記事のアーカイブ

労働契約法の復習 第13条

2015年04月17日 13:01
労働契約法第13条 就業規則が法令又は労働協約に反する場合には、当該反する部分については、第7条、第10条及び前条の規定は、当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約については、適用しない。 この労働契約法第13条の規定は、既に何度か記述して来ました。ただ、「第7条、第10条及び前条の規定」及び「当該法令又は労働協約の提供を受ける労働者との間の労働契約」については・・・と言い回しが慎重です。この点を以下で考察します。 ○第7条、第10条及び前条(第12条)の規定 ア 第7条   合理的な労働条件を規定する就業規則を周知させていた場合は、労働条件は就業規則の規定による。※ただし、個
続きを読む

労働契約法の復習 第12条

2015年04月17日 10:57
労働契約法第12条 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。  従来、秋北バス事件の裁判において、「所属する労働者は、就業規則の存在および内容を現実に知っていと否とにかかわらず、また、これに対して個別的に同意を与えたかどうかを問わず、当然に、その適用を受けるというべきである。」と判示されているところです。(昭和43年最高裁大法廷判決、昭和40年(オ)145) ○就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約  就業規則と個別の労働契約の優劣の関係(労働契約の労働条件が有利
続きを読む

労働契約法の復習 第11条

2015年04月16日 10:13
労働契約法第11条 就業規則の変更の手続きに関しては、労働基準法(昭和22年法律第49号)第89条及び第90条の定めるところによる。 ○労働基準法第89条の確認 労働基準法第89条 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。 一 始業及び就業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項 二 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払いの時期並びに
続きを読む

労働契約法の復習 第10条

2015年04月15日 15:14
労働契約法第10条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。 ○就業規則の変更により労働条件を包括的・
続きを読む

労働契約法の復習 第9条

2015年04月15日 11:11
労働契約法第9条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りではない。 ○就業規則の性質について  就業規則の定義及び就業規則が労働者の認知及び承認なく、事業場に所属する労働者、ひいては企業全体の労働者に適用される労働条件となるのかどうかについては、すでに記述しました。また、就業規則を変更する場合に、所属する労働者の一定の同意を得て、不利益変更を行う必要があることも、前条の説明で記述しました。  そこで、就業規則に対する基本的な考え方を示した、有名な「秋北バス事件」裁判例
続きを読む

労働契約法の復習 第8条

2015年04月14日 10:40
労働契約法第8条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。 ○契約変更とは何か?  一般に、契約の変更とは、従前の契約を解除するとともに契約条件の異なる新たな契約を締結することに他なりません。売買契約の様に、契約当事者が債務履行を同時に行えば直ちに契約が履行されて完了する場合を除き、契約の効力が継続する場合においては、契約の解除または満了までの間は、同一の契約条件を契約当事者が遵守すべきことは当然です。一例では、不動産の賃貸契約があります。駐車場を月額7000円で地主から借りている場合に、地主が契約途中において月々の賃料を一方的に8500円に変更
続きを読む

労働契約法の復習 第7条

2015年04月13日 14:36
労働契約法第7条 労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。 参考:労働契約法第12条 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。 ○就業規則とは何か?  ア 就業規則の定義   就
続きを読む

労働契約法の復習 第6条

2015年04月12日 10:44
労働契約法第6条 労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。 ○労働契約の成立メカニズムと問題点  労働契約(雇用契約)の成立にまつわる問題 労働契約はどの時点で成立するか?労働契約の効力はいつ発生するか?については、以前の記事ですでに記述しました。そこで、労働契約の成立時点の様々な態様について、記述してみます。 ア 錯誤がある意思表示  錯誤についての学説は、民法学の先生にお願いして、一般的に契約無効の主張ができることになっています。つまり、誤解して契約を締結した場合には、契約無効を主張できます
続きを読む

労働契約法の復習 第5条

2015年04月11日 11:14
労働契約法第5条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。 ○まず、労働安全衛生法の規定を考察します。 労働安全衛生法第1条 この法律は、労働基準法(昭和22年法律第49号)と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を促進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。  労働安全衛生法は、元来労働基準法に規定されていた労働者の安全衛生に関する規定を独立
続きを読む

労働契約法の復習 第4条

2015年04月10日 09:54
労働契約法第4条 使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。 2 労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。 ○労働契約(雇用契約)の効力発生要件  物事の効力の発生要件や効力の発生時期は、非常に重要な問題です。昨今、架空請求詐欺や送りつけ詐欺が横行していますが、前者は被害者に加害者の契約に申し込んだと思い込ませ、後者は送られた物品等の代金を支払わばければならないと被害者に誤認させるものです。当然、両者とも契約成立(締結)の事実はありませんから
続きを読む
アイテム: 141 - 150 / 154
<< 12 | 13 | 14 | 15 | 16 >>