高齢者雇用法第9条

2015年06月05日 10:37

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律

第9条(高年齢者雇用確保措置

 定年(六十五歳未満のものに限る。以下この条において同じ。)の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の六十五歳までの安定した雇用を確保するため、次の各号に掲げる措置(以下「高年齢者雇用確保措置」という。)のいずれかを講じなければならない。

一 当該定年の引上げ

二 継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。以下同じ。)の導入

 三 当該定年の定めの廃止

 

2 継続雇用制度には、事業主が、特殊関係事業主(当該事業主の経営を実質的に支

配することが可能となる関係にある事業主その他の当該事主と特殊の関係のある事

主として厚生労働令で定める事業主をいう。以下この項において同じ。)との間で、

当該事業主の雇用する高年齢者であつてその定年後に雇用されることを希望するもの

をその定年後に当該特殊関係事業主が引き続いて雇用することを約する契約を締結し、

当該契約に基づき当該高年齢者の雇用を確する制度が含まれるものとする。

 

3 厚生労働大臣は、第一項の事業主が講ずべき高年齢者雇用確保措置の実施及び運用(心身の故障のため業務の遂行に堪えない者等の継続雇用制度における取扱いを含む。)に関する指針(次項において「指針」という。)を定めるものとする。

 

4 第六条第三項及び第四項の規定は、指針の策定及び変更について準用する。

 

 

則第4条の3(特殊関係事業主)

 法第九条第二項に規定する厚生労働省令で定める事業主は、次の各号に掲げる者とす

る。

一 当該事業主の子法人等

二 当該事業主を子法人等とする親法人等

三 当該事業主を子法人等とする親法人等の子法人等(当該事業主及び前二号に掲げる者を除く。)

四 当該事業主の関連法人等

五 当該事業主を子法人等とする親法人等の関連法人等(前号に掲げる者を除く。)

 

2 前項に規定する「親法人等」とは、次の各号に掲げる法人等(会社、組合その他これらに準ずる事業体(外国におけるこれらに相当するものを含む。)をいう。以下同じ。)とする。ただし、財務上又は営業上若しくは事業上の関係からみて他の法人等の財務及び営業又は事業の方針を決定する機関(株主総会その他これに準ずる機関をいう。以下「意思決定機関」という。)を支配していないことが明らかであると認められるときは、この限りでない。

一 他の法人等(破産手続開始の決定、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定を受けた他の法人等その他これらに準ずる他の法人等であつて、有効な支配従属関係が存在しないと認められるものを除く。以下この項において同じ。)の議決権の過半数を自己の計算において所有している法人等

二 他の法人等の議決権の百分の四十以上、百分の五十以下を自己の計算において所有している法人等であつて、次に掲げるいずれかの要件に該当するもの

イ 当該法人等が自己の計算において所有している議決権と当該法人等と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより当該法人等の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者及び当該法人等の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者が所有している議決権とを合わせて、当該他の法人等の議決権の過半数を占めていること。

ロ 当該法人等の役員、業務を執行する社員若しくは使用人である者、又はこれらであつた者であつて当該法人等が当該他の法人等の財務及び営業又は事業の方針の決定に関して影響を与えることができるものが、当該他の法人等の取締役会その他これに準ずる機関の構成員の過半数を占めていること。

ハ 当該法人等と当該他の法人等との間に当該他の法人等の重要な財務及び営業又は事業の方針の決定を支配する契約等が存在すること。

ニ 当該他の法人等の資金調達額(貸借対照表の負債の部に計上されているものに限る。)の総額の過半について当該法人等が融資(債務の保証及び担保の提供を含む。以下同じ。)を行つていること(当該法人等と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係のある者が行う融資の額を合わせて資金調達額の総額の過半となる場合を含む。)。

ホ その他当該法人等が当該他の法人等の意思決定機関を支配していることが推測される事実が存在すること。

三 法人等が自己の計算において所有している議決権と当該法人等と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより当該法人等の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者及び当該法人等の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者が所有している議決権とを合わせて、他の法人等の議決権の過半数を占めている場合(当該法人等が自己の計算において議決権を所有していない場合を含む。)における当該法人等であつて、前号ロからホまでに掲げるいずれかの要件に該当するもの

 

3 第一項に規定する「子法人等」とは、親法人等によりその意思決定機関を支配されて

いる他の法人等をいう。この場合において、親法人等及び子法人等又は子法人等が他の法

人等の意思決定機関を支配している場合における当該他の法人等は、その親法人等の子

法人等とみなす。

 

4 第一項に規定する「関連法人等」とは、次の各号に掲げるものとする。ただし、財務

は営業上若しくは事業上の関係からみて法人(当該法人等の子法人等を含む。)が子

法人等以外の他の法人等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与え

ことができないことが明らかであると認められるときは、この限りでない。

一 法人等(当該法人等の子法人等を含む。)が子法人等以外の他の法人等(破産手続開始の決定、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定を受けた子法人等以外の他の法人等その他これらに準ずる子法人等以外の他の法人等であつて、当該法人等がその財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができないと認められるものを除く。以下同じ。)の議決権の百分の二十以上を自己の計算において所有している場合における当該子法人等以外の他の法人等

二 法人等(当該法人等の子法人等を含む。)が子法人等以外の他の法人等の議決権の百分の十五以上、百分の二十未満を自己の計算において所有している場合における当該子法人等以外の他の法人等であつて、次に掲げるいずれかの要件に該当するもの

イ 当該法人等の役員、業務を執行する社員若しくは使用人である者、又はこれらであつた者であつて当該法人等がその財務及び営業又は事業の方針の決定に関して影響を与えることができるものが、その代表取締役、取締役又はこれらに準ずる役職に就任していること。

ロ 当該法人等から重要な融資を受けていること。

ハ 当該法人等から重要な技術の提供を受けていること。

ニ 当該法人等との間に重要な販売、仕入れその他の営業上又は事業上の取引があること。

ホ その他当該法人等がその財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができることが推測される事実が存在すること。

三 法人等(当該法人等の子法人等を含む。)が自己の計算において所有している議決権と当該法人等と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより当該法人等の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者及び当該法人等の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者が所有している議決権とを合わせて、子法人等以外の他の法人等の議決権の百分の二十以上を占めている場合(当該法人等が自己の計算において議決権を所有していない場合を含む。)における当該子法人等以外の他の法人等であつて、前号イからホまでに掲げるいずれかの要件に該当するもの

 

平成24年通達

継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止(法第9条第2項及び改正法附則第3項)
 事業主は、事業所に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を定め、当該基準に基づく制度を導入したときは、継続雇用制度を導入したものとみなすものとしている仕組みを廃止することとしたこと。
 また、経過措置により、平成37 年3月31 日までの間、継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を厚生年金報酬比例部分の支給開始年齢以上の者を対象に、利用することができることとしたこと。
 
継続雇用制度の対象者が雇用される企業の範囲の拡大
(1)継続雇用制度における事業主間の契約(法第9条第2項)
 継続雇用制度には、事業主が、特殊関係事業主(当該事業主の経営を実質的に支配することが可能となる関係にある事業主その他の当該事業主と特殊の関係のある事業主として厚生労働省令で定める事業主)との間で、当該事業主の雇用する高年齢者であってその定年後に雇用されることを希望するものをその定年後に当該特殊関係事業主が引き続いて雇用することを約する契約を締結し、当該契約に基づき当該高年齢者の雇用を確保する制度が含まれることとしたこと。
(2)特殊関係事業主の範囲(則第4条の3)
 ⅰ)厚生労働省令で定める事業主
 法第9条第2項に規定する厚生労働省令で定める事業主は、次に掲げる者としたこと。
 ① 当該事業主の子法人等
 ② 当該事業主を子法人等とする親法人等
 ③ 当該事業主を子法人等とする親法人等の子法人等(当該事業主、①及び②に掲げる者を除く。)
 ④ 当該事業主の関連法人等
 ⑤ 当該事業主を子法人等とする親法人等の関連法人等(④に掲げる者を除く。)
 ⅱ)親法人等
 則第4条の3に規定する「親法人等」について、次の①から③までに掲げる法人等(会社、組合その他これらに準ずる事業体(外国におけるこれらに相当するものを含む。)をいう。以下同じ。)とすること。
 ただし、財務上又は営業上若しくは事業上の関係からみて他の法人等の財務及び営業又は事業の方針を決定する機関(株主総会その他これに準ずる機関をいう。以下「意思決定機関」という。)を支配していないことが明らかであると認められるときは、この限りでない。
 ① 他の法人等(破産手続開始の決定、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定を受けた他の法人等その他これらに準ずる他の法人等であって、有効な支配従属関係が存在しないと認められるものを除く。以下このⅱにおいて同じ。)の議決権の過半数を自己の計算において所有している法人等
 ② 他の法人等の議決権の100 分の40 以上、100 分の50 以下を自己の計算において所有している法人等であって、次のイからホまでに掲げるいずれかの要件に該当するもの。
   当該法人等が自己の計算において所有している議決権と当該法人等と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより当該法人等の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者及び当該法人等の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者が所有している議決権とを合わせて、当該他の法人等の議決権の過半数を占めていること。
   当該法人等の役員、業務を執行する社員若しくは使用人である者、又はこれらであった者であって当該法人等が当該他の法人等の財務及び営業又は事業の方針の決定に関して影響を与えることができるものが、当該他の法人等の取締役会その他これに準ずる機関の構成員の過半数を占めていること。
  当該法人等と当該他の法人等との間に当該他の法人等の重要な財務及び営業又は事業の方針の決定を支配する契約等が存在すること。
   当該他の法人等の資金調達額(貸借対照表の負債の部に計上されているものに限る。)の総額の過半について当該法人等が融資(債務の保証及び担保の提供を含む。以下同じ。)を行っていること(当該法人等と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係のある者が行う融資の額を合わせて資金調達額の総額の過半となる場合を含む。)。
   その他当該法人等が当該他の法人等の意思決定機関を支配していることが推測される事実が存在すること。
 ③ 法人等が自己の計算において所有している議決権と当該法人等と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより当該法人等の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者及び当該法人等の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者が所有している議決権とを合わせて、他の法人等の議決権の過半数を占めている場合(当該法人等が自己の計算において議決権を所有していない場合を含む。)における当該法人等であって、②ロからホまでに掲げるいずれかの要件に該当するもの。
 ⅲ)子法人等
 則第4条の3に規定する「子法人等」とは、親法人等によりその意思決定機関を支配されている他の法人等をいうこと。この場合において、親法人等及び子法人等又は子法人等が他の法人等の意思決定機関を支配している場合における当該他の法人等は、その親法人等の子法人等とみなす。
 ⅳ)関連法人等
 則第4条の3に規定する「関連法人等」について、次の①から③までに掲げるものとすること。ただし、財務上又は営業上若しくは事業上の関係からみて法人等(当該法人等の子法人等を含む。)が子法人等以外の他の法人等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができないことが明らかであると認められるときは、この限りでない。
 ① 法人等(当該法人等の子法人等を含む。)が子法人等以外の他の法人等(破産手続開始の決定、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定を受けた子法人等以外の他の法人等その他これらに準ずる子法人等以外の他の法人等であって、当該法人等がその財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができないと認められるものを除く。以下同じ。)の議決権の100 分の20 以上を自己の計算において所有している場合における当該子法人等以外の他の法人等
 ② 法人等(当該法人等の子法人等を含む。)が子法人等以外の他の法人等の議決権の100 分の15 以上、100 分の20 未満を自己の計算において所有している場合における当該子法人等以外の他の法人等であって、次のイからホまでに掲げるいずれかの要件に該当するもの
   当該法人等の役員、業務を執行する社員若しくは使用人である者、又はこれらであった者であって当該法人等がその財務及び営業又は事業の方針の決定に関して影響を与えることができるものが、その代表取締役、取締役又はこれらに準ずる役職に就任していること。
   当該法人等から重要な融資を受けていること。
   当該法人等から重要な技術の提供を受けていること。
   当該法人等との間に重要な販売、仕入れその他の営業上又は事業上の取引があること。
  その他当該法人等がその財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができることが推測される事実が存在すること。
 ③ 法人等(当該法人等の子法人等を含む。)が自己の計算において所有している議決権と当該法人等と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより当該法人等の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者及び当該法人等の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者が所有している議決権とを合わせて、子法人等以外の他の法人等の議決権の100 分の20 以上を占めている場合(当該法人等が自己の計算において議決権を所有していない場合を含む。)における当該子法人等以外の他の法人等であって、②イからホまでに掲げるいずれかの要件に該当するもの。

 

高齢者雇用法第9条の趣旨

第9条第1項

 第1号から第3号までのいずれかの措置を実施しなければならないとされています。

・第1号 定年年齢の引き上げ

 第1項の条文の文脈から、現在60歳等の定年を定めている場合には、事実上65歳以上の定年年齢に

引き上げることを意味します。この場合に、従来の定年年齢を超えた労働者の賃金等の処遇が問題と

なります。

 例えば次のような観点です。

 ア 役職等の処遇をどのようにするか(役職定年を設ける等)

 イ 退職金の取扱いをどのようにするか

 ウ 通常は、60歳以降の賃金を逓減させることとなるが、60歳前及び60歳以降の賃金制度の設計をどのようにするか

 エ 希望退職者がいる場合の処遇をどのようにするか 

 等々です。

・第2号 継続雇用制度を希望者全員雇用すること。

 平成25年4月1日から、65歳未満の定年制を設けている事業場においては、希望者全員を継続雇用し

なければなりません。ただし、平成25年3月31までに労使協定を締結している場合には、「経過措置

により、平成37 年3月31 日までの間、継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を厚生年金報

酬比例部分の支給開始年齢以上の者を対象に、利用することができる」としています。

 

参考:厚生年金の報酬比例部分(定額部分)の支給開始年齢表

      生年月日       報酬比例部分支給開始年齢   平成27年満年齢

 男性 S16・4・2~S18・4・1生       60歳(61歳)     74歳~72歳

 女性 S21・4・2~S23・4・1生         〃         69歳~67歳

 男性 S18・4・2~S20・4・1生       60歳(62歳)     72歳~70歳

 女性 S23・4・2~S25・4・1生         〃         67歳~65歳

 男性 S20・4・2~S22・4・1生       60歳(63歳)     70歳~68歳

 女性 S25・4・2~S27・4・1生         〃         65歳~63歳

 男性 S22・4・2~S24・4・1生       60歳(64歳)     68歳~66歳

 女性 S27・4・2~S29・4・1生         〃         63歳~61歳

 男性 S24・4・2~S28・4・1生       60歳(老基65歳)   66歳~62歳

 女性 S29・4・2~S33・4・1生         〃         61歳~57歳

 男性 S28・4・2~S30・4・1生       61歳(老基65歳)   62歳~60歳

 女性 S33・4・2~S35・4・1生         〃         57歳~55歳

 男性 S30・4・2~S32・4・1生       62歳(老基65歳)   60歳~58歳

 女性 S35・4・2~S37・4・1生         〃         65歳~63歳

 男性 S32・4・2~S34・4・1生       63歳(老基65歳)   58歳~56歳

 女性 S37・4・2~S39・4・1生         〃         53歳~51歳

 男性 S34・4・2~S36・4・1生       64歳(老基65歳)   56歳~54歳

 女性 S39・4・2~S41・4・1生         〃         51歳~49歳

 男性 S36・4・2~    生       老厚・老基とも65歳   54歳~

 女性 S41・4・2~    生         〃         49歳~

                    ※かっこ内は定額部分

 ところで、継続雇用制度といっても一般的には再雇用制度を指すものと思います。これは、60歳の

定年年齢で一旦退職扱いとし、従来の処遇・退職金の支払い等を精算した上で、嘱託等の名称の別個

の労働条件で再雇用する形式です。この場合、従来よりも賃金は低下し、無期雇用から有期雇用に変

更され、従来の役職とは異なる業務に就くことが通常です。

・第3号 定年制度を廃止すること

 定年制度を廃止すると、現在雇用している労働者及び将来雇用する労働者について、①「労働者の

意思で退職する場合」、②「会社が正当な解雇をする場合」、③「死亡した場合」、➃「事業所を閉

鎖して整理解雇する場合」、⑤「会社が解散等した場合」のいずれかの場合以外は、労働者を雇用し

続けることとなります。この場合、文字通りの終身雇用制度となります。

 

第9条第2項 継続雇用制度の雇用先を子会社等の関連会社に拡大すること

 関連会社と継続雇用に関する契約を締結し、関連会社を含めて継続雇用制度を維持するように制度

設計が変更されました。従来、関連会社間で出向契約が取り交わされ、人事交流が行われて来たこと

はごく一般的に知られていましたが、平成25年4月以降はそれに加えて60歳以降の継続雇用制度につ

いて人事交流を拡大するように促す規定です。

 子会社等の内容は、施行規則第4条の3及び通達で詳細に定義されています。本条第2項の規定に

より、関連会社に再雇用(事実上の再就職です。)された場合には、本条第1項第2号の継続雇用制度

を導入しているものとみなさという趣旨です。

 

第9条第3項 指針(平成24年11月9日厚生労働省告示第560号

 それほど長くない文章ですから、そのまま引用します。

第1 趣旨
 この指針は、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和46年法律第68号。以下「法」という。)第9条第3項の規定に基づき、事業主がその雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため講ずべき同条第1項に規定する高年齢者雇用確保措置(定年の引上げ、継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。以下同じ。)の導入又は定年の定めの廃止をいう。以下同じ。)に関し、その実施及び運用を図るために必要な事項を定めたものである。
第2 高年齢者雇用確保措置の実施及び運用
 65歳未満の定年の定めをしている事業主は、高年齢者雇用確保措置に関して、労使間で十分な協議を行いつつ、次の1から5までの事項について、適切かつ有効な実施に努めるものとする。
 1 高年齢者雇用確保措置
 事業主は、高年齢者がその意欲と能力に応じて65歳まで働くことができる環境の整備を図るため、法に定めるところに基づき、65歳までの高年齢者雇用確保措置のいずれかを講ずる。
 2 継続雇用制度
 継続雇用制度を導入する場合には、希望者全員を対象とする制度とする。この場合において法第9条第2項に規定する特殊関係事業主により雇用を確保しようとするときは、事業主は、その雇用する高年齢者を当該特殊関係事業主が引き続いて雇用することを約する契約を、当該特殊関係事業主との間で締結する必要があることに留意する。
 心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く。以下同じ。)に該当する場合には、継続雇用しないことができる
 就業規則に定める解雇事由又は退職事由と同一の事由を、継続雇用しないことができる事由として、解雇や退職の規定とは別に、就業規則に定めることもできる。また、当該同一の事由について、継続雇用制度の円滑な実施のため、労使が協定を締結することができる。なお、解雇事由又は退職事由とは異なる運営基準を設けることは高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律(平成24年法律第78号。以下「改正法」という。)の趣旨を没却するおそれがあることに留意する。
 ただし、継続雇用しないことについては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められると考えられることに留意する。
 3 経過措置
 改正法の施行の際、既に労使協定により、継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を定めている事業主は、改正法附則第3項の規定に基づき、当該基準の対象者の年齢を平成37年3月31日まで段階的に引き上げながら、当該基準を定めてこれを用いることができる。
 4 賃金・人事処遇制度の見直し
 高年齢者雇用確保措置を適切かつ有効に実施し、高年齢者の意欲及び能力に応じた雇用の確保を図るために、賃金・人事処遇制度の見直しが必要な場合には、次の⒧から⑺までの事項に留意する。
 ⒧ 年齢的要素を重視する賃金・人事処遇制度から、能力、職務等の要素を重視する制度に向けた見直しに努めること。
 この場合においては、当該制度が、その雇用する高年齢者の雇用及び生活の安定にも配慮した、計画的かつ段階的なものとなるよう努めること。
 ⑵ 継続雇用制度を導入する場合における継続雇用後の賃金については、継続雇用されている高年齢者の就業の実態、生活の安定等を考慮し、適切なものとなるよう努めること。
 ⑶ 短時間勤務制度、隔日勤務制度など、高年齢者の希望に応じた勤務が可能となる制度の導入に努めること。
 ⑷ 継続雇用制度を導入する場合において、契約期間を定めるときには、高年齢者雇用確保措置が65歳までの雇用の確保を義務付ける制度であることに鑑み、65歳前に契約期間が終了する契約とする場合には、65歳までは契約更新ができる旨を周知すること。
 また、むやみに短い契約期間とすることがないように努めること。
 ⑸ 職業能力を評価する仕組みの整備とその有効な活用を通じ、高年齢者の意欲及び能力に応じた適正な配置及び処遇の実現に努めること。
 ⑹ 勤務形態や退職時期の選択を含めた人事処遇について、個々の高年齢者の意欲及び能力に応じた多様な選択が可能な制度となるよう努めること。
 この場合においては、高年齢者の雇用の安定及び円滑なキャリア形成を図るとともに、企業における人事管理の効率性を確保する観点も踏まえつつ、就業生活の早い段階からの選択が可能となるよう勤務形態等の選択に関する制度の整備を行うこと。
 ⑺ 継続雇用制度を導入する場合において、継続雇用の希望者の割合が低い場合には、労働者のニーズや意識を分析し、制度の見直しを検討すること。
 5 高年齢者雇用アドバイザー等の有効な活用
 高年齢者雇用確保措置のいずれかを講ずるに当たって、高年齢者の職業能力の開発及び向上、作業施設の改善、職務の再設計や賃金・人事処遇制度の見直し等を図るため、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に配置されている高年齢者雇用アドバイザーや雇用保険制度に基づく助成制度等の有効な活用を図る。
 
第9条第4項 指針に関する意見の聴取及び指針の公表
 第9条第3項の規定による指針を策定するに際しては、「策定前に、あらかじめ、関係行政機関の長と協議するとともに、労働政策審議会の意見を聴かなければならない。」こと、及び「指針を定めたときは、遅滞なく、その概要を公表しなければならない。」とされています。
 
 
 
以上で高齢者雇用法第9条を終了します。