制度でした。最終改正が平成25年4月1日に施行され、65歳未満の定年制度を設けている事業所は、希望者全員を継続雇用しなければならないこととなりました。また、継続雇用の対象労働者をグループ企業まで拡大することとしています。
 
 
 
以上で高齢者雇用法第6条を終了します。